デス・パレードは祈りと共に

はじめアキラ

エピソード8・札の中(脚本)

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はじめアキラ

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〇組織のアジト
峯岸輪廻「今度は、カードの絵柄を当てるゲーム、なのか?数字かもしれないが」
須藤蒼「内容としては結構シンプルだけど・・・」
赤井鳳輔「うーん、俺こういうアタマ使う系ゲーム苦手なんだけどよー」
芦田ルミカ「そんな文句言っている場合じゃないでしょう? とにかく、全員カードを引いてみるしかないわ」
芦田ルミカ「えっと、この箱の中に入っているやつよね? 自分以外のカードは見られないようにしろ、って解釈でいいのかしら」
芦田ルミカ「いかにもくじ引きしてくださいと言わんばかりだわ」
芦田ルミカ「一人ずつ引いてみましょう」
赤井鳳輔「ま、仕方ねーか」
芦田ルミカ「よいしょ」
赤井鳳輔「ほいっと。俺らは引いたぜ」
峯岸輪廻「ん・・・」
須藤蒼「こうですか?」
峯岸輪廻「・・・全員引いたな。裏面はみんな一緒か」
峯岸輪廻「カードを当てると言ったが、誰のカードをどうやって当てるんだ?」
須藤蒼「あ、さっきの紙、二枚目がある! これじゃないかな」
  『このゲームでは、四人の人間に四枚のカードが割り当てられる』
  『一枚目は“死神”。
   死神は、死者・・・使われていないカード一枚を知ることができる能力を持つ』
  『二枚目は“太陽”。
   “月”の在りかを知ることができる』
  『三枚目は“月”。
   “太陽”の在りかを知ることができる』
  『四枚目は“炎”。
   このカードのみ、特筆した能力が何もない』
  『最後の一枚は“処刑台”。
   メンバーのうち一人のカードをランダムで知ることができる』
  『このゲームは、“全員”が持っているカードを明らかにし、ホワイトボードに書くことでクリアとなる』
  『ただし、お互いが持っているカードの種類を言うことはできない。自分が持っているカードを直接明かした人間は反則となる』
  『反則となった人間は処刑される。全員のカードを不正なく当てることができれば、全員で生き延びることができる』
  『制限時間は二時間。
   諸君らの健闘を祈る。』
峯岸輪廻(・・・なるほど)
峯岸輪廻(ゲームの種類としては極めてシンプル。そして、本来ならばあまりにも簡単すぎる)
峯岸輪廻(俺のカードはこいつか)
峯岸輪廻(・・・・・・)
峯岸輪廻(このゲームが“成立”するということは、恐らく・・・)
須藤蒼「よ、良かった!今回はすごく簡単そう!」
赤井鳳輔「だなー。いやあ、助かったぜ。今回は肉体労働しなくて済みそうだしよ!」
赤井鳳輔「俺あんま体力に自信なくてさあ。もう鉱山掘らされるのはうんざりだぜ」
芦田ルミカ「何言ってるの、男なんだから肉体労働くらい役立って貰わないと困るわ」
芦田ルミカ「最初の試練も二回目の試練も、謎解きはぜーんぶわたしに投げるんですもの。少しは頭働かせなさい!」
赤井鳳輔「あ、いやその・・・スンマセン」
須藤蒼「ってことは、お二人は最初の試練からずっと一緒なんですか?」
芦田ルミカ「まあねえ。元々の知り合いとかじゃなくて、このゲームで知り合ったというだけなんだけど」
赤井鳳輔「いきなりデスゲームっぽいのやらされて参っちゃうよなあ。水は降ってくるわ、炭鉱掘らされるわ」
赤井鳳輔「まだ二人一組で良かったと思うぜ。俺だったら二つ目の試練、適当なとこ掘りまくって死んでたかもしんね!」
芦田ルミカ「まったくだわ。わたしが止めてなかったらどうなってたことか・・・」
須藤蒼「あはは、仲良いんですね」
須藤蒼「でもそっか・・・お二人も、僕達と同じ試練だったのか。てことは、他の人達みんなそうなのかな・・・?」
峯岸輪廻「・・・・・・」
峯岸輪廻「・・・とりあえず、全員が持っている情報をオープンにするべきだと思いますが?」
峯岸輪廻「カードの名前を直接言わなければ問題ない。ルールからはそう読み取れます」
峯岸輪廻「つまり、カードの能力に関しては明かしてもいい、ということではないでしょうか?」
芦田ルミカ「う、うーん・・・本当にそうなのかしら」
芦田ルミカ「お互いの能力を喋ったら、自分が何のカードを持っているかなんてすぐにバレるでしょう?」
芦田ルミカ「例えばわたしが“自分は何の能力も持っていません”と言ったら。 それってつまり炎のカードを持っていると白状したも同然じゃ?」
赤井鳳輔「それそれそれ!俺も警戒してるのはそれなわけよ!」
赤井鳳輔「だからこう、能力以外のところから、探り合いしていくしかないんじゃねーの?」
赤井鳳輔「なんつーかほら、あるじゃん。誰が狼なのか当てて処刑していくゲーム! これ、それっぽくね?」
赤井鳳輔「それとなーく能力とか持っているカードとか匂わせてさ。それで当ててくゲームなんじゃないかって!」
赤井鳳輔「でないと簡単すぎるだろ、コレ。全員味方なんだし」
芦田ルミカ「そうよね。このメンバーで傷つけあわなくていいってだけで、とても気が楽だわ」
芦田ルミカ「というわけで、なんとなく会話の中にお互いの能力を滲ませて、察して貰うように頑張ってみましょう」
芦田ルミカ「わたし、使われていないカード一枚が鍵なんじゃないかと思うの。ほら、一枚余るでしょう?」
芦田ルミカ「くじ引きの箱に、なんらかの仕掛けがしてある可能性もあるわ。わたしたちが引くカードも運営に操作されているかもしれない」
芦田ルミカ「その場合ゲームとしては、余りの一枚は“炎”になった方が、ゲームが面白くなるような気がするのよね」
芦田ルミカ「だから、“炎”のカードが余っているんじゃ?と予想したうえで推理を展開したいのだけど」
赤井鳳輔「なーるほど?まああてずっぽうでも、とっかかりにはなるかな?」
芦田ルミカ「ちょっと!そんなこと言うなら貴方もちゃんと考えなさいよね! 何かないの?」
赤井鳳輔「う、うーん。そんなこと言われても・・・」
峯岸輪廻「・・・・・・」
峯岸輪廻(・・・違う)
峯岸輪廻(使われていない余りのカードは、“炎”ではなく“処刑台”だ)
峯岸輪廻(俺のカードは“死神”。余りのカードが何なのかは、カードを引いた直後に浮かびあがってきている)
峯岸輪廻(どういう仕組みかわからないが、余ったカードが何なのか知ることができる・・・という能力は本物であるようだ)
峯岸輪廻(問題は、この話をどこまでみんなにして良いのか?ということ)
峯岸輪廻(今のまま“あまりカードは炎では”という話で推論が進むのは流れとしてよくない。ミスリードは修正しなければいけない)
峯岸輪廻(ただ、それを直接伝えていいのかが問題だ。反則のこともあるがそれ以上に気がかりなことがある)
  『反則となった人間は処刑される。全員のカードを不正なく当てることができれば、全員で生き延びることができる』
峯岸輪廻(これが本当ならば全員が味方のはず。全員の目的は一致している。自分のカードを、みんなが察して欲しいと考えるのが普通)
峯岸輪廻(だが、それではあまりにもゲームが簡単すぎる。カード名を伏せたところで、周りに伝える方法はいくらでもあるのだから)
峯岸輪廻(このゲームが成立するとしたら、理由は一つしか考えられない)
須藤蒼「うーん、余りカードから考えるべき、なのかな?」
赤井鳳輔「頭脳労働、頭脳労働、ぐぬぬぬぬ」
芦田ルミカ「もう、議論しなきゃ話進まないでしょ!」

〇黒背景
  この三人の中に、裏切者がいる。
  ゲームクリアを妨害させようとする、そんな人間が。

次のエピソード:エピソード9・嘘の中

コメント

  • カード能力が普通に発現!? そうなるとシンプルなゲームだなーと思っていたら、裏切り者が!? 一筋縄ではいきませんね……
    赤井さんのユルい口調と脳内、空気感を変える感じでイイですねー

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