ミチトの想空〜オモフソラ〜

ふじのきぃ

第一話 ミチトの遭遇(脚本)

ミチトの想空〜オモフソラ〜

ふじのきぃ

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〇カラフルな宇宙空間
  宇宙-ソラ-は
  何処まで続いているのだろう。

〇黒背景
  「──いやいや、宇宙人は居るって!」
  「居ねえだろ」

〇カラフルな宇宙空間
  宇宙から見た地球は綺麗だろうか。

〇黒背景
  「しかしながら宇宙人くん。かの有名な
  "ストーンヘンジ"や"ナスカの地上絵"は
  どう説明するのかしら?」
  「あれこそ正しく宇宙人の存在証明だわ! はすはす!」
  「誰が宇宙人だ」

〇学校の部室
  真夏の熱気に負けまいと、
  今日も部室に討論が行き交う。
ミチト「つか、どっちも人間の仕業だろ?」
ミチト「ストーンヘンジは、長方形に加工した岩を 『てこ』や『ころ』で運んで 滑車で持ち上げて組み立てられるし・・・」
ミチト「ナスカの地上絵だって、 下書きの絵さえあれば描けない事はない」
ミチト「ミステリーサークルも、 ピラミッドも・・・かくかくしかじか」
ミチト「いずれにせよ、時間と人数があれば 大抵は人間の力で作れるんだよ」
ミチト「だから、宇宙人なんてのは存在しない。 空想上の生き物なんだよ」
モブ島サブ彦「出た! 宇宙人による宇宙人存在否定論!」
はす子部長「嗚呼! 毎度の事、 なんて滑稽な暴論なのかしら。 宇宙人が自らを存在否定するなんて!」
はす子部長「我らの宇宙研究部はおろか、 湖澄区(こずみく)学園の風上にも 置けないわ。はすはす!」
ミチト「誰が宇宙人だっつーの。 はすはす言うな、発情期機関車」
はす子部長「なんですって!? ぽっぽー!」
  いつも通りの部活仲間による、
  宇宙人が実在するか否かの討論。
  どうも俺以外の部員──というより、
  学園の人間全てが宇宙人とやらを
  信じてやがるのだ。
  かく言う俺は、
  宇宙そのものを信じてはいるが、
  宇宙人は信じない。
  もしも宇宙人が存在するなら、
  その高度な文明や技術によって、
  とうの昔に地球は侵略されているだろう。
  それとも、すでに侵略し始めているってか?
ミチト「ハァ、馬鹿馬鹿しい。帰るわ」
モブ島サブ彦「おおっと!? ついに認めたかー!!」
はす子部長「部長の座は渡さないわよ〜!」
ミチト「認めてねーし、座も要らねーよ!」

〇黒背景
  俺が湖澄区学園に入学した理由──

〇宇宙空間
  それは、宇宙飛行士になる事。
  宇宙飛行士になれば、宇宙へ飛び立てる。
  幸い、学園は宇宙開発にも貢献している。
  学園を卒業し、大学で訓練すれば
  宇宙飛行士になるのも夢じゃないのだ。

〇黒背景
  宇宙から見る星々、そして地球・・・
  きっと、壮大で綺麗なんだろうなあ。

〇地球
  その頃、宇宙では──
???「みよーん・・・みよーん・・・」
???「この惑星が、地球・・・」
???「とても綺麗なのです!」
???「けれど・・・」
???「この星に反逆者──兄さんが居る」
???「行方不明の妹も、きっと──」

〇地球
  『エマージェンシー・・・
   エマージェンシー・・・』

〇地球
  『小惑星群接近──直チニ避難セヨ!』
???「こ、これは・・・!」
???「ダメなのです! 間に合わない──!」

〇黒背景
  『船体破損率──50%ヲ計測。
   直チニ避難セヨ』
???「このままじゃ、 宇宙船が持たないのです・・・!」
???「ひとまず、 あの地球に着陸するのです!」

〇黒背景
???(あれは、兄さんの能力・・・)
???(やっぱり地球に居るのですね・・・!)

〇名門の学校
  同時刻。校門前にて──
ミチト「あっちー・・・疲れたー」
ミチト「帰ってクーラー効かせて、 "いんだ〜べ〜"でもするか」
ミチト「ん・・・?」

〇空
  何だ・・・あれは?
  煙が出ているぞ・・・?

〇名門の学校
ミチト「まさか・・・宇宙船??」
ミチト(いや、断言するのは早過ぎる・・・)
ミチト(もしかしたら、かの有名な 宇宙管理局-OSA-の 極秘裏な実験なのかもしれない・・・)
ミチト(これは・・・滅多にお目に掛かれない 絶好のチャンスなのでは?)
  気が付けば、俺は裏山へと走り出していた。
  墜落したであろう、
  あの飛行物体を目指して──

〇霧の立ち込める森
ミチト「ハァ・・・ハァ・・・」
ミチト(確か、この辺に落ちたはず──)
  ──あれだ!
???「○△○〜・・・ (困ったのです・・・)」
???「×△×〜・・・ (宇宙船が壊れてしまったのです・・・)」
ミチト(何の音だ? 誰か居る・・・?)
???「○×○〜・・・ (早く直さないと、追手が来ちゃうのです)」
???「×△×〜・・・ (ああ・・・翻訳機もダメダメなのです)」
ミチト「ウソ・・・だろ?」
ミチト(本物の宇宙人・・・なのか?)
???「◎△◎ーー! (は・・・! 見つかってしまったのです)」
???「*△*〜・・・ (これは非常に良くないのです)」
ミチト「やべ! こっち見てる・・・!」
ミチト(落ち着け・・・俺。 アイツは宇宙人なんかじゃない)
ミチト(アイツは・・・そう! OSAの特殊工作員だ!)
ミチト(テスト飛行中にトラブルが起きて、 立ち往生しているって様子だな。ご愁傷様)
ミチト(はっ、まさか極秘裏な内容だからか、 俺を口封じするつもりなのか!?)
ミチト(考えるんだ・・・この場から脱出する方法を)
ミチト(そうだ! 風紀委員になりすまそう!)
ミチト(風紀委員の体(てい)で、 注意しに来た事にしておくんだ)
ミチト(そして手に負えないと判断した俺は、 増援を呼びに行くと見せかけて逃げる! ──よし、このプランでいこう)
ミチト「な、なんじゃこりゃー」
ミチト「お、キミは学園の生徒かい? この宇宙船はキミの作品かあ。 コンテストにでも参加しているのかな?」
ミチト「テーマは宇宙かな? だからキミの格好が近未来風スーツなのか。 いいねえ! ロマンがあるねえ!」
???「×△×〜・・・ (何を言ってるか解らないのです)」
ミチト「でもな? そろそろ日が暮れるし、 こんな山奥に居る生徒を見過ごそうったって そうは問屋(とんや)が卸さないんだよ」
ミチト「これも風紀委員の仕事でな。悪く思うなよ? ちなみに"そうは問屋が卸さない"ってのは ──かくかくしかじか」
???「*△*〜・・・ (かくかくしかじか言ってるのです)」
???「○×○〜・・・ (仕方がないです・・・)」
???「○△○〜・・・ (この能力は使いたくなかったですが──)」
ミチト「それじゃ、他の風紀委員を呼んでくるから。 キミはそこでじっとしてるんだよー?」
  そして俺は踵(きびす)を返し、
  この場を離れようとした──

〇カラフルな宇宙空間
???「──"従属光線-スレイヴ・レイ-"」

〇カラフルな宇宙空間
ミチト「う、うわああぁあああ!?」

〇黒背景
  俺は後悔した。
  飛行物体なんか無視して、
  さっさと帰宅すればよかった、と。
  宇宙人なんか存在する訳がない──って、
  意地張って確かめようとするからこうなる。
  俺・・・死ぬのか?
  宇宙──行きたかったなあ・・・

〇黒

〇サイバー空間
  Now connecting・・・
  (接続中・・・)
  ・
  ・・
  ・・・
  Name:Michito Uchiyu
  (内優 深智人-ウチユウ ミチト-)
  Type:Human/Male
  (人間/男性)
  Habitual saying:Kaku kaku Shika jika
  (口癖:かくかくしかじか)
  His dream・・・
  (彼の夢・・・)
  Going to the universe・・・
  (宇宙へ行くこと)
  ・
  ・・
  ・・・
  Nice to meet you・・・
  (はじめまして)

〇黒

〇空
  3時間後──
  ──夜、か・・・
  ん? なんで俺はこんな所に居るんだ?
  たシカ・・・宇宙船もどきを追っかけて、
  某宇宙管理局の特殊工作員みたいな奴に
  見つかって・・・
???「あ、気が付いたのです!」
???「クゥの声、解りますか?」
  どわああぁああ!?

〇けもの道
ミチト「お前は──OSAの工作員なのか!? 俺を口封じするつもりか!!」
クゥ「むう。 クゥはそんな名前じゃないですし、 まして乱暴な事はしないのです」
クゥ「本名は、 "クーネルア・ソーブ・ノガシィゴット"」
クゥ「宇宙警備隊に所属しているのです。 どうぞ気軽に『クゥ』と呼んで下さい♪」
ミチト「『食う』『寝る』『遊ぶ』のが仕事だあ?」
ミチト(ホワイト企業かよ!)
クゥ「翻訳機が故障してしまって、やむを得ず ミチトさんを従属人間(スレイヴァー)に 変身させました。ごめんなさい──なのです」
クゥ「そのかわり、従属人間になる事で、 主人(マスター)のクゥと情報を共有出来るようになったのです」
クゥ「つまり・・・翻訳機がなくても、 クゥとお話が出来るってコトなのです♪」
ミチト「・・・なるほど。 初対面で変な音出していたのは、 話が通じてなかったからか」
ミチト(胡散くせえ・・・ どうせ組織を隠蔽する口実だろうが──)
ミチト「ちょっと待て。 今、俺を変身させたって言ったな? そりゃどういう事だ?」
クゥ「ふふっ、そう言うと思って 手鏡を用意しておいたのです」
ミチト「・・・・・・」
クゥ「足腰が丈夫で・・・」
クゥ「つぶらな瞳が可愛くて・・・」
クゥ「立派なツノが生えた、シカさんなのです♪」
ミチト?「・・・・・・」
ミチト?(えぇ・・・・・・)

〇惑星
  ☆おまけクゥかん・その1☆
ミチト?「あ〜、早く元に戻りてえ」
ミチト?「シカもなんでよりによってシカなんだよ。 鏡をシッカりカク認したが、たシカにシカになってたよな」
ミチト?「夢なら泡沫(うたかた)となって終われ! あ、泡沫と言うのは・・・カクカクシカジカ」
クゥ「カクカクシカジカ言ってる、 シカさんなのです♪」
ミチト?「とにカク戻せー!」
  第二話へ続くのです♪

次のエピソード:第二話 鹿と刺客

コメント

  • な、なんて羨ましい名前の宇宙人さんなんだ……!
    言葉が通じ合う前の台詞が顔文字風だったり、なんだか不自然なカタカナ変換があるなと思ったら当人がシカに変身していたり、ネタがそこかしこに散りばめられていて何度もフフッとなってしまいました。面白かったです。
    運命の出会いをしてしまった2人は果たしてこれからどうなるのか……続きを楽しみにしています。

  • 今は亡きあのアプリ以来の、ふじのきぃさんの作品だ!
    鹿になった主人公の運命は!?
    続き待ってます!!

  • 初見ですが、作品世界にとっても引き込まれました。舞台設定からミチトの内面まで深く描かれていてワクワクしました。で、何故シカに!ってツッコミながら、続編が楽しみになりました。

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