4話 りぃる編:路地(脚本)
〇綺麗な会議室
鈴喜真琴(すずき まこと)「辞めた方がいいって、なんで?」
鈴喜真琴(すずき まこと)「あんたなんか知ってるの?」
悲河瑠璃(ひかわ るり)「別に大したことは知りませんよ。さっきだって、だいぶ適当言いましたし」
悲河瑠璃(ひかわ るり)「先輩のwhispperアカってほぼ告知専用ですけど、めあのんとは唯一会話してましたよね」
鈴喜真琴(すずき まこと)「まあ、うん」
悲河瑠璃(ひかわ るり)「どういう関係かは知りませんが、あの先輩が頻繁に会話するほどの人です」
悲河瑠璃(ひかわ るり)「亡くなったと聞いて不安になり暴走することも仕方ないこと」
鈴喜真琴(すずき まこと)「暴走?」
悲河瑠璃(ひかわ るり)「暴走です」
悲河瑠璃(ひかわ るり)「今の先輩の行動を考えてみてください」
悲河瑠璃(ひかわ るり)「ネットで知った相手に単身会いに行き、不穏な空気を隠しもしない」
悲河瑠璃(ひかわ るり)「僕はたまたま中学の後輩だっただけですよ」
悲河瑠璃(ひかわ るり)「見ず知らずなだけならまだしも、真っ当じゃない人間が出てくる可能性だってある」
悲河瑠璃(ひかわ るり)「そんな相手にも、さっきみたいな不審行為するつもりですか?」
鈴喜真琴(すずき まこと)「・・・中学とかでやる啓発講座みたいなこと言うじゃん」
悲河瑠璃(ひかわ るり)「ありましたね。実名出すな顔写真送るなネットは嘘だらけ!っていう」
鈴喜真琴(すずき まこと)「流石に言い過ぎだとは思うけど」
悲河瑠璃(ひかわ るり)「まあ、今時顔も名前も出して、仕事取ってきてる学生普通にいますからね」
悲河瑠璃(ひかわ るり)「でも先輩はいろいろ出さない派だったじゃないですか」
悲河瑠璃(ひかわ るり)「それがこれですよ。明らかに冷静じゃない」
鈴喜真琴(すずき まこと)「だから辞めた方がいいって?」
悲河瑠璃(ひかわ るり)「はい」
鈴喜真琴(すずき まこと)(こいつのズケズケ言うとこ、わりと嫌いじゃなかったけど)
鈴喜真琴(すずき まこと)(効くなあ、これ)
鈴喜真琴(すずき まこと)「まあ、正直行き当たりばったりなのは認めるけど」
鈴喜真琴(すずき まこと)(言ってる内容は理解できる。でも、今冷静になったら・・・)
鈴喜真琴(すずき まこと)(耐えられない)
鈴喜真琴(すずき まこと)「・・・聞いてなかった。あんたさ、本当にめあのんのこと知らないの?」
悲河瑠璃(ひかわ るり)「知りません。先輩と仲が良さそうってことと、一回僕の曲歌ってたことしか」
悲河瑠璃(ひかわ るり)「まあ、信じてもらえるかは分かりませんけど」
鈴喜真琴(すずき まこと)(それはそう。よく考えてみれば、これは悪魔の証明だ)
鈴喜真琴(すずき まこと)(ひめが「誰に」「どうやって」裏切られたかも分からないで犯人探しなんて)
鈴喜真琴(すずき まこと)(問い詰めたら簡単に分かる気がしてたけど、そんなはずない──)
悲河瑠璃(ひかわ るり)「あの、先輩?」
悲河瑠璃(ひかわ るり)「一応聞いときたいんですけど、めあのんとどういう関係だったんですか?」
鈴喜真琴(すずき まこと)「・・・友達。高校の」
悲河瑠璃(ひかわ るり)「え、リア友ですか?! 友達とか面倒って言ってたのに」
鈴喜真琴(すずき まこと)「めあのんは特別だし」
悲河瑠璃(ひかわ るり)「デレデレじゃないですか。人って変わるんですねえ」
鈴喜真琴(すずき まこと)(親戚のおじさんみたいな発言やめて欲しい)
鈴喜真琴(すずき まこと)「というか、変わったのはそっちもでしょ」
鈴喜真琴(すずき まこと)「記事。NN.Netの息子とか晒してるけど、変なオタクとかアンチとか来たらどうするの」
悲河瑠璃(ひかわ るり)「・・・そうですね。先輩みたいな怖い人が来ちゃいましたし。浅慮でした」
鈴喜真琴(すずき まこと)「・・・」
悲河瑠璃(ひかわ るり)「まあ兄も個人情報公開派ですし、NN.Netのことくらいなら良いかなと」
悲河瑠璃(ひかわ るり)「あれ、通知切ってたと思ったんですけど」
悲河瑠璃(ひかわ るり)「・・・すみません、ちょっと用事できました」
悲河瑠璃(ひかわ るり)「ということで申し訳ないんですけど帰ってもらえます?」
鈴喜真琴(すずき まこと)「えぇ、急」
悲河瑠璃(ひかわ るり)「先輩も急に来たじゃないですか」
悲河瑠璃(ひかわ るり)「えーっととにかく。リア友が自殺して不安定なのかもしれないですけど」
悲河瑠璃(ひかわ るり)「裏切り者探し?犯人探しとか徒労そうなんで辞めることをお勧めします」
悲河瑠璃(ひかわ るり)「最近物騒ですし、いろいろ」
〇休憩スペース
悲河玻璃(ひかわ はり)「ああ、瑠璃か。もういいのか?」
悲河瑠璃(ひかわ るり)「うん。あ、先輩の利用料立て替えるから記録しといて」
悲河玻璃(ひかわ はり)「え? あぁ、いいけど。鈴喜さんだっけ、もう帰るの?」
鈴喜真琴(すずき まこと)「あー、はい。そうっぽいです」
悲河玻璃(ひかわ はり)「そうっぽい・・・?」
鈴喜真琴(すずき まこと)(いやまあぶっちゃけ作業する内容ないし)
鈴喜真琴(すずき まこと)(何よりも帰れオーラ凄いんだよな悲河)
悲河瑠璃(ひかわ るり)「じゃあそういうことなので。先輩、取り敢えず帰って寝た方がいいですよ」
悲河瑠璃(ひかわ るり)「中学の時より隈悪化してますし」
悲河瑠璃(ひかわ るり)「睡眠足りてないんじゃないです?今日頭回ってなかったですし」
鈴喜真琴(すずき まこと)「あんた嫌味言わないと気済まないの?」
鈴喜真琴(すずき まこと)「えーっと、悲河のお兄さん。失礼しました」
〇街中の道路
鈴喜真琴(すずき まこと)(なんか流れで追い出されてしまった・・・)
鈴喜真琴(すずき まこと)(用事ができたって言ってからの悲河の様子、変だったな)
鈴喜真琴(すずき まこと)(いや、それ以前──最初からか。なんか強制力があるというか)
鈴喜真琴(すずき まこと)(圧かけるような話し方するタイプじゃないと思ってたんだけど)
鈴喜真琴(すずき まこと)(というか、いくらなんでも察しが良すぎる)
めあのんの死の原因がロイドpにあると思って
探して殺しに来たんじゃないか
鈴喜真琴(すずき まこと)(ひめが死んだことや、私と会話が多かったことを知ってるのは分かる)
鈴喜真琴(すずき まこと)(りぃるはwhispperよく使ってたし、めあのんもフォローしてたし)
鈴喜真琴(すずき まこと)(ロイドpって言った理由は? 自分がロイドpだから?)
鈴喜真琴(すずき まこと)(多少不審だったとしても「殺しに来た」は流石に突飛すぎない?)
鈴喜真琴(すずき まこと)(やっぱり何か知ってる?)
鈴喜真琴(すずき まこと)(いや、知らないって言ってたし・・・それを証明する方法もないんだけど)
鈴喜真琴(すずき まこと)(ダメだな、やっぱ頭回んないや)
鈴喜真琴(すずき まこと)「はあ」
暴走。冷静。悪魔の証明。
鈴喜真琴(すずき まこと)(そもそもNN.Netに来たのだってたまたま記事が見えたからってだけ)
鈴喜真琴(すずき まこと)(あーどうしよっかな)
鈴喜真琴(すずき まこと)(水・・・)
鈴喜真琴(すずき まこと)(あ、やっば)
鈴喜真琴(すずき まこと)(無いなこれ。絶対さっきの会議室に忘れてきてる)
鈴喜真琴(すずき まこと)(130円のペットボトルだし、掃除とかで捨てられても構わないけど)
鈴喜真琴(すずき まこと)(まあ、取りに行くか。建て替えとか言われたけど利用料もやっぱ払いたいし)
鈴喜真琴(すずき まこと)(引き返す口実探してたわけじゃない・・・多分)
〇ビルの裏通り
鈴喜真琴(すずき まこと)(来る時も思ったけど雑居ビルの2階ってちょっと入りづらいよな)
???「だから調子乗んなって言ってんだよ!」
鈴喜真琴(すずき まこと)「えっなに」
鈴喜真琴(すずき まこと)「奥の・・・路地?」
鈴喜真琴(すずき まこと)「えっここ治安悪いとこだったの?」
鈴喜真琴(すずき まこと)「通報・・・?いや状況がわからないことにはなんとも」
鈴喜真琴(すずき まこと)「とりあえずワンタップで通報できる感じで」
〇ビルの裏
謎の男「ふざけんじゃねえ、あの人の良さもわからないくせに」
悲河瑠璃(ひかわ るり)「だからあの人、あの人ってそれが誰なんですかって聞いてるんですけど」
謎の男「言うわけないだろ!あの人の邪魔になるような奴に・・・!」
鈴喜真琴(すずき まこと)(え、悲河?!なにこの謎状況、漫画か? いや普通にやば)
鈴喜真琴(すずき まこと)(あ、避けてる・・・ギリギリだけど)
鈴喜真琴(すずき まこと)(これ通報して間に合う?)
悲河瑠璃(ひかわ るり)「────」
謎の男「あぁ?!」
鈴喜真琴(すずき まこと)(悲河なんて言ってんのか聞こえない・・・てか相手怒ってるけど煽ってる?)
鈴喜真琴(すずき まこと)(何やってんのまじで)
鈴喜真琴(すずき まこと)(これ通用するのかな・・・無理だったらそんとき考えよ)
警察?「警察だ!」
リィる君のピンチ、やはりある程度ネットに情報上げてたから狙われた?まことは救うことができるのか、更に気になります!
纏めて一気読みしてしまいました。
会話がバチクソ面白いです。結構な分量だと思うのですが、あっという間でした。ただの推理だけでなく、カマかけたり、途中でご尤もなツッコミが入ったり、と飽きがない。ずっと読んでいたいくらいでした👍👍👍