ヴィルペイン

ウロジ太郎

Ep.10 / THE ELUSIVE NIGHT WATCH #10(脚本)

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〇ビジネス街
  2日後

〇ビルの裏通り
男性「うぎゃーっ!」
  頭から血を流したサラリーマンが、鉄パイプを持った若者に襲われている。
若者「こんな時間まで残業ッスか。 身体に悪いッスよ」
若者「血ィ出てるじゃないッスか」
男性「これは、君が、今その、凶器で!」
若者「俺こう見えてコンサルなんッスよね。 労働者の意識改革をこいつで。みたいな」
男性「な、何を言って・・・」
若者「コンサル料よこせ。って話ッスよ」
久常紫雲「あ。じゃあ、僕もコンサルで!」
若者「な、なんスか、あんた!」
久常紫雲「悪人更生コンサルタント! ナイトウォッチ! みたいな」
若者「あんたが? や、偽者ッスよね!  クオリティ低いし。このコスプレ野郎!」
  殴りかかってくる若者をなんなくかわして、反撃する。
久常紫雲「コスプレっていうな!」
若者「・・・ごはっ!?」
  にぶい音が響き、若者は白目を剥いて昏倒する。
男性「・・・・・・」
  男性が眼鏡型のAR端末に手をやり、その様子を「カシャリ」と撮影する。
久常紫雲「イェーイ、ピース!」
  僕はピースサインでカメラに収まった。

〇ネオン街
  泥棒! ひったくり~~!

〇繁華な通り
  ガラの悪い男が、脇に女物のケバケバしいバッグを抱えながら繁華街を逃走していた。
チンピラ「Yeahhh! HAHAHA!」
  僕は背後から忍び寄って、ひょいっとバッグを取りあげる。
チンピラ「What!?」
久常紫雲「センス悪いバッグ! これ君のママの?」
久常紫雲「黙って持ってきちゃメッ! だぞ」
チンピラ「Gimme back! Mother f****r!(バッグを返せ! この真っ黒野郎!)」
久常紫雲「バッグをバック(返せ)って?  HAHAHA! センスあるね!」
チンピラ「S***! コノヤローーウ!」
  男が殴りかかろうとした瞬間、僕の横にもう1人、僕が現れる。
  ARで表示された映像だ。
チンピラ「What!? NINJA!?」
久常紫雲「忍法AR分身の術! 」
久常紫雲「ワタクシ、これにてドロンさせていただきます!」
チンピラ「Wait!」
  そのまま、逃げだそうとする僕らを男が追いすがろうとする。
  そのとき、本物のほうの僕が振りかえり──
久常紫雲「なーんちゃって」
  カウンターパンチをお見舞いする。
チンピラ「Ugu・・・」
  男は意識を失い、崩れ落ちる。
久常紫雲「いっちょあがりっと」

〇ビルの裏
女子高生「ひ、ひいぃいっ!」
チンピラ2「へっへっへっ・・・」
  迫っているのは、赤いジャージのチンピラ・・・ってあれ、こいつって
チンピラ2「もう逃げられないぜぇ・・・」
  僕は背後から、チンピラの後頭部をぺしん! と叩いた。
チンピラ2「あ!?」
久常紫雲「ひさしぶり」
チンピラ2「・・・帰っていいですか?」
久常紫雲「だ~め」
チンピラ2「ですよねぇ・・・」

〇学校の体育館
  僕はニヤニヤしながら、目の前に広げたニュースサイトを見ていた。
久常紫雲「むふふっ」
  ニュースサイトでは、僕扮するナイトウィッチのニュースでもちきりだった。
  「ナイトウォッチ、市民を暴漢から救う」
  「市民の親愛なる隣人」
  などなど好意的な見出しばかりだ。
  ちーちゃんは、ずっとニヤついている僕を見て呆れている。
根須戸智是「なに、授業サボってエゴサしてるの」
久常紫雲「だって見てよ。街のヒーローだって」
  ちーちゃんが、ニュース写真の1つをクローズアップする。
  僕がピースサインをした写真だ。
  ピンボケしていて、細部は不明瞭になっている。
根須戸智是「この写真くらいならセーフだろうけど、正体バレると後が面倒よ?」
根須戸智是「本物のナイトウォッチさんは最近、過激だし」
  ちーちゃんが他の記事に目をやる。
  本物のNIGHT WATCHについての記事だ。
  「ナイトウォッチ、イタリアンマフィア襲撃。死傷者多数」
  「アイリッシュマフィア、ナイトウォッチに懸賞金」
  などのきな臭いものばかりが並ぶ。
根須戸智是「ヒーローの正体を知った犯罪組織が家族を狙うとか定番じゃない」
根須戸智是「本物の正体だって勘違いされて、朱丹(すに)ちゃんやしゅーちゃんパパが狙われたら嫌でしょ」
久常紫雲「・・・確かに」
  話しこんでいる僕たちのところに美結と歩がやってきた。
辻崎美結「はぁい、ちーちゃん」
辻崎美結「しゅーちゃんをナイトウォッチにとられてヤキモチ?」
  美結のことばにちーちゃんは曖昧に笑う。
根須戸智是「微妙なところ」
辻崎美結「・・・?」
御子柴歩「授業は居眠り。体育はサボり。 さすがにどうかと思うよ」
御子柴歩「どうせ毎晩、繁華街でナイトウォッチのおっかけでしょ?」
久常紫雲「あー、うん。・・・そんなとこ?」
御子柴歩「あの辺は危険だって。 何度言ってもこの人はもう」
御子柴歩「なら、俺にも考えがあるけど」
  歩が「ARチャンバラ」の剣を構える。

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