私にだけ冷たい旦那様がタイムリープしすぎて骨になった理由

ふゆ

1.骨になった旦那様の理由(脚本)

私にだけ冷たい旦那様がタイムリープしすぎて骨になった理由

ふゆ

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〇結婚式場の廊下
王子「おめでとう!なんと似合いの二人であるか」
シスター「嘘でしょ あの子結婚しちゃったわよ!?」
シスター「侯爵様、おかわいそうに・・・」
シスター「あの奇女が聖女のわけないじゃない!」
イーダ「ふ、ふふっ」
イーダ「先輩たち、もう私を虐められませんものね」
イーダ「アドリアン様・・・幸せになりましょう」
アドリアン「・・・・・・」

〇華やかな広場
  一ヶ月後
アドリアン「誰か人はいるか!?」
アドリアン「よし。うるさい騒音はなし」
  やっと辿りついた
「我が永眠の地!    素敵な新居!」
アドリアン「・・・・・・!」
アドリアン「イーダ、お前──」
イーダ「雑草を抜けば、とっても綺麗になります!」
アドリアン「か」
アドリアン「影武者を9人用意してまいたのに どうやって・・・!」
イーダ「いやですわ。あんな偽物たち」
イーダ「アドリアン様の匂いと全然違います!」
アドリアン「・・・仕方がない」
アドリアン「見せてやる。この鎧の下の真実」
イーダ「えっ」
アドリアン(骨)「骨の旦那でいいのか。お前は」
イーダ「う・・・」
イーダ「い、嫌ですわ。早すぎます まだ褥も共にしていないのにっ」
イーダ「いきなり骨から見せるなんて」
イーダ「順番が違いすぎますわ」

〇岩山の崖
イーダ「わあ、眺め最高の新居ができそう!」
アドリアン(骨)「ああ、散骨するには最適だろう」
イーダ「バラバラになったら、 一体何人のアドリアンさまになるんです?」
アドリアン(骨)「前々から思っていたが」
アドリアン(骨)「お前が正気に戻る時間は、一体いつなんだ?」
レナータ「この魔女はこれが正気なんですよ」
イーダ「レナータちゃん、来てたの!」
レナータ「魔女が飛び出して行ったので、 嫌な予感がして追いかけたんです」
イーダ「て言うか、 アドリアン様が骨になってるのに驚かないの?」
アドリアン(骨)「お前もだけどな」
レナータ「私、知ってましたから」
イーダ「レナータちゃんの方が先に?」
イーダ「そういえば、アドリアン様 どうして骨になっちゃったんです?」
レナータ「私が答えましょう」
レナータ「お兄様は何度も時間回帰なさってるんです」

〇蝶
  幾度も同じ時を繰り返す
  時間の檻に閉じ込められた者
  それが時間回帰(タイムリープ)者
  無数の人生を経るうちに、
  肉体のダメージが蓄積し、

〇岩山の崖
レナータ「お兄様は骨になってしまわれたのですわ!」
イーダ「アドリアン様が時間回帰者・・・!」
イーダ「どっ、どうしてそんなことに」
イーダ「・・・どれほど永い時を過ごせばそんな姿に」
レナータ「大丈夫。絶対元の姿に戻してあげます」
レナータ「とりあえずあの魔女と別れましょう!」
イーダ「魔女じゃなくて聖女! 私が呪いかけたみたいに言わないで」
レナータ「あら、違うんですか──」
アドリアン(骨)「レナータ」
アドリアン(骨)「やけに俺に懐いているが」
レナータ「え」
アドリアン(骨)「前々回の人生では恋人同士だったからか?」
イーダ「こ、恋人ぉ────!」
アドリアン(骨)「俺たちは実は血がつながっていない」
アドリアン(骨)「人生一回くらいなら、 妹と結ばれてもいいかと思ってな」
イーダ「ううう浮気じゃないですか!」
アドリアン(骨)「もちろんお前とは離婚した後だ」
アドリアン(骨)「離婚後もしつこくつきまとわれたがな」
イーダ「うう」
レナータ「お兄様が、私と?本当に?」
レナータ「じゃあ、今回の人生でも──」
アドリアン(骨)「前回の相手はメイドだった」
「へ?」
アドリアン(骨)「一回くらいは、 下女と結ばれてもいいかと思ってな」
アドリアン(骨)「もちろん一生に一人だから、純愛だ」
アドリアン(骨)「・・・女には分からんだろうが」
アドリアン(骨)「あらゆる女をこの腕に抱く」
アドリアン(骨)「心は純愛を貫いたまま」
アドリアン(骨)「男がタイムリープをするなら やらない筈がない!」
レナータ「最低最低最低最低最低最低最低最低最低最低最低最低最低最低最低最低最低最低最低最低最低最低最低最低最低最低」
イーダ「あ、あ、あの」
イーダ「私と一生を過ごしてくれたのは、 何回くらいですか?」
レナータ「正妻なんだからもっと怒り狂いなさいよ!」
アドリアン(骨)「イーダとは」
アドリアン(骨)「一度もない」
イーダ「え」
アドリアン(骨)「わざと冷たくする戯れではもちろんない」
アドリアン(骨)「お前に触れたことは一度もない!」
アドリアン(骨)「どの人生でも、一度もだ!」
レナータ「こ」
レナータ「こんな哀れな人、初めて見たわ」
イーダ「し」
イーダ「死にまーす!」
「死ぬくらいなら帰れ──!」

〇荷馬車の中
  教会に帰れ
イーダ「結婚一ヶ月で離婚だなんて・・・」
イーダ「・・・先輩たちになんて言われるんだろ」
レナータ「・・・同情なんかしないわ」
レナータ「最後まで残った者が勝つの」
レナータ「負けたのだから慎ましく生きなさい」
イーダ「・・・負け」
イーダ「あの、アドリアン様、覚えてます?」

〇教会
  結婚前、初めて会った時、
  声をかけてくださいましたよね?
アドリアン「おい」
アドリアン「他の修道女は奉仕活動に勤しんでいるぞ」
アドリアン「なぜお前だけ街をぐるぐる走ってるんだ?」
アドリアン「サボっているのか」
イーダ「い、いえ」
イーダ「こうすると、頭がすっきりするから」
イーダ「大人しくなるまで走ってなさい、 って先生が」
アドリアン「・・・」
アドリアン「いいことを聞いた。俺も走ろう」
アドリアン「ちょうど頭を冷やしたかったところだ」
イーダ「どれくらい冷やしますか?」
イーダ「山の向こうまで走ると、 かなり冷徹になれますよ」
アドリアン「あ、あそこまで?」
イーダ「はい!」
アドリアン「・・・・・・」
アドリアン「行くか!」
イーダ「はいっ」

〇荷馬車の中
イーダ「はあ、一緒に走ってくれて嬉しかったなあ」
イーダ「格好良かったなあ」
レナータ「ただ運動したかっただけじゃないの?」
アドリアン「ああ」
イーダ「ちょうどこんな奥まで走りましたねえ」
レナータ「え、馬車が止まった?」

〇密林の中
レナータ「獣人族!?」
アドリアン「お前らは、馬車で救援を呼んで来てくれ」
アドリアン「俺は骨だ。獣は俺に食いつく。引き留める」
レナータ「そんな・・・!」
イーダ「あの」
イーダ「獣葬、されるおつもりですか?」
イーダ「魔の森で獣葬されようなんて・・・」
イーダ「ねえ、アドリアン様、どうしてずっと」
イーダ「死に場所を探してるんですか?」
アドリアン「骨が埋葬されるのは当たり前だ!」
  ちょおっと待った!
獣人リファ「「魔の」森って何さ! 聞き捨てならないな💢」
獣人リファ「そうやって、お前らが、魔とか言うから」
獣人リファ「ここに住む獣人族は差別されて酷いこといっぱいされて・・・」
獣人リファ「・・・・・・」
獣人リファ「そ、それはそうと」
獣人リファ「早くそのメス共追っ払ってくんない?」
獣人リファ「なんでか、わかんないけど嫌なんだよ・・・」
「・・・・・・」
レナータ「ひょっとしてあの子にも手を出しました?」
アドリアン「異種族との結婚は波乱万丈の人生であった──」
レナータ「最っ低!」
イーダ「異種族ですら選ばれてるのに!」
獣人リファ「もぉっ、まだ?」
獣人リファ「あ、あのメス共食べちゃえばいいんだっ」
アドリアン「イーダ、神の保護を!」
イーダ「絲の隔たり」
アドリアン「強化魔法もだ!」
イーダ「絲の装身!」
獣人リファ「ええっ、すっごい息ぴったり?」
アドリアン「騒がせてすまない だが食うのは俺だけにしてくれ」
イーダ「ダメですっ!」
イーダ「次に死んだら、アドリアン様風化してるかもしれないんです!」
アドリアン「それこそが望みだ」
アドリアン「俺はもう、生きるのに疲れた」
アドリアン「最後の人生で、 獣人族の糧になることとするよ」
イーダ「さ、最後の人生でも私を選んでくださらないんですか?」
アドリアン「俺はお前が嫌いだ」
イーダ「じゃ、じゃあ、なんで私と結婚したんですか」
アドリアン「だから、帰れと言っている」
イーダ「・・・」
レナータ「──!」
獣人リファ「な、なに?」
イーダ「あの、ここを」
イーダ「樹木葬の地にさせてください!」
獣人リファ「!?」

〇アマゾンの森
イーダ「この森を、樹木葬の国葬地とするんです!」

〇アマゾン川のほとり
イーダ「忌み地だったこの森は聖なる墓地となります」
イーダ「獣人族への偏見迫害がなくなるでしょう」

〇森の中の小屋
イーダ「お墓参りを兼ねた観光客がいっぱい来ます」
イーダ「アドリアン様の領地の経済も潤います!」

〇骸骨
イーダ「樹木葬の地なら、 骨(アドリアン様)が落ちててもおかしくないですし」

〇島の家
イーダ「私たちの素敵で眺めのいい新居にもなる」
イーダ「みんなで幸せになれるんです!」

〇密林の中
レナータ「そっ」
「そんなにうまく行くかあ!」
レナータ「頑固な教会連中が、 新たな墓地を許すわけないでしょう!」
レナータ「まして魔の森ですよ?」
獣人リファ「「魔」の森じゃない!」
イーダ「大丈夫ですよ」
イーダ「なんたって私、聖女ですからね ここに住めば森のイメージも変わりましょう」
獣人リファ「変女の間違いじゃなくて?」
獣人リファ「「変な森」もやだぞ!」
イーダ「ねえ、アドリアン様!」
イーダ「あなたと離れて暮らすなんて私絶対なんです」
イーダ「ほんとにほんとに大好きなんです!」
レナータ「呆れた あれだけはっきり嫌われてるのに」
イーダ「何と言われようと、アドリアン様は私を愛してます!」
イーダ「・・・(チラッ」
アドリアン「──」
アドリアン「イーダ、お前は」

  何度酷いことをしても
  俺が骨になっても
  何も分かってない
  このままでは──
王子「メランジェスの領地が──」
騎士「「忌み地」でなくなるのは困る──」
  すると聖女の存在は──
  一体どうしたら、お前は
  俺を嫌ってくれるんだ

〇密林の中
イーダ「アドリアン様?」
イーダ「私たち、愛しあってますよね?ね?」
レナータ「お兄様! もっと強めに嫌ってあげてください!」
獣人リファ「樹木葬、 ・・・お前が寝床が欲しいっていうなら、 考えないでもないぞ?」
「どうします?       どうする?」
アドリアン「────」
アドリアン「俺は」
  骨になるまで繰り返しても
  お前を嫌う理由が見つからないんだ

次のエピソード:2.その目が怖かった理由

コメント

  • すごい!旦那さま一体何回タイムリープしてるんですか!?
    嫌われるためにわざと嫌いだと言っている…?
    いろいろと謎が気になります!

  • とにかく濃厚で細密な設定と展開に、驚愕しつつも笑ってしまいました🤣
    何もかもがすごい、ただただそう思ってしまいました😂

  • まさかの展開の連続で、面白かったです😆
    このシリーズを読んでいくと、遺体の埋葬方法に詳しくなれそうですね😂
    そして、メイドさんと結ばれた人生のスチルで、ストーカーが2人に増えていて笑えました🤣🤣🤣

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