お嬢様の教育係

夏目心 KOKORONATSUME

3 お嬢様の習い事(脚本)

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〇一軒家
月島ヒカル「さて、今日も頑張るか」
月島ヒカル「ん?」
赤羽未来「お早うヒカル、迎えに来たわよ」
月島ヒカル「赤羽さん!?どうして此処に・・・」
赤羽未来「どうしても何も、常識を教えてって言ったのは私よ。それと、私の事は未来と呼んでって言ったでしょ?」
月島ヒカル「あぁ、そうだった」
赤羽未来「それにしても、貴方中々オシャレなお家に住んでるのね」
月島ヒカル「どうだろう。俺にはこれが普通だから」
赤羽未来「ご両親も一緒に暮らしてるなら、無理にバイトなんてしなくても良いと思うんだけど、何かやりたい事でも有るの?」
月島ヒカル「う〜ん・・・実を言うとやりたい事は無いんだよね。でもバイトすればお金が稼げるし、何時どう成っても良い様にって感じかな」
赤羽未来「そうなの。私には良く分からないわね」
月島ヒカル「まぁそんな所。それじゃあ行こうか。俺、車に乗る気無いから」
赤羽未来「え!?此処から歩くの!?」
月島ヒカル「そうだけど、そもそも俺、何時も歩いてるから」
赤羽未来「待って待って!雨の日とか、暑い時とかどうしてるの!?」
月島ヒカル「そりゃ歩くよ。雨の時は傘を使うけど、余程酷かったら流石に親に頼るけど」
赤羽未来「え・・・それ何時もやってるの?」
月島ヒカル「やってるよ」
赤羽未来「これは認識を改める必要が有るわね。セバスチャン!」
セバスチャン「何で御座いましょうか、未来様」
赤羽未来「今日はもう戻って良いわ。私は大丈夫だってお父様達に伝えて。命令よ」
セバスチャン「畏まりました」
赤羽未来「さて、今日から私も歩くわ」
月島ヒカル「良いのかい?」
赤羽未来「お父様から言われたの。一度決めた事は最後までやり通せってね。だからやるわ」
月島ヒカル「そっか。じゃあ行こうか」
赤羽未来「あ、待って!私の鞄!」
月島ヒカル「自分の荷物は自分で持つ。誰でもやってるよ」
赤羽未来「あ、はい」
  行き成り未来が俺の家に来ていた事は正直驚いたが、色々話して二人共歩く事にした。

〇大きな木のある校舎
月島ヒカル「さて到着と」
赤羽未来「ヒカル、私は貴方を見くびって居たわ。自分の荷物を持って此処まで行くのがこんなに体力使うだなんて」
月島ヒカル「それは未来が慣れて無いからだよ。行き成りやると凄い体力使うし、何度もやるのが大事だから」
赤羽未来「恐れ入ったわ・・・」
モブ男子2「未来様!お早う御座います!どうなされたのですか!?お車を使わずに登校だなんて!!」
赤羽未来「あ、うん、お早う。私ね、自分から歩いて来たのよ。貴方達の苦労が良く分かったわ」
モブ男子2「何と!?ですがもう大丈夫です!お荷物は僕がお持ちします!」
月島ヒカル「あ、それは駄目」
モブ男子2「な!?貴様!未来様はお疲れに成られてるんだぞ!」
月島ヒカル「駄目と言ったら駄目だ。未来が自分で決めた事だから、最後までやらせて上げて」
モブ男子2「ほ、本当ですか・・・未来様・・・」
赤羽未来「えぇ、言ったわ。だから貴方は下がって良いわ」
モブ男子2「は、ははぁ!!」
赤羽未来「ヒカル、これで良いのよね・・・」
月島ヒカル「うん、合格」
赤羽未来「・・・!やった!!」
月島ヒカル「取り合えず行こう。荷物は最後まで自分で持つ物だよ」
赤羽未来「えぇ!」
折原和人「・・・・・・」

〇教室
モブ女子「未来様、お早う御座います」
赤羽未来「あら、お早う」
モブ女子「本日も紅茶とクッキーをお持ちしました」
赤羽未来「有難う。何時もの所に置いて頂戴」
月島ヒカル「ねぇ君。悪いけどそれ全部没収だから」
モブ女子「ちょ、何よ貴方!未来様の楽しみを奪うつもり!?」
月島ヒカル「さっき先生にも伝えたんだ。紅茶やクッキーを持ち込んでる生徒が居るから注意して欲しいって」
赤羽未来「ちょっとヒカル!私の朝の楽しみが!」
月島ヒカル「未来。こう言うのは家でやる物だよ。一人だけ特別扱いはハッキリ言って良く無い。皆がやってる様な物を楽しみにした方が良い」
赤羽未来「そ、そうなの。ならどんなのが有る?」
月島ヒカル「そうだな・・・・・・読書とか、花壇の水やりとかかな?」
赤羽未来「成る程!分かったわ!ならヒカル、水やりしに行きましょう!貴方、紅茶とクッキーは帰りに貰うわ!もうやらなくて良いから!」
モブ女子「は、はい!!」
赤羽未来「さぁ、行くわよヒカル」
月島ヒカル「あぁ」
モブ女子「・・・・・・」

〇教室
  授業開始前
モブ男子「未来様、今日の授業のノートの書き足しは俺が請け負います!」
赤羽未来「あら、それならお願いするわね」
月島ヒカル「あぁ、悪い。未来は自分でやるから」
モブ男子「な、何だって!?それじゃあ俺の出番は・・・」
月島ヒカル「そんなの有る訳無いだろ。そんなにやりたきゃ自分のノートやってろ」
モブ男子「・・・・・・!?未来様、失礼致しました!!」
赤羽未来「貴方、本当に自分で何でもやるのね」
月島ヒカル「言っただろ?特別扱いは良く無いって。今日だけじゃ無い、今後の授業は全部、自分で聞いて、自分でノートに書く。良いね?」
月島ヒカル「まぁ分からなかったら俺も少しは手を貸すから」
赤羽未来「わ、分かったわ」
  その後、未来は自力で勉強の内容を聞き、ほぼ誰にも聞かずにノートに書き込みをした。途中で未来を信仰する輩が手を出そうと
  したが、そこは俺がガードした。
  その後のお昼休憩。
赤羽未来「ヒカル」
月島ヒカル「お疲れ様。どうしたの?」
赤羽未来「私、購買に行きたいの。勝手が分からないから教えて欲しいわ」
月島ヒカル「良いよ。一緒に行こうか」
モブ男子「なぁ、あいつどう思う?」
モブ男子2「あぁ、何時から未来様にあんな事させる様に成ったんだ?」
モブ女子「未来様を思ってやってるのは分かるけど、何か腑に落ちないのよね」

〇警察署の食堂
赤羽未来「凄い人集り!自分から購買に言った事無いから知らなかった」
月島ヒカル「それだけ此処の購買が人気だって事さ。未来、念の為聞くけど、お金は持って来た?」
赤羽未来「大丈夫、持って来たわ」
月島ヒカル「なら良し」
赤羽未来「一つ聞きたいんだけど、この行列、後ろから並ぶの?」
月島ヒカル「当たり前じゃん」
赤羽未来「皆の苦労がつくづく伝わってくるわ」
月島ヒカル「何時もの事だから。さ、並ぼう」
  俺達は行列の最後尾に並び、自然と自分達の番に成るのを待った。
購買のおばちゃん「いらっしゃい。今日は何をお求めだい?」
赤羽未来「やっと辿り着いた」
赤羽未来「こうして見ると種類が豊富でどれにしようか迷うわね」
月島ヒカル「だろ?好きなの選んで良いよ」
赤羽未来「そうね・・・・・・あ、これ下さい!」
購買のおばちゃん「毎度あり、一個500円だよ」
赤羽未来「有難う御座います・・・ねぇヒカル、こう言う時って、こう言えば良いのよね?」
月島ヒカル「あぁ、誰かに助けて貰ったりしたら有難うって言うのが大事だから」
赤羽未来「・・・そっか」
  未来が金を払った後、俺も好きな物を買って適当なテーブルに座って食事を開始した。
赤羽未来「何だか驚きの連続だわ。誰かにお世話されるのが当たり前だったけど、自分でやって初めて気付く事って有るのね」
月島ヒカル「そうだよ。俺もバイトして金稼いでるけどさ。金は使い方を間違えたら大変な事に成るし、そう成ったらって考えたら怖いって」
月島ヒカル「思える様に成ったよ。好きな物が無い訳じゃ無いけど」
赤羽未来「そうなんだ。こうして見ると私達って、守って貰ってたんだね。そう考えたら、何でも自分でやれる様にするって大事だね」
赤羽未来「前は皆の事馬鹿にしてたけど、私にはヒカルが偉いんだって思えるよ」
月島ヒカル「うん。分かって貰えて、俺も嬉しいよ」
  昼食を終えた俺達は、その後の授業にも打ち込み、放課後の掃除では未来も積極的にやってくれた。帰りも歩いて帰る事と成り、
  俺は途中まで一緒に帰る事と成った。

次のエピソード:4 お嬢様の決心

コメント

  • かなり順調ですね!
    順調すぎて怖いのですが・・・
    周りも驚いてはいるもののお嬢様の声一つで納得はしていますし・・・不穏な影はありますが、次はどんな展開になるのか楽しみですね!

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