インソムニア

komarinet

第05話 豪速球と秘密基地(脚本)

インソムニア

komarinet

今すぐ読む

インソムニア
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇空き地
アルテミス「もしもし、アルテミスだよ」
白宵 覚(しらよい さとる)「俺だ」
アルテミス「その声は覚だね」

〇狭い裏通り
アルテミス「どうしたの? 怖い夢みたの?」
白宵 覚(しらよい さとる)「あのな。子供じゃないんだぞ」
白宵 覚(しらよい さとる)「まあ、怖いという部分は当たりだがな」
アルテミス「怖い・・・予知?」
白宵 覚(しらよい さとる)「ああ。それで力を貸して欲しいんだ」
アルテミス「・・・」
白宵 覚(しらよい さとる)「都合のいいことを言っているのはわかる」
白宵 覚(しらよい さとる)「手伝うだけとか言ってたのに──」
アルテミス「違うよ、覚」
アルテミス「僕は覚のこと、仲間だと思ってる」
アルテミス「だから頼ってくれて嬉しいんだ」
アルテミス「他の仲間に声をかけてみるよ」
白宵 覚(しらよい さとる)「・・・助かる」
アルテミス「集合場所と時間は、後で連絡するね」
白宵 覚(しらよい さとる)「わかった」

〇立ち飲み屋
白宵 覚(しらよい さとる)「悪ぃ、睦月。会社の急用電話で──」
六道 睦月(ろくどう むつき)「スヤーーーー」
白宵 覚(しらよい さとる)「・・・」
居酒屋の大将「やっと眠ったかい」
居酒屋の大将「今日は寝ないなって思ってたんだ」
白宵 覚(しらよい さとる)「大将、こいつの病気を?」
居酒屋の大将「いや、詳しいことはよう知らん」
居酒屋の大将「けど、常連さんの癖くらいは覚えとるよ」
居酒屋の大将「きっとお兄さんがあんな顔してたから」
居酒屋の大将「一生懸命話を聞いてたんだろうな」
白宵 覚(しらよい さとる)「・・・」
居酒屋の大将「いい友達だね」
白宵 覚(しらよい さとる)「ええ、俺にはもったいないくらいに」
居酒屋の大将「閉店なんだが、会計いいかい?」
白宵 覚(しらよい さとる)「もちろんです。長居しちゃって」
居酒屋の大将「いいさいいさ」
白宵 覚(しらよい さとる)「こんなに食べましたっけ?」
居酒屋の大将「あんたが出とる間にしこたま食ってたよ」
居酒屋の大将「彼、とんだ隠れ大食漢だね」
居酒屋の大将「じゃ、毎度あり」
白宵 覚(しらよい さとる)「・・・」
六道 睦月(ろくどう むつき)「スヤーーーー」

〇狭い裏通り
白宵 覚(しらよい さとる)「おい睦月、起きろこの野郎!」
六道 睦月(ろくどう むつき)「〆のラーメン・・・」
白宵 覚(しらよい さとる)「わざとだよな? わざと言ってるだろ!」

〇空

〇マンション前の大通り
白宵 覚(しらよい さとる)(猫が指定した場所はこの辺りだな)
白宵 覚(しらよい さとる)(これは路地裏か?)
白宵 覚(しらよい さとる)(取り敢えず次の角を曲がるか──)
???「きゃー! 泥棒ーー!」
白宵 覚(しらよい さとる)「──!」
女性「誰か! 警察呼んでください!」
女性「私のバックがー!」
白宵 覚(しらよい さとる)(ちっ、いま通りすぎた奴かっ!)
白宵 覚(しらよい さとる)(もう小さくなってる。この距離じゃ──)
???「距離2000m。スライダー」
白宵 覚(しらよい さとる)「えっ!」
白宵 覚(しらよい さとる)(何だ今の!?)
白宵 覚(しらよい さとる)「あっ」
白宵 覚(しらよい さとる)「・・・」

〇空
ひったくり犯「いてててて」
???「あー、おったおった」
ひったくり犯「な、何だお前!」
???「そら、こっちの台詞や」
???「女性のバック奪うんは、感心せんなぁ」

〇マンション前の大通り
ひったくり犯「そんなの俺の勝手だろうが!」
ひったくり犯「邪魔するつもりなら」
ひったくり犯「──!」
???「邪魔するつもりなら、何や」
ひったくり犯(なんて腕力だ。動かねぇ!)
???「僕な、女性に悪さするやつ許せへんねん」
???「空、飛んでいき」
ひったくり犯「あーーーー!」
???「たまやーーってね」
???「悪党はよく飛ぶわー」
女性「あ、あのっ」
???「あー、お嬢ちゃん大丈夫か?」
女性「私のバック! ありがとうございます!」
???「無事でよかったなぁ」
女性「それより、あのっ!」
女性「もしかして九条選手じゃないですか!?」
???「あちゃー、バレてもうたか」
女性「ご活躍、いつも拝見してます!」
九条 醒夜(くじょう せいや)「ありがとう」
女性「良かったらサイン、もらえませんか?」
九条 醒夜(くじょう せいや)「ええで」
九条 醒夜(くじょう せいや)「おっさんどついた球ですまんな」
女性「全然いいです。助けてもらった記念です」
女性「よ、良かったらお茶でも・・・」
九条 醒夜(くじょう せいや)「あー、ごめんな。今から打ち合わせやねん」
女性「で、ですよね。お忙しいですよね」
九条 醒夜(くじょう せいや)「あー、でも折角やから」
九条 醒夜(くじょう せいや)「今度時間あったらお茶しよな」
女性「は、はいーーーー」
九条 醒夜(くじょう せいや)「大丈夫?」
女性「平気・・・です。少ししたら立てます」
九条 醒夜(くじょう せいや)「そっか。気ぃつけて帰りや」
女性「は、はい。九条選手もお気をつけて」
九条 醒夜(くじょう せいや)「ありがとな」
白宵 覚(しらよい さとる)「・・・」
九条 醒夜(くじょう せいや)「待たせたな」
九条 醒夜(くじょう せいや)「ほな、行こか」
白宵 覚(しらよい さとる)「えっ」
九条 醒夜(くじょう せいや)「『えっ』やないねん」
九条 醒夜(くじょう せいや)「ボケるとこちゃうで」
九条 醒夜(くじょう せいや)「あんた『覚』やろ」
白宵 覚(しらよい さとる)「どうして俺を?」
九条 醒夜(くじょう せいや)「そんなん警戒せんと」
九条 醒夜(くじょう せいや)「僕はあんたの味方やで」
九条 醒夜(くじょう せいや)「前に刺されそうになったことあるやろ」
九条 醒夜(くじょう せいや)「あん時助けたん、僕や」
白宵 覚(しらよい さとる)「──!」

〇住宅街
怪しい奴「死ねぇえええ!」
怪しい奴「痛ってぇ~」

〇マンション前の大通り
白宵 覚(しらよい さとる)「あ、あの時の!」
九条 醒夜(くじょう せいや)「元気そうでなによりや」
白宵 覚(しらよい さとる)「あの時は助かりました」
九条 醒夜(くじょう せいや)「ええて。堅苦しいの嫌やねん」
九条 醒夜(くじょう せいや)「おっ」
アルテミス「覚! 醒夜! やっほー!」
九条 醒夜(くじょう せいや)「アルすけ、ひよりまる。おつやで」
アルテミス「おつやで~~」
三井 陽和(みつい ひより)「船名みたいに呼ぶの止めてくれる?」
三井 陽和(みつい ひより)「あんたのトラウマ掘り起こすわよ」
九条 醒夜(くじょう せいや)「冗談やんか、ひよりん。許してぇな」
三井 陽和(みつい ひより)「・・・先に行ってる」
九条 醒夜(くじょう せいや)「待ってーな。ひよりどん~~」
白宵 覚(しらよい さとる)「・・・心臓強いな」
アルテミス「プロ野球選手だからね、醒夜は」
白宵 覚(しらよい さとる)「そういう問題か?」

〇ビルの裏通り
アルテミス「覚、こっちだよ」
白宵 覚(しらよい さとる)「こりゃ地図じゃわからないな」

〇地下鉄のホーム
アルテミス「到着~」
白宵 覚(しらよい さとる)「ここは・・・駅?」
アルテミス「一ヶ所に基地を置くのは危ないからね」
アルテミス「使われなくなった廃線を利用してるんだ」
白宵 覚(しらよい さとる)「なるほど。廃線の駅なら人が来ない、と」
白宵 覚(しらよい さとる)「内緒話をするならもってこいだな」
アルテミス「そういうこと」
白宵 覚(しらよい さとる)「他に仲間は来ないのか?」
三井 陽和(みつい ひより)「急だったから。今日はアルと私だけ」
九条 醒夜(くじょう せいや)「僕もおるて」
九条 醒夜(くじょう せいや)「スルーされたら悲しくて泣いてまうわ~」
三井 陽和(みつい ひより)「嘘つきは嫌われるわよ」
九条 醒夜(くじょう せいや)「テレパシスト怖っ」
アルテミス「ねえ、みんな」
アルテミス「揃ったところで自己紹介しない?」
アルテミス「覚は僕らのこと、知らないから」
九条 醒夜(くじょう せいや)「ええよ。僕は九条醒夜」
九条 醒夜(くじょう せいや)「野球選手やっとります。よろしうに」
三井 陽和(みつい ひより)「三井陽和。職業は・・・アイドル」
アルテミス「僕はアルテミス。職業は猫だよ」
(職業・・・?)
白宵 覚(しらよい さとる)「俺は白宵覚。職業は金融業をやっている」
白宵 覚(しらよい さとる)「これでいいか?」
アルテミス「うん、みんな仲良くしようね」
白宵 覚(しらよい さとる)「じゃあ、早速だがいいか」
白宵 覚(しらよい さとる)「事は一刻を争うかもしれないんだ」
白宵 覚(しらよい さとる)「昨晩の予知で──」
アルテミス「覚、ちょっと待って」
アルテミス「もう話し始めちゃうの?」
白宵 覚(しらよい さとる)「全員揃ってるんだろう?」
アルテミス「言ったでしょ、覚」
アルテミス「『廃線を利用』してるって」
白宵 覚(しらよい さとる)「それはどういう──」
白宵 覚(しらよい さとる)(何か来る・・・!)

〇駅のホーム
白宵 覚(しらよい さとる)「これは・・・」
アルテミス「これが、僕らの移動型秘密基地──」
アルテミス「インソムニア特急だよ!」
白宵 覚(しらよい さとる)「・・・」
九条 醒夜(くじょう せいや)「ほら、ボサッとしとらんで入り」
九条 醒夜(くじょう せいや)「扉、閉まるで」
白宵 覚(しらよい さとる)「あ、ああ」

〇シックなバー
白宵 覚(しらよい さとる)「・・・」
アルテミス「覚、こっちこっち!」
アルテミス「お好きな席にどうぞ!」
白宵 覚(しらよい さとる)「ここは・・・バーなのか?」
九条 醒夜(くじょう せいや)「内装おもろいやろ」
九条 醒夜(くじょう せいや)「ちゃんと飲み物も揃っとるんやで」
九条 醒夜(くじょう せいや)「プハー。生き返るー!」
九条 醒夜(くじょう せいや)「覚も飲むか?」
白宵 覚(しらよい さとる)「俺は水でいい。一回落ち着きたい」
九条 醒夜(くじょう せいや)「なんや飲まへんの? 折角やのに」
三井 陽和(みつい ひより)「何の折角よ。遊びに来たわけじゃないのよ」
九条 醒夜(くじょう せいや)「お堅いなぁ、ひよりんは」
白宵 覚(しらよい さとる)「誰がこんなものを?」
九条 醒夜(くじょう せいや)「さあ? 僕もよう知らんけど」
九条 醒夜(くじょう せいや)「不眠で苦しむ支援者からって話やで」
白宵 覚(しらよい さとる)(インソムニア──)
白宵 覚(しらよい さとる)(思っていたよりずっと巨大な組織なのか)
三井 陽和(みつい ひより)「それで。覚の予知って?」
白宵 覚(しらよい さとる)「ああ、それはな──」

〇駅のホーム
「羽柴総一郎の暗殺!?」

〇シックなバー
九条 醒夜(くじょう せいや)「羽柴ってあの『HASHIBA』かいな」
九条 醒夜(くじょう せいや)「だとすればえらいことやで」
アルテミス「有名なの? その羽柴さんって?」
三井 陽和(みつい ひより)「そうね、わりと有名な人よ」
アルテミス「どれくらい?」
三井 陽和(みつい ひより)「そうね──」

〇超高層ビル
  自動車の世界シェア一位の会社社長で
  傘下の携帯会社も国内トップで
  国内トップのコンビニも傘下にしてて
  年収がだいたい30億円くらいの人よ
アルテミス「めちゃくちゃすごい人だね」

〇シックなバー
白宵 覚(しらよい さとる)「羽柴は経営者であり技術者でもある」
白宵 覚(しらよい さとる)「彼が亡くなれば関連会社は総崩れだ」
白宵 覚(しらよい さとる)「日本の金融危機、世界恐慌の可能性もある」
九条 醒夜(くじょう せいや)「なるほど。不眠とは関係あらへんけど」
九条 醒夜(くじょう せいや)「僕らに無関係でもないだろうってことか」
九条 醒夜(くじょう せいや)「なかなか上手いプレゼンやな」
九条 醒夜(くじょう せいや)「ひよりん、本音は?」
三井 陽和(みつい ひより)「『うわー、やべぇよ!』」
三井 陽和(みつい ひより)「『羽柴の関連に俺の顧客沢山いるのに』」
三井 陽和(みつい ひより)「『葛に負けちまうじゃねぇか!』」
三井 陽和(みつい ひより)「『何とかあいつら利用出来ねぇかな』」
三井 陽和(みつい ひより)「『経済破綻は他人事じゃないよな?』」
白宵 覚(しらよい さとる)「『世界恐慌って言えばいけるかな?』」
三井 陽和(みつい ひより)「半分は自分の都合、でも嘘は言ってない」
九条 醒夜(くじょう せいや)「ええやん、覚。気に入ったで」
九条 醒夜(くじょう せいや)「僕は覚を手伝うって決めた」
三井 陽和(みつい ひより)「いいの? 他の二人にまだ言ってないのに」
九条 醒夜(くじょう せいや)「ナイトは言わんでも聞いとるやろし」
九条 醒夜(くじょう せいや)「もう一人は・・・ふふ」
三井 陽和(みつい ひより)「確かに。面白がりそう」
九条 醒夜(くじょう せいや)「決まりやな。アルすけ!」
アルテミス「『インソムニア』の次のミッションは──」
アルテミス「羽柴総一郎の暗殺阻止に決定!」
九条 醒夜(くじょう せいや)「おおー!」
三井 陽和(みつい ひより)「ま、ちょっとなら付き合ってあげるわ」
白宵 覚(しらよい さとる)「ありがとう」
白宵 覚(しらよい さとる)(初めてかもしれないな)
白宵 覚(しらよい さとる)(誰かを頼ろうと思うなんて)
白宵 覚(しらよい さとる)(・・・)

次のエピソード:第06話 夜と鮫

コメント

  • 秘密基地は燃える展開ですね。しかも移動する、大掛かりな物。狙われる相手もあって世界感のスケールが大きくなったのを感じます。インソムニアの全貌が分かる時を考えるとワクワクします。
    裏切られ人を信じられない人間が、少しずつ心を開いていくのは、自然と応援したくなってしまいますね。まだまだ自分のことを沢山考えてるのを見抜かれてましたけど😂
    職業猫、自分もなりたい(=^・・^=)

  • 間違えて5話の方を先に読んでいました。すみません。羽柴の謎が解けて良かった。
    まず第一話の声優陣の豪華さに驚きました。作品のクオリティの高さにも。
    廃線の地下鉄に秘密基地、ワクワクしますね。
    覚が完璧イケメンじゃないところも好きです。
    ロンダリング消費者金融というストレートな会社名に笑いました笑

  • 新キャラと移動型秘密基地!ワクワクする展開ですね!😆
    インソムニアの全貌が少しずつ明らかになってきましたが、全員揃うのが楽しみです。
    イケメン好きな一方でイケメンじゃなくてもあんまり気にしない派なのですが、裏話、そうなのかー😳色々研究されてるんですね!

コメントをもっと見る(11件)

成分キーワード

ページTOPへ