ぼくらの就職活動日記

大杉たま

エピソード32(脚本)

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〇公園のベンチ
  紅音と一茶は近くの公園に場所を移動し、ベンチに並んでたこ焼きを食べていた。
藤原一茶「新しく『梅たこ焼き』始めたわ。 評判はそこそこや」
真田紅音「そう・・・」
藤原一茶「で、何しに来たん? 謝りにきたんやったら、聞く耳もたへんで」
真田紅音「・・・そっか」
藤原一茶「なんや、ホンマに謝りにきたんかい。 甘ちゃんやなー」
真田紅音「グループから退室してたから、気になって」
藤原一茶「そら、するやろ。 もう関係ないねんから」
真田紅音「そうだね」
藤原一茶「はぁ・・・」
藤原一茶「どうせ嘘や思てたわ、選考に復活できるなんて」
真田紅音「え」
藤原一茶「まあ、どうせ落ちるなら、万に一つの可能性に賭けよう思ただけや」
真田紅音「そう、だったのか・・・」
  紅音は少しほっとした表情を見せる。
藤原一茶「なに罪悪感薄めとんねん」
真田紅音「違う、そんなんじゃ──」
藤原一茶「そんなんやろ」
藤原一茶「俺のこと騙して自分が選考残ったことに罪悪感感じてた」
藤原一茶「ほんで、俺が騙されてること知ってて落ちたわかって、ちょっと救われたんやろ?」
真田紅音「・・・・・・」
藤原一茶「ホンマに小さいわ、ホンマに自分しょうもない」
真田紅音「うるさい」
藤原一茶「この際やから、全部言うといたる」
藤原一茶「自分見てて痛々しいわ。 大したこともできんと、プライドだけ高くて」
藤原一茶「自分でもわかっとるやろ?」
藤原一茶「エリートピアの器やないって、ラッキーでここまで通ってるだけやって」
真田紅音「うるさい、好き放題知ったような口きくな!」
藤原一茶「それに自分、なんでそんなにエリートピア入りたいん?」
藤原一茶「ホンマはそんなに入りたないやろ」
真田紅音「僕は本気でエリートピアに入りたい、誰よりも入りたいよ」
藤原一茶「前も言うたけど、自分めっちゃ嘘つくの下手やな」
藤原一茶「何の熱意も感じられへん」
藤原一茶「瑚白にはな、なんとしても選考通ったろ言う必死さがあった」
藤原一茶「自分にはそれがないねん」
藤原一茶「俺はチームに紅音しかおらんかったら、きっと道連れにしとった」
真田紅音「お前だって、本当はそんなに入りたくなかったんだろ」
真田紅音「落ちたっていうのに、そんな平然として、僕のことそんなに責められるのかよ」
  一茶はたこ焼きを持って立ち上がる。
藤原一茶「俺がエリートピアに入りたかったのは、金や」
藤原一茶「全部、金目当てや」
藤原一茶「祝い金の一億と、給料の三千万」
藤原一茶「それつこてうちのたこ焼き屋を東京に知らしめるのが目標やった」
藤原一茶「けど、他に金の当てができたから、エリートピアだけに執着せんでもええようになっただけや」
真田紅音「なんだよ、金の当てって」
藤原一茶「瑚白や。 瑚白と結婚すればええ」
真田紅音「・・・は?」
藤原一茶「瑚白が創業者の孫娘や聞いたときから考えとった」
藤原一茶「ここで意地張って恨まれて三人で落ちるよりも」
藤原一茶「瑚白に俺への負い目を作って俺だけ落ちた方がええ」
藤原一茶「その方が瑚白も申し訳なさで俺に優しいやろ」
藤原一茶「エリートピア受かるんと、瑚白と結婚するん、どっちの方が難しいかっちゅう話や」
藤原一茶「まあ、結婚とまではいかんでも、困った時に金ぐらい貸してくれるやろ」
真田紅音「なんだよ、それ・・・」
藤原一茶「ほらな、引くやろ?」
藤原一茶「せやから、目的への執念がちゃうねん。 俺と自分とでは」
真田紅音「そんなの、間違ってるだろ・・・」
藤原一茶「そう思うんやったらそれでもええわ」
藤原一茶「でもな、ここまで選考残っとる他の連中は」
藤原一茶「内定のために他人を蹴落として不幸にする覚悟のある連中や」
藤原一茶「それは覚えといた方がええ」
真田紅音「他人を不幸にする覚悟・・・」
藤原一茶「自分、いざとなったら他人を不幸にできるん?」
真田紅音「・・・・・・」
  一茶は食べ終わったたこ焼きのごみを片付け始める。
藤原一茶「ほな、さいなら。 あ、今日のことは絶対瑚白に言うたらあかんで」
藤原一茶「言うたらホンマに、自分殺すで」
  紅音は何も言わずに一茶が去っていくのを見送った。

〇おしゃれなリビングダイニング
真田雅美「次は例年通り、果し状選考なのよね?」
真田紅音「うん」
真田雅美「そう、何でするのがいいかしらね」
真田博史「太一は何でやったんだったかな」
真田太一「僕はチェスで対決したよ」
真田太一「相手は世界大会何位とかだったけど、普通に勝てたな」

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