7、衝突(脚本)
〇洋館の一室
ぽんぽん
???「?なに?」
???「おとーとにはいいこいいこするといいって」
???「いいこ?あたまぽんぽんするのが?」
???「そうだよ」
???「俺はあにだから、おとーとを守るんだ」
???「俺はおとーとだから、あにの言うこときく」
???「そう。何かあったら言えよ」
???「ひとりでむちゃしちゃダメだからな」
???「うん、やくそく」
〇上官の部屋
静哉「・・・・・・・・・」
静哉「うそ、つき・・・」
文弥「まーた、ここで泊まろうとしてるのか?」
静哉「許可を得てから入れ」
文弥「今日は隊長だな。あと、就業時間はとっくに終わってる」
静哉「何かあったのか」
文弥「一部情報が漏出している」
静哉「何・・・?」
文弥「カーサやリベレじゃない・・・・・・・・・“影”にだ」
静哉「影・・・」
静哉「表立って動く我等番犬とは違い、裏でこそこそしてる奴等か」
文弥「ああ。まだ番犬内しか知らない情報が渡っていた」
静哉「影の奴等は気に食わん」
文弥「同じく。ちょっと警戒しとくわ」
静哉「ああ」
文弥「じゃあ、ちゃんと休めよ」
静哉「・・・俺達の邪魔をさせるものか」
〇教会の中
咲哉「・・・・・・・・・」
咲哉「くっ・・・」
咲哉「もう・・・時間がそんなにない・・・」
咲哉「どこまでいった・・・」
咲哉「上手く・・・やってくれよ・・・」
〇英国風の部屋
聖「咲哉、ちょっといいか」
咲哉「ん?どうした?」
聖「・・・リベレの仲間が接触を図ってきた」
咲哉「へぇ」
聖「俺にここに仲間を引き込めと連絡があった」
咲哉「引き込まなかったのか」
聖「ここの連中を巻き込む訳にはいかねぇだろ」
咲哉「ありがとうな」
咲哉「お前の言う通り、巻き込む訳にはいかない」
咲哉「あるポイントに誘導してくれ。そこで話を付ける」
聖「あるポイント?」
咲哉「そう・・・彼処なら・・・」
〇廃ビルのフロア
光輝「よくこういう所知ってるよな」
咲哉「コウ?ミト?」
湊斗「水臭いですよ」
光輝「そういう事だ」
咲哉「・・・分かったよ」
義皇「待たせたな。リベレのリーダー代行の義皇だ」
光輝「代行・・・」
湊斗「リーダーは?」
義皇「襲撃で捕獲されちまってね」
義皇「そのリーダーを取り返す為に、お前達の力を貸せ」
咲哉「随分上からだな」
光輝「俺達をお前達の戦いに巻き込むな」
湊斗「手を貸してやるつもりはない」
義皇「お前等は非異能が憎くないのかい?」
「人による」
義皇「そーかい。でも、俺達も今は少しでも戦力が欲しくてね」
義皇「俺達の言う事に従ってもらおうか」
咲哉「随分な挨拶だ」
光輝「全くだな。従うつもりはない!」
湊斗「まじでいい加減にしろよ!」
義皇「へぇ、美舟の幻惑を退いたか」
義皇「どうしたもんかねぇ」
咲哉「コウ、ミト、俺を信じてくれるか」
「もちろん」
咲哉「よし」
咲哉「お互い意見を押し通すつもりなら、ちょっと勝負でもするか」
義皇「勝負?」
咲哉「そう。俺とお前の一騎討ち」
咲哉「お前が勝ったら、俺達も手を貸す。俺が勝ったら、仁見、伊織、聖の三人を貰う」
聖((え、俺も?))
義皇「分かりやすくていいじゃねぇか。その勝負、引き受けた」
義皇「お前等手を出すなよ」
義皇「さぁ、やるか」
咲哉「りょーかい。任せてくれ」
光輝「ああ」
湊斗「了解」
咲哉「・・・さて」
咲哉「やるか」
〇廃墟の倉庫
義皇「へえ、よく使いこなしてるな!」
咲哉「まぁね」
義皇「んじゃあ、これはどうだ!?」
咲哉((連続した爆発・・・異能は爆破といった所か))
咲哉((ある程度は水で防げる・・・仕掛けるか))
義皇((何か企んでやがるな。さぁ、見せてみろ))
義皇「はっ!その程度簡単に吹っ飛ばせるぞ!」
義皇「!」
義皇((爆破による煙幕を利用して接近やがったが。けどな))
義皇「足元注意だぜ!」
咲哉「!」
〇洋館の一室
???「────!!」
〇廃墟の倉庫
義皇((もろに爆発に巻き込まれてたが・・・))
義皇「水を纏って防いだか!」
義皇「これは・・・」
咲哉「油断注意」
義皇「!?」
義皇((シャボンが鎖になった・・・マジかよ!?))
義皇((爆発しねぇ・・・!?))
咲哉「無駄。水で出来たその鎖は破壊出来ない」
義皇((雰囲気が・・・変わった?))
咲哉「これで終わり」
光輝「サク!!」
光輝「凄い音がしたけど・・・大丈夫か!?」
咲哉「大丈夫。今、拘束した所」
義皇「・・・・・・・・・」
光輝「でも・・・怪我・・・」
咲哉「本当に大丈夫だから」
咲哉「任せておいて」
義皇「・・・・・・・・・」
義皇「この拘束、外してくれねぇか」
義皇「俺の負け。降参だ」
咲哉「あれ、意外。もっとやるのかと思った」
義皇「このままやったら、お互いの為にならねぇからな」
咲哉「・・・・・・・・・」
咲哉「りょーかい。じゃあ、戻ろうか」
〇廃ビルのフロア
咲哉「という訳で、俺達の勝ち」
湊斗「流石サク兄さん!」
光輝「聖達も俺達の仲間だな」
聖「は、はは・・・よろしくな」
義皇「・・・・・・・・・」
義皇「うちの姪と舎弟をよろしくな」
聖「しゃ、舎弟!?」
美舟「私の息子もよろしくお願いします」
光輝「姪!?」
湊斗「息子!?」
咲哉「ああ、任されたよ」
???「あら、アタシも混ぜてくれる?」
「!」
葵「久しぶり、三人共」
「アオ姉!」
「姉!?」
葵「失礼ね」
光輝「久しぶりアオ姉!」
葵「久しぶり。相変わらず可愛いわね」
咲哉「可愛いのかな?」
聖「おま・・・いつものキャラはどうした!?」
咲哉「アオ姉って、昔からそうだよな?」
葵「そうね。でもリベレではクールキャラを演じてたのよ」
咲哉「うちから出てったと思ったら、リベレに居たんだ」
葵「ええ。とはいえ、正式じゃないのよ。居候的な立場で手を貸してただけ」
葵「アタシの異能上、沢山の経験を積んだ方がいいもの」
湊斗「成る程!流石アオ姉先輩!」
葵「ミトちゃんのその呼び方も久しぶりねぇ」
「・・・・・・・・・」
義皇「く・・・ははは!こいつぁやられたぜ!」
美舟「義皇を負かした上に、これだけの実力者が居るなら安心ね」
聖「・・・・・・・・・」
義皇「こっちは気にすんな。元々限界だったんだよ」
美舟「ええ。新しい世代は自由にしなさい」
聖「・・・すいません」
義皇「謝んなっての」
美舟「あの子達をよろしくね」
聖「っす」
義皇「じゃあな、若いの。また遊ぼうぜ」
美舟「さようなら・・・いつの日か、また」
聖「・・・・・・・・・」
咲哉「よし、帰って歓迎会の準備だ」
光輝「今回は正式が3人におかえりが1人だから盛大に行くぞ!」
咲哉「さ、行くぞ・・・・・・・・・セイ」
聖「セイ?」
光輝「あ、聖だからセイか。成る程」
葵「また面白い名前貰ったじゃない」
湊斗「よろしくな、セイのおっさん!」
聖「俺はまだ26だ!」
湊斗「ウッソ!?タメ!?」
聖「はぁ!?こんなガキがタメ!?」
湊斗「誰がガキだ!?」
葵「アタシを挟んで喧嘩しないでちょうだい」
「イッテぇ!!」
葵「ほら、帰るわよ。セイちゃん」
聖「ちょっ、引っ張るな!」
湊斗「アオ姉先輩!!俺を置いてかないでくれよ!!」
光輝「はは、楽しそうだな」
咲哉「・・・・・・コウ」
光輝「ん?」
咲哉「ありがとう」
光輝「?それって、俺のセリフじゃ・・・?」
咲哉「さ、俺達も行くぞ」
光輝「・・・ああ、そうだな」
〇おしゃれな食堂
咲哉「・・・という訳で」
光輝「3人の正式加入にアオ姉おかえりって事で・・・かんぱーい!」
「かんぱーい!」
葵「ただいま、みんな」
咲哉「今日は沢山楽しめよ」
葵「ええ、勿論」
光輝「色々と聞かせてくれ」
葵「たっぷりと話してあげるわ」
咲哉「・・・さて」
仁見「あの・・・」
咲哉「あ、ヒィちゃんとイオ」
仁見「ヒィちゃん?それが私の・・・?」
咲哉「そう。何だか今日可愛い格好してるから、ちゃん付けしちゃった」
仁見「え、ええ。髪型を整えて貰ったから、それに合わせた服を選んで貰いました」
伊織「仁見さんは何でも似合うね・・・・・・あ、えっと」
「?」
伊織「ヒィちゃん姉」
仁見「・・・!」
伊織「ぼ、僕向こうの料理見てくるね!」
仁見「・・・嬉しい。セイに報告して参ります」
咲哉「・・・ずっと、こんな時間が続けばいいのに」
〇洋館のバルコニー
聖「咲哉」
咲哉「ん?」
聖「これ、義皇さんにお前に渡してくれって」
咲哉「そう、ありがとう」
聖「・・・色々ありがとな」
咲哉「どーいたしまして」
聖「じゃ、じゃあそれだけ」
咲哉「・・・さて」
──アイツ等を受け入れてくれた事、感謝する。
アイツ等は俺達の古い思想に巻き込まれただけだ。
俺達は近々残った仲間を集めて、番犬に仕掛ける。
そこで、捕らえられた仲間を助ける。
どのみち、俺達リベレは終わるだろう
なんとか新しい世代だけは生かしたい。
俺達の隠れ家に戦えない連中を残していく。
もし、余裕があったら気に掛けてくれ
咲哉「これは・・・隠れ家の地図、かな」
──追伸。
影の奴等は“人形(ドールズ)”について探し回ってる。
気を付けろ
咲哉「・・・まさか、人形の存在を知ってる奴が他にも居るなんてな」
咲哉「忠告感謝するよ」
咲哉「そのお礼に・・・個人的に見るくらいはしようかな」
〇城の客室
「入るわよ、コウちゃん」
光輝「呼び出してごめんね、アオ姉」
葵「いいのよ。ちゃんと報告しなきゃだし」
光輝「それで、リベレは何か情報を掴んでた?」
葵「そうね・・・恐らく、リベレには影が混ざってるわ」
光輝「リベレに?」
葵「ええ。リベレ内を掻き回しつつ、何かを探していた」
光輝「それは何か分かってるの?」
葵「そこまで、わね・・・」
葵「ああ、でも・・・ドールズって、義皇が呟いてたわね」
光輝「ドールズ・・・?人形?」
葵「ごめんなさい、アタシも詳しい事は分からないの」
光輝「・・・・・・・・・」
光輝「ありがとう、アオ姉。色々とね」
葵「いいのよ。貴方も無理しない事」
光輝「ああ、ありがとう」
光輝「ドールズ・・・それが、お前の隠している事なのか」
〇黒
終