デス・パレードは祈りと共に

はじめアキラ

エピソード5・土の中(脚本)

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〇坑道
須藤蒼「えっと、ここに二つ落ちてるシャベル・・・これを使って掘れってことであってるよね?」
峯岸輪廻「そうなる。さて、さっきのおさらいだ」
峯岸輪廻「お前が考えた通り、出口の可能性がある場所は三か所。 ただ、三か所のどれが正解かはわからない」
須藤蒼「それ。一か所しか掘れないのに、どうやって三か所から絞れば・・・」
峯岸輪廻「と、思うだろ?実はこのゲーム、俺達が想像していた以上に簡単なんだ」
峯岸輪廻「ヘタをすれば謎解きしなくてもなんとかなっちまう」
須藤蒼「え、えええ!?なんで!?」
峯岸輪廻「さっきの紙持ってるよな?文字の方、なんて書いてある? 一番目の項目だ」
須藤蒼「え?えっと・・・」
  ①プレイヤーが掘り切ることができるのは、九か所のうち一か所のみである。
須藤蒼「これ、ですか?」
峯岸輪廻「そうだ。・・・「掘る」じゃなくて「掘り切る」って書いてあるんだよ。 つまり、試し掘りしてもいいんだ、途中までなら」
須藤蒼「え、えええ!?そ、それじゃパズルの意味が・・・あ!」
須藤蒼「さ、さっきの映像・・・」
須藤蒼「女子高校生の人が掘りながら言ってたような。段々明るくなってきた、って。 掘り進めると、罠の一部が見えてくるってこと?」
峯岸輪廻「俺もそう解釈している。つまり、罠っぽいのが見えてきた時点でやめられるんだ」
須藤蒼「じゃあ、不自然に明るくなってきたり熱くなってきたり、水音がしてきたりしたら・・・」
峯岸輪廻「罠とみなして掘るのを中止する。恐らくそれが可能」
須藤蒼「それ、謎解きって言わないんじゃ?さっきの紙のヒントの意味が・・・」
峯岸輪廻「意味はあるんだ。あれがなかったら、ほぼ全部の壁を試さなければいけない」
峯岸輪廻「恐らく二人がかりでも、壁全て壊していたら相当時間がかかる。 飲まず食わずでそれは相当しんどい」
峯岸輪廻「それに、そもそもこのゲームの趣旨は謎解きじゃないと俺は考えている。 何故なら奴らが求めているのは“勇者”だからだ」
須藤蒼「勇者・・・勇気がある者を探したいということ?」
峯岸輪廻「ああ。試したいのは知恵ではなく、勇気と度胸なんだ」
峯岸輪廻「実際一番最初の試練も、謎解きというほどのことはやってない」
峯岸輪廻「冷静に考えて天井を探せば誰でもあの部屋から脱出できた。 つまり、それが答えなんだ」
峯岸輪廻「さっき蒼が考えてくれたこの4パターンのいずれかに答えがあると決め打つ」
峯岸輪廻「出口の可能性のある三か所。これを、二人で少しずつ掘り進めていくことにしよう」
峯岸輪廻「左列、一番手前を俺が。左列一番奥をお前が少しずつ掘る。 奇妙な熱、水、鉄が出てきたらそこで掘るのを中止する。いいな?」
須藤蒼「・・・わかったよ、やってみる!」

〇黒背景
「!・・・これは・・・」

〇坑道
峯岸輪廻「金属!・・・おい、左列一番手前から金属辺らしきものが出て来たぞ!」
峯岸輪廻「恐らく刃物の断片・・・ということは、ここは刃のトラップ!掘るのを中止する!」
峯岸輪廻(ここが刃物の罠なら、パターンは残り二つ!)
峯岸輪廻「お前が掘っている場所が出口か、あるいは炎のトラップかだ!不自然な熱は感じないか!?」
須藤蒼「今のところは何も・・・あ!」
須藤蒼「向こうから、光が・・・!しかも、青っぽい光だよ!これ、炎の罠じゃない!」
須藤蒼「多分出口です!」
峯岸輪廻「よし・・・!俺もそっちに行く。二人でそこを掘り進めるぞ!」
須藤蒼「はい!」
須藤蒼「手ごたえが軽くなってきた・・・」
峯岸輪廻「よし、あと少しだ!」
峯岸輪廻「崩れる・・・!」

〇研究施設の廊下
峯岸輪廻「出られた・・・!」
須藤蒼「や、やった!正解だよ!罠じゃない!さっきとは違う廊下!」
峯岸輪廻「良かった、考え方はあってたみたいだな。なんとか助かった・・・」
  痛い痛い痛い痛い痛いいいいいいいいいいいいいい!あ、あたしの手、手、手えええええええええええ!!
須藤蒼「ど、どこからか、声が・・・」
須藤蒼「ま、まさか他の参加者が・・・」
峯岸輪廻「・・・何が起きてるか想像もしたくないな」
峯岸輪廻「くそっ・・・ナメやがって・・・! 人の命をなんだと思ってやがるんだ!」
須藤蒼「も、もし僕達も選択を間違えてたら、あ、あんなふうに・・・」
峯岸輪廻「駄目だ、考えるな。・・・怯えて、思考を止めちゃいけない。今は、自分が生き残ることを優先しろ」
須藤蒼「だ、だけど・・・っ!」
峯岸輪廻「助けに行く方法なんかないんだ。・・・本当に許せないと思うなら、このゲームをクリアして、運営のツラを拝むことを考えるんだ」
峯岸輪廻「生き残らなければ、奴らを一発殴ることもできない!」
須藤蒼「うん、うん・・・わかってる。わかってるよ・・・」
峯岸輪廻「先に進むぞ。これ以上、犠牲を出さないためにも・・・!」
峯岸輪廻(そうだ、立ち止まるわけにはいかない)
峯岸輪廻(・・・この子の正体を、知るためにも)

次のエピソード:エピソード6・腹の中

コメント

  • デスゲームの目的の一端が窺い知れる今話、グッと見入ってしまいまいした!
    ラストの輪廻くんの一言……これって!? その言葉の意味が気になって仕方ないです!

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