2.その目が怖かった理由(脚本)
〇大聖堂
こっちへおいで
〇黒
〇アマゾンの森
「おい、また死体が出たぞ!」
〇ヨーロッパの街並み
町人「獣人の食い残しじゃねえか・・・」
用心棒「こんな街中まで来たってことか!?」
町人「何やってんだよ。聖女様は」
町人「忌み地に嫁いだんじゃなかったのかよォ」
〇黒
愛の女神の使いだろォ
愛を配るんじゃないのかよォ
〇密林の中
「な・・・」
レナータ「なんですかこれ!」
獣人リファ「何って」
獣人リファ「どう見ても獣人族のご先祖だが?」
獣人リファ「そりゃ昔の服だから、 ちょっとばかりダサいかもだけどぉ?」
レナータ「ご遺体に流行なんて求めますか!」
レナータ「お人形みたいに着せ替えるなんて・・・」
獣人リファ「あははっ、御遺体って」
獣人リファ「死んだら急に偉くなるみたいに言うのな?」
獣人リファ「死んでもバカは多分バカのままだぞ?」
レナータ「バカ!? 罰が当たったらどうするんです!」
獣人リファ「私らなりのご先祖の弔い方なんだ」
獣人リファ「樹木葬やるにしても、私らは、ぜぇーったい変わらないからな?」
イーダ「まあまあ」
レナータ「そんなんでどうやって 我が国の厳粛なスタイルと共存させるのよ!」
レナータ「我が国にはね。死体盗掘者が跋扈してるの」
レナータ「魔女の儀式に使われたりしないように・・・」
レナータ「土に埋めて石を置いてるくらいなのよ!」
イーダ「えーと」
イーダ「世界にはたくさんの葬儀スタイルがありますから」
イーダ「魔の森ならではの 葬儀場スタイルを探しましょうよ」
獣人リファ「魔の森じゃない!」
レナータ「そんなの出来る訳ないでしょ!」
イーダ「あ、アドリアン様はどう思いますか?」
アドリアン(骨)「・・・」
アドリアン(骨)(いつの間にか、 樹木葬をする流れになっている)
アドリアン(骨)「・・・・・・」
アドリアン(骨)「分かった。イーダ」
アドリアン(骨)「これから何が起きるのか全て教える」
アドリアン(骨)「その後に──自分で決めるがいい」
イーダ「え・・・?」
イーダ「これから起きること?」
〇黒
『貴族の娘が獣人に殺される』
イーダが殺される始まりの事件
1回目の人生での俺は
その前兆に全く気付いていなくて
呑気に結婚式から走って
逃げだしたりしていたな
0回目のループ
〇結婚式場の廊下
イーダ「あっ、アドリアン様、どこへ」
レナータ「お兄様?ご挨拶がまだ──」
〇貴族の部屋
アドリアン「・・・も」
アドリアン「もう限界だ」
アドリアン「なんなんだ。あのイーダの目」
アドリアン「これが政略結婚だって分かってないのか!」
〇アマゾンの森
メランジェス伯「『聖女の血を我がメランジェス家に!』」
大陸一の美しさを誇る景観なのに
観光客は全く来ないメランジェス家領
はっきりいって、経済は極めて苦しい
そんな魔の森と忌み嫌われた地で、
聖女が誕生した
16歳で預言者に見出され、
初めて皆が彼女に気がついた
200年ぶりの聖女の誕生だ
メランジェス伯「わ」
メランジェス伯「我が領地にはかつて『処女権』があった!」
メランジェス伯「領地にすむ女性の処女は、 すべて領主に権利があるのだ!」
メランジェス伯(真偽不明の口伝のみの説だが)
メランジェス伯「聖女の処女は、 時期領主のアドリアンにある!」
メランジェス伯「そして 『妻となる者は処女でなければならない』」
メランジェス伯「つまり、我が息子アドリアンは、 聖女を妻として迎えるのだ!」
メランジェス伯「聖女はうちの家にいるべき!」
それなら領地の女全員と結婚させる気なのか、と突っ込まれながらも、
父は強引すぎる解釈と速度で、
国と教会から聖女を奪取したのだ
メランジェス伯「!!!!!!」
〇貴族の部屋
アドリアン「俺たちの意志なんか聞かれてすらいない 結婚なのに」
アドリアン「イーダは・・・」
〇花模様3
イーダ「はう、あの時のぉ」
イーダ「王子様ぁ」
〇貴族の部屋
アドリアン「俺が迎えにきたという恐ろしい誤解を!」
アドリアン「冗談じゃない」
アドリアン「ただでさえ『必死だな笑』と笑いものにされてる結婚なのに」
運命の王子様ごっこなんて
〇豪華な客間
翌朝
イーダ「はあ」
アドリアン(一口ごとに微笑んでいる)
アドリアン(そんなに美味いのか?)
イーダ「美味しいですよ」
イーダ「アドリアン様、無表情に見えますけど、 微妙に動きますよね?」
アドリアン「・・・」
アドリアン「不思議だっただけだ」
アドリアン「なぜモーニングルームで食べている」
イーダ「え、朝のお部屋で食べるように、って」
アドリアン「ブレックファーストルームは台所横だぞ」
イーダ「違うんですか?」
アドリアン「ここは、母と妹が日中過ごす部屋だ」
アドリアン「メイドがここに運んだのか?」
イーダ「自分で運びましたが?」
アドリアン「自分で!?」
アドリアン(うーむ・・・)
メランジェス伯爵婦人「おはよう。今日はいい朝ね」
アドリアン「母上!」
メランジェス伯爵婦人「・・・」
メランジェス伯爵婦人「あらやだ! なんでここで食べてるのあなた?」
メランジェス伯爵婦人「うそォ! ピアノの蓋の上にお皿並べてるゥ!」
アドリアン(厄介な人が)
アドリアン「行くぞ。イーダ!」
メランジェス伯爵婦人「ちょっと、待ちなさいよ!」
アドリアン「失礼!」
〇要塞の廊下
イーダ「アッ、アドリアン様!」
イーダ「ごめんなさい! 次はちゃんとやりますからぁ!」
〇西洋風の部屋
執事「失礼します。お食事のご用意を」
イーダ「あ」
イーダ「えっと」
アドリアン「座っていればいい」
アドリアン「食事は使用人が運ぶ」
イーダ「は、はい」
執事「ごゆるりと」
アドリアン「いただこうか」
イーダ「はいっ!」
アドリアン「・・・」
アドリアン(あっという間に皿に夢中だな)
アドリアン(一体今までどんな食事をしてきたんだろう)
イーダ「・・・」
イーダ「音もたてずに・・・綺麗な食べ方」
イーダ「・・・」
アドリアン「君のだって、別に気にならないが・・・」
アドリアン「貴族のマナーを覚えたいのなら、 教えようか?」
イーダ「いえいえ、私、本当に素養ゼロなので」
アドリアン「君が覚えたいなら」
アドリアン「最後まで付き合うよ」
アドリアン(ん)
アドリアン(ただ会話してただけなのに、 どんどん悪化してるような・・・)
イーダ「アドリアン先生❤️」
アドリアン「・・・!!」
〇華やかな裏庭
アドリアン(『貴族の少女。傷口に疑問点?再調査の声』・・・ふむ)
アドリアン(再調査、珍しいな)
「アドリアン様ぁ! おはようございます!」
アドリアン「おはよう」
アドリアン「君はいつも突然来るな」
イーダ「今日はメランジェス家とお付き合いのある方を教えてもらえませんか?」
イーダ「アドリアン様の隣で挨拶できるように なりたいんです❤️」
イーダ「あの?」
アドリアン「100人はくだらないが」
アドリアン「全部覚えるまで頑張ろうか」
イーダ「は、はい!」
イーダ「よろしくお願いします。先生❤️」
アドリアン「・・・」
〇アマゾンの森
〇貴族の部屋
アドリアン「20人か 覚えが特にいい方じゃないが」
アドリアン「ふむ」
アドリアン「結構頑張るんだな」
素直で可愛くて
きっとここじゃなくても
どこでも可愛がられるだろうな
イーダ「はい、頑張りましたよ❤️」
アドリアン(・・・起きてたのか!?)
アドリアン「終わりにするぞ」
イーダ「待ってください!先生」
アドリアン「おい、離せ──」
イーダ「なんで先生っていうと顔が赤くなるんです?」
イーダ「もしかして、照れてたりします?」
アドリアン「呆れるな。何を言ってるんだか」
アドリアン「お前の方が赤いだろう」
イーダ「ア、アドリアン様が近くにいるから」
イーダ「なんてったって夜に部屋で二人っきり!」
イーダ「ほら、聞こえますか?ドキドキ凄いですよ」
アドリアン「やめろ馬鹿、近づくな」
イーダ「さあ、夜の授業始めましょぅ──ぶっ」
イーダ「アドリアン様ぁ・・・」
イーダ「今日も何にもなしですかあ!?」
正直に言うと
抱けないことはなかったんだが──
〇密林の中
レナータ「気持ちはないのに」
獣人リファ「『抱けないことはない?』」
「お兄様の馬鹿! 最低!!!!」
レナータ(ふたりにそんな仲良い時があったなんて)
アドリアン(骨)「女には分からんだろうが」
アドリアン(骨)「男がそうでなければ、政略結婚なんて」
アドリアン(骨)「成り立たないだろうが!」
アドリアン(骨)「なあ?」
イーダ「そっ」
イーダ「そうですよ。成り立たないですよっ」
レナータ「あなたって、本当に」
獣人リファ「でもイーダは何もされてなかったんだろ?」
イーダ「そっ」
イーダ「そうですよぉ。どういうことなんですか? アドリアン様ぁ!」
アドリアン(骨)「ふん」
アドリアン(骨)「俺が次にイーダの寝室を訪れた時──」
アドリアン(骨)「何があったかを知れば」
アドリアン(骨)「そんなことは言えなくなるだろうさ」
つづく
聖女自体の生まれも少し不思議ですね。結構得たいがしれない出自というか。領主権限で結婚するのはいいとして、息子としては人だかなんだか怪しいやつと結婚することに不安はなかったのかと思いました
ちちのはちゃめちゃなやつで政略結婚させられたんですね😅
イーダは素直でかわいいですね。声も可愛いです♪
アドリアンの表情がクルクル変わって可愛いし、めちゃくちゃ親しみがわきます😁
当時はとっても仲良しじゃないですか、2人とも🤗
処女権ꉂ🤣𐤔
寝室で何があったのか……次話に急ぎます(* 'ᵕ' )☆