6、歓迎(脚本)
〇研究所の中
「・・・・・・・・・」
女性「あら、二人共」
女性「もう、いつから居たの?気付かなかったわ」
「何してるの?」
女性「お仕事よ」
女性「さ、上に戻るわよ。今日はお父さんが来てくれる日よ」
「おとうさん?」
女性「そう。貴方達と同じ髪色の・・・」
〇教会の中
咲哉「同じ髪色の・・・」
咲哉「・・・・・・・・・」
光輝「・・・・・・・・・」
咲哉「よ、コウ」
光輝「サク・・・」
咲哉「あの時と同じだな」
光輝「え」
〇教会の中
光輝「こんな所が・・・」
咲哉「コウ?」
光輝「サク・・・」
光輝「あの、こんな時間にどこにいるんだろうと思って・・・ごめん・・・あと追いかけた・・・」
咲哉「大丈夫。気にしないで」
光輝「えっと、ここはなに?」
咲哉「秘密の場所」
光輝「秘密の場所?」
咲哉「そう。ここはすごく静かだから。考え事するには持ってこいなんだ」
光輝「へぇ・・・」
光輝「俺も来てもいい?」
咲哉「もちろん」
〇教会の中
光輝「そんな事もあったな・・・」
光輝「あの頃は、サクの姿が見えなくなると不安で・・・」
咲哉「一生懸命追い掛けてくるのが、面白かったな」
光輝「言い方!それと、カズが至急だとさ」
咲哉「カズが?了解」
光輝「ああ」
〇おしゃれな食堂
咲哉「カズ、至急ってどうした?」
和人「至急?」
和人「コウ兄さん、至急なんて使って・・・」
咲哉「コーウ?」
光輝「あはは、悪い悪い」
光輝「そうでも言わないと、お前来ないだろ?」
咲哉「まったく・・・・・・それで?」
和人「歓迎会の料理の事で・・・」
咲哉「内容はお前達に任せる。それとは別に必要な材料があれば取ってくるぞ」
和人「それはありがたい・・・実は苺が欲しくて」
咲哉「苺か・・・今の時期だとこの辺にはないな」
咲哉「となると・・・少し遠くはなるが、山の方に行くか」
仁見「いちご・・・」
伊織「って、何だろ・・・」
聖「あれ?お嬢達は知らないのか?」
聖「小さめの赤い果物で、甘かったり酸っぱかったりするんだよ」
「苺は野菜だぞ」
聖「え?それは知らんかったわ」
「苺・・・」
聖「・・・・・・・・・」
聖「咲哉。ちょっと話がある」
咲哉「分かった。じゃあ、苺は任せてくれ」
和人「頼みましたよ」
光輝「俺も行きたかったなぁ・・・」
仁見「?」
光輝「ちょっと他にも声かけて来るよ」
和人「はい」
仁見「・・・・・・・・・」
伊織「えぇ!?仁見さん!?」
伊織「お、置いてかれた・・・」
和人「あー・・・帰ってくるまで、手伝いでもするか?」
伊織「・・・うん」
〇城の廊下
咲哉「それで?」
聖「その苺を取りに行くの、俺も同行していいか?」
咲哉「別に構わない・・・二人の為かな?」
聖「言うなよ・・・」
仁見「聖」
聖「お嬢?」
仁見「私も一緒に行きます」
聖「え、しかし・・・」
仁見「行かせて下さい。伊織に私は何もしてあげれてません。それに、聖にばかり・・・」
咲哉「いいんじゃないか?一緒に苺狩り」
聖「でも・・・」
咲哉「伊織?はここに居れば安全だし」
仁見「お願いします」
聖「分かりましたよ」
咲哉「じゃあ、30分後に正面に来てくれ」
仁見「はい!」
聖「りょーかい」
〇立派な洋館
聖「何回見てもでっかい屋敷だなぁ」
仁見「そうですね」
咲哉「そりゃ沢山住んでるからな」
聖「うわっ」
仁見「きゃっ」
咲哉「お待ち堂さま」
聖「あ、ああ・・・」
咲哉「じゃあ、行こうか」
楓花「ちょっと待って、サク兄さん」
咲哉「おっと?」
咲哉「どうした?」
楓花「コウ兄さんから」
彰人「サク兄さんの手伝いをしてやれって」
咲哉「へぇ・・・」
彰人「ついでに花音を連れ出してくれって」
咲哉「成る程な」
花音「?」
咲哉「取りあえず、しゅっぱーつ」
「はーい」
花音「は、はーい」
〇山道
彰人「それで、コウ兄さんにも褒めて貰えて・・・」
咲哉「凄いじゃないか。お前達三人はうちの稼ぎ頭だな」
聖「へぇ、そんな事もしてるんだ」
咲哉「そ。ただでさえ出来る事は限られてるし、体験出来る事はさせたい」
咲哉「・・・そうコウに押し切られた」
聖「だと思った」
楓花「仁見さんの髪って綺麗だよね」
仁見「え?そう、でしょうか?」
楓花「それに大人のお姉さんって感じ」
花音「それは・・・確かに」
仁見「・・・お二人は、髪を伸ばさないんです?」
楓花「うーん、僕は仕事の邪魔になるしなぁ」
花音「髪、縛ればいいんじゃ・・・」
楓花「僕、不器用なんだもん」
花音「・・・私、やろうか?」
楓花「いいのかい?花音はお洒落だから、お願いしたいな」
仁見「その為には髪を伸ばさないとですね・・・・・・あの、私も・・・」
花音「・・・うん、いいよ。帰ったら、皆でやろうか」
楓花「やった」
楓花「あんまり同い年の女の子居ないから、こういうの新鮮で楽しいかも」
花音「えっと、杏奈さんは?」
楓花「うーん、アン姉さんは恩人だから」
仁見「・・・私も何だか新鮮ですわ」
花音「・・・私も」
聖「・・・・・・・・・」
咲哉「良かったな」
聖「え?」
咲哉「彼女が年相応に楽しそうにお喋りしてて」
聖「・・・だから言うなっての」
彰人「でも、女の子がああいう風に笑ってるの、いいよね」
咲哉「どんどん話し掛ける様にしたらいい」
彰人「え?」
彰人「もしかしてバレてる?」
咲哉「・・・・・・・・・」
聖「あ、侮れねぇ・・・」
〇赤い花のある草原
咲哉「さて、着いたぞ」
聖「おお・・・」
咲哉「必要な分は俺が取るから、食事に影響でない程度に摘まんで来い」
彰人「ありがとう、サク兄さん。みんな、行こう」
楓花「やった。向こうの甘そうだし、行こう」
花音「う、うん」
彰人「あ、走っちゃダメだよ」
聖「お嬢、俺達も行きましょう」
仁見「ええ」
咲哉「さて、集めるか」
咲哉「・・・・・・・・・」
咲哉「どうした?」
花音「あ、あの・・・良かったら・・・どうぞ」
咲哉「え?」
花音「お礼、です。じゃあ」
咲哉「お礼に自分が採った苺を・・・ね」
パクッ
咲哉「・・・・・・やっぱり」
咲哉「!」
楓花「サク兄さーん・・・て、あれ?」
花音「いない・・・さっきまで彼処に居たのに」
彰人「いつもの、だね」
楓花「そうだね」
「え?」
彰人「気にしないで、いい」
楓花「うん。すぐに戻るからね」
花音「そう、なの?」
〇けもの道
咲哉「・・・間違いない。確かに、青い髪だった」
咲哉「・・・・・・・・・」
咲哉「今は追えないな・・・・・・それに、日向を歩けば問題ない」
咲哉「いつか、必ず・・・」
???「・・・大きくなった。そろそろ、か」
〇赤い花のある草原
「お帰り、サク兄さん」
花音「・・・・・・・・・」
咲哉「ただいま。楽しめたか?」
楓花「ええ、十分」
彰人「もう一つも、ね」
咲哉「そうか。なら帰ろうか」
「はーい」
咲哉((気配も視線もない・・・居なくなったか))
咲哉「・・・・・・・・・」
〇山道
聖「・・・なぁ」
咲哉「ん?」
聖「どこに行ってたんだ?」
咲哉「・・・・・・内緒」
聖「・・・たく」
ぽんぽん
咲哉「え?」
聖「あんまし無茶してやるなよ」
咲哉「・・・・・・・・・」
聖「どうした?」
咲哉「いや、何でもない」
咲哉「今日の食事、楽しみにしていてくれ」
聖「おう」
〇おしゃれな食堂
花音「ただいま帰りま・・・・・・え?」
「おかえり!あと、ようこそ!」
「これからよろしく」
「ようこそ、私達の家へ」
花音「これって・・・」
咲哉「花音の歓迎会」
光輝「新しい子が来たら豪華な食事を出すのが、うちの仕来たりなんだ」
花音「・・・・・・・・・」
楓花「さ、席に行こう!」
彰人「そうそう」
花音「う、うん」
伊織「おかえり、二人共」
「ただいま」
光輝「じゃあ、花音の家族入り・・・・・・・・・と客人の歓迎を兼ねて。乾杯!」
全員「かんぱーい」
花音「凄い、美味しそう・・・」
和人「ほい、お待ちどーさん!」
花音「わっ」
和人「最後に採ってきて貰った苺を乗せて完成!」
花音「凄い!」
咲哉「・・・・・・・・・」
咲哉「沢山食べな、カノ」
花音「うん!」
花音「って、カノ?」
光輝「・・・よろしくな、カノ」
花音「・・・・・・うん!」
〇黒
終