〇空港の滑走路
　　平成 11 年 ７ 月 23 日

〇空港ターミナルビル
　　名古屋（小牧）空港

〇空港のロビー
　　午後の新千歳空港行の便に搭乗するために
　　12時過ぎに空港に到着した作者は
　　その異様な空気に目眩を覚えたのです。
　　多くの人はロビーの大モニターに流れる
　　ニュース番組を注視していました。
　　羽田空港発、新千歳空港行きの
　　全日空61便にて
　　午前11時25分頃、ハイジャック発生
　　ハイジャック犯により機長殺害──
　　当時、北海道在住の作者は
　　前日の７月22日に東海地方某所での
　　所用を済ませ、
　　23日に新千歳空港へフライトするという
　　予定が組まれていました。
　　当初、帰路については２案──
　　１つは、22日の夜に東京入りして
　　品川周辺で一泊、
　　翌23日の昼前に羽田空港からフライト
　　もう１つは、23日の午前中に名古屋入り、
　　午後の便で帰路に就くというもの。
　　結果として後者を選んだのですが、
　　もし前者を選んでいたら、
　　当該便に乗り合わせた可能性が
　　極めて高かったのです。
　　（当時は全日空便しか乗った経験なし）
　　ちなみに、このハイジャックですが・・・

〇飛行機内
　　航空マニアで飛行機の操縦願望のある
　　犯人が、包丁でCAを威嚇。
　　犯人はそのままコックピットに押し入り
　　機長に次から次へと無茶な要求をし、

〇飛行機内
　　機長に対して凶行に及び、自ら操縦。
　　飛行機は急降下し、低空飛行状態に陥り
　　対地接近警報装置が作動。

〇飛行機内
　　ただ、幸いなことにその便には
　　別機の機長が非番で乗り合わせており、
　　その機長が、当該便の副操縦士・CAと共に
　　コックピットに押し入り、
　　犯人を拘束。
　　機長はそのまま操縦桿を手にして
　　機体を急上昇させ墜落を回避。
　　この対応が少しでも遅れていたら、
　　機体は都内の住宅街に墜落し、
　　1985年８月12日に起こった
　　日航機墜落事故を上回る犠牲者が出た
　　可能性があるとの見立てもあります。
　　少なくとも、乗客の500人超と
　　墜落地点周辺の住民の命は・・・

〇空港のロビー
　　もしＳＦ小説のように「別の世界線」が
　　あるのだとしたら、
　　作者がハイジャック便に乗り合わせた
　　「世界線」もあったでしょう。
　　そして、墜落した「世界線」も・・・

〇空港の滑走路
　　この事件は、現在の日本において
　　最も新しいハイジャックにして、
　　初めて死者が発生した
　　ハイジャック事件であります。
　　作者は、この日のことを
　　今後も忘れることができないでしょう。