第三話「マッチングアプリは危険を伴うのでお気をつけください!」(脚本)
〇商店街の飲食店
桜井奈々「あの・・・なんか家族団らんのところ 突然お誘いしちゃってすみませんでした」
ダン「ガハハハッ! 問題ない」
江守桃香「兄に興味を持って頂き 私たち妹も光栄です!」
江守桃香「ねえ、亜衣」
小湊亜衣「う、うん!」
小湊亜衣「なんで妹設定なのよ!」
江守桃香「しょうがないじゃない! こいつ一人だと すぐにボロ出すのが目に見えてるでしょ?」
桜井奈々「あの・・・ダンさんのご趣味は?」
ダン「狩りだ! 大きな熊を捕まえることもできるぞ」
桜井奈々「あ、え・・・」
江守桃香「ゲ、ゲームのことですよ!」
江守桃香「ほら、いま流行ってるじゃないですか! モンスターを討伐するみたいな!」
桜井奈々「あ、なるほど」
ダン「返り血を浴びるくらい壮絶な戦いになるぞ」
桜井奈々「え?」
江守桃香「びょ、描写ですよ! ゲーム内の!」
江守桃香「最近のグラフィック映像って リアルですから」
江守桃香「全く変な兄で・し・て!」
ダン「痛っ! おい、桃香。なんで蹴るんだ」
江守桃香「きょ、今日はもう帰りましょう ご挨拶も済んだことですし」
桜井奈々「あ、あの・・・! また会えますか?」
江守桃香「え?」
桜井奈々「今日は急でしたけど またちゃんと改めて」
江守桃香「あ、いや、それは──」
ダン「問題ない。俺は買い物を覚えた 一緒に連れてってやる」
桜井奈々「は、はい! ありがとうございます」
江守桃香(う、嘘でしょ・・・?)
江守桃香(本気でこいつに 興味持ったってこと・・・?)
〇教室
小湊亜衣「で、どうなったの?」
江守桃香「どうもこうも・・・」
江守桃香「ダンは奈々さんとメッセージしてるみたい」
江守桃香「で、今度二度目のデートするって」
小湊亜衣「てか、あいつどこで寝泊まりしてるの?」
江守桃香「河川敷。橋の下だって」
〇パチパチ
小湊亜衣「ホームレスか!」
〇教室
江守桃香「いきなりアプリで会いたいなんて言う女」
江守桃香「裏があるかと思ったんだけど・・・」
江守桃香「あの奈々さんって人、いい人そうだった」
小湊亜衣「マッチングアプリをやりまくっている あんたが言うのもどうかと思うけど」
小湊亜衣「でもまあいいんじゃない?」
小湊亜衣「あいつが奈々さんを襲ったタイミングで 証拠写真撮って」
小湊亜衣「警察に突き出すっていう あんたの計画は実行できそうなんだし」
江守桃香「そ、そうだね」
小湊亜衣「ま、私は正直、ダンがそこまで 危ない奴だとは思ってないけどね」
江守桃香「マジ? なんで?」
小湊亜衣「話してみると、まあまあ 純粋な奴だなと思ったから」
江守桃香「それは、まあ──」
〇赤いバラ
ダン「山での習わしだ 感謝の念は、こうして頭を垂れて示す」
ダン「桃香のおかげで、理想の女と会うことが できそうだ。ありがとう」
〇教室
江守桃香「い、いや・・・! あんな奴、ただの野獣だよ」
江守桃香「騙されちゃダメ!」
小湊亜衣「ふーん」
江守桃香「と、とにかく!」
江守桃香「次のデートを成功させて それでおしまいだから!」
〇美容院
ダン「どうだ? 俺の毛並みは?」
江守桃香「・・・まあ、悪くはない、かな」
ダン「奈々は喜ぶか?」
江守桃香「え、まさか本気で好きになったの?」
ダン「仲良くならないと 食っちゃいけないんだろ?」
ダン「お前が言ったんだ」
江守桃香「それはまあ・・・」
ダン「で、どうだ? 奈々は喜ぶか?」
江守桃香「まあ普通の女子なら・・・多分 イケメン部類に振り分けると思うけど」
ダン「よし! 次は買い物だ! こないだ覚えたから俺に任せろ! 行くぞ!」
江守桃香「ちょ、ちょっと!」
〇SHIBUYA109
江守桃香「ねえ! なんで私が荷物持ちになってるのよ!」
ダン「ガハハハッ。小さいことは気にするな」
江守桃香「あんた山でどんな教育受けて来たわけ?」
江守桃香「いつかあんたの母親に文句言ってやる」
ダン「母親は一年前に谷から落ちて死んだ」
江守桃香「だ、だから急に暗い過去 ぶち込んでこないでよ!」
ダン「でも、いい母親だった。自慢の母だ」
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