魔獣ハチ公

猪木洋平

エピソード1(脚本)

魔獣ハチ公

猪木洋平

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魔獣ハチ公
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〇ハチ公前
裕太「さあて。 今日は何をしようかな~」
裕太「久々の渋谷だ~。 ふんふふ~ん」
  俺があてもなくブラブラ歩いていると・・・
「うわああぁっ!!!」
「きゃああぁっ!!」
裕太「ん? 事故か?」
  俺は声がした方の様子を伺う。
  するとそこには・・・
ハチ公「グルルルル・・・」
裕太「な、なんだあれはっ!?」
  巨大な犬がいたのだ。
  サイズは3メートルを超えている。
裕太「あ、あれはまさか・・・。 『魔獣』っ!!」
  この世には『瘴気』が漂っている。
  それらは特定の依代を見つけ、『魔獣』に変化する。
裕太「忠犬ハチ公の銅像を依代に魔獣化したようだな・・・。 このままだと人が襲われちまう!!」
「逃げるぞっ!!」
「急げっ!!」
裕太「よし・・・。 そのまま逃げてくれ・・・」
裕太「俺の『変身』シーンは、できればあまり広めないように言われているからな・・・」
美希「はあ、はあ・・・・・・。 私も早く逃げないと・・・」
裕太「あいつは・・・。 後輩の美希じゃないか」
裕太「よりによって魔獣と遭遇するとは・・・。 無事に逃げてくれ・・・」
ハチ公「グルルルル・・・」
美希「はあ、はあ・・・。 ・・・あっ!!!」
裕太「お、おいおい・・・。 躓いている場合じゃないぞ・・・」
裕太「他の奴らはみんな逃げちまってる・・・」
ハチ公「グルルルァッ!!」
美希「きゃああっ!! だ、だれか助けてえええっ!!!」
  ハチ公の牙が美希を襲おうとしている。
裕太「待てええぇいっ!!」
  俺は走り出す。
  そして、ハチ公の顔に向かってジャンプする。
裕太「うおおぉりゃああぁっ!!!」
  ハチ公に強烈な飛び蹴りを食らわせてやった。
ハチ公「ガウウゥッ!?」
  その衝撃で、ハチ公が吹っ飛ぶ。
裕太「よう。 だいじょうぶか?」
美希「た、助かりました・・・。 ありがとうございます・・・」
美希「って、裕太先輩!? さっきの動きは・・・」
裕太「説明は後だ。 巻き添えを食らわないように大人しくしてろ」
美希「わ、わかりました!」
ハチ公「ガアァッ!!」
  ハチ公が立ち上がって吠える。
  俺は奴に向き合って、拳を構える。
ハチ公「グオオォオッ!!」
裕太「うおおおぉおっ!!」
  こうして、魔獣化したハチ公との壮絶な戦いが始まったのだった。
  ドカッ!
  バキッ!!
裕太「ちっ! 生身の拳じゃ、銅の体を傷つけられねえ・・・」
ハチ公「ガウッ!」
裕太「くそおぉっ!! こうなったら奥の手だ!」
  俺はポケットから石を取り出す。
裕太「チェンジストーン発動! モード・ウルフ!!」
  俺は石をベルトにセットする。
  『モード・ウルフ』
  そんな電子音声と共に、体が銀色に染まっていく。
裕太「これが狼男の力だ! ウオオオォンッ!!」
ハチ公「ガウッ!?」
裕太「いくぞっ! 必殺・オオカミハリケーン!!」
ハチ公「ギャオオオォオンッ!!」
  ハチ公は最期にそう吠えて、霧散した。
裕太「魔獣化を無事に解除できたみてえだな・・・。 よかったぜ」
  俺はウルフモードを解除する。
美希「ゆ、裕太先輩っ!」
裕太「おう、美希。 無事で何よりだぜ!」
美希「先輩こそご無事で何よりですっ!!」
  美希がそう言って、俺に抱きついてくる。
裕太「お、おいおい・・・。 この程度で大げさだぜ」
美希「いえ・・・。 裕太先輩は私の命の恩人ですっ!!」
美希「ご無事で本当によかった・・・」
裕太「ま、俺にかかればあの程度は大したことねえ」
  実際のところ、魔獣にはもっと強い奴もいる。
  俺はざっくりと、『魔獣』や『組織』のことについて美希に説明した。
  ウルフモードを見られた以上、隠し通すことは難しいだろうしな
美希「そ、そんな事情が・・・。 ・・・あのっ!」
裕太「ん?」
美希「わ、私にも裕太先輩のお手伝いをさせてくださいっ!」
裕太「・・・本気か? 結構キツイ訓練や任務もあるぜ?」
美希「構いません! 裕太先輩のお手伝いがしたいんですっ!!」
裕太「・・・わかったよ。 とりあえず紹介だけはしてやる。 キツくなったらいつでも言えよな」
美希「は、はいっ!」
  そうして、俺と美希は歩き出したのだった。
「さ、さっきのは何だったんだ・・・?」
「映画の撮影だったのかな・・・?」
  逃げていた群衆が戻ってきている。
  渋谷に再び平和が訪れたのだ。
裕太「まだまだ頑張らねえとな・・・。 美希、行くぞっ!」
美希「はいっ! 付いていきます!!」
  ・・・これが、俺の生涯のパートナーとなる美希との馴れ初めだ。
  今後俺たちは、魔獣退治で多大な功績を上げる一方で、私生活でも幸せな家庭を築くことに成功したのだった・・・。

コメント

  • 変身のシーンとかかっこよかったです!
    思わぬところでパートナーも見つかって、いい感じで進んでますね!
    将来のパートナーにもなるらしく、ちょっとにまにまとしました。笑

  • 2人の馴れ初めのお話だったというオチが
    とても秀逸でした✨
    ついアニメでみたくなるようなお話です😌

  • 彼が彼女を守る、良いですね。ほのぼのしました。彼女も戦ってみたい、のセリフに彼女の思いも乗っている気がしていい関係だなとうっとり。

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