第2話「魔剣士ディマカエリ」(脚本)
〇渋谷のスクランブル交差点
???「──やるではないか」
???「貴様、名は何と申す」
我浜ユウト 「怪物に礼儀があるかは知らないが──」
我浜ユウト 「まず、自分から名乗ったらどうだ?」
???「ククッ、人間に諭されるなんてな」
???「我は、ディマカエリ」
???「人呼んで──」
我浜ユウト (魔王ではなく、魔剣士・・・?)
我浜ユウト 「俺は、我浜(わがはま)ユウトだ」
魔剣士ディマカエリ「かつての勇者と同じ名か」
魔剣士ディマカエリ「面白い巡り合わせがあるものだ」
魔剣士ディマカエリ「では、改めて交えよう。ここからは──」
魔剣士ディマカエリ「2本の剣でな!」
我浜ユウト「は、速い!?」
魔剣士ディマカエリ「貴様が『1回』攻撃する間に、我は『2回』攻撃できる」
我浜ユウト「2回攻撃だと・・・!?」
魔剣士ディマカエリ「人間に守りきることは、不可能!!」
魔剣士ディマカエリ 「吹き飛べ!」
〇SHIBUYA109
我浜ユウト「く・・・なんて魔力だ!」
・・・ユ・・・ト君
結城イツカ「・・・ユウト君、聞こえる!?」
我浜ユウト 「イツカさん!」
我浜ユウト 「何か手はありませんか!?」
我浜ユウト 「このままじゃ、やられるのを待つだけだ!」
結城イツカ「魔王の攻撃、あと5分しのげる?」
我浜ユウト 「無茶なこと言いますね・・・」
結城イツカ「うまくいけば、魔王を止められるかもしれない」
我浜ユウト 「それはどういう──」
我浜ユウト 「ちっ、奴が来る!」
我浜ユウト「どういう作戦か知りませんが──何とか耐えてみせますよ!!」
〇研究所の中枢
WASO東京支局
リオナ局長「『封印柱』使用の承認、まだ頂けないのですか!?」
???「もう少し待て。まだA国の承認が得られていない」
リオナ局長「・・・分かりました。RPGで対抗を続けます」
リオナ局長「本部の連中──自分たちが安全だからって、のんびり構え過ぎなのよ!」
・・・リ・・・ナさん
結城イツカ 「リオナさん!」
リオナ局長「イツカ!」
リオナ局長「渋谷の状況はどう!?」
結城イツカ 「かなり厳しいです・・・もってあと5分」
結城イツカ 「『封印柱』の使用承認、なるべく早くお願いします!」
結城イツカ 「彼の魔力が尽きるまでに──」
リオナ局長「ええ、こちらのことは任せて」
リオナ局長「子供たちが戦う中、大人は机上で議論するだけ」
リオナ局長「──腐った世の中だわ」
〇SHIBUYA109
我浜ユウト「くっ・・・!」
魔剣士ディマカエリ 「──遅い」
魔剣士ディマカエリ「貴様の魔力はこんなものか?」
我浜ユウト(あと2分50秒、49、48・・・)
我浜ユウト「・・・まだだ!」
我浜ユウト「最後まであがき続けてやる!」
魔剣士ディマカエリ「面白い──さあ、かかってこい!」
〇SHIBUYA109
魔剣士ディマカエリ「ついに魔力が尽きたか・・・」
魔剣士ディマカエリ「しかし、我を相手によく戦った。褒めてやろう」
我浜ユウト 「お前に褒められたところで、嬉しくも何ともない」
結城イツカ 「──じゃあ、私が褒めてあげるわ」
我浜ユウト 「イツカさん!」
結城イツカ 「よく耐えたわね。あとは任せて!」
魔剣士ディマカエリ「最初に戦った女か──てっきり逃げ出したのかと思っていたぞ」
魔剣士ディマカエリ「しかし、貴様ごときが加勢したところで無意味──」
結城イツカ 「《我が血に眠る魔の力、我が願いに答えよ》」
結城イツカ 「《我が心に宿る時封の力、今ここに顕現せよ》」
魔剣士ディマカエリ「この魔法、まさか千年前の──!?」
結城イツカ 「『1日』封印柱!!」
〇SHIBUYA109
我浜ユウト 「魔王を封印した・・・?」
結城イツカ「今のは『封印柱』」
結城イツカ「勇者が使ったとされる封印魔法から生み出した、魔導兵器よ」
我浜ユウト 「そんな便利な物があるなら、さっさと使ってくださいよ!」
我浜ユウト 「街の被害も、今より抑えられたはずだ!」
結城イツカ「私もそう思う」
結城イツカ「ただ、使用するには膨大な魔力を集めなければいけないし──」
結城イツカ「大人の事情もあるのよ」
我浜ユウト 「なんですか・・・それ」
我浜ユウト 「とにかく──これで「世界に平和が訪れました」ってわけですね」
結城イツカ「残念だけど、封印できる期間は『1日』」
結城イツカ「今の人類に、魔王を千年も封印する力はないの」
我浜ユウト 「はぁ!? たった1日だけ封印して、何か意味あるんですか!?」
結城イツカ「1日『も』封印できるのよ」
結城イツカ「今から考えましょう──魔王の攻略法をね」
〇近未来の通路
我浜ユウト 「東京の地下にこんな場所があったなんて・・・」
結城イツカ「ユウト君、こっちよ」
〇研究所の中枢
リオナ局長「ようこそ、WASO東京支局へ」
リオナ局長「ここの責任者を務める、局長のリオナです」
我浜ユウト 「どうも、我浜ユウトです」
リオナ局長「ユウトさん、人類のために戦ってくれたこと、感謝しかありません」
我浜ユウト 「別に、人類のために戦ったわけではないですよ」
我浜ユウト 「俺は、助ける価値のある人のために戦っただけです」
リオナ局長「しかし、結果としては人類のためになった」
リオナ局長「感謝に値します」
我浜ユウト 「・・・」
リオナ局長「イツカもよくやってくれたわね」
結城イツカ 「いえ・・・大した力になれず、すいません」
結城イツカ 「早く、魔王を倒す方法を考えないと」
結城イツカ 「封印が解けるまで──あと23時間を切ってます」
我浜ユウト 「今の武器では絶対に勝てませんよ」
我浜ユウト 「あなたたちが、他に隠しているモノがあったら別ですけど」
結城イツカ「それって嫌味?」
結城イツカ「封印柱はRPGと違って、本部の承認がないと使えな──」
リオナ局長「イツカ、いいのよ」
リオナ局長「我々の判断が遅れたせいで、被害が大きくなったのは間違いないのですから・・・」
リオナ局長「しかし、後悔はすべてが終わった後──」
リオナ局長「今は魔王を退け、これ以上被害が大きくならないように努めたいと思います」
我浜ユウト 「その意見には同意しますよ」
結城イツカ 「リオナさん──博士に知恵を借りるのはどうですか?」
リオナ局長「私もそれしかないと思うわ」
我浜ユウト 「博士って誰ですか?」
結城イツカ「熊城(くましろ)キョウイチ」
結城イツカ「RPGを開発した、天才科学者よ」
〇魔法陣のある研究室
熊城博士 「おおっ! この怪物、信じがたい魔力だ!」
結城イツカ 「──博士」
熊城博士 「剣に炎の属性をまとうなんて──」
結城イツカ 「博士っ!」
熊城博士「イツカ君か・・・私の研究の邪魔をしないでくれたまえ」
結城イツカ 「今は研究してる場合じゃ──」
熊城博士「おっ!?」
熊城博士「君はRPGに乗っていた少年か!?」
我浜ユウト 「そ、そうですけど・・・」
熊城博士「君は実に素晴らしかった! これを見てくれたまえ!」
熊城博士「先ほどRPGを使用した際のトラッキングデータだ」
熊城博士「見ての通り、君の方がイツカ君より、RPGの性能を引き出せている!」
我浜ユウト 「はぁ・・・」
結城イツカ 「まったく・・・相変わらず研究にしか興味ないんだから」
結城イツカ 「博士、魔王に対抗できる武器はないの?」
結城イツカ 「ほら、遠距離から強力なビームを撃つとか」
熊城博士「遠距離装備は、まだ開発段階だ」
熊城博士「現在の工程では、実用化までに1カ月はかかるだろう」
結城イツカ 「なら、気合で1日以内に実用化を──」
熊城博士「君は心の持ちようで、何でも解決できると考えてるのか?」
熊城博士「頭が悪すぎる」
結城イツカ 「なっ!?」
我浜ユウト 「・・・プッ」
結城イツカ「何笑ってるのよ」
我浜ユウト 「いえ、別に」
熊城博士「そもそも新しい装備は必要ない」
熊城博士「私の100%正しいシミュレーションでは──」
熊城博士「その少年の魔力を剣と盾に上乗せすれば、あの怪物と十分に渡り合える」
熊城博士「近距離装備の予備はあるから、適当に持っていくがいい」
結城イツカ 「敵は二刀流で、2回攻撃を仕掛けてくるのよ?」
結城イツカ 「1回目の攻撃しか盾で防げないわ」
熊城博士「そんなことは計算済だ」
熊城博士「答えは単純。1つでダメなら2つ使えばいい」
熊城博士「猿でも分かる計算だ」
結城イツカ 「はぁ!? それじゃあどう攻撃すれば──」
我浜ユウト 「いや・・・勝てるかもしれない」
結城イツカ「え?」
我浜ユウト 「人間では無理だけど、RPGを使えば──」
〇SHIBUYA109
封印から、24時間経過──
魔剣士ディマカエリ「──さすがの我も肝が冷えたぞ」
魔剣士ディマカエリ「しかし、封印がたった1日とは無意味だったな」
我浜ユウト 「そうでもないさ」
魔剣士ディマカエリ「ずいぶん嬉しそうだな」
魔剣士ディマカエリ「家族に別れの挨拶でもできたのか?」
我浜ユウト 「そんなものは必要ない」
我浜ユウト 「この1日の間──ずっと考えていたのさ」
〇仮想空間
ロール・プレイング・ギアを
そうび しますか?
▶はい
いいえ
〇SHIBUYA109
我浜ユウト「お前の攻略法をな!」
魔剣士ディマカエリ「2つの・・・盾!?」
タップノベルってここまでできるんだ…と鳥肌が立ちました。演出もたくさんのこだわりを感じさらにボイスも自然な感じで!その労力に脱帽ですし、本当アニメを見ている感覚でとても楽しく『視聴』できました!
世の中の理不尽など日頃私たちでも考えうる問題提起も胸に響きました。魔剣士の剣2本に対しこちらは盾2つ…どうなっていくのか、続きも楽しませていただきます🙏✨
オリジナルの立ち絵に加えて、合成音声の編集まで手を出し始めるとは…想像を絶する作業量に尊敬しかありません🥹
魔法の詠唱で声が響いていたり、あんな格好いい演出まで出来るんですね…!!😖
今のところ魔王も正攻法な戦い方ではありますが…魔王が魔王たる由縁がまだありそうな気がしてなりませんね🤔
どんなバトルが展開されていくのか…とても期待しております!!✨️✨️
すごいですね〜!
音声入力、結構時間かかったんじゃないですかね?ボイス機能が開放されて一回使ってみたんですけど、大変すぎて私には使いこなせなかったので、あの作業をコツコツと繰り返してるだけで尊敬します🙇
魔王封印中の24時間を濃く書くのだと思ったらもう復活してる!どうなるか気になります🤩