マッチングビースト~野獣が美女とアプリで出会うまで~

YO-SUKE

第四話「バカ正直に約束を守らないでください!」(脚本)

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〇荒れた倉庫
桜井奈々「あはは。いいザマね」
ダン「奈々、これはどういう遊びなんだ?」
桜井奈々「あなたからお金を搾り取る遊びよ」
ダン「搾り取る? 俺から・・・?」
桜井奈々「そう・・・なんの恨みもないけどね」
桜井奈々「さあ、みんなやってちょうだい」

〇土手
小湊亜衣「ハァ・・・ハァ・・・着いた」
小湊亜衣「ダンはあんたのスマホ持ってるんだよね?」
小湊亜衣「GPSはこのあたりを指してるけど・・・」
江守桃香「うん・・・ でもどこに連れて行かれたんだろう」
小湊亜衣「とにかく、この周辺を探してみよう あいつらの車があるかもしれないし」
江守桃香「わかった・・・!」

〇荒れた倉庫
男3「ダメです こいつ、ほんとに何も持っていません」
男3「スマホと現金がちょっとあるだけで 財布もないです」
桜井奈々「財布を持ってない奴なんているの?」
ダン「なあ、この遊びはいつまで続くんだ?」
ダン「お腹が空いてきたんだが・・・」
桜井奈々「あんた本当は何者なの?」
桜井奈々「どうせダンなんて名前も 適当に付けたんでしょ?」
ダン「俺の名前は昔からダンだ 山で生まれて山で育った」
桜井奈々「ふん。田舎者ってことでしょ」
桜井奈々「ならあんたの家に電話で 脅して金を出させる」
ダン「電話なんてない」
桜井奈々「はいはい。さっさと番号を言いなさい」
ダン「ないものはない。番号なんて知らん」
桜井奈々「あんたスマホ持ってるのよね?」
ダン「俺はまだ──」

〇動物
ダン「マッチングアプリの やり方しか教わってない」

〇荒れた倉庫
桜井奈々「そんな奴いるわけないでしょ!」
桜井奈々「ムカつくから痛めつけていいわ 素直になるようにね」
男1「へっへっへ・・・承知しました」

〇廃倉庫
小湊亜衣「ビンゴ・・・!」
小湊亜衣「あの車、あいつらの乗っていた車だよね!?」
江守桃香「うん。行ってみよう 多分ダンはあの倉庫の中にいる」
小湊亜衣「でもさダンって野獣なわけじゃん?」
小湊亜衣「だったらうちらが助けなくても あんな奴らやっつけられそうな気しない?」
江守桃香「ダメ。あいつに街で力を使うなって 言ってあるもん」
小湊亜衣「え、まさかそれを守ってるってこと?」
江守桃香「バカ正直だから。少なくとも私が許可を 出さなきゃ力なんて使わないはず」
小湊亜衣「殴られるようなことがあっても?」
江守桃香「殺されるようなことがあっても」
小湊亜衣「ふーん」
江守桃香「え? なに、ふーんって」
小湊亜衣「いや、お互いにずいぶん 信頼しているんだなって」
江守桃香「し、信頼なんて大げさだけど」
小湊亜衣「まあいいや 写真は任せておいて」
小湊亜衣「もしダンがあいつらを襲ったら 野獣の姿になるだろうしね」
江守桃香「・・・う、うん」
江守桃香「私が先に行くから 亜衣は隠れて写真を撮って」

〇荒れた倉庫
男3「だ、だめです・・・こいつ、どんだけ 痛めつけても涼しい顔をしています!」
ダン「ガハハハッ。山で熊と遊んだときのほうが もっと傷だらけになったぞ」
桜井奈々「あんた、何者なの・・・?」
江守桃香「見つけた・・・!」
桜井奈々「あんたは確か、こいつの妹──」
ダン「桃香? どうしたんだ?」
江守桃香「バカ! あんたが誘拐されたりするからでしょ!」
ダン「ユーカイ?」
江守桃香「連れて行かれて 悪いことされちゃうってこと!」
ダン「なんだと・・・?」
江守桃香「そんなになるまで痛めつけられて・・・」
江守桃香「野獣なんだからこんな奴ら さっさとやっつけちゃって!」
ダン「でも街で力は使うなって」
江守桃香「時と場合によるの!」
桜井奈々「ギャーギャーうるさい女ね あんたから先にぶっ殺してもいいのよ」

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