9/お前も今日から俺の作品の肥やし(脚本)
〇荷馬車の中
〜爆速あらすじ〜
とある未完小説の正ヒロインが
どっちなのかでメッチャもめた。
そのまま、怒りの全力逃避なギン氏。
〇田舎の公園
???((で、そのまま丸2日アイツが見つからない‥‥))
???((俺とアイツ自身がどうなろうかは 知ったこっちゃないが‥‥‥))
???((俺のせいで作品に悪い影響が出たら困る‥‥))
〇古い本
ギン「ん〜‥‥‥」
ギン「『ヘドロを喰らう』の続き、どうしよっかなぁ‥‥‥」
ギン「あのノキース派のアイツが楽しみにしてる 小説なんざ書くの、クッソだるいなぁ‥‥‥」
ギン「いいや! 適当に終わらせちまおう! or ペドロやクレイ殺しちゃおっと!」
〇田舎の公園
???((や、やりそう‥‥‥!))
???((どうしよう‥‥‥俺のせいでペドロさんに、 作品に迷惑がかかってしまう‥‥‥))
※ペドロさん→ギンの書く小説の主人公
???((‥‥‥‥))
???((だから、作者とは関わりたくなかったんだ))
〇森の中
俺が奴に与えた喜怒哀楽のせいで
作品が純度100%の“奴の作品”では
なくなってしまう。
作者に会ってしまったのが嬉しくて、つい
さんざん奴に喜怒哀楽を与えてしまった気がする‥‥。
俺が与えた“何か”のせいで、
奴の創作に"俺"が混じるのが嫌だ。
アンケはがき以外で、応援も批判も
何もする気はなかった。
〇田舎の公園
???((空腹で野垂れ死のうが魔物に殺されようが、執筆時間が取れなくて筆折ろうが‥‥))
???((それはそれでギンという、 アマチュア作家の運命だろ))
???((‥‥‥‥))
???((ノキースだミーナだ、どうでもよかったろ))
???((何故あそこで自己主張なんてしてしまったんだか))
???((‥‥‥たまっていた有給丸1年ぶん使って 追いかけてしまったが‥‥‥))
???((もう帰るべきだろうかな))
???「あ」
???「おいコラ! そこの猫背!」
ギン「おわぁー??!!!! お前ぇえ???!!!!!」
ギン「か‥‥‥帰ったんじゃねぇのかよ?!」
???「お前、今までどこにいたんだよ!」
ギン「馬車でもたれかかってきた 爺さんの家に、2晩泊まった」
???「お前‥‥‥何だソレは。 大丈夫なやつなのか‥‥‥?」
※間違った事は言ってないのだが、
最高に言い方が悪い様子
???「お。良かったな アググ賞に出すやつ、完成したのか」
ギン「あぁ?」
ギン「‥‥‥‥」
ギン「おぅ」
???「あ?」
ギン「読めよ」
???「あぁ?」
ギン「『ヘドロを喰らう』の新作ですけど?」
〇木の上
???「なっ‥‥‥‥‥?」
???「急になんだよ‥‥‥‥‥‥?????」
ギン「うっせーな!!!!!」
ギン「ちょうど今、郵便で出しに行こうと してたところだったんだよ!!!」
ギン「お前が街に帰ったと思って、だから 「詫びとしてせめて新作書いてやろう」 ‥‥‥って書いたんだよ!」
ギン「良かったな!!! 町内会報誌ごときの小説の新作が 今週はあって!!!!」
ギン「はははははは!!!!!」
〇田舎の公園
???「‥‥‥というか、詫び? ん?」
ギン「ミーナだのノキースだの、正解が わからん事で争ってバカみたいだったからな!」
ギン「エルム・ナキュしか正解はわからない んだから! あんなん、不毛なケンカすぎた!」
ギン「‥‥‥何? いらない? じゃあ返せよ。とっとと地元に送るから」
???「読む」
ギン「‥‥‥あー。字とか読みづらくね?」
???「言いませんでしたっけ」
???「私、あなたの字 好きなんですよ」
〇黒背景
と、いうわけで書いたもんを
目の前で読まれている。
奴は無表情だから、俺の書いたもんが
面白いのか面白くなかったのかの
判断がつかない。
‥‥‥
目の前で読んでもらう事のメリットって、
その場でそういう反応がわかる事じゃないん?
あ。駄目だ。
急に自信なくなってきた。
死にたい。
〇田舎の公園
ギン「にしても、北に向かってるのに 全然涼しくならないよなぁ〜」
ギン「あちぃ〜」
マモ「俺の服は接触冷感製だから、まだ耐えられる暑さだ」
ギン((そ、そうなんだ‥‥‥))
ギン「‥‥‥で、どうでしたん?」
???「‥‥‥‥‥」
ギン「おい! 何で原稿をカバンにしまう?!」
???「え」
???「“俺”という1番のファンが見たから、 もう地方誌に載せなくてもよくないか?」
ギン「街の皆への生存報告も 兼ねてるんだからやめろ!!!!!!!!!」
???「はぁ?」
ギン「便りもねぇのに小説の投稿はあった ➡ギン君 生きてる元気してるキャー! ‥‥‥って流れ、何かいいだろ?」
ギン「だから返せよ!!!!」
???「あぅ」
ギン「‥‥‥で、感想は?!」
???「‥‥‥‥」
???「誰もがお前みたいに、そうホイホイと 言葉を紡げると思うなよ」
ギン「えぇ‥‥‥?」
???「‥‥‥」
???「アググ賞の方を優先してやればよかったのに」
???「‥‥‥‥」
???「俺のせいで、作品に影響はあったのだろうか」
ギン「?」
???「展開が変わったり台詞が変わったり してはいないか」
ギン「何それ」
???「俺は」
???「良くも悪くも、お前の作品に 影響を与えてないか?」
ギン「さぁ〜‥‥‥あるとしたら、これからじゃね?」
ギン「お前といてムカついた事・嬉しかった事が 俺の中で発酵熟成して、もしかしたら キャラや話に組み込まれたりしてな」
???「俺は‥‥‥」
???「純度100%のお前の作品が読みたいんだ」
???「お前の作品に組み込まれたくない‥‥‥」
???「‥‥‥‥‥‥‥すまん。説明が難しい。 俺にもわからん」
???「俺は、こんなにお前と関わる気はなかった ‥‥‥‥はずなんだ」
???「すまない」
???「作品に、すまない」
ギン「‥‥‥そもそも『作者100%の作品』? なんて、この世にないだろ」
〇古書店
ギン「物語ってもんは、作家が今まで 出会った人達や経験したモンへの感情で 作られてるだろ」
ギン「アググ先生なんか、現実で金髪女に手酷く フラレたからって作中で金髪女を ぶん殴りまくってたからなぁ‥‥‥」
???「あぁ‥‥‥あれは笑った」
ギン「でも、それだって『作者100%の作品』じゃね?」
〇田舎の公園
ギン「‥‥‥え? つまり‥‥‥ やっぱ今回の『ヘドロ』つまんなかった?」
ギン「お前と? 会ったから? 旅したから? 何かと買ってもらってるから?って事?」
???「そんな事はない!」
ギン「じゃあ、別によくね?」
ギン「知らねぇよ 『誰それと会わなかった』とか 『あの経験をしなかった』とか‥‥‥」
ギン「お前と会わなかった世界線の俺の小説なんて」
ギン「‥‥‥‥‥‥‥」
ギン「俺に関わって、俺の肥やしになって 黙って俺の作品に組み込まれとけよ」
ギン「もう遅いぜ? 関わっちまったんだから観念しろ」
???「‥‥‥‥‥」
???「なんっ‥‥‥」
???「小説でお前のキャラが言いそうな台詞だな‥‥」
ギン「‥‥‥‥‥」
ギン「爺さんに礼を言って、旅支度が済んだら また北を目指そうぜ」
ギン「マモさんよぉ」
マモ「おい 待て!!!!!!」
マモ「お前、どこで俺の名前を知った?!」
ギン「お。 やっぱり『マモ・リュンファン』?」
ニタニタするギン「そうかぁ、あの時の奴かぁ‥‥‥」
マモ「おいって!!!!!」
地味に「おいコラ、そこの猫背!」が好きすぎる👼
読者アンケート出すのはエライですよ、リュンファンさん……それは作者にとって一番ありがたいことっすよ……(泣)
あ〜〜、ギンマモの始まりですねぇ……❤マジ好き。
首がもげそうなくらい頷いてましたよ。
純度100%の作品にしてほしいとか! 良くも悪くも影響を与えていないかとか! ああ〜もう、すっげぇわかるっす❤
んで、それを受け入れちゃう、っていうのもね…… もう結婚しちゃえ。
「もう遅いぜ? 関わっちまったんだから観念しろ」のくだりが殺し文句過ぎますね🤤そして目の前で小説読まれる&原稿を私物化しようとする言葉よりも雄弁な感想の応酬😂…これはもう蜜月なのでは??そうか、字も好きなのか…😊😊😊とニコニコしながら読みました。