2 新しい環境(脚本)
〇田舎駅のホーム
霧雨大和「やっと着いた・・・案外快適な旅だったな」
左遷が正式に決まった俺は、翌日家から荷物を纏めて支社の有る田舎に赴く事と成った。
霧雨大和「田舎ってこんな感じの風景なんだな。此処での生活が何だか楽しみだ」
俺はスマホの地図を確認しながら支社へ向かって歩き出す。これからどんな出会いが有るか凄く楽しみだった。
〇職人の作業場
霧雨大和「今日から此処が俺の職場兼俺の家か。寮生活が出来るのはラッキーだけど、俺第一印象とな大丈夫かな・・・」
舞園貴理子「あら?貴方が今日から来る新入り君?」
霧雨大和「え?あぁ!初めまして!今日から此処で働く事に成りました!霧雨大和です!」
舞園貴理子「あぁやっぱり!初めましてね!私は此処の支社長の舞園貴理子よ!緊張しなくても大丈夫よ!」
霧雨大和「は、はい・・・あの、向こうから俺の話聞いてますよね?」
舞園貴理子「貴方の左遷理由?」
霧雨大和「はい。実を言うとやって無いんですが・・・」
舞園貴理子「えぇ、聞いてるわ。向こうでどんな事情が有ったか知らないけど、此処で働くからには霧雨君の事は私達が良く見させて貰うわ」
霧雨大和「はい。宜しくお願いします」
舞園貴理子「えぇ。それじゃあそろそろ行きましょうか。時間は限られてるもの。私が案内するわ」
霧雨大和「はい」
〇役所のオフィス
舞園貴理子「皆、お早う!」
霧原奈津菜「お早う御座います、支社長」
冨永清「お早う御座います!彼、新入り君ですか?」
舞園貴理子「えぇ、紹介するわ。夏目カンパニーの子会社からの左遷で此処で働く事に成った一人目の子で、名前は霧雨大和君よ」
霧雨大和「大和です。宜しくお願いします」
霧原奈津菜「副支社長の霧原だ。分からない事は何でも聞いてくれ」
冨永清「俺は冨永清。宜しくな!」
霧雨大和「はい。宜しくお願いします」
舞園貴理子「それともう一人、そろそろ来るって連絡だったんだけど・・・」
霧雨大和「もう一人?誰です?」
古屋霞「すみません!遅く成りました!」
霧雨大和「あれ!?古屋!?」
舞園貴理子「あら、丁度良いわね。二人目を紹介するわ。霧雨君と同じく、子会社から来た古屋霞さんよ。仲良くして上げてね」
古屋霞「遅く成って申し訳有りません!古屋霞です!宜しくお願いします!」
霧雨大和「お、おう・・・」
冨永清「今日からこの五人で頑張るのか。何だか楽しみですね!」
霧原奈津菜「気を緩めるな冨永。大変なのは此処からだ」
舞園貴理子「皆、思う所は有ると思うけど、今日からこのメンバーで頑張って行くわよ!」
霧原奈津菜「分かりました」
冨永清「任せて下さい!」
霧雨大和「おい古屋。後で色々説明して貰うからな」
古屋霞「大丈夫ですよ先輩。分かってますから」
舞園貴理子「新入り君達。そろそろ始めるわよ」
霧雨大和「あ、分かりました!」
古屋が此処に居る事に正直驚いたが、何がともあれ俺は今日から此処で働く。先輩達も良い人そうでは有るが、
新しい環境に慣れるかどうか、今から不安だった。
〇田舎の一人部屋
舞園貴理子「此処が大和君の使う部屋よ」
霧雨大和「有難う御座います」
舞園貴理子「何かこれが足りないとか有ったら相談してね。霞ちゃん、次は貴方の部屋に案内するわ」
古屋霞「はい」
霧雨大和「しかしまぁ、あいつまで此処にくるなんて予想外だな」
古屋まで此処に来た時は何かの間違いだと思ったが、これで海道まで一緒に来られたら堪ったものでは無かった。
ともあれ荷物を整理して風呂に入ろうとした所、古屋が俺の部屋に戻って来た。
古屋霞「先輩。只今戻りました」
霧雨大和「あ、お疲れ。此処でやって行けそう?」
古屋霞「それ聞くの、お互い様じゃ無いですか?」
霧雨大和「確かに・・・人の事言えないな・・・」
古屋霞「でも私は大丈夫ですよ」
霧雨大和「そっか・・・なぁ古屋。お互い落ち着いてるし、何が有ったか教えてくれないか?」
古屋霞「あ、まだ話してませんでしたね。昨日の事なんですけどね・・・」
古屋は昨日の出来事を俺に話してくれた。
古屋霞「私、先輩と一緒に働くのが好きなんですよ」
霧雨大和「え?俺と?」
古屋霞「はい。先輩は覚えてるか分かりませんが、私があの子会社に面接しに行った時、知らない人にしつこく迫られた事が有って、」
古屋霞「その時先輩がたまたま通り掛かって、私の事助けてくれたんです」
霧雨大和「あぁ・・・そんな事そう言えば有ったな・・・今思い出した」
古屋霞「それであそこに受かった後、私と海道君の教育担当が霧雨先輩だって成った時、私凄く嬉しかったんです。海道君と元同級生だって」
古屋霞「聞いた時はちょっと意外でしたが」
霧雨大和「まぁ、そう思うよな」
古屋霞「でも昨日、先輩が事実無根の罪を着せられて先輩が居なく成るって聞いた時、私居ても立っても居られなかったんです」
古屋霞「だから、部長に先輩の左遷先を聞いて無理言って今に至ったんです」
霧雨大和「そっか・・・無茶させてすまなかったな」
古屋霞「先輩が謝る事じゃ無いですよ!私どうしても先輩と一緒の所で働きたくて!恩返しとかもして無いし!」
霧雨大和「昔の事ならもう気にするなよ。昨日も言ったけど、俺一度田舎で生活して見たかったんだよ。そこの所はマジで問題無いから」
古屋霞「分かりました・・・でも、何か有ったら言って下さいね!私は先輩の味方ですから!」
霧雨大和「あぁ、有難う!」
古屋の気持ちを聞きながらも、俺はそれ以上古屋に踏み込まなかった。これからの仕事が落ち着いた後で、彼女と向き合うのも
悪く無い。そう思ったからだ。
〇オフィスのフロア
一方、俺と古屋が居なく成った職場では。
部長「はい、もしもし・・・はい、左様ですが・・・・・・霧雨ですか?彼は今日から別の部署へと異動と成りました・・・」
部長「・・・・・・」
部長「え!?そ、そうだったんですか!?ですが彼は・・・・・・え・・・先日の契約の話は無かった事に!?ま、待って下さい!」
部長「今霧雨に確認を!!」
部長「あぁ・・・折角のチャンスが・・・・・・」
海道礼司「部長の奴何をあんなに落ち込んでるんだ?まぁどうでも良いか」
海道礼司「しかしまぁ、煩い奴が居なく成るとこんなに環境って良く成るんだな!もっと早く気付けば良かった!」
海道礼司「只、古屋まで居なく成ったのは納得行かないが・・・」
男性社員「あ、海道君、頼んで置いた資料終わらせてくれた?」
海道礼司「あの先輩、僕今忙しいんですけど?」
男性社員「あぁ、御免!頼んだ奴終わったかなって思ってて」
海道礼司「時間有ったらやるって言いましたよね?忘れててやってません」
男性社員「え!?成る可く早くって頼んだよね!?」
海道礼司「あぁ言ってましたね。でも貴方がどう成ろうと僕には関係無いんで。それじゃ、僕定時なので帰りまーす!」
男性社員「急ぎだったのに・・・今日は帰れないな・・・」
この時点でもう悪役の破滅の兆しが見えているのですが・・・最速レベルですね
元部署のメンバー達も地獄を見始めているし・・・
これ仮に霧雨に連絡できたとしても「もう関係ががありませんので」が通る状況ですから、霧雨と付いてきた霞は助かった状況ですね・・・
霧雨達のどんな新生活をしていくのか楽しみですね