ジャンキー アパートメント

もと

101号室、202号室、301号室(脚本)

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〇怪しい部屋
101号室 ハヤシ「カネが無え・・・」
101号室 ハヤシ「・・・なんぼ数えても足りねえよなあ」
101号室 ハヤシ「・・・電気代、はあー・・・」
101号室 ハヤシ「水・・・は、まだ出るか」
101号室 ハヤシ「・・・ハラ減ったなあ・・・」
101号室 ハヤシ「・・・」
101号室 ハヤシ「・・・上か、今日も元気だな」
101号室 ハヤシ「・・・俺の方が叫びたいんだけど」
101号室 ハヤシ「カネ降ってこいよー・・・」
101号室 ハヤシ「なんだよ、何したら出る音なんだよ?」
101号室 ハヤシ「すげえな」
101号室 ハヤシ「・・・」
101号室 ハヤシ「・・・」
101号室 ハヤシ「・・・まあいいか」
101号室 ハヤシ「・・・はあ」
「むふふ、寝ちゃいましたか なるほどなるほど、むふふ」

〇安アパートの台所
201号室 ヤマナカ「うわあああー!」
201号室 ヤマナカ「はっはっはっはー!」
「はいヤマナカさん、おこんばんは」
201号室 ヤマナカ「ああマイフレンド! こんばんは!」
「むふふ、何をされてるんです?」
201号室 ヤマナカ「洗濯機を回しているんだよ! キミも出て来て一緒にどうだい?!」
「ほうほう洗濯機を、こんな丑三つ時に?」
201号室 ヤマナカ「はっ?! そうか、もうそんな時間か! すまない、迷惑かけたな!」
「いえいえ構いませんよ どうせ『幸福荘』のほとんどの住人様は こんな感じですから」
201号室 ヤマナカ「なんだそうか! なら大丈夫か、はっはっはっはー!」
「まあアレですね ホント力持ちですねヤマナカさんは」
201号室 ヤマナカ「ああ良く言われるよ!」
「何故に洗濯機を回そうと思ったのです?」
201号室 ヤマナカ「よくぞ聞いてくれたマイフレンド!」
「あれま、教えて下さるんで?」
201号室 ヤマナカ「もちろんだ、私とキミの仲じゃないか!」
201号室 ヤマナカ「まず、普通に洗濯するだろう?」
「はいはい」
201号室 ヤマナカ「水が右回り、左回りと動くだろう?」
「はいはい」
201号室 ヤマナカ「これを一日見ていて気がついたんだ」
「一日見て、むふふ、一日見てたんですか?」
201号室 ヤマナカ「ああ、今日は休みだったからね」
「はいはい」
201号室 ヤマナカ「それでこの洗濯機が洗濯するという動作は 私が手伝えば楽になると気付いたんだ!」
「はいはい、『洗濯機』が楽になるんですね?」
201号室 ヤマナカ「そう! その通りだよ!」
「だから洗濯機を持ち上げて振ってあげたと」
201号室 ヤマナカ「さすがだマイフレンド! みなまで言わず分かってくれるか!」
201号室 ヤマナカ「私は水流とは逆に回してやるのさ! ほら! こんな風にね!」
「むふふ」
201号室 ヤマナカ「それ!」
「むふふふ」
201号室 ヤマナカ「うわあああー!」
「はい気合い一丁入りましたー」
201号室 ヤマナカ「はっはっはっはー!」
「いやあ豪快、痛快、爽快ですね むふふ」
201号室 ヤマナカ「一緒にどうだい?!」
「おいとましときます 用事がありましてね、残念無念」
201号室 ヤマナカ「そうか! キミはいつも忙しそうだな! ではまた!」
「・・・続けてもらう方が面白いんで」
「むふふ」

〇古いアパートの一室
301号室 魔王「・・・」
301号室 魔王「人間、愚かよのう・・・」
301号室 魔王「大家か、出て来い」
大家「いやあサスガですねえ 気配は消してるつもりなんですが」
大家「ハイおこんばんは 眠れませんか魔王様?」
301号室 魔王「今宵は天から降り立つとは奇術の類いか? それとも黒魔法、妖術か?」
大家「あら人聞きの悪い言い方ですね」
大家「ただの散歩、ただの見回りですよ」
大家「何やらドンドンと始まったので 大家として注意しに行ったんですから」
301号室 魔王「・・・本当に注意したのか?」
大家「ええ勿論、当然でしょう」
大家「ところで魔王様 ついでと言ってはアレですが」
301号室 魔王「・・・うむ」
大家「これ差し入れです 一週間分の食料、煙草、オヤツ等々」
301号室 魔王「ああ、すまない・・・感謝はしている」
大家「いえいえそんな、勿体なき御言葉で」
大家「ところでどうです? コチラの世界には慣れました?」
301号室 魔王「・・・まあ、そこそこには」
大家「仕事、探してます?」
301号室 魔王「に、人間用の仕事しか、うむ まあ・・・ボチボチ・・・」
大家「なるほどなるほど、まあまあ ゆっくり探してくださいな」
301号室 魔王「・・・すまない・・・」
大家「どんまい」

〇開けた景色の屋上
大家「やれやれ・・・」
大家「三階建てにしてくれた先々代には感謝だね 眺めだけは良い」
大家「ふう」
大家「天井、床からも壁からも覗きやすいのは どういった趣向なのやら」
大家「それが『幸福荘』とは・・・ お名前だけは頂けないねえ」
オネコ「にゃ」
大家「おや、おこんばんわ 久しぶりですねオネコさん」
オネコ「にゃん」
大家「聞いて貰えます? まあ勝手に喋るので聞いて下さいよ」
オネコ「にゃ」
大家「いま一番の問題住人は魔王様ですよ いやオトナ一人を養うぐらいは 大したコトじゃないんです」
大家「あのヒト、拾った時は ただの記憶喪失だったんですがね」
大家「何をトチ狂って『魔王様』に なっちゃったんですかねえ・・・」
大家「・・・うーん・・・ でも先に対処が必要なのは金欠クンですか」
大家「101号室を事故物件にはさせません うーん、私の雑用でもさせましょうか」
オネコ「にゃん」
大家「賛成して下さる? むふふ」
大家「あ、201号室・・・ あそこも魔王様と一緒に通院かしら?」
大家「・・・やれやれ」
大家「・・・」
大家「ウチでご飯でも食べていきます?」
オネコ「にゃん」
大家「ゲンキンなオネコですこと むふふ」

次のエピソード:102号室、202号室、302号室

コメント

  • こんばんは!ヤマナカさんといい魔王といい凄く個性的なキャラクター達ですね!!
    大家さんかなりやりてそう!そして幸福荘という全員名前通り幸福になってほしいですが😂
    これからどうなるのか楽しみです!

  • ヤマナカさんのマイフレンドは頭の中のイマジナリーフレンドだと思ったけど実在する大家さんならセーフっ。じゃなくて完全にアウトでしたね。魔王はナイトキャップからツノが出てるのがキュンとします。住人自身が事故物件みたいなジャンキーアパート。着流しの大家さんとオネコちゃんもいい味出してます。

  • このイントロダクション、驚きました!
    順々に3人の住人を見た後に、一番の問題住人は……まさかの方で! 癖が強すぎる住人たちと飄々とした大家さんの対比がイイですね!

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