勇者にはほしい才能がある

東龍ほフク

4/陰キャは『仲間』を選り好みする(脚本)

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〇木の上

〇山道
ギン「‥‥‥ふぅ」
ギン「‥‥‥‥」
ギン「あのぉ、そっちはどうですか?」
冒険者「な、ななななな何が?」
ギン「そっちに任せた魔物」
冒険者「えーと‥‥‥」
冒険者「あっ! てめっ! 逃げっ‥‥‥」
ギン「倒せてねぇなぁ?!?! お前ら!!!!!💢」
冒険者「サーセンっっっ!!!!!」
冒険者「実は自分ら、お強いギンさんについていけば‥‥‥」
冒険者「ギンさんがどんどん魔物を倒していって‥‥‥ すげぇラクできると思ったんすよ‥‥‥!」
ギン「あぁ?! 役立たずがっ!!!!!!!!」
ギン「俺は『仲間』を募集したんだぞっ! 『足手まとい』なんか募集してねぇっ!」
冒険者「いやぁ‥‥‥でも、この惚れ惚れする 一刀両断を生で見れたのは良きかな‥‥‥」
ギン「お前らはクビだっ!!!!! 帰れ!!!!!!」

〇新緑
  〜更に別の日〜

〇木の上
冒険者「そっち行ったぞ!」
また別の冒険者「ピマーホッ!」
ギン「おぉ、お前らスゴイスゴイ!」

〇おしゃれな廊下
「お疲れ様でした〜!」
ギン「おぅ、お疲れ様でした! 今日はありがとう〜」
ギン((今回の『仲間』は、ちゃんと戦える  奴らでよかったぁ))
ギン「あとは宿屋で各自休憩で、明日 朝のヒツジの刻に玄関で待ち合わせ‥‥‥」
陽キャ冒険者「よっしゃーーー!!!! 呑むぞーー!!!!!」
酒乱冒険者「イェエエーーーーイ!!!!!!!」
ギン「これから、飲むんすか‥‥‥?」
酒乱冒険者「逆に、呑まないのん?」
ギン「え‥‥‥?」
「・・・・・・」
陽キャ冒険者「勇者さんも呑みましょうよ!」
ギン「やる事あるから、ちょっと‥‥‥」
陽キャ冒険者「へ、へぇ‥‥‥じゃあ俺らは、 1階のバーで他の人らと呑んでますね〜」
ギン((‥‥‥やばい))
ギン((あいつら、陽キャだ‥‥‥))

〇暖炉のある小屋
ギン「‥‥‥‥」
ギン「〆切の、ネの月までに書き終わるだろうか‥‥‥」
ギン「いや。”書き終える”んだ。 頑張れ、能無し字書き‥‥‥」
ギン「‥‥‥‥」
ギン「‥‥‥‥」
ギン「‥‥‥‥」
ギン「(うるせぇえええーー!!!!!!!)」
ギン「(ここはアレか?! 陽キャの巣窟か?!)」
ギン「(宿とバーの同時設置は、いけねぇよ!)」
ギン((耳に耳栓すりゃ、何とかなるかな‥‥‥))
ギン「‥‥‥よし、作業再開‥‥‥」
酒乱冒険者「わはは〜 ギンたん、何してるのぉ〜?」
酒乱冒険者「ふわぁあ〜! 字がいっぱいらのぉ〜」
酒乱冒険者「深夜にお勉強、エライのぉおお〜♡」
ギン「‥‥‥違います」
酒乱冒険者「ちがうのぉ? じゃあ何? アタチに見せてぇ〜ん♡」
ギン「‥‥‥‥」
ギン((親父‥‥‥))
ギン((やっぱ俺、仲間なんていらねぇよ‥‥‥))

〇英国風の部屋
  〜ギンの旅立ち前〜
ギン「じゃあ、北に行って 情報集めたり何やらしてくるぜ」
ギン「小説を書きながらな!!!!!」
キン(父上)「俺のわがままボディ‥‥‥ もとい、腰が本当にすまない‥‥‥」
キン(父上)「‥‥‥なぁ。道中は旅の仲間を雇えよ‥‥‥?」
キン(父上)「いくらお前が強いといえど、 1人は危険だからな‥‥‥」
ギン「別に大丈夫だって。 んな、アホみたいな無理する気ないし」
キン(父上)「あと、お前‥‥‥ぶっちゃけ‥‥‥」
キン(父上)「戦闘と文字書き以外の能力ないだろ‥‥‥?」
キン(父上)「ご飯は、どうするんだ‥‥‥?」
キン(父上)「お前、俺のウマいメシで舌だけは 肥えてるからな‥‥‥」
ギン「うっさいな〜 ひまわりの種とかぼちゃの種と 水で充分生きていけるって!」
ギン「自炊する暇あったら、創作活動にあてたい」
キン(父上)「えぇ‥‥‥?」
キン(父上)「木の実ポリポリポリポリ食ってる武人、 サマにならなくない?」
キン(父上)「‥‥‥だから『仲間は必要』なんだってば」
キン(父上)「自分が危機の時、心折れそうな時、 病みそうな時に支え合える仲間っていいぞ!」
ギン「それは陽キャの言い分であって、 陰キャは『仲間』なんている自体が 病むきっかけになる可能性あるぞ」
キン(父上)「‥‥‥‥」
キン(父上)「そ、そうなのか‥‥‥?」
ギン「ってか、親父に『危機の時も心折れそうな 時も病みそうな時も』なくね‥‥‥?」
キン(父上)「‥‥‥言われてみれば‥‥‥‥‥‥ないな‥‥‥‥‥」
キン(父上)「‥‥‥とにかく! 小説のネタとして、 極力『仲間』と旅する方向でやってみろよ」
キン(父上)「そうだ。北の方にはオージュが 住んでるだろ!」
キン(父上)「あいつに事情を話したら、 手伝ってくれるんじゃないか?」
ギン「オージュ・ウォゲさんね‥‥‥」
ギン「いや。 オージュ‥‥‥“先生”だな」

〇魔法陣
  魔法師のオージュ・ウォゲは、
  親父が『魔物討伐行脚』をしていた時の
  仲間の1人だ。
  魔物の数が落ち着いてからは、
  そのままの名でホラー小説家として
  デビューした。
  出す本はどれもメチャクチャ怖く、
  俺も含めて当時の子供のほとんどは
  トイレに行けなくなった程だった。

〇英国風の部屋
ギン「全国の子供らがトイレ行けなくなるほどの あんなモン書く人が、お優しく手伝ってくれるかな‥‥‥」
キン(父上)「書いたもんにはちょっと驚いたけど‥‥‥ あいつ、イイ奴だから手伝ってくれるって!」
キン(父上)「強いから、足手まといにもならんぞ?」
ギン「まぁ‥‥‥会えたらいいな。はいはい」
ギン「‥‥‥」
ギン「では、いってきます!!!!!!」
ギン「‥‥‥散らかってるあんたの部屋、 腰やらない程度に少しは片付けとけよ?」
ギン「なんで、本も読まないくせに 部屋にやたら本あるんだよ?」
キン(父上)「さぁ‥‥‥? いつの間にあんなたまってたんだろうな?」

〇怪しげな酒場
ギン((‥‥‥ちょっと地元を離れただけで、  何かもう好みの味じゃない‥‥‥))
ギン((・・・))
ギン((仲間、かぁ‥‥‥))
冒険者「あの‥‥‥この前はすみませんでした‥‥‥」
冒険者「今度は、キミに頼る気分で 戦闘しないようにするから‥‥‥」
ギン((反省はしてるけど、でも‥‥‥))
ギン「ところで、最近読んだ本はありますか?」
冒険者「卑猥な写真集しか見てないっすけど?」
冒険者「活字はちょっと〜‥‥‥苦手かなぁ」
ギン「── あぁ。じゃあいいです。 ありがとうございました」

〇森の中
ギン((気が合う仲間がほしい‥‥‥という条件は、  だいぶワガママなのだろうか))
ギン「ハァ‥‥‥」
ギン「ハァ‥‥‥」
ギン「‥‥‥‥‥‥‥」
ギン((‥‥‥今の俺、ノールックで魔物を  倒さなかった?))
???「・・・」
ギン「・・・?」
ギン「‥‥‥こんにち、は?」
???「・・・」
ギン((旅の魔法使い、だろうか))
???「・・・」
ギン((拍手‥‥‥?))
ギン((え‥‥‥なんか‥‥‥))
ギン((怖い‥‥‥!))
???「・・・」

〇けもの道
ギン((な、なんなんだ‥‥‥?!))
ギン((拍手しながら、追ってくる‥‥‥?!))

〇岩穴の出口
ギン((マジで何???!!!!))
ギン((わからん!!!!!!!!!))
ギン((もしかして‥‥‥これは呪術の一種か?!))
ギン((なんだ? この呪術のかけ方は‥‥‥?  聞いたことも読んだこともない‥‥‥))
???「・・・」
ギン((後ろから‥‥))
ギン((何かを出そうとしている‥‥‥?))
  (ナイフか? 何か、毒物か‥‥‥?)

次のエピソード:5/読書感想文から始まる文章執着劇場

コメント

  • 考え事しながらシレっと魔物殴り倒してるギンくん好きwww(笑)。漫画で再現されるのが楽しみです😊
    ヒーラーくんの独特な地味ぃな初登場がこれまたかわいいですわ…💞

  • わがままボディで草生えました😂
    親父ぃの美味い手料理で舌を鍛えられてるのは愛されてる証拠ですね👏
    でも実質フルグラ(ひまわり種&かぼちゃ種+水分)みたいな簡易食で済ませて、時間圧縮して執筆にあてたい気持ち、分からなくもないです🤤

    最後出てきたのは陰キャ仲間ですかね😂
    コミュ障極まりすぎてホラーじゃないすか…感情表現下手なの可愛かったです🤣

  • こんばんは
    書いてあるとおりお父様の
    わがままボディ発言はそうゆう意味じゃねえのよ親父

    ってぎんくんのツッコミが聞こえてきそうな気がして好きでした☺️

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