勇者にはほしい才能がある

東龍ほフク

1・邪魔者を秒速で排除する程度の才能【後半の本屋バトル追加改定版】(脚本)

勇者にはほしい才能がある

東龍ほフク

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〇海沿いの街

〇英国風の部屋
ギン「ん〜・・・・」
ギン「くっ・・・」
ギン((前、ここはどんな感じで書いたっけ・・))
ギン「・・・」
ギン((そうか・・!  ここで主人公にこうさせれば・・))
ギン((あっ、嫌な予感がする・・・))
町人A(禁煙中)「町の南の森でモンスターが暴れてる!! 助けてくれ!!!!」
町人A(禁煙中)「勇者ギン!!!!!!!」
ギン「う・・」
ギン「ああぁぁぁぁぁぁあ!!!! もぉおおおおおおおお!!!!」
ギン「いってきます!!!!」
町人A(禁煙中)「お、おぉ〜・・カッコイイ〜・・・!」

〇林道
ギン「おまえかーー!!! モンスターァァァアア!!!!」
ギン「うるせーーー!!! 滅べ!!!!」
村人ら「おぉ、ギン君さすがぁ・・!」
村人ら「倒すの、早っ・・!」
ギン「おぅ!!!! じゃあな!!!」
村人ら「えっ・・帰るの早っ・・・」
村人ら「ホント・・朝飯前って感じで いつも爆速で倒して戻るねぇ・・」
村人ら「さすが、勇者の子孫だよなぁ・・・」

〇ヨーロッパの街並み
ギン「あ」

〇古書店
ギン((アググ・リシュケ先生の  『怠惰公務員の激情』の新装版・・))
ギン((後書きがまた、別の先生だからな))
ギン((ふふ・・死しても世代を越えて読まれる  アググ先生の本は何冊持ってても良い・・))
ギン((・・・))
ギン((しまった!とっとと帰らねば!))
ギン((ポケットに小銭あるから、本買える〜♪))

〇英国風の部屋
ギン「(ハァハァ・・)」
ギン「えっと、何だっけ・・」
ギン「俺は・・何を・・」
ギン「思いついたんだったっけか・・・」
ギン「この『人質を取られた主人公』が どうやって・・・」
ギン「事件を解決するんだっけよ・・」
ギン「くそぅ・・ せっかくアイデアがわいたのに・・」
キン(父上)「おぉい、ギン! 魔物を倒してくれた礼としてリンゴ貰ったぞぉ」
ギン「あぁ、親父・・ リンゴな、はいはい・・」
町人B(本好き)「大変だよぉ! 町にモンスターが・・!」
ギン「いってきまっ!!!!!」
キン(父上)「いってらっしゃーい」

〇ヨーロッパの街並み
ギン「倒した!!! ぜ!!!」
町の人「わぁあ!! ギン君だぁ!」
町の人「何?! 今の電光石火〜?! すごっ・・!」
ギン「じゃあな!!!!」
町の人「うわ、相変わらずセカセカしてるぅ・・」
町の人「ギンさん、何でいつもあんなセカセカしてるん?」
町の人「知らないのか?お前」
町の人「ギン君は・・・」

〇英国風の部屋
町人B(本好き)「ギン君が魔物の討伐に行くのは、 キンさんのギックリ腰がまだ 治ってないからなんだね・・?」
キン(父上)「あ〜・・ははは」
キン(父上)「でも、最近は調子いい感じですよ」
キン(父上)「だから、そろそろあいつを走らせるのは やめてあげようかなと・・」
ギン「こんなんじゃ・・・小説かけねぇー!!!!!」
ギン「文章を推敲していると、邪魔が入る・・!」
ギン「そんで、退治しに行って帰ってくると 何を考えてたか忘れてる・・!」
ギン「つぅか!最近、魔物多くね? なんで?なんで????」
町人B(本好き)「お、お疲れ様! じゃあ おばちゃんは帰るわね!」
ギン「これじゃ、今度の『アググ・リシュケ小説大賞』に間に合うかどうか・・!」
キン(父上)「でもお前、そんな賞なんて今更いるか?」
キン(父上)「だってお前、もう町内の会報誌で ちょっとした小説連載してるじゃん!」
キン(父上)「いや〜! 魔物の惨殺しかしてこなかった俺から、 よくもまぁ文系の息子が生まれたもんだ」
ギン「そんなん、誰かと競って勝ち取ったモンじゃなくて・・」
ギン「単に「趣味で書いてるの載っけてみない?」 って誘われてやってるだけだし・・・」
ギン「まぁ・・・かと言って手抜きとか妥協は してないから、いい練習にはなって良しとして・・・」
ギン「俺は、文章でちゃんとした評価や賞を 手に入れてみたいんだ・・・!」
ギン「何回も何回も、こんなに落選した・・・」
ギン「そろそろ、入賞したい!!!!!!」
ギン「・・・くそぅ・・・」
ギン「何で俺には・・」
ギン「文才がないんだ・・・!」
キン(父上)「俺、お前が子供の頃に書いて学校の廊下に 飾られた読書感想文・・嬉しかったけどなぁ」

〇林道
ギン「魔物は、こんな簡単に倒せるのに・・・」
町の人「ギン君!まだ魔物が残って・・・!」
ギン「あぁ、知ってる」
ギン「魔法も、こんなサクサク使えるのに・・・」
ギン「・・・」

〇大樹の下
近所の子供「ギン君っ・・・! 足速いっ・・よぉ・・」
幼少ギン「そう? 普通なんだけど・・・」
幼少ギン「お。木の上にリンゴあるぜ」
近所の子供「ギン君・・・ 何でそんなスルスルと木に登れるのー?」
また別の子供「ほんと、すげぇよなぁ〜」
幼少ギン「そう・・・?」
近所の子供「やっぱ、大人になったらギン君は お父さんみたくスッゴイ武人に なるんだろうね〜」
また別の子供「魔物をバッタバッタやっつけたり するのカッコイイ!」
「さすが、勇者の家系〜!」
幼少ギン「・・・」

〇古書店
幼少ギン((みんな、ボクがお父さんみたく  魔物を倒したりする大人になると  思ってるなぁ・・・))
幼少ギン((『スポーツ選手になれるといいね!』って  勝手なこと言ってくる人もいるし・・・))
幼少ギン((ボクは、本が読めてたら幸せなのになぁ・・・))
幼少ギン((アググ・リシュケの『怠惰公務員の激情』・・・))

〇華やかな裏庭
  (文系公務員の家系なので自身も
   流れで学校教員(国語)になったが・・)
  (実は体育教師・・
   いや、格闘家に憧れていた男の話・・)
怠惰公務員の激情「ここまでの勉強人生も、教師になるのも 超簡単だったんだけど・・」
怠惰公務員の激情「何か虚しい・・」
怠惰公務員の激情「・・・」
怠惰公務員の激情「教師業は楽しいけど、でも・・」
怠惰公務員の激情「師匠から教わった、このボボコボコ柔術が 世界に通用するかどうか試してみたい・・!」
怠惰公務員の激情「俺、弱かったけど・・・ やっぱ師匠のボボコボコ柔術を 世界に広めたいよ!」
怠惰公務員の激情「どこかで見ていてくれよ! 師匠!」

〇古書店
幼少ギン((にしても『ボボコボコ柔術』って何だよ))
幼少ギン((・・ボクも『家が、親がこうだから』で  人生決めたくないし、決められたくない))
幼少ギン((・・ボクも、お話を書いて誰かの心に  寄り添えたらいいな))

〇英国風の部屋
ギン「・・・」
ギン「・・・」
ギン「くそっ! 書こうと思っていた展開や 言葉回しやらやら・・」
ギン「全部全部すっ飛んじまう!!!!!」
ギン「武人としての才能なんか、いらねぇえええ!!!」
ギン「スラスラと物語を紡げる文才が!!!」
ギン「・・・」
ギン「ほしかった・・・」
ギン「・・・」
ギン「・・あと、誤字脱字にすぐ気がつけたり類語がすぐ思い浮かぶ才能ほしい」
ギン「・・・」
ギン((多忙を理由に町内会報誌の連載小説すら  止めてる俺に本当に文才なんて・・))
ギン((・・いや。めげずに書くぞ、クソが))
ギン((小説を紡ぐスピードは上げられそうに  ないが、今よりもっと魔物を爆速で  倒して帰ってくればいいだけの話))

〇ヨーロッパの街並み
ギン「・・・」
町人A(禁煙中)「あれ? ギン君じゃないか」
町人A(禁煙中)「地べた座り込んで、どうしたんだい?」
ギン「・・魔物が出る度にこっちに 走ってくる事が時間の無駄なので・・・」
ギン「執筆作業しながら、魔物を 待ち構える事にしました!」
町人A(禁煙中)「魔物がそんな、ホイホイ来るわけ ないんじゃないかなぁ・・」
ギン「現に最近、アホみたいに来てるじゃないすか」
町人A(禁煙中)「まぁ、そうなんだけど・・」
ギン「あと、もういっそ直接・・訊いてみる」

〇古書店
ギン「よりにもよって、本屋で 火ぃ出そうとするとは何事だぁ!!!!!」
ギン「・・あぁ。おいテメェ・・」
ギン「・・・」
  『てめぇら魔物共、何でこんなに
   人界にやってくるんだ?』
  『貴様・・!
   ナゼ、魔物のキキギ語を喋れル・・?!』
  『読書家、なめんな』
  ※ギンの通っていた学校の図書室に
  『キキギ語辞典』というマニアックな
  本がありました
  『質問に答えろ。
   お前らはどこから来てやがる』
  『我々は・・寒イ、ガレキの所から来た』
  『人界と魔界のゲート、普段は閉じてル・・けど』
  『フツーにあいてた・・から、来タ』
  『はぁ? じゃあ、そっから
   お前らは来て・・人を襲ってんのか!』
  『そして、俺の執筆活動を妨げてやがるのか・・』
ギン「・・・」
  『なぁ。ところで、お前が汚い足で
   踏んづけてるソレ・・・』
  『何だと思う?』
ギン「俺の好きな作家の本だっ!!!!!!」
ギン((寒い・・?))
ギン((単純に『北から』って事か?))

〇ヨーロッパの街並み
町の人「あっ、ギン君! 本屋が大変だったってね・・」
町の人「いつも爆速で来てくれて、 爆速で倒してくれてありがとうね!」
ギン「ほいほい」
キン(父上)「おぉい、また魔物が出たってな! 大丈夫か?!」
ギン「倒したし、情報も聞けたぜ」
ギン「魔物共、どうも北から流れてくるっぽいんだ」
ギン「なぁ 親父」
ギン「執筆の邪魔だから、いっそソコ行って 原因をどうにかしてくるわ」
ギン「『魔物が人を襲って人が減る』= 『俺や、他の作家の読者が減る』って・・」
ギン「クッソ嫌だわ」
ギン「ペッ、と全滅させてくるか どうにかしてくるよ」
キン(父上)「・・・」
キン(父上)「ギン」
キン(父上)「お前が行かなくていい」
キン(父上)「俺が行くわ」
ギン「ふぁ?!」
  〜続く〜

次のエピソード:2/ギックリ腰はラマーズ法で治る(嘘)

コメント

  • 初期ギンくん、今と比べて男らしくて草生えますwwwカッコいいwwwキレすぎwww
    いろいろ知ってから今見ると、禁煙さんもおばさんも尊いですね……親父さんも勿論尊い……😭
    街全体が尊い……。

  • こんばんは!続きを読ませて頂いてます
    このお話は東龍さんの実際に感じている部分が大きいのでしょうか?

    才能とやりたいこと、間で悩むギンの苦しみは多大でしょうがコミカルに描かれていて見やすいです

  • これ読めてなかったよ!
    オレンジのボタンから読むと
    最初から3話に飛ぶっぽいので、
    2話どこに行ったかと思ったら
    これだったのかな。

    魔法戦士いそがしいね、
    わかるわかる。

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