谷川くんの落とし方!

まいおり

十年後の初恋(脚本)

谷川くんの落とし方!

まいおり

今すぐ読む

谷川くんの落とし方!
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇おしゃれなレストラン
前園はるか「うわ〜お」
前園はるか「ここに一度来てみたかったんだよね」
前園はるか「あたしって、お洒落なお店似合わないでしょ」
前園はるか「一人じゃ入りづらくて・・・」
谷川りく「・・・・・・」
前園はるか「心、ここにあらずね」
谷川りく「えっ?」
前園はるか「例の彼女さんの事、気になるの?」
前園はるか「そういえば最近見ないもんね」
谷川りく「そういう訳じゃ・・・」
谷川りく「ただ──」
谷川りく「今回も後味が悪かったと思ってな」
谷川りく「やっぱり合わないやつとは、とことん合わないんだな」
前園はるか「まぁ、終わった恋だもんね」
前園はるか「気持ち切り替えていきましょう」
谷川りく「そうだな」

〇渋谷ヒカリエ
澤山りつ「むむむ・・・」
澤山りつ「よし!」
澤山りつ「やっぱダメだ!!」

〇ゆるやかな坂道
澤山りつ「もっと安心安全確実な方法はないのかしら」

〇街中の階段
澤山りつ「ここから落ちるくらいなら大丈夫かな?」
澤山りつ「・・・・・・・・・・・・」
澤山りつ「ダメだ、やっぱ怖い!」
澤山りつ「やめよ──」

〇オフィスのフロア
谷川りく「・・・・・・」
谷川りく「あれから三週間・・・」
谷川りく「意外にあっさりしてたな」
谷川りく「もう少し粘ると思っていたけど」
谷川りく「!!」
  ── 澤山りつ ──
谷川りく「・・・・・・」
谷川りく「も、もしもし・・・」
谷川りく「・・・・・・・・・・・・」
澤山りつ「うう・・・」
谷川りく「お前・・・何やってんだ?」
谷川りく「まさか、また俺にズリネタ提供しようとしてるんじゃ──」
澤山りつ「痛い・・・」
谷川りく「はいはい、そうですか」
澤山りつ「背中が痛くて動けないの」
澤山りつ「階段から落ちちゃって」
澤山りつ「もう・・・ダメかもしれない」
谷川りく「おい、マジなのか?」
澤山りつ「最後に──」
澤山りつ「谷川くんにお詫びを言いたくて・・・」
谷川りく「それより救急車は呼んだのか!?」
澤山りつ「・・・何番だっけ?」
谷川りく「バカ!!」

〇総合病院

〇白いアパート

〇女の子の一人部屋
谷川りく「まったくドジだな」
谷川りく「足を踏み外すなんて」
澤山りつ「うん」
澤山りつ「・・・ごめんね」
澤山りつ「・・・・・・」
澤山りつ「上手く戻れなかった」
谷川りく「何が?」
谷川りく「はぁ?」
谷川りく「タイムリープだぁ・・・」
澤山りつ「痛いだけだった」
谷川りく「・・・・・・・・・・・・」
谷川りく「バカ!!」
谷川りく「何やってんだ」
谷川りく「幸い打撲と軽い捻挫で済んだから良かったものの」
谷川りく「打ち所が悪かったら死んでたんだぞ」
隣の住人「うるさいわね!!」
谷川りく「すいませーん」
谷川りく「お前なぁ──」
谷川りく「いい年して、なに中二病やってんだよ」
澤山りつ「だって谷川くん、すごく怒っていたでしょ」
澤山りつ「許してくれそうもないし」
澤山りつ「だったら、あの頃に戻ってやり直すしかないじゃない」
谷川りく「だからってだなー」
谷川りく「そもそも──」
谷川りく「階段から落ちるのは男女が入れ替わる時だけだろ」
澤山りつ「ウソ〜」
谷川りく「常識だろ」
谷川りく「それに、こういうのは不意の事故だから戻れるんだ」
澤山りつ「・・・・・・」
谷川りく「まったく・・・」
谷川りく「相手なら他を探せって言っただろ」
谷川りく「何でそこまで俺に拘るのかね」
澤山りつ「諦めてたのよ」
澤山りつ「だから婚活サイトにも登録したの」
澤山りつ「今日だって相手と会ってきたのよ」
谷川りく「順調で良かったじゃないか」
澤山りつ「でも、谷川くんの事が気になって・・・」
谷川りく「・・・・・・」
谷川りく「とにかく、暫くは不自由だろ」
谷川りく「家族に連絡して助けてもらえ」
澤山りつ「家族はダメ、心配させられない」
谷川りく「そんな事言ってる場合じゃないだろ」
澤山りつ「お父さん心臓悪いんだもん」
澤山りつ「びっくりさせて何かあったら嫌だもん」
谷川りく「じゃあ、友達はどうなんだ?」
澤山りつ「・・・・・・いない」
谷川りく「はぁ?」
谷川りく「ウソだろ」
澤山りつ「いるけど、頼めるような友達はいない」
谷川りく「一人も?」
澤山りつ「一人も」
谷川りく「学生時代あんなに一杯いたじゃないか」
澤山りつ「学生時代の友達なんて単なる遊び仲間よ」
澤山りつ「卒業しちゃえば疎遠になるわ」
谷川りく「へぇ〜」
澤山りつ「なによ」
谷川りく「あんなにキラキラしてたのになぁ」
谷川りく「俺はそんな姿に憧れていたんだ」
谷川りく「落ちぶれたもんだなぁ」
澤山りつ「笑いたければ笑えば良いでしょ」
谷川りく「あはははははは・・・・・・」
谷川りく「すいませ〜ん」

〇女の子の一人部屋
澤山りつ「・・・ヒマだ」
澤山りつ「・・・・・・」
澤山りつ「・・・良い天気だなぁ」
澤山りつ「そう言えば朝から何も食べてないや」
澤山りつ「・・・・・・」
澤山りつ「・・・谷川くん何してるんだろ」
谷川りく「よお♪」
谷川りく「どうせ何も食ってないんだろう」
谷川りく「キッチン使わせてもらうぞ」
谷川りく「おまたせ」
澤山りつ「な〜んてね──」

〇一人部屋
  ──澤山りつ──
谷川りく「・・・・・・」
谷川りく「だー、うるせー」
谷川りく「──ったく」
谷川りく「もしもし」
谷川りく「えっ?」
谷川りく「腹が減ってる?」
谷川りく「知らねーよ」
谷川りく「コンビニにでも買いに行けば良いだろ」
谷川りく「動けない!?」
谷川りく「ああ、そうか・・・」

〇女の子の一人部屋
澤山りつ「やっぱダメか・・・」
澤山りつ「ドラマの様にはいかないわね」
谷川りく「お〜い、いるかぁ?」
澤山りつ「た、谷川くん!?」

〇白いアパート
澤山りつ「な、なんで!?」
谷川りく「なんでって、動けないんだろ」
谷川りく「メシ買ってきたんだよ」
谷川りく「入るぞ」
澤山りつ「ま、待って!」
澤山りつ「私が良いって言うまで絶対に開けないで!!」
谷川りく「だー、おせぇー」
谷川りく「いつまで待たせるんだ!!」
谷川りく「30分以上も経ってるぞ!!」
澤山りつ「良いわよ〜」

〇女の子の一人部屋
澤山りつ「はぁはぁ・・・」
谷川りく「なんだ、その格好──」
谷川りく「何処か出かけるのか?」
澤山りつ「よ、よそいきは、これしか無くて・・・」
谷川りく「髪が濡れてるな」
澤山りつ「シャワー浴びてたの」
谷川りく「メイクもドギツイ」
澤山りつ「き、気合い入れすぎちゃった」
谷川りく「はぁ・・・」
谷川りく「じゃあ、これ弁当」
澤山りつ「ちょっ、ちょっと待って!」
谷川りく「なんだよ、もう用は無いだろ」
澤山りつ「せっかくだから、お茶でも飲んでって」
澤山りつ(ドキドキ💗)
澤山りつ(ああ・・・)
澤山りつ(良いな〜)
澤山りつ(何だか今日の谷川くん いつもより格好いいみたい)
澤山りつ(ああ・・・)
澤山りつ(・・・ダメ)
澤山りつ(好き!)
澤山りつ(好き!)
澤山りつ「大好き!!」
谷川りく「な、なんだよ急に・・・ビックリした」
澤山りつ「谷川くん!」
澤山りつ「結婚して!!」
谷川りく「・・・・・・」
澤山りつ「ちょっ、ちょっと」
谷川りく「何だよ、捻挫してる割によく動けるじゃねぇか」
澤山りつ「結婚したい」
谷川りく「婚活サイトで頑張ってんだろ」
谷川りく「お前ほどの美貌なら、すぐ見つかるよ」
澤山りつ「いや」
澤山りつ「谷川くんが良いの」
谷川りく「言っただろ」
谷川りく「お前への恋は終わったんだ」
澤山りつ「もう一度好きになって?」
谷川りく「あのな〜」
澤山りつ「こんな気持ちのまま他の人と結婚なんて出来ない」
谷川りく「だったら、しなくても良いじゃないか」
谷川りく「お前は今まで色々と遊んだり恋愛したり青春を謳歌しただろ」
谷川りく「その思い出を噛み締めながら余生を送るのも楽しいと思うよ」
澤山りつ「そんなの絶対イヤ!」
澤山りつ「惨め過ぎる」
澤山りつ「私は普通に子供や孫に囲まれて老後をおくりたいのよ」
谷川りく「青春を謳歌出来なかった俺が諦めて独身を貫こうとしてるんだ」
谷川りく「思い出があるだけ恵まれてるんだぞ」
澤山りつ「谷川くん、思い出がないの?」
澤山りつ「かわいそう」
谷川りく「お前が言うな!!」
澤山りつ「わかったわ」
澤山りつ「今から青春しましょう」
澤山りつ「やり直すのよ」
澤山りつ「私と遊んで恋愛して思い出をいっぱい作りましょう」
谷川りく「俺たちはアラサーなんだぞ」
谷川りく「そんな気力体力なんかないだろ」
澤山りつ「じゃあやっぱりタイムリープするしか・・・」
谷川りく「それだけは止めろ」

〇二階建てアパート
  二週間後
谷川りく「よう」
谷川りく「足はもう良いのか?」
澤山りつ「おかげさまで」
澤山りつ「お世話になったお礼です」
谷川りく「ああ」
澤山りつ「・・・・・・」
谷川りく「・・・少し上がっていくか?」

〇一人部屋
澤山りつ「・・・・・・」
谷川りく「今日はずいぶん大人しいな」
澤山りつ「だって──」
澤山りつ「まさか谷川くんと付き合えると思わなかったんだもん」
谷川りく「言っとくが仮交際だからな」
谷川りく「上手くいかなかったら今度こそ諦めろよ」
澤山りつ「私、頑張る!」
澤山りつ「それでは──」
澤山りつ「じゃ〜ん♪」
澤山りつ「ちょっと着替えるから浴室借りるね」
澤山りつ「じゃ〜ん」
谷川りく「なんだ、その格好は!」
澤山りつ「形から入った方が気分も乗ると思って」
澤山りつ「言ったでしょ、青春時代をやり直すのよ」
澤山りつ「いっぱい思い出作りましょ!」
谷川りく「・・・・・・・・・・・・」
  学生時代キラキラした憧れの女の子が──
  十年後、残念な女に成り果てていた
  第一章・おわり

次のエピソード:恋のライバルはブーメランと共に【前編】

コメント

  • りつさん、また極端から極端へと……タイムリープww そしてアラサーセーラー服ww
    谷川くん、何てお人好しのイイ人!女性2人からグイグイ詰め寄られるのも納得ですね、でも女運が悪いですよね(小声)

  • 怪我して気をひく作戦かと思ったら、タイムリープ狙いとは意表をつかれました
    ついに二人付き合うこになってこの先楽しみです

  • 良いですねなんかこの青春を取り戻す感じ。タイムリープしてプロポーズなんかするのもドラマチックで良いですが、しっかりと地続きの今を歩いていくのもリアルと向かい合っていて良い。主人公の幼さ、痛さが『学生時代のような恋愛』を実現させてくれるかもしれないなどと考えております。それにしても谷川くんちょろいですね!面倒見が良くて、変な女に騙されそうです!

コメントをもっと見る(5件)

成分キーワード

ページTOPへ