エピソード1 魔王、勇者学校に潜入する(脚本)
〇古い洋館
こうして勇者様は魔王を倒し、街の危機を救ったのでした。
はぁ〜いつ読んでもいいなぁ〜
ケビン「勇者様さいっっこう!!」
〇英国風の部屋
コンコン
失礼します
メリッサ「何をされていたんですか?」
ケビン「べつに何も?」
メリッサ「まさかまたあの本を読んでいたんじゃないですよね?」
ケビン「ま、まさか!?そんなわけ無いだろう?」
メリッサ「まったく・・・ 貴方様は自覚があるのですかね?」
メリッサ「ご自身が魔王だということの!!」
ケビン「も、もちろんあるけど・・・」
メリッサ「その本は貴方のお父上が憎き勇者に倒されたという内容の本なのですよ?」
ケビン「仕方がないじゃないか、 魔王は悪者なんだから」
メリッサ「いいえ先代の魔王様はとても立派なお方でした」
メリッサ「街の人間達にも歩み寄ろうとされていて」
メリッサ「きっとあの憎き勇者に嵌められたのです!!」
ケビン「父上が何か悪いことをしたんじゃないか?勇者が正しいに決まっているよ」
メリッサ「いいえ、悪いのはあの勇者です。奴によって我々魔族はこの人里離れた村に追いやられました」
メリッサ「この陽が当たる時間が限られた住みづらい土地で」
メリッサ「息苦しい生活を強いられているのです」
ケビン「それは仕方なくない?」
メリッサ「真実を暴き我らの無念を晴らせるのは坊ちゃんだけなのですよ」
メリッサ「もう一人の坊ちゃんには期待出来ませんからね・・・ボソッ」
メリッサ「我ら魔族の為に立ち上がってください!!」
ケビン「そんな事言ったってどうすれば・・・」
メリッサ「最近こんな話を聞きました」
メリッサ「街に勇者の学校が出来たようです」
ケビン「勇者の学校!?」
〇華やかな寮
街にある勇者を育成する学校
メリッサ「そこの教師を担当するのがなんとあの憎き勇者」
メリッサ「エリート!!」
〇英国風の部屋
ケビン「エ、エリート様!! 我が愛読書の主人公ではあるまいか!!」
メリッサ「・・・」
ケビン「そ、それはけしからんな」
メリッサ「そこで坊ちゃんに潜入調査の為に変装して入学してほしいのです」
ケビン「に、入学だって!?」
ケビン「僕がか!?」
メリッサ「はい。もう手続きは済ませてあります」
メリッサ「くれぐれもバレぬよう・・・」
ケビン「まかせてくれ!!さっそく行ってみよう!!」
メリッサ「はぁーまったく・・・大丈夫なのかしら?」
〇華やかな寮
おおお素晴らしい!!
ケビン「本当にここにあのエリート様が・・・」
〇ファンタジーの教室
ケビン(ここが教室か)
ケビン(結構生徒がいるんだな みんな勇者を目指しているのか)
ケビン(僕と同じだな!!)
ケビン(今日から僕はこの仲間達と共にこの学舎で)
ケビン(勇者を目指すってわけだ!!)
ケビン「あ、あ、あ!?あれは」
エリート様!!
エリート「入学おめでとう。 勇者のたまご達よ」
エリート「今日から将来有望な君達の教師が出来ることを、心から誇りに思う」
エリート「よろしくね」
ケビン(は、はわわわぁ)
ケビン「しあわせ過ぎる・・・」
エリート「さて、さっそく君達に質問だ」
エリート「勇者の仕事とはなんだと思う?」
ケビン「勇者の仕事・・・」
エリート「まず最初に言っておこう」
エリート「勇者とはビジネスだ」
エリート「魔王を倒す簡単なお仕事です」
ケビン「・・・」
エリート「では勇者の敵は何かわかるかな?」
ケビン「勇者の敵・・・ ま、魔王ですか?」
エリート「いや違う 平和だよ」
エリート「勇者が魔王を倒すことで人々は安心を感じることができる」
エリート「悪役がいないと勇者は困るんだ」
エリート「偽物の安心をつくる為には悪役が必要」
エリート「でっち上げてでもね」
エリート「そして人々が平和ボケをし始めたら、またそれを繰り返す」
ケビン「・・・」
エリート「悪役がいないと勇者は廃業だ」
エリート「何より平和はお金にならない」
エリート「それにしてもあの小説はよく売れたなぁ」
エリート「私が愚かな魔王を倒したというあの嘘の物語」
ケビン「え・・・・・・」
エリート「まーあれを読む事で人々は心酔し、安心を買う」
エリート「そして平和を実感できるわけだから結果的にいい事なんだけどね」
ケビン「え・・・なに 何を言ってるんだ・・・」
エリート「あ、これ内緒ね?」
エリート「口外したら退学にするから」
エリート「まー言ったところで誰も信じないだろうけど」
エリート「で、これからこの学校で君達にもそのノウハウを教えていく」
エリート「金儲けのノウハウをね」
エリート(授業料もガッポリ)
〇英国風の部屋
メリッサ「坊ちゃん・・・ 大丈夫ですか?」
ケビン「メリッサ・・・」
ケビン「すまなかった」
ケビン「そして父上・・・」
ケビン「ごめんなさい 貴方を信じないで・・・」
ケビン「僕は・・・ 愚かだ」
メリッサ「坊ちゃん・・・」
!!
ケビン「こ、この声は」
〇牢獄
出せ!こっから出せ!!
ジョン「ぼ、坊っちゃま!! 落ち着いてください!!」
ボビン「いいから出せってんだよ!! わあああああ!!」
ジョン「あ、暴れないでください!!」
ボビン「うあああ わぁあああああー!!!!」
ジョン「ほ、ほら新作のケーキですよー♪ 坊ちゃまの好きな甘いものです」
ボビン「ケーキ!!」
ボビン「もぐもぐっ」
ボビン「あま〜〜〜い♪」
ジョン(ホッ やっとおとなしくなった・・・)
〇英国風の部屋
メリッサ「またボビン坊ちゃんが暴れていたのですね」
メリッサ「まぁ無理もないですね」
メリッサ「なんの事故か 母君のお腹にいる時に」
メリッサ「魔王が本来持っている狂気の部分を全て受け継いでしまいましたからね」
メリッサ「何故か双子であるケビン坊ちゃんの分まで」
メリッサ「先代の魔王様でもご自身の生まれ持った狂気を抑えるのには苦労されてましたから」
メリッサ「それが2人分ともなると・・・」
ケビン「正直ゾッとするよ」
ケビン「自分がああなっていたかもしれないんだ」
メリッサ「でもそのおかげでケビン坊ちゃんが穏やかで私はホッとしていますよ」
メリッサ「ボビン坊ちゃんのお世話役のジョンは苦労しているようですが」
ケビン「だからこそ、 ボビンに頼れないからこそ僕が頑張らないといけない」
ケビン「悲しんでいる場合じゃない」
ケビン「エリート様・・・ いやエリートの裏の顔を暴き」
ケビン「真実を皆に知らせて父上の汚名を晴らすんだ」
ケビン「その為に証拠を掴まないと」
メリッサ「坊ちゃん・・・!」
メリッサ「どうかお気をつけて」
ケビン「ああ」
〇古い洋館
朝だ
行って来ます
〇菜の花畑
トボトボ
「あ、魔王様」
ケビン「マーガレット」
ケビン「こんな朝から何をしているんだ?」
マーガレット「花畑のお世話をしていました」
ケビン「ほぉ 確かに花畑はいつも綺麗だ」
ケビン「君が世話をしていてくれたのか」
マーガレット「ええ」
マーガレット「ただここの土地は街に比べて 気候があまり良くないので」
マーガレット「花も育ちにくいのですけどね」
ケビン「そ、それはすまない」
マーガレット「どうして魔王様が謝るのですか?」
ケビン「いや それはその・・・」
マーガレット「・・・」
マーガレット「ふふ でも大丈夫です」
マーガレット「愛情を持って向き合えば こんなにも綺麗な花を咲かせてくれます」
マーガレット「ニコッ」
マーガレット「ではいってらっしゃい 魔王様」
マーガレットが落ちていた花をケビンの服に着けてくれた
ケビン「ありがとう 行ってきます・・・!!」
ケビン(よぉ〜し 元気が出たぞー)
マーガレット「・・・」
メリッサ「マーガレット」
マーガレット「は、はい!!」
メリッサ「あまり坊ちゃんに近づかないように」
マーガレット「え」
メリッサ「貴方は魔族ではなく」
メリッサ「人間なのですからね」
メリッサ「そこを忘れないように」
マーガレット「はい・・・ 申し訳ありません」
〇華やかな寮
ケビン「今日からここで授業が始まる」
ケビン「まずはいい成績を出してエリートに気に入られて」
ケビン「懐に入り油断させて 奴が過去にした悪行の詳細を聞き出し証拠を掴む」
ケビン「そして僕が先代魔王の息子だとバレないようにしないといけない」
ケビン「全ては我が魔族達の汚名返上の為!」
ケビン「そして権利と自由の為だ!!」
ケビン「僕は必ず仲間達が 住みやすい街で暮らせるようにするぞ──」
本来なら悪役である魔王とヒーローであるはずの勇者の立場が逆転したストーリー、というだけでワクワクします。エリート様の学校が胡散臭い金儲けセミナーみたいで笑ってしまった。クズ道を極めているエリート様だけど言ってることが的を射ていて、一周回って好きになりそうでした。
面白い設定ですね!父の仇の勇者に心酔、からの失望という起伏が多く楽しい第一話で!
双子の弟のボビンも、今後色々と関わってきそうですね!
面白かったです!
勇者を育てる学校と思いきや、勇者を名乗り金儲けさせる学校とは!🤣
汚名返上できる日まで応援したくなりますね!