6 サービス終了(脚本)
〇男の子の一人部屋
あれから数日が経った。気付けば3月1日と成って居て、アズが高校を卒業する日が近く成っていた。新学期に成ればアズは
事実上俺の後輩。何処かしらで関わる機会も増えるだろう。あの時、アズはこれからを私達で変えようと言ってたが、
あれを恋愛的な意味で捉えて良いか迷っていたが、アズに対して何かして上げたいと言う気持ちの方が強かった。難しいミッションを
一緒に攻略するか、誰も知らないレアアイテムを探しに行くか、リアルで何かプレゼントをしようか、思い付く事は沢山有った。
アズに対して何かして上げたい。そんな事を考えてたら、心オープンワールドの運営からメッセージが届いた。
神代昂輝「運営側からメッセージ?珍しいな。新しいイベントでもやるのか?」
俺は送られたメッセージを見て唖然とした。メッセージの内容は、心オープンワールドの配信サービスが、3月9日を持って
終了する事。それに伴い、大型ボスの討伐ミッションを実施するとの事だった。
神代昂輝「マジかよ・・・心オープンワールドが、終わる!?」
余りにも突然の事で理解が追い付かなかった。あのゲームには沢山の思い入れや思い出が有り、何よりアズと出会った掛け替えの無い
ゲームだ。だが、運営は大型ボス討伐ミッションを実施するとの事なので、俺はこれをチャンスだと思った。
俺はスマホを片手に、アズに連絡を入れて、街中のカフェで待ち合わせをする事にした。
〇レトロ喫茶
霧島梓「コウ君!お待たせ!」
神代昂輝「やぁ、お疲れ様!」
夕方、俺は学校帰りのアズとカフェで合流した。呼び出しの要件は、心オープンワールドの事だ。
神代昂輝「運営からメッセージ来たと思うけど、見た?」
霧島梓「見たよ。寄りに寄って私が高校卒業する前日にサービス終了って」
神代昂輝「本当、どう成るか分かった物じゃ無いよね。あれから、俺は君に対して何かして上げたいと思ってたんだ。運営は大型ボスの」
神代昂輝「討伐ミッションを実施するって言ってたんだ。アズ、俺と一緒にやってくれないか?」
俺からの誘いを聞き、アズは迷わず答えた。
霧島梓「私は最初からそのつもりだったよ。コウ君が言わなかったら、私から誘うつもりだった」
神代昂輝「そっか!良かった、声掛けといて」
俺達の気持ちは一緒だった。後は悔い無くゲームに挑むべく、準備を進めるだけだった。
俺達は折角カフェに来たので、各々コーヒーを飲みながらお互いの思い出を語る。
霧島梓「最初は只、ストレス発散したいって気持ちと楽しみたいって気持ちでこのゲームを始めたんだけど、」
霧島梓「物凄く難しくて頭パニックに成って逃げ回ったよ。慌ててたけど、コウ君の狙撃カッコ良かったよ」
神代昂輝「まぁ、そこは流石俺!って所かな?サツを倒して銃をゲット出来たときは本当盛り上がった」
霧島梓「本当、流石コウ君。コウ君が言った通り、最初に出会って助けてくれたのがコウ君で良かった。あのゲームで得た感情は」
霧島梓「何もかも新鮮で、短い期間だっけど本当に楽しかった。ラストミッション、私達で絶対勝とうね!」
神代昂輝「あぁ、全力で暴れよう!しかしまぁ、あの時助けたおっさんが、まさか女の子だなんて、想像すら出来なかったよ。あの驚きは」
神代昂輝「今でも忘れない」
霧島梓「まぁ、色々有りましたから」
お互いの健闘を称えた俺達は、ラストミッション当日までやれる事をやる事にした。