働きたくない俺はなんとしてでもヒモになりたい!!

草加奈呼

第1話 ヒモ学園へようこそ!!(脚本)

働きたくない俺はなんとしてでもヒモになりたい!!

草加奈呼

今すぐ読む

働きたくない俺はなんとしてでもヒモになりたい!!
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇お嬢様学校
岡崎弾助「ついに来た・・・」
岡崎弾助「俺は──」

〇空
「俺はなんとしてでもヒモになる!!!!」

〇学校の校舎
  数ヶ月前──

〇教室
男子生徒「おーい、“オカン” ゲーセン寄って行こうぜー」
岡崎弾助「あ、ワリ・・・ 今からバイトだわ」
岡崎弾助「つーか、オカンって呼ぶなって 言ってるだろ」
男子生徒「あ、悪い・・・ ついクセで」
岡崎弾助「じゃーな、寄り道しないで帰れよ」
男子生徒「おう、また明日な“弾助”」
男子生徒「ああいうとこだよな」
男子生徒「マジ、それな」
男子生徒「それにしても、あいつが放課後 遊んでるとこ見たことないんだけど」
男子生徒「そんなに金に困ってるのか?」
男子生徒「ああ、あいつんちはな──」

〇カフェのレジ
岡崎弾助「ありがとうございましたー」
岡崎弾助「ふー」
カフェ店長「お疲れ、岡崎くん」
岡崎弾助「あ、店長 お疲れ様です」
カフェ店長「正式雇用の話、考えてくれたかい?」
岡崎弾助「あ・・・いや・・・ すみません」
カフェ店長「たしか、まだ進路決まってないんだよね?」
岡崎弾助「俺、他にやりたいことがあって・・・」
カフェ店長「そうか、残念だな」
岡崎弾助「すみません、上がります。 お疲れ様でした」

〇古いアパートの部屋
岡崎弾助「ただいま・・・」
岡崎弥助「おかえり、兄ちゃん」
岡崎太助「兄ちゃん、おかえり!」
「おかえりー」
岡崎弾助「こーら、おまえら宿題やったのか?」
岡崎太助「やったよー」
岡崎笑美子「やったよー」
岡崎弾助「そうか、えらいぞ」
岡崎弥助「ご飯できてるよ」

〇木造の一人部屋
「はあぁ〜〜」
(疲れた・・・)
岡崎太助「わーい!」
岡崎満知子「きゃははは!」
岡崎弾助(考え事もできないな・・・)
岡崎弾助「弥助、ちょっと出てくる」
岡崎弥助「兄ちゃん、大丈夫?」
岡崎弾助「大丈夫」
岡崎弥助「・・・・・・」

〇川に架かる橋
岡崎弾助「はぁ・・・」
岡崎善子「弾助、どうしたのこんな時間に」
岡崎弾助「母さん」
岡崎弾助「いや、ちょっとジョギング」
岡崎善子「・・・・・・」
岡崎善子「弾助」
岡崎善子「いつもありがとね」
岡崎弾助「な、なんだよ、急に」
岡崎善子「あんたは、あんたのやりたい事を やりなさい」
岡崎善子「じゃあね、早く帰って来なさいよ」
岡崎弾助「・・・・・・」

〇川沿いの道
「はぁ・・・はぁ・・・」
(久々に、本気で走った・・・)
岡崎弾助(やりたい事って言われても・・・)
岡崎弾助(金・・・稼がなきゃな・・・)
岡崎弾助(母さん一人じゃ大変だし・・・)
岡崎弾助(でも・・・)
「あ〜〜俺も青春してぇよ〜〜!」
「もう働きたくねぇ〜〜!!」
岡崎弾助「・・・・・・」
岡崎弾助「ハハッ、ちょっとスッキリした」
岡崎弾助「弥助かな・・・?」
岡崎弾助「・・・ん? DMか」
岡崎弾助「な、なんだこれ!?」
岡崎弾助(まるで、 俺の心を見透かしたような・・・・)
岡崎弾助「それにしても“ヒモ”って・・・」
岡崎弾助(どうせ詐欺だろうけど、 どれどれ・・・)
岡崎弾助「・・・・・・えっ!?」
岡崎弾助「ヒモ学園の名称・・・」
岡崎弾助「ヒルズ・モーリディッヒ!?」
岡崎弾助(モーリディッヒといえば、世界でも 超有名なブランド創立者・・・)
岡崎弾助(これ・・・マジなのか・・・!?)
岡崎弾助「いやいや、誰かが名前を騙っている 可能性も・・・」
「魅力的すぎるだろおおおおおお!!!!」
岡崎弾助「しかもこの女性・・・学園長!?」
岡崎弾助「若ッ!!」
岡崎弾助(でも、たしかにヒモになれば・・・)
岡崎弾助(働かずしてセレブ界入り)
岡崎弾助(そして、この学園で青春を 取り戻せるかもしれない)
岡崎弾助「詐欺なら詐欺で訴えればいい」
岡崎弾助「・・・よし、決めた!!」

〇古いアパートの部屋
「ヒルズ・モーリディッヒ学園!?」
岡崎弾助「うん」
岡崎善子「モ、モーリディッヒって、 あのモーリディッヒでしょ?」
岡崎善子「めちゃくちゃ高いんじゃないの!?」
岡崎弾助「それがさ、逆なんだよ!」
岡崎善子「こんなうまい話があっていいのかしら?」
岡崎弾助「母さん、やりたいことやれって 言ってくれただろ?」
岡崎弾助「俺は、これに賭けるよ」
岡崎善子「まあ・・・ あんたがそこまで言うなら・・・」
岡崎弾助「弥助、おまえには負担かけるかも しれないけど・・・」
岡崎弥助「いいよ、兄ちゃん」
岡崎弥助「俺、兄ちゃんが心配だったんだ」
岡崎弥助「俺たちのために 我慢してるんじゃないかって」
岡崎弥助「やりたい事見つけたなら、 思いっきりやってきてよ」
岡崎弾助「弥助、母さん、ありがとう・・・!」
岡崎弾助(まさか、ヒモになるために ここに入学したいなんて)
岡崎弾助(口が裂けても言えねーー!!)
岡崎弾助(カモフラージュっぽいページがあって 良かった・・・)

〇お嬢様学校
岡崎弾助「・・・と、意気込んで来たは いいものの・・・」
岡崎弾助「本当に大丈夫だろうか?」
岡崎弾助(でも、意外と人がいるんだな。 安心した・・・)
岡崎弾助(いやいや、まだ気を緩めちゃダメだ)
岡崎弾助(騙されてるかもしれないしな)
「やあ、君も新入生?」
飛鳥イヅル「やっぱ、学園長狙い?」
岡崎弾助「え、いや、あの・・・?」
「やめろ、イヅル」
澤森ケンタ「初対面で失礼だろ」
飛鳥イヅル「そりゃそうか」
飛鳥イヅル「俺、飛鳥イヅル!」
澤森ケンタ「澤森ケンタだ」
岡崎弾助「あ・・・俺は岡崎弾助」
飛鳥イヅル「よろしく、ダンスケー」
澤森ケンタ「よろしくな」
岡崎弾助「あ、ああ、よろしく!」

〇体育館の舞台
ナタリー(学園長)「新入生の諸君!!」
ナタリー(学園長)「ようこそ、ヒモ学園へ!!」
ナタリー(学園長)「私が学園長の ナタリー・ナタデ・ココだ!!」
飛鳥イヅル「は〜、学園長 美人だな〜」
飛鳥イヅル「お近づきになりてぇ〜」
岡崎弾助「まあ、気持ちはわかるけど・・・」
澤森ケンタ「おまえは・・・ そればっかりだな・・・」
飛鳥イヅル「だってー、俺がこの学園を選んだの」
飛鳥イヅル「セレブのお姉様方と お近づきになりたいからだもーん」
澤森ケンタ「それは・・・」
岡崎弾助「セレブが“お姉様”とは 限らないんじゃないか?」
飛鳥イヅル「やめて!! 夢見させて!!」
???「そこ、うるさいぞ!!」
笹霧(ササキリ)「・・・」
ナタリー(学園長)「良い良い」
ナタリー(学園長)「おおかた、 私の美貌でも噂していたのだろう」
飛鳥イヅル「すげ、半分当たってるー!」
岡崎弾助「いや、笑われてるから・・・」

〇おしゃれな教室
  ── レッスン開始 ──
講師「ヒモ道を極めるには、 まず何と言っても語学力!!」
講師「ヒモを求めるセレブリティは、 世界各国にいマス」
講師「特に、 英語は話せないと話になりまセン」
講師「今日から、しっかりと語学力を 鍛えて行きまショウ! Let’s study!」
飛鳥イヅル「げーっ、ヒモって何もしなくても いいんじゃないのか・・・」
澤森ケンタ「そりゃまあ、 最低限の語学力は必要か・・・」
岡崎弾助「いや、みんな“ヒモ道”には ツッコまないのか・・・?」
講師「いい質問ですネ、ダンスケ!」
岡崎弾助「えっ?」
講師「ヒモ道の心得その1──」
  主のコンディションを心身共に支えること
講師「言葉で主を労うのも、 ヒモとして重要なスキルでス」
講師「覚えておいてくださいネ」
岡崎弾助「は、はい・・・」

〇おしゃれな食堂
岡崎弾助「やっとお昼か・・・」
岡崎弾助「もう、パンク寸前だ」
飛鳥イヅル「右に同じく」
飛鳥イヅル「語学力なんてなくても、笑顔と ジェスチャーで何とかなるんじゃね?」
澤森ケンタ「それは、おまえだけだ・・・」
岡崎弾助「いや、でも一理あるぞ!」
岡崎弾助「俺、接客業やってたけど、 やっぱり笑顔は大事だしな!」
飛鳥イヅル「だよなー! 笑顔大事だよなー!」
飛鳥イヅル「ほれほれ、ケンタも笑ってみ?」
澤森ケンタ「笑えと言われても・・・」
岡崎弾助「あ、ケンタ 口にご飯粒ついてるぞ」
澤森ケンタ「え、ほんとだ」
岡崎弾助「あー、イヅル! 服にソースはねてる!」
飛鳥イヅル「あっ、やべ!」
岡崎弾助「もー、子供じゃないんだからさ」
  ゴシゴシ
岡崎弾助「って、みんな食器下げてない!?」
飛鳥イヅル「あー、ここセルフサービスじゃ ないんだってさ」
岡崎弾助「・・・なんか、落ち着かない!」
澤森ケンタ「え?」
岡崎弾助「ちょっと行ってくる」
岡崎弾助「食器が残ってるのは テーブルA、B、D、F、J・・・」
岡崎弾助「これらを、 いかに効率よく下げるか・・・」

〇黒背景
岡崎弾助「あれとあれを重ねて、 コップの数も含めると・・・」
岡崎弾助「3往復で行ける」
岡崎弾助「シミュレーション完了」

〇おしゃれな食堂
岡崎弾助「お待たせ、行こうか」
「・・・・・・・・・・・・」
飛鳥イヅル「ダンスケってさ・・・」
飛鳥イヅル「母親みたいだな」
澤森ケンタ「母親・・・。岡野弾助だから、 “オカン”ってところか」
岡崎弾助「やめてくれ。 高校の時言われてたんだ」
飛鳥イヅル「マジか」
澤森ケンタ「でもさ」
澤森ケンタ「それでヒモになれるのか?」
岡崎弾助「えっ? どういう事だ?」
「ヒモ道の心得その2──」
  家事はメイドに任せること
岡崎弾助「えっ?」
岡崎弾助(俺の唯一得意な家事スキルが 使えないってことか・・・!?)
岡崎弾助(確かに、何もしなくていいのが ヒモの特性だけど・・・)
岡崎弾助(俺・・・ ヒモになれるのか・・・!?)
???「・・・・・・」
岡崎弾助「・・・ん?」
岡崎弾助(今、何か視線を感じたような・・・)
???「・・・・・・!!」
岡崎弾助(・・・気のせいか?)
飛鳥イヅル「おーい、ダンスケ行くぞー!」
岡崎弾助「ああ、今行く!」
???「・・・・・・」

〇上官の部屋
ナタリー(学園長)「ほう・・・ ヒモに向いていない者がいると?」
???「・・・はい」
ナタリー(学園長)「どう思う? 笹霧(ササキリ)」
笹霧(ササキリ)「あれを試してみてはどうでしょう?」
ナタリー(学園長)「むっ、アレか・・・」
ナタリー(学園長)「ふーむ・・・」
ナタリー(学園長)「いいだろう」
ナタリー(学園長)「アレを実践するのは何年振りか・・・」
ナタリー(学園長)「おまえにも働いてもらうぞ」
「アヤカ」
???「・・・承知いたしました」

次のエピソード:第2話 美人講師・アヤカ

コメント

  • いいですね~怪しさで愉快!エンターテインメントですね

  • 面白かったです。以前ヒモについて物語を作る為調べたら2種類のヒモ道がある事が分かった事を思い出してしまいました

  • 本編も面白かったですけど、作者コメントの「働いてください」がツボりましたw

    続きはまたゆっくり見させてもらいます!

コメントをもっと見る(39件)

成分キーワード

ページTOPへ