第二話「マッチングアプリのサクラには気を付けてください!」(脚本)
〇商店街の飲食店
小湊亜衣「あー、ごめん」
小湊亜衣「あんたの言っている意味 全然わかんなかった」
江守桃香「だから山に行って野獣に遭遇して マッチングアプリを教えることになったの」
小湊亜衣「山に行って野獣に遭遇するのは 百歩譲って認めよう」
小湊亜衣「で、なんでマッチングアプリなわけ?」
江守桃香「野獣がタイプの女見つけないと 私が食べられちゃうから」
小湊亜衣「はあ? そんなの無視すればいいじゃない」
江守桃香「そうもいかない。あいつ鼻が利くから」
小湊亜衣「いやいや。どんな鼻なのよ・・・」
江守桃香「街に来て毛の処理をしたら、あいつ一見 野獣に見えなくなったの」
江守桃香「警察に行くとしても、あいつが野獣だって いう証拠をゲットしないと」
小湊亜衣「うーん。どこまで信じていいのやら」
江守桃香「本当なんだって・・・!」
ダン「うぉりゃぁぁぁ!!!」
江守桃香「ひぃ・・・! 出た!」
小湊亜衣「な、な、なんなの!?」
ダン「桃香! 色んなものが買えたぞ!」
江守桃香「はぁ・・・最悪」
小湊亜衣「どういうこと?」
江守桃香「さっきお金渡して、服を買いに行かせたの」
江守桃香「布切れみたいな服しか持ってなかったから」
小湊亜衣「も、もしかしてこちらのお方が──」
江守桃香「そう。さっき話してた野獣のダン」
小湊亜衣「は・・・初めまして 桃香の友達の亜衣です・・・」
〇公園のベンチ
小湊亜衣「うん。ここなら人少ないと思う」
ダン「ったく、めんどくせえ」
江守桃香「OK。じゃあ私との約束、もう一回復唱して」
ダン「あー。街では野獣だとバレないようにする 人間に危害を加えるもの禁止」
江守桃香「はい、次!」
ダン「空を飛んだり、重いものを 持ち上げたりするのも禁止」
江守桃香「そう。人間はそんなことできないから はい、次」
ダン「マッチングアプリを使っていい人に 出会っても、いきなり食べるのは禁止」
江守桃香「そう。警察が来て大騒ぎになるから」
江守桃香「襲う時は、少しずつ仲良くなって 二人きりになってから」
ダン「よし。これでいいだろ? さっさと マッチングアプリの使い方を教えろ」
小湊亜衣「あー、ごめん! ちょっとこの子借りるね」
江守桃香「なによ、急に」
小湊亜衣「あんた、さっきから サラっと言ってるけど・・・」
小湊亜衣「あんたのやろうとしていることって 殺人幇助ってやつじゃないの?」
江守桃香「はは。大げさだよ」
小湊亜衣「大げさじゃないよ! あいつに食べられちゃう女がいるんだよ!?」
小湊亜衣「後味最悪じゃん!」
江守桃香「そこは私も考えてる」
江守桃香「あいつが女の子を食べる瞬間は きっと獣の姿になる」
江守桃香「そこをカメラに収めてあいつを止める」
江守桃香「で、後日あいつを警察に突き出せば完璧」
小湊亜衣「できるのかなぁ・・・そんなこと」
江守桃香「やるしかない!」
〇モールの休憩所
小湊亜衣「てかなんで駅前広場に?」
江守桃香「いま使ってるアプリが、半径5㎞の人と マッチングするタイプなの」
小湊亜衣「へー」
江守桃香「それはそうと・・・あいつもスマホの 基本的な操作は覚えて来たみたいね」
ダン「よし・・・出来たぞ これだろ、プロフィールというやつは」
小湊亜衣「えー、なになに 名前はダン、年齢は25歳」
小湊亜衣「出身は山、仕事は狩り 食わせてくれるやつ募集・・・」
江守桃香「バカ! そんなバカ正直なプロフィールで マッチングできるか!」
江守桃香「あー、もうスマホ貸して」
江守桃香「えーと、名前と年齢はいいとして 出身は山梨県。現住所は東京港区」
江守桃香「仕事は建設関係 お友達から始めてくれる人、募集」
江守桃香「はいこれで」
小湊亜衣「ちょっ! それ全部嘘じゃん!」
江守桃香「それはしょうがないじゃん」
小湊亜衣「すぐばれるよ!?」
江守桃香「大丈夫。デートに同行して イヤホンで指示出すから」
小湊亜衣「あんたはバラエティ番組の ディレクターか・・・」
ダン「よーし。これが・・・こうなって・・・ こんな感じでいいだろ?」
江守桃香「あー! あんたいま ハート使いまくった上に課金したでしょ!」
ダン「なんだそれ?」
江守桃香「ハートは気に入った人に贈るアイテムで 一日三回までしか使えないの!」
江守桃香「それ以上は課金になっちゃう!」
ダン「課金? なんだそれは」
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