心アドベンチャー

夏目心 KOKORONATSUME

11 異変と決意(脚本)

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夏目心 KOKORONATSUME

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〇通学路
  暗黒四天王を倒した俺達は、ハデスの城の手前でセーブして切り上げた。その後は何時も通りに過してまた今日を迎えた。
久我誠一「しかしまぁ、まさか自分が此処まで行けるとはな」
  最初は心から楽しみたい。その一心で心アドベンチャーを始めた。武器も最初は弱かったが、今では俺も彩花も上級者と
  言われても不思議では無かった。
小泉彩花「誠一!お早う!」
久我誠一「お早う彩花」
小泉彩花「誠一、いよいよだね」
久我誠一「あぁ、思う所は沢山有るけど、後一息だ」
小泉彩花「あ〜、これで学校とか無ければなぁ・・・」
久我誠一「そう言うなよ。どの道ゲームは逃げないから」
小泉彩花「誠一・・・その前向きさを1000万円で買わせて下さい!」
久我誠一「この手の物は売れないから、自力で乗り越えようか」
小泉彩花「はぁい・・・絶対乗り越えてやる・・・」
  何がともあれ、俺達は学校へ向かうのだった。

〇教室
小泉彩花「お早う・・・って、あれ?今日はやけに静かね。人も少ない」
久我誠一「珍しいな。何時もなら何人か来てるのに」
小泉彩花「本当それ。何かのイベントかな?」
久我誠一「そんな話は聞いて無いけど・・・って、」
久我誠一「俺今日日直じゃん!すっかり忘れてた!日誌取って来ないと!」
小泉彩花「マジ?荷物代りに置いとくから、早く行って来なよ」
久我誠一「すまねぇ、行って来る!」
  教室が何時もより静かな事に違和感こそ有ったが、日直の仕事を放棄する訳にも行かないので俺は慌てて職員室に向かった。
小泉彩花「あれ?渡辺君も居ない。マジでイベントなんて有ったっけ・・・?」

〇散らかった職員室
久我誠一「お早う御座います!二年の久我です。日直日誌取りに来ました・・・って・・・」
男性教員「一体どう成ってるんだ!?内の生徒の約半分が此処に来て無いとは!?」
久我誠一「ん?何か有ったのか?」
女性教員「はい、夏目高校です・・・はい・・・はい・・・」
女性教員「え!?自殺!?」
男性教員「え!?今何と!?」
女性教員「はい・・・はい・・・分かりました。こちらも確認します!」
男性教員「恐縮ですが、今自殺と言ってましたが・・・」
女性教員「は、はい・・・原因は良く分からないんですが、内の生徒の一人が自殺したと・・・」
男性教員「何ですって!?校内で虐めが!?」
女性教員「それが、原因は虐めでは無くゲームだとか・・・」
男性教員「え?益々意味が分かりません・・・」
女性教員「そうですよね・・・一度ニュースを見て見ましょう」
久我誠一「え?自殺?マジで?てか何が起きたんだ?」
  突然の事で言葉が出ない俺は、隠れてその様子を伺う事にした。

〇病院の待合室
ニュースキャスター「本日、街のあちこちで自殺者が続出してるとの情報を聞きました。年齢層は10代の若者に限らず、20代、30代以上の方にも」
ニュースキャスター「自殺者が相次いでます。原因は、ゲームでラスボスを倒したと、理解不能な回答が相次いでます。我々も現地の人達に」
ニュースキャスター「質問に行こうと思います」
ニュースキャスター「すみません、質問したい事が有ります。ゲームをやって自殺したとお話を伺っております。何が有ったかお聞かせ願えますか?」
渡辺一樹「ゲーム?あぁやったよ・・・心アドベンチャーでラスボスを倒したよ・・・でも僕は・・・」
渡辺一樹「とんでも無い事をしてしまったんだ・・・!!」
ニュースキャスター「とんでも無い事?一体何をしたと言うんですか?」
渡辺一樹「う・・・うあぁぁぁぁ!!!」
女医「あぁ!渡辺さん落ち着いて!次渡辺さんの番ですから!すみません、取材は後にして下さい!」
ニュースキャスター「あ、はい!」
女医「渡辺さん、こちらへ!」
赤羽未来「確りしなさいヒカル!タカがゲームでしょ!貴方はこんな事で負ける様な奴じゃ無いでしょ!?」
月島ヒカル「俺は・・・俺は今まで何をしていたんだ・・・」
赤羽未来「確りしなさいヒカル!こんな事で死んだら許さないわよ!」
ニュースキャスター「すみません!何が有ったかお聞かせ願えますか!?」
赤羽未来「ちょっと貴方!私は今急いでるの!取材ならまた後にしなさい!!」
ニュースキャスター「わ、分かりました、退きます・・・」
赤羽未来「さぁヒカル、こっちよ!」
桐宮霧人「工藤!確りしろ!大丈夫だから!」
工藤信宏「兄貴・・・俺達がやった事って・・・無駄だったんでしょうか・・・」
桐宮霧人「何が無駄だよ!俺達が居なく成ったら、誰が飯作るんだよ!俺はお前に居なく成られたら困るんだよ!!」
工藤信宏「そうですけど・・・そうですけど・・・!!」
桐宮霧人「料理長としてお前は死なせない!俺の下に付いた責任取って貰うからな!」
ニュースキャスター「・・・・・・」
ニュースキャスター「っと!失礼しました!お話を聞く限り、原因は最近大ヒットした心アドベンチャーと言うゲームに有りそうです」
ニュースキャスター「開発者の名前は結城雁之助さん。今警察が調査に動くとの事です」

〇散らかった職員室
男性教員「げ、ゲームだと!?自殺に追い込む様な内容が有ったと言うのか!?」
女性教員「内の生徒も混ざってました。これは一体・・・!?」
久我誠一「何て事だ・・・こんなに沢山の人が・・・」
  ニュースで見た光景は、どの人も心アドベンチャーをプレイした人達ばかりだった。暗黒四天王は人の欲や環境に対して
  強い主張をしていた。その上でハデスに何かを言われて混乱を起こしたのだろう。その後、授業は何時も通りに行われ、
  俺達は心アドベンチャーのプレイの禁止を命じられた。

〇一人部屋
  帰宅後、俺は彩花と共に自室に戻って居た。
小泉彩花「ねぇ誠一、本当に行くの?」
久我誠一「あぁ、ハデスを倒して、真実を見に行く」
小泉彩花「誠一・・・やっぱり駄目だよ!ハデスを倒したら、自殺しちゃうかも知れないんだよ!?」
久我誠一「でも、それが結城雁之助の伝えたい事なんだ。俺にはそれを知る義務が有る」
小泉彩花「それでも、危険過ぎるよ!」
久我誠一「彩花が嫌なら、俺一人でも行くよ」
小泉彩花「誠一・・・」
久我父「誠一、大事な話が有る」
久我誠一「父さん!?母さん!?」
久我父「お前の誕生日に買ったあのゲームを廃棄する。異論は聞かぬぞ」
久我誠一「ま、待ってくれよ!俺はまだあのゲームをやり切って無い!」
久我母「馬鹿を言わないで!貴方もニュース見たでしょ!自殺者を出す様なゲームだって知ってたなら、貴方にあんな物買わなかったわ!」
久我父「下らない戯言の為にお前を死なせるつもりは無い。お前は私達の全てなのだよ」
久我母「そうよ!次の誕生日は絶対に私達がやり直して見せるから、もうこんなゲームやらないで!」
久我誠一「父さん・・・母さん・・・言いたい事は分かる。でも俺は・・・」
久我父「駄目な物は駄目だ!お前の命に変えられる物は無い!そのゲームを渡すんだ!」
久我誠一「・・・そっか・・・そう言うよね・・・だったら俺は・・・」
久我誠一「二人から逃げてでもこのゲームをやるよ」
久我母「ちょ、ちょっと誠一!?自分が何言ってるのか分かってるの!?」
久我誠一「分かってるよ。でも二人共聞いて。俺、いや俺達、このゲームをやって色んな人を見て来たんだ。森を作りたい奴、」
久我誠一「海を綺麗にしたい奴、戦わせたい奴に欲がどんな物か見せる奴。俺にはそいつ等が悪い奴には見えないんだ。そいつ等を統率してる奴」
久我誠一「そいつに会って、制作者の真意を知りたいんだ。その人はこのゲームを通して何かを伝えようとしてるんだ。此処で父さん達に」
久我誠一「ゲームを渡したら、俺一生後悔すると思う。だから・・・」
久我父「ま、待て誠一・・・どんな理由が有るか知らないが、そのゲームをやってお前が自殺したいと思う様に成ったら私達は・・・」
小泉彩花「おじさん、おばさん、誠一はあたしが守ります!」
久我母「彩花ちゃん!貴方まで何を!?」
小泉彩花「あたしも止めようと思いました。でも誠一は本気なんです。だから、誠一を行かせて上げて下さい。誠一の言う通り、」
小泉彩花「一生後悔する事なんて嫌じゃ無いですか。夢を追うにも、リスクの無い事、負担の掛からない事なんて無いでしょ?」
小泉彩花「あたしも正直怖いです。でも、誠一を行かせて上げて貰えませんか?」
久我母「ま、待ちなさいよ・・・それで死んだら意味が無いじゃない」
小泉彩花「だから、あたしも行くんです。お願いです。誠一を行かせて、あたしに誠一を守らせて下さい!」
久我父「・・・・・・誠一、お前本気なのか?」
久我誠一「父さん、母さん、俺は幾ら止められても行くよ。どんな事をしてもね」
久我父「・・・分かった。好きにやって見ろ」
久我誠一「父さん!!」
久我母「ちょっと貴方!誠一が死んでも良いって言うの!?」
久我父「母さん、今の誠一は幾ら言っても止められない。それが悪い事じゃ無ければ、やりたい様にやらせて上げても良いと私は思う」
久我母「で、でも・・・」
久我父「誠一はまだまだ未熟だ。未熟だからこそ、見るべき物、やるべき事が有るんじゃ無いか?あのゲームを作った人間の気持ちは」
久我父「私には分からない。でも、誠一はそれを知りたがってる。だから行かせて上げよう」
久我母「・・・誠一・・・行っても良いけど、自殺しないって約束してくれる?」
久我誠一「勿論だよ母さん」
久我母「絶対、絶対帰って来るのよ!彩花ちゃん、誠一の事お願いね!」
小泉彩花「任せて下さい!」
久我母「誠一、気を付けて行くのよ・・・」
久我誠一「うん、行って来る・・・」
久我誠一「さて、行こうか」
小泉彩花「誠一、おばさん達の為にも、絶対帰って来ようね!」
久我誠一「あぁ!」
  両親にゲームを止められそうに成ったが、話し合いの末俺はいよいよハデスに挑む事と成った。決意を新たに、
  俺達はゲームにログインした。

次のエピソード:12 結城雁之助の心

コメント

  • 現実で凄い事になってたことについて・・・
    しかも懐かしの人物たちが・・・
    魔王・・・プレイヤーの精神崩壊成功という感じですね・・・倒す間際にいっていそうですが・・・

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