第1話 “緋ノ原アキラ”(脚本)
〇東京全景
Presented by TapNovel
〇渋谷の雑踏
〇渋谷のスクランブル交差点
逃がすなッ!
〇入り組んだ路地裏
???(撒いたか・・・?)
組員「いたぞ!」
???「くっ」
組員「アンタにはガッカリだ」
組員「潔く──」
組員「ギャ!」
???「すまん」
「謝るのは」
???「俺の方だ」
???「──ツカサ」
司「よせよ、お前のお陰さ」
???「やっと追いついた」
???「ちょっと血が!」
???「撃たれたのか」
司「大したことない」
???「そんなワケないでしょ!」
???「お前に銃弾が通るはずがない」
???「妙な拳銃だ」
???「リクドウめ 裏で一体なにを・・・」
???「早く手当てしないと」
司「いや」
司「2人はこのまま街を出ろ」
こっちだ!
???「まさか警察と繋がって・・・!」
司「騎士(ナイト)が来る」
司「ミツキ」
司「この子を頼む」
美月「そんな──」
司「俺が時間を稼ぐ」
???「ツカサ・・・」
司「2人をよろしくな──」
〇黒
── 親友
〇ビルの裏
司「はぁ、はぁ、」
???「貴様、」
???「”特定”鎧來種(がいらいしゅ)」
???「ワダツミだな」
司「ははは」
司「ガイジン扱いはヤメてくれ」
???「『鎧來種取締法』に基づき」
???「貴様を駆除する!!」
司「はは・・・」
司「殺ってみろ!!」
どうか幸せに──
〇黒
父さんは
ずっとずっと
〇ビルの裏
「ォォォオオオオ──ッ!!」
〇黒
愛しているよ
〇黒
これは
私の初恋の思い出
『鎧人アキラ』
「あきらぁ~」
「あ~き~らぁ~~♪」
〇女の子の部屋
アキラ「うぅ~ん・・・」
美月「起~きな~さぁ~い♪」
美月「可愛い~可愛い~♪ あ~き~らぁ~~♪♪」
アキラ「どうしよう、夢より悪夢」
美月「ら~らら~ららぁ~~♪」
アキラ「親のビブラートが こんなに不愉快だったなんて」
〇明るいリビング
鎧來種イズモの現場では
復旧作業が終わり、
「今日は珍しく すぐ起きたわねぇ」
アキラ「・・・なんか変な夢見たぁ」
美月「あらどんな?」
アキラ「忘れた」
アキラ「オリジナルソング熱唱という 新手の虐待でな・・・!」
被害の大きかったチャペルも復元され
結婚式業務の再開へ向け、
美月「現場、片付け終わったのねぇ」
アキラ「また鎧人(がいじん)事件かぁ」
アキラ「食欲ない~」
美月「ダメよ? ちゃんと食べないと」
美月「大きくならないわよ?」
アキラ「別に身長あんま欲しくな──」
美月「胸が」
アキラ「牛乳は飲もうかな・・・!」
美月「お父さん そろそろ帰って来るわねぇ」
アキラ「げぇ~」
「ただいま~」
〇玄関内
真澄「疲れた~」
真澄「すまん美月~ 今日はデュエット出来なそう」
〇明るいリビング
真澄「バ、バカな」
真澄「起きてるだと・・・!?」
アキラ「うっせーッ!」
美月「うふふ 今日は珍しくすぐ起きたの」
アキラ「なにデュエットって!?」
真澄「いや俺がいる時は いつも2人で『アキラの唄』を」
アキラ「地獄の夫婦ーッ!」
〇マンションの共用廊下
しおり「アキ~! ガッコだよ~!」
しおり「諦めろ~ おまえは完全にホーイされてる~」
真澄「こらアキラッ! 朝メシ残すなら学校行くなァ!」
アキラ「どんな教育方針だクソ親父ーッ!」
アキラ「まったく・・・行こーぜ しおり──」
しおり「ば、ばかな ちゃんと起きてるだと・・・!?」
アキラ「うっせーなァ! どいつもこいつもォーッ!」
〇団地
〇住宅地の坂道
アキラ「ハナコおはよー」
しおり「ねぇねぇ ハナコ、オスみたいよ」
アキラ「マジで!?」
しおり「こないだ腰振られたもん」
アキラ「なんでアタシはスルーなん?」
しおり「ワンコにすらモテない女」
アキラ「ぜってー、クソ親父の非モテ遺伝子だ!」
しおり「アキんちは いっつも仲いいね~」
アキラ「”クソ親父”と呼ぶ娘に 仲良し要素があると?」
しおり「それは世界基準で”仲良し”なんよ」
しおり「ウチは母子家庭だし羨ましい」
しおり「もう兄貴も独り立ちして ママと2人だもん」
アキラ「そっちのが羨ましいわ!」
アキラ「タケルさん、騎士学校の寮でしょ?」
アキラ「マジどっかの 現場清掃員と交換したい」
しおり「いや収入考えなって、お嬢様」
しおり「たぶん真澄さんの半分だぜ」
アキラ「しおり」
しおり「うん?」
アキラ「お金じゃない」
しおり「はいはい・・・」
アキラ「普通でいいの」
アキラ「”人並みの幸せ”ってヤツ?」
アキラ「真面目で優しくて」
アキラ「アタシのこと めっちゃ大切にする人と結婚したい!」
しおり「人並み、ねぇ・・・」
アキラ「そこを曲がれば理想の彼氏が──」
「いないッ!」
しおり「羨ましいよ」
「ホントに」
〇体育館の屋上
〇学校の体育館
「みんなー! 緋ノ原を止めろー!」
クラスメイト「くっ、この!」
クラスメイト「させるか!」
アキラ「うりゃあ!」
「リバウンドーッ!」
アキラ「くっそぉ!」
「先生ーッ! こいつ、ゴリラーッ!」
アキラ「誰がじゃいッ!!」
〇大きな木のある校舎
〇学校の昇降口
しおり「おつかれ、ゴリラ」
アキラ「隣のクラスまで武勇伝が!?」
しおり「ひ、緋ノ原ゴリラ・・・!」
アキラ「ぶちのめすぞぉ!」
しおり「まぁまぁ」
しおり「スタラ行こうぜ」
アキラ「えっ!?」
アキラ「商店街の!?」
しおり「しおり様がオゴってしんぜよう」
アキラ「マジで!? なんで!?」
しおり「ふふふ~」
アキラ「あ、憧れのスタラデビュー・・・!」
アキラ「しおり様~ッ!」
あ、しおり
ノートちょうだい
『ちょうだい』!?
見してとか貸してだろフツー!!
〇原宿の通り
〇カフェのレジ
店員「ようこそ『スターライトカフェ』へ!」
アキラ「ふぉぉおお~・・・!」
しおり「さすが”JKの聖地”」
アキラ「JKや・・・! アタシはJKなんや・・・!」
店員「なんか背負ってます? 複雑なバックボーン的な」
しおり「気にしないでください」
しおり「幼少から”男”と間違われてきた」
しおり「心の闇が深いだけなんで」
店員「ご、ご注文は・・・」
アキラ「スターライトエクストにゃむなぺ、」
しおり「どんまい」
店員「期間限定ですね」
店員「限定1でーす!」
OK! 限定ワンッ!
しおり「は、恥っず・・・! 誰も商品名ゆわない・・・!」
店員「サイズは──」
アキラ「ギガントサイズでー!!」
しおり「ちょっ、おーい! おまえヒトの財布でーッ!」
〇都会のカフェ
アキラ「タケルさん、入隊試験に受かったの!?」
しおり「うん、昼休みに連絡きた」
アキラ「すっげぇ・・・ついに騎士かぁ~」
しおり「小さい頃から ずっと言ってたからね」
しおり「『日本から鎧人犯罪を無くす』」
アキラ「・・・」
アキラ「お父さんも」
アキラ「天国で喜んでるよ」
しおり「どうだろ」
しおり「私は物心つく前だったし」
しおり「どっちかと言えば 本人が死なないか心配かな」
しおり「私にとっては兄貴が 父親みたいなもんだから」
アキラ「そっか」
しおり「まぁでも家族の夢が叶うのは嬉しい」
しおり「兄貴、久しぶりに 実家帰ってくるって言うからさ」
しおり「ケーキ買うついでに 親友の夢も叶えてやろーかなと」
アキラ「なんだよ最高かよ 大好きすぎる結婚して・・・!」
しおり「ギガント女はイヤだ」
「えっ!? 足りないんですか!?」
〇カフェのレジ
店員「ゴメンね 限定はショートで680円なの」
???「そ、そんな」
店員「普通のコーヒーなら買えるよ?」
???「父ちゃんの誕生日なんだ」
???「ずっと飲んでみたいって言ってたから プレゼントしたくて」
???「コレじゃないとダメなんだ」
店員「そうなの・・・困ったわね」
店員「お母さんは? 一緒に来られないの?」
???「お母・・・さんは・・・」
???「あ、あと200円さがしてくるっ!」
店員「あっ! 待って!」
〇都会のカフェ
しおり「あの子」
しおり「きっと、お母さんは・・・」
アキラ「しおり」
アキラ「ごめん!」
しおり「はぁ!? えっ、ちょっ、アキっ!」
〇商店街
「おぉーい!」
アキラ「へへ」
アキラ「あげる」
???「えっ!?」
???「な、なんで・・・?」
アキラ「えっ・・・と」
アキラ「いまダイエット中でさ」
???「それは・・・そうだろうけど」
それはそうだろうけど?
「私ね お父さん、いないんだ」
しおり「それは私から」
しおり「お誕生日なんでしょ?」
しおり「素敵だなぁと思って」
しおり「迷惑じゃなければ それでお祝いして?」
アキラ「しおり・・・」
???「ありが・・・とう・・・」
アキラ「ほら!」
???「へへ・・・」
???「ありがとうございます!」
しおり「喜んでくれるといいね」
アキラ「途中で落とすなよ~?」
???「うん!!」
「ありがとうーっ!!」
しおり「いい子だね」
アキラ「お前もな」
しおり「うるせー」
しおり「アキのそういうとこさ」
しおり「大好き」
アキラ「なんだよ急に」
アキラ「やっぱアタシと結婚したいんじゃん」
しおり「それはない」
〇空
〇団地
〇白いバスルーム
ダイエット中でさ
〇女の子の部屋
それはそうだろうけど
〇土手
アキラ「・・・」
ゴリラ
アキラ「ちくしょー!! どいつもこいつもよぉー!!」
アキラ「誰かぁーッ!! アタシに『可愛い』って言ってくれーッ!!」
アキラ「な、なに、今の・・・?」
アキラ「誰か襲われてる!?」
「橋の下か!」
〇川に架かる橋の下
アキラ「こっちから──」
アキラ「泡・・・?」
???「お姉ちゃん!?」
アキラ「あれ? スタラの」
???「来ちゃダメだ!」
アキラ「へ?」
〇川沿いの原っぱ
???「お姉ちゃんッ!!」
???「お、お姉・・・」
アキラ「ブハァッ!!」
アキラ「ば、爆発、なんで、」
???「大変だ・・・救急車!」
アキラ「あ、平気平気 全然だいじょぶ」
???「だ、大丈夫なの!?」
???「吹っ飛んだのに!?」
アキラ「今朝、牛乳飲んだから?」
???「ぼ、僕の知ってる牛乳じゃな──」
アキラ「が、鎧人!?」
???「ち、違うんだ、お姉──」
アキラ「ヤバ──」
〇川沿いの原っぱ
〇川に架かる橋の下
アキラ「ヤバ過ぎだろアレ!!」
???「待って! 違うんだ!!」
アキラ「はやく警察──」
アキラ「アタシのスマホー!!」
???「お、お姉ちゃんホントに人間・・・?」
アキラ「どっから見ても 可憐な美少女だろがァ!!」
アキラ「おまえ会ってからずっと アタシの乙女心、エグってっかんな!?」
???「えぇ!? ごめんなさ──」
アキラ「ダメだ追いつかれる!」
アキラ「誰か探して通報しろ!」
???「なっ」
アキラ「早くッ!!」
アキラ「うっ」
アタシが・・・
守るんだ・・・!!
アキラ「か、硬っ」
〇川に架かる橋の下
か、は、
声・・・でな・・・
息が──
〇黒
お母さ・・・
お父・・・
助・・・け・・・
〇川に架かる橋の下
〇川沿いの道
「まさか実家への道で」
タケル「鎧人に遭うとは」
タケル「血が凍る思いだよ」
タケル「大丈夫ですか──」
タケル「って、もしかしてアキちゃん!?」
アキラ「ゲ、ゲホ・・・!?」
タケル「喉を痛めたね」
「隠れていて」
〇川に架かる橋の下
タケル「許されると思うな」
〇川に架かる橋の下
タケル「威嚇のつもりか?」
タケル「『鎧來種取締法』に基づき」
タケル「貴様ら”鎧人”は──」
〇黒
皆殺しだ
〇川に架かる橋の下
私が恋をしたのは
〇川沿いの道
親友の兄で
〇空
── 騎士だった
多種多様な演出使いや絶妙なユーモアも称賛したいのですが、何よりサブタイトルの「~さよならベストフレンド~」が何を意味するのか?それがこの物語でどう伝わってくるのか?一話を楽しく読みながらも、やや悲しい気持ちになると言う、不思議な体験をしております。続きをまた読ませて頂きます。
粗筋とタイトルを読む限り、ここからアキラが鎧人になる展開になると思うと胸が熱くなりますね
冒頭の鎧人が右と左に流れるスチルが特に格好良かったです。
スチルやエフェクトの演出がすごくて、本当に映画みたいで面白かったです😆
アキラちゃんはいい子だし、親友もいい子なのに、これからどんな展開が待ちうけているのかと思うと、ドキドキします……!