エピソード4・紙の中(脚本)
〇豪華な社長室
峯岸輪廻「・・・・・・っ!」
須藤蒼「い、今の、映像って・・・。ま、まさか本当に、人が、し、死に・・・」
須藤蒼「あ、あんな・・・溶岩に飲まれて、ま、真っ黒こげに、なっ・・・」
峯岸輪廻「冗談キツすぎるだろ・・・。あんなトラップが、この先に待ってるってのか・・・!?」
須藤蒼「い、嫌だ、死にたくない・・・死にたく・・・ない!あの奥のドアから進んだら、きっと・・・!」
峯岸輪廻「・・・落ち着け。今回、制限時間は言われてないが・・・多分、いつまでも此処に留まることもできないはずだ」
峯岸輪廻「そもそも、この部屋には水も食料もない。ずっとここにいてもいずれ干からびるのは目に見えている」
峯岸輪廻「・・・クリアするしかない。穴掘りゲームとやらを。 トラップを回避して、出口を見つけるんだ」
須藤蒼「で、でもどうすれば・・・」
峯岸輪廻(・・・さっきの女子高校生二人が、過去のゲームの被害者だったとしよう。 あの映像だけで、いくつかヒントはあった)
峯岸輪廻(例えばあの二人。適当に掘れば出口に辿り着くとか言って、ろくに探索をしないで掘り進めていたようだ)
峯岸輪廻(つまり、探せばどこかにヒントがあった可能性があるということ。・・・この部屋か、次のドアの向こうの坑道か)
峯岸輪廻「!」
峯岸輪廻「おい、そこの壁を見て見ろ。何か貼ってあるぞ」
須藤蒼「え?」
須藤蒼「何だろう、これ・・・?坑道の地図、みたいなもの?水に刃にって・・・」
峯岸輪廻「裏にも何か書いてあるな、何々?」
〇地図
①プレイヤーが掘り切ることができるのは、九か所のうち一か所のみである。
②九か所の中で、出口は一か所のみである。
③出口ではない場所は全て、炎・水・土・刃のいずれかの罠である。発動した罠は、プレイヤー二名が死ぬまで止まらない。
④罠は、穴を掘りきると発動する。同じ罠が二つずつ存在している。
④隣と正面に、同じ罠はない。
⑤資料映像も参考の上、出口を探されたし。
〇豪華な社長室
須藤蒼「こ、これは・・・」
峯岸輪廻「大ヒントだな。むしろこの紙がなかったらただの運ゲーだ」
峯岸輪廻「恐らくこの地図の棒人間が書かれている場所がスタート地点。掘ることができるのは突き当りの壁か、左右八か所の壁のどれか」
峯岸輪廻「けして難易度の高いパズルじゃない。なんせ、ご丁寧に罠のうち三か所を教えてくれている」
峯岸輪廻「蒼。ここから残りのマスもおおよそ想像がつくと思わないか?」
須藤蒼「そ、そうだね。両隣と正面は同じ罠じゃない。ってことは、水って書いてあるマスの両隣と正面は、水の罠以外の何かってことか」
須藤蒼「もっと言うと、水の真正面の壁は“刃”の罠でもない。隣に刃の罠がきてるから」
峯岸輪廻「そうだ。でもって、水の真正面は恐らく炎の罠でもない。さっきの女子高校生の映像覚えてるか?」
峯岸輪廻「彼女たちは、入ってすぐの右隣の壁を掘っていた。そこで炎の罠を引き当てたと思われる。ということは?」
須藤蒼「あ、こうなるんだ!」
須藤蒼「水の真正面のマスはもう、“出口”か“土の罠”のどちらかしかなくなる!」
峯岸輪廻「その通り!では、ここを“出口”と仮定しよう。出口は一か所しかない。そして、他の罠は二つずつしかない」
峯岸輪廻「残りのマスが矛盾なく埋まるかどうかを考えれば、おのずと答えは出るはずだ」
須藤蒼「よ、よし!まず、出口だとすると残りのマスは・・・」
須藤蒼「考えられるパターンは・・・このへん、かな?」
須藤蒼「もしくは・・・」
須藤蒼「ひょっとしたら、上の水と炎は逆もありえるけど・・・」
峯岸輪廻「OK。じゃあ次は、さっき出口マークをつけた場所が“土”の罠だった場合だな」
峯岸輪廻「これだとどんなパターンが考えられる?」
須藤蒼「えっと・・・」
須藤蒼「もしくは・・・」
須藤蒼「多分、これです!」
須藤蒼「あ、ってことは・・・!」
峯岸輪廻「そうだ。現時点の情報だけで、掘るべき箇所は三か所に絞られている」
峯岸輪廻「①右の手前から二番目の壁。 ②左一番奥の壁。 ③左一番手前の壁・・・だ」
峯岸輪廻(・・・だが、この時点ではこの三か所のうち、どれか一か所に絞りきることができない)
峯岸輪廻(そして俺達が掘ることができるのは一か所だけとある)
峯岸輪廻(ここにきてこの三か所から一か所の運ゲーをしろ、なんて奴らも言わないはず)
峯岸輪廻(何かあるのか?・・・この三か所のうち、どれが正しいか絞る方法が)
峯岸輪廻(あるいは、何かルールの抜け道があれば・・・)
〇地図
①プレイヤーが掘り切ることができるのは、九か所のうち一か所のみである。
〇坑道
女子高校生A「お、そろそろ掘り終わるかんじ?あれ、なんか明るくなってきた?」
〇豪華な社長室
峯岸輪廻「掘り切る・・・? それに、あの映像の様子。ひょっとして・・・」
須藤蒼「どうしたの?」
峯岸輪廻「こんな簡単なことでいいのか?いや、しかし・・・この試練が試したいものを考えるなら・・・」
須藤蒼「?」
峯岸輪廻「・・・やってみるしかなさそうだ。蒼、坑道に行くぞ。 今からさっきの地図を持っていった上で、今から俺が言う通りに掘るんだ」
須藤蒼「よ、よくわからないけど・・・わかったよ、輪廻さん!」
パズル的思考が求められる今話、自動Tapを止めて考え込んでしまいました……
そして蒼くんが回を追うごとに魅力的に映ります。んー可愛いっ!