〇謎の施設の中枢
キープレート学園長「分かたれたわが半身」
キープレート学園長「再びひとつに戻りましょう」
堕天使アクロマート「ふふふ・・・」
堕天使アクロマート「ははははは！」
堕天使アクロマート「魔力が体内を循環し、生成される」
堕天使アクロマート「実に懐かしい感覚だ」
堕天使アクロマート「あとはプルウィルストーンだな」
堕天使アクロマート「地上と神界に＜虹＞が架かり」
堕天使アクロマート「ようやく・・・夢が叶う」
ノエル・エンジェライト「・・・神への復讐を？」
堕天使アクロマート「いいえ」
堕天使アクロマート「わたしはイリデッセンスを救いたいのです」
堕天使アクロマート「復讐などと、とんでもない」
ノエル・エンジェライト「救う、とは・・・」
堕天使アクロマート「少し、昔話をしましょうか」
堕天使アクロマート「プルウィルストーンは ヴィオラが持っているのでしょう」
堕天使アクロマート「彼女たちが来るまで しばし時間がありますからね」
ノエル・エンジェライト「・・・・・・」

〇幻想
ヴィオラ・コーディエ「学園長・・・いや」
ヴィオラ・コーディエ「アクロマートはクリファ塔にいるのかな」
女神イリデッセンス「おそらく」
女神イリデッセンス「天使石――エンジェライトを使って 守護天使を遣わせたものの」
女神イリデッセンス「彼の野望を止めることはできなかった」
ヴィオラ・コーディエ「エンジェライト・・・!?」

〇幻想
女神イリデッセンス「天使石は神から造り出され 天使は天使石から生まれる」
女神イリデッセンス「わたくしは２つの天使石から スリエルとマトリエルを造った」
女神イリデッセンス「ですが──」
女神イリデッセンス「アクロマートとの戦いで 力の大半を使ったわたくしは」
女神イリデッセンス「３つ目の天使石を造り出せなかった」
女神イリデッセンス「わたくしは２つの天使石を少し砕き」
女神イリデッセンス「マトリエルに命じて その破片を人間の女性に飲ませた」

〇可愛らしいホテルの一室
女神イリデッセンス「その女性は身ごもっていたから」
女神イリデッセンス「天使の力を持つ子どもが 生まれるかもしれないと──」

〇幻想
ヴィオラ・コーディエ「それがノエル・・・？」
女神イリデッセンス「失策でした」
女神イリデッセンス「まさかアクロマートに利用されるとは」
ヴィオラ・コーディエ「なんだよ、それ・・・」
女神イリデッセンス「プルウィルストーンがなければ ＜虹＞が架かることはない」
女神イリデッセンス「わたくしが力を取り戻すまで どこかに隠しておけば・・・」
ヴィオラ・コーディエ「シグバートとノエルはどうなるんだよ！」
ヴィオラ・コーディエ「友だちなんだ！ 絶対助ける！」
ヴィオラ・コーディエ「それに父さんのことも！」
女神イリデッセンス「・・・・・・」

〇謎の施設の中枢
堕天使アクロマート「イリデッセンスに造られたきみは 天使でもあり人間でもあり」
堕天使アクロマート「天使でもなく人間でもない」
堕天使アクロマート「そんな曖昧な存在だからこそ 導かなければならなかった」
ノエル・エンジェライト「ぼくが・・・天使の力を失わないように」
堕天使アクロマート「うまくいっていたと思っていたのですがね」
堕天使アクロマート「ミモザくんに罪を打ち明けたのですか？」
ノエル・エンジェライト「・・・ええ」
堕天使アクロマート「優しい言葉をかけられて その気になってしまったのですか」
堕天使アクロマート「哀れですね」
堕天使アクロマート「傷のなめ合いをしたところで 犯した罪が消えるわけではないのですよ」
ノエル・エンジェライト「・・・わかっています」
堕天使アクロマート「ならば、なぜ？」
ノエル・エンジェライト「・・・わかりません」
ノエル・エンジェライト「それでもぼくは・・・」

〇中世の街並み

〇原っぱ
ヴィオラ・コーディエ「ミモザ、だいじょうぶ？」
ミモザ・クラリティ「・・・ごめんなさい 心配させてしまって」
ヴィオラ・コーディエ「勝手にしゃべっていいのか ちょっと迷ったんだけど」
ヴィオラ・コーディエ「やっぱ黙ってられなくてさ」
ヴィオラ・コーディエ「けど、余計なことだったかな」
ミモザ・クラリティ「・・・いいえ」
ミモザ・クラリティ「ノエルさん・・・」
ミモザ・クラリティ「孤児だって話してくれたとき あんなに辛そうにしていたのに」
ミモザ・クラリティ「どうして・・・」
ヴィオラ・コーディエ「・・・けどさ」
ヴィオラ・コーディエ「ミモザが傍にいてやれば ノエルはきっとだいじょうぶ」
ミモザ・クラリティ「そうでしょうか」
ミモザ・クラリティ「・・・ううん、もしそうじゃなくても」
ミモザ・クラリティ「わたし、ノエルさんと一緒にいたいです」
ヴィオラ・コーディエ「うん」
ミモザ・クラリティ「女神様にも学園長にも、他の誰にも」
ミモザ・クラリティ「ノエルさんを利用させたりしません！」
ヴィオラ・コーディエ「なら、しっかり捕まえておかないとな」
ヴィオラ・コーディエ「じゃないと、どっか行っちゃうかもよ？」
ミモザ・クラリティ「はい・・・」
ヴィオラ・コーディエ（てか、ミモザが一緒じゃないと）
ヴィオラ・コーディエ（あいつ、なにするかわかんないしな）
ヴィオラ・コーディエ「グランメル行きのポータルは ディアの北東だよな？」
ヴィオラ・コーディエ「さ、急ごう！」
ミモザ・クラリティ「はい！」
ヴィオラ・コーディエ（待ってろよ、ふたりとも）
「待てっ！」
ヴィオラ・コーディエ「おまえら、また来たのかよ」
賞金稼ぎパステル「うるせえ！」
賞金稼ぎトーナル「ん？ おまえら、ふたりだけか？」
賞金稼ぎトーナル「なら勝機はあるな」
ヴィオラ・コーディエ「ふざけんな！」
ヴィオラ・コーディエ「あたしたちだって魔道士なんだ！」
ミモザ・クラリティ「おふたりを助けにいくためにも」
ミモザ・クラリティ「負けるわけにはいきません！」
ヴィオラ・コーディエ「行くぞッ！」

〇謎の施設の中枢
堕天使アクロマート「ノエルくん」
堕天使アクロマート「人間ごっこは楽しめましたか？」
堕天使アクロマート「しょせん、きみはまがい物」
堕天使アクロマート「天使にもなれず、人間でもない」
ノエル・エンジェライト「・・・ぼくは、人間です」
ノエル・エンジェライト「貴方の思惑どおり、天使になれれば」
ノエル・エンジェライト「感情に惑わされることは なかったかもしれない」
ノエル・エンジェライト「でも・・・」
堕天使アクロマート「彼女への想いが自分を人間にしたと？」
堕天使アクロマート「存外つまらないことを言うのですね」
ノエル・エンジェライト「ぼくは・・・」
「・・・だ」
シグバート・フォン・ブラッドショット「ノエルは・・・人間だ」
シグバート・フォン・ブラッドショット「もしノエルが人間じゃないなら」

〇クルーザーのデッキ
シグバート・フォン・ブラッドショット「意地を張って自分の気持ちを否定したり」

〇森の中
シグバート・フォン・ブラッドショット「冷静さを失ったりしないはずだ」

〇謎の施設の中枢
シグバート・フォン・ブラッドショット「わかっていたからこそ ノエルの感情を抑えつけたんだろう！」
堕天使アクロマート「・・・よく囀りますね」
堕天使アクロマート「シグバートを黙らせなさい」
シグバート・フォン・ブラッドショット「ぐ・・・！」
「がっ・・・ああ・・・！」
堕天使アクロマート「そこまでにしておきなさい」
堕天使アクロマート「死んでしまっては使えなくな・・・」
ノエル・エンジェライト「・・・父さん」
堕天使アクロマート「・・・なんのつもりですか？」
ノエル・エンジェライト「・・・いえ ・・・堕天使アクロマート」
ノエル・エンジェライト「ぼくを人間ではないと言うのなら それでも・・・かまいません」
ノエル・エンジェライト「この力―― 貴方を退けるために使います」
アイオ・コーディエ「愚かな・・・」
アイオ・コーディエ「この剣の錆びにしてやろう」
堕天使アクロマート「下がりなさい、アイオ」
堕天使アクロマート「おまえの手には余ります」
アイオ・コーディエ「・・・御意」
堕天使アクロマート「きみにわたしが斬れるのですか？」
ノエル・エンジェライト「・・・・・・ ・・・斬ります」
堕天使アクロマート「・・・まがい物が」
堕天使アクロマート「よろしい」
堕天使アクロマート「反抗する気が二度と起きぬよう しつけ直してあげましょう」

〇原っぱ
ヴィオラ・コーディエ「どうだ！」
賞金稼ぎパステル「くっそぉ・・・！」
賞金稼ぎトーナル「今度こそどうにかなると思ったのに」
ヴィオラ・コーディエ「見くびるなっての」
ミモザ・クラリティ「ヴィオラさん、お怪我は？」
ヴィオラ・コーディエ「うん、だいじょうぶ」
ヴィオラ・コーディエ「ミモザもだいじょうぶそうだな」
ミモザ・クラリティ「はい」
ヴィオラ・コーディエ「じゃ、急ごうぜ」
ヴィオラ・コーディエ「魔物か!?」
ミモザ・クラリティ「いえ、あの・・・」
賞金稼ぎパステル「このまま死にたくねえ・・・」
賞金稼ぎトーナル「せめて最期に・・・腹いっぱい・・・」
「・・・・・・」
ミモザ・クラリティ「ヴィオラさん・・・」
ヴィオラ・コーディエ「ええっ？」
ヴィオラ・コーディエ「・・・しょうがないな」
ヴィオラ・コーディエ「ほら」
賞金稼ぎトーナル「は？」
賞金稼ぎパステル「なんで・・・」
ヴィオラ・コーディエ「ちゃんと食べろよ！」
ヴィオラ・コーディエ「急ごう、ミモザ！」
賞金稼ぎパステル「これ、毒とか盛られてないよな」
賞金稼ぎトーナル「俺らじゃあるまいし」
賞金稼ぎパステル「・・・食うか」
賞金稼ぎパステル「ううっ、うめえ」
賞金稼ぎトーナル「・・・自分が情けなくなってきた」
賞金稼ぎパステル「アタシも・・・」
賞金稼ぎトーナル「まじめに働くか」
賞金稼ぎトーナル「俺たち、戦いには向かないようだしな」

〇謎の施設の中枢
ノエル・エンジェライト「はあ・・・はあ・・・」
堕天使アクロマート「もう限界ですか？」
ノエル・エンジェライト「・・・っ」
堕天使アクロマート「きみの魔力はすさまじい」
堕天使アクロマート「だがそれは、人間どもと比べての話」
堕天使アクロマート「半身を取り戻したわたしに 敵うわけがないでしょう？」
シグバート・フォン・ブラッドショット（あのノエルがあれほど苦戦するとは）
シグバート・フォン・ブラッドショット（やはりオレたちでは勝てないのか・・・）

〇霧の立ち込める森
ヴィオラ・コーディエ「どっちから来たんだっけ？」
ヴィオラ・コーディエ「似たような景色だから わかんなくなってきた」
ミモザ・クラリティ「ヴィオラさん、あれ！」
ミモザ・クラリティ「一定間隔で続いてます」
ヴィオラ・コーディエ「シグバートとノエルが 目印に残してくれたのかな」
ミモザ・クラリティ「追いましょう！」
ヴィオラ・コーディエ「うん！」

〇謎の施設の中枢
堕天使アクロマート「そろそろヴィオラたちが来るころか」
堕天使アクロマート「・・・諦めが悪いですね」
堕天使アクロマート「どうせ敵わぬのです おとなしくしていなさい」
ノエル・エンジェライト「・・・いいえ」
ノエル・エンジェライト「ぼくはもう逃げません」
ノエル・エンジェライト「自分の気持ちからも、犯した罪からも」
ノエル・エンジェライト「父さん、貴方からも！」
シグバート・フォン・ブラッドショット（手足が痺れる・・・ 頭がうまく回らない）
シグバート・フォン・ブラッドショット（だが・・・）
シグバート・フォン・ブラッドショット（オレだって、諦めるわけにはいかない！）
シグバート・フォン・ブラッドショット「燃えろッ！」
アイオ・コーディエ「なっ・・・！」
「ノエル！」
シグバート・フォン・ブラッドショット「足を引っ張って悪かった」
ノエル・エンジェライト「無理はしないほうが・・・」
シグバート・フォン・ブラッドショット「ここで無理をしなければ、奴には勝てない」
シグバート・フォン・ブラッドショット「立ち向かうことを諦めた者に未来はない！」
シグバート・フォン・ブラッドショット「抗うんだ、最期の一瞬まで！」
ノエル・エンジェライト「・・・はい！」

〇らせん階段
ヴィオラ・コーディエ「空気が重いな」
ミモザ・クラリティ「禍々しい気配・・・」
ヴィオラ・コーディエ「シグバート、ノエル！ 無事でいろよ！」

〇謎の施設の中枢
シグバート・フォン・ブラッドショット「ぐっ・・・！」
堕天使アクロマート「きみももう限界でしょう？」
堕天使アクロマート「運命に身をゆだねなさい」
ノエル・エンジェライト「まだです・・・！」
堕天使アクロマート「・・・やれやれ 育て方を間違えましたね」
堕天使アクロマート「・・・来たか」
ヴィオラ・コーディエ「父さん！」
アイオ・コーディエ「・・・・・・」
ミモザ・クラリティ「シグバート様！ ノエルさん！」
ミモザ・クラリティ「シグバート様、すぐ解毒します！」
シグバート・フォン・ブラッドショット「ミモザ・・・記憶が戻ったんだな」
ミモザ・クラリティ「はい」
シグバート・フォン・ブラッドショット「そうか」
シグバート・フォン・ブラッドショット「すまなかったな あとは自分で回復できる」
ミモザ・クラリティ「ですが・・・」
シグバート・フォン・ブラッドショット「ノエルの消耗も激しい あいつのところに行ってやれ」
ミモザ・クラリティ「は、はい！」
ヴィオラ・コーディエ「父さん！」
アイオ・コーディエ「・・・・・・」
ヴィオラ・コーディエ「父さんっ！ 聞こえてないのか!?」
堕天使アクロマート「無駄ですよ」
堕天使アクロマート「わたしが命じなければ きみのことなど思い出しもしない」
堕天使アクロマート「わたしの魔力で動くだけの 生ける屍、ただの傀儡です」
ヴィオラ・コーディエ「学園長・・・」
ヴィオラ・コーディエ「いや、アクロマート！」
ヴィオラ・コーディエ「1000年前の復讐とか そんなのどうでもいい」
ヴィオラ・コーディエ「おまえの思いどおりにはさせない！」
堕天使アクロマート「どこから聞いたのかは知りませんが」
堕天使アクロマート「わたしは復讐など望んでいません」
ヴィオラ・コーディエ「どういうことだよ！」
堕天使アクロマート「イリデッセンスを救いたいのですよ」
堕天使アクロマート「我々の造った美しい大地を穢す きみたち下等生物どもから、ね」
堕天使アクロマート「そのために魔法学園を設立し 人間どもに魔法を与えたのですから」
シグバート・フォン・ブラッドショット「学園の設立者は大魔道士ビフロスト」
シグバート・フォン・ブラッドショット「その正体がきさまだと？」
堕天使アクロマート「神器を集めたご褒美に 真実を教えてあげましょうか」
堕天使アクロマート「さあ―― 最後の授業といきましょう」