夢見るうさぎと子守唄

ぐらっぱ

一曲目 兎と人参のララバイ(脚本)

夢見るうさぎと子守唄

ぐらっぱ

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〇未来の店
「はい みなさんお静かに」
「今日から楽しい授業を始めます」
「そう⋯⋯」
「楽しい楽しい寄生の勉強です」
「はいはい、お静かに」
「この社会で生き抜く為に 寄生はとても大切です」
「では、動画を見てみましょう」

〇黒

〇荒廃したデパ地下
  ──Lesson 1──
  対象物に寄生してみましょう
  ──Lesson 2──
  支配してみましょう
寄生された地蔵「カッ」
  ──Lesson 3──
  進化してみましょう
  ──まとめ──
  対象物に寄生をしたら
  色々な進化を試しましょう
  進化方法は様々です
  自分が得意な分野を伸ばしていくのも
  新しい分野を開拓するのも良いでしょう
  それではこの後、実際に──

〇未来の店
???「──ねぇ、つまんないし もっと楽しいとこ行こうよ」

〇未来の店
「ベイビィちゃんがいない!? どこにいるのー!!」

〇宇宙戦艦の甲板

〇黒

〇宇宙空間

〇地球

〇黒

〇ゆるやかな坂道

〇黒
(夢⋯⋯叶えないと 歌手になって この人参達を⋯⋯)

〇黒

〇車内
留守番電話「──メッセージを再生します」
留守番電話「もしもし! なんで電話に出ないの! うち引っ越したからね、場所は──」
「⋯⋯」
「さーって 仕事再開するかぁ」

〇黒

〇菜の花畑
「美味しい人参いかがですかぁ!」
人参「にんじーん〜♪」
茶人参「にんじぃーん〜♪」
紫人参「ニンッじぃーん〜♪」
「おいしいぃーよぉ〜♪」

〇ポップ
「ヘイラッシャイ!」
ウータミィ「ようこそ〜♪ うーたみぃのお店へ〜♪」
ウータミィ「美味しいにんじんを〜♪ 届けますぅ〜♪」
ウータミィ「ボヘェ〜♪」
「オ、オゥ⋯⋯」
ウータミィ「いかがですかぁ〜♪」
ウータミィ「美味しい〜♪ にんっじーん〜食べよう〜♪」
ウータミィ「ボヘェ〜♪」

〇西洋の市街地
ウータミィ「⋯⋯」
ウータミィ「ま、まぁ音程ちょっと外れたカナ 気にしない、けど」
ウータミィ「客が集まらない」
ウータミィ「みんな買ってよぉ こんなに美味しいのに」
ウータミィ「ムシャムシャ⋯⋯ グスン⋯⋯美味しい」
ウータミィ「試験料も交通費も稼がないといけないのに」
ウータミィ「このままじゃ実家にも帰れない」
  第○○回
  魅惑の歌声オーディション
  次世代の歌姫は君だ!!
ウータミィ「⋯⋯」

〇黒

〇劇場の舞台
審査員「──なんていうか 心に響かないんだよねぇ 声は綺麗なんだけど」
審査員「何か足りないのよねぇ 訴えてくる何かが無いの」

〇英国風の部屋
ウータミィの母「──いい加減に諦めなさい あなたには無理」
ウータミィの父「そうだ、なれるわけがない」
ウータミィ「そんな事ないもん 次回こそは⋯⋯」
ウータミィの母「諦めなさい 人参配達のお仕事だけを 頑張っていればいいじゃない」
ウータミィ「⋯⋯」
ウータミィの父「仕事が安定してから考えればいいだろう」
ウータミィ「それじゃダメ オーディションは今受けなきゃ 年齢制限が⋯⋯」
ウータミィの母「二兎を追う者は一兎も得ず、よ どちらかしか選べないの」
ウータミィ「そんな事ないもん 歌う人参配達員を目指すの おばあちゃんだって⋯⋯」
ウータミィの母「おばあちゃんは特別だったのよ あなたとは違うの」
ウータミィ「⋯⋯」
ウータミィ「私、絶対なるんだから! 夢叶えるまで家に帰らないんだから!!」
ウータミィの母「待ちなさい!」

〇西洋の市街地
ウータミィ(家を飛び出したものの)
ウータミィ(落ちまくりぃ)
ウータミィ(いい感じだったんだけどな 途中で事故に遭わなければ)
ウータミィ(退院後はなぜかずっと喉の調子悪いし)
ウータミィ(早く治さないと)
ウータミィ(オーディションまで後1ヶ月 間に合うかな?)
ウータミィ「ふぅ とりあえず気分転換しよ」
ウータミィ「まずは注文分の配達済ませようっと」
ウータミィ「ん?」
警備兵「コラっ! そこの怪しいやつ止まれ 不法侵入か?」
牛っぽい不審者「あ、怪しくないですよ ぼくは善良な市民ですぅ」
警備兵「嘘をつけ! 我が国は兎以外入国を許可していない お前は兎に見えないぞ」
牛っぽい不審者「ぼくは兎ですよぅ 長い耳があるでしょう 垂れ耳兎の種族なんです」
警備兵「う、うーん ロップイヤーか そう見えなくもないような?」
牛っぽい不審者「そうですそうです! ロップイヤーなんですう」
警備兵「うーん⋯⋯ まぁいいか 行っていいぞ!」
牛っぽい不審者「ありがとうございます!」
虫「コソコソ」
警備兵「こらぁ! お前は兎ではないな」
警備兵「ミッションコンプリート!」
ウータミィ「この辺も物騒になったわぁ」
ウータミィ「とりあえず仕事っと」

〇黒

〇学校脇の道
ウータミィ「──よしっ 今日はこれで終わり」
ウータミィ「片付けするから 残ったみんなは先に車へ乗っててね」
牛っぽい不審者「⋯⋯」
牛っぽい不審者「あの車にするか」
牛っぽい不審者「⋯⋯」
ウータミィ「ふぅ みんなお待たぁ」
ウータミィ「ん?」
牛っぽい不審者「おい」
ウータミィ「ヒョェッ!! じ、銃!?」
牛っぽい不審者「車を出せ」
ウータミィ「え、えーっとぉ 出せって⋯⋯?」
牛っぽい不審者「いいから車に乗れ!!」
ウータミィ「は、はいぃ⋯⋯」

〇車内
ウータミィ「アワワ」
牛っぽい不審者「命が惜しければ、言う事を聞け」
ウータミィ「は、はいぃ」
牛っぽい不審者「黙ってここまで運転しろ」
ウータミィ「え、えーっと 運転は、ちょっとぉ」
牛っぽい不審者「早くしろ」
ウータミィ「いや、運転免許まだ持ってない・・・」
牛っぽい不審者「は?」
ウータミィ「仮免受けてるんだけどぉ 今10回目が落ちたとこで まだ無免許⋯⋯」
牛っぽい不審者「はぁ!? じゃあなんで車を持って⋯⋯」
ウータミィ「それは車が荷物置き場と家兼用だし」
牛っぽい不審者「はぁ!?」
牛っぽい不審者「ん?」
「オギャア」
牛っぽい不審者「な、なんだ!?」
牛っぽい不審者「うわっ」

〇学校脇の道
車「ばーぶぅ!」
ウータミィ「わ、私の愛車に何が起きた」
牛っぽい不審者「これは⋯⋯ もしや寄生型宇宙人!?」
ウータミィ「き、寄生!?」
牛っぽい不審者「最近寄生型宇宙人による被害が多いらしい 詳しくは知らないが」
ウータミィ「えぇ!?」
牛っぽい不審者「チッ⋯⋯ 面倒な事になった」
ウータミィ「車が寄生されたら困る!!」
牛っぽい不審者「車はもう諦め って、卵が中に⋯⋯」
牛っぽい不審者「⋯⋯開かない」
ウータミィ「大変! 中にいる人参ちゃん達が」
牛っぽい不審者「くっさっ!! なんだこの水!?」
車「オギャア!! オギャア!!」
牛っぽい不審者「寄生したのは赤子か? チッ、どうしたら」
ウータミィ「赤ちゃんなら⋯⋯ 子守唄を歌ってみる」
牛っぽい不審者「歌?」
ウータミィ「私、歌手目指してるの 歌ってみせる」
牛っぽい不審者「へぇ⋯⋯」
ウータミィ「よーし」
ウータミィ「ボヘェー!!」
車「オンギャァー!!」
牛っぽい不審者「ダメじゃねーか!! 音痴すぎっ!」
ウータミィ「喉の調子がまだ⋯⋯」
紫人参「ニーン」
ウータミィ「紫ちゃん! 車に乗ってなかったのね」
牛っぽい不審者「人参が喋ってる⋯⋯?」
ウータミィ「え? 喋るもんでしょ? うちのは美味しいよ」
牛っぽい不審者「いや、普通は喋らない っていうか食用なのかよ!?」
紫人参「ニン!」
ウータミィ「分かった! 落ち着いてやってみる」
牛っぽい不審者「会話が成立してる!?」
ウータミィ「赤ちゃんだもんね 安心させないと」
ウータミィ「すぅー」

〇幻想
ウータミィ「おやすみ〜♪ わたぁしーの、いとしーぃこ〜♪」
ウータミィ「ゆっくーり、おやすーみなさぁい〜♪」
ウータミィ「る、るーるら、らららら〜♪」

〇学校脇の道
車「すやすや⋯⋯」
牛っぽい不審者「すぅすぅ⋯⋯」
ウータミィ「ら、らーらら〜♪ ⋯⋯ゲホッ」
ウータミィ「ど、どうだろ」
牛っぽい不審者「うお!? なんか寝てしまった」
牛っぽい不審者「車は⋯⋯大人しいな」
ウータミィ「それじゃ今のうちに 邪魔にならないところへ移動させるわ」
牛っぽい不審者「移動ってお前運転できないんじゃ──」
ウータミィ「よっこいしょ」
牛っぽい不審者(ゲェッ! こいつ車を片手で持ち上げた!?)
牛っぽい不審者「⋯⋯」
牛っぽい不審者(怪力⋯⋯眠くなる歌声⋯⋯)
牛っぽい不審者(何か使えるかもしれない)
牛っぽい不審者(そうだ、上手く騙して 俺の逃亡に利用させてもらおう)
牛っぽい不審者「さすが俺 いい閃きだ クックック⋯⋯」
牛っぽい不審者「⋯⋯ん? あいつどこまで行った?」

〇湖のある公園
ウータミィ「もしもし警察ですか? 今怪しい人が──」
牛っぽい不審者「ちょっとまったぁ!!」
ウータミィ「ヒョエェ!!」
牛っぽい不審者「えーっと」
ウータミィ「こ、ころされるぅ!!」
牛っぽい不審者「実は⋯⋯ キミみたいな子を探してたんだ!」
ウータミィ「⋯⋯え?」
牛っぽい不審者「突然驚かせてすまない 演技もできる歌姫候補を探していて さっきのはドッキリというか」
ウータミィ「ドッキリ?」
牛っぽい不審者「そ、そう! 咄嗟の判断力と歌声に感動したよ 車が寄生されたのは想定外だったけど」
ウータミィ「え、えーと? でもあなた兎じゃないのになぜ?」
牛っぽい不審者「い、いや! 俺は兎ですよ! ロップイヤーとかいう」
ウータミィ「えぇ?」
牛っぽい不審者「みんなと違って耳立ってないから 疑われてるんだ⋯⋯ 垂れ耳ってだけなのに」
ウータミィ「そんな事情が!? 疑ってごめんなさい」
牛っぽい不審者(チョロいな⋯⋯)
ウータミィ「つまりあなたはスカウトマン?」
牛っぽい不審者「そ、そう! 俺はこういうモンです」
ウータミィ「耳長芸能事務所の シーファさん?」
シーファ「そ、そう!」
シーファ(さっき拾った名刺が役に立ったぜ)
ウータミィ「私はウータミィ よろしく」
シーファ「よし、それじゃあ スタジオに向かいたいんだが 車の免許は近々取得予定なのか?」
ウータミィ「うん、多分 入院してたからブランクあるけど」
シーファ「それじゃあ免許を取ってから スタジオに向かおう そこでオーディションを受けてもらいたい」
シーファ(まぁ無くてもなんとかなるが こいつに運転させたほうが楽だな 目的地に着いたらオサラバして⋯⋯)
ウータミィ「でも車どうしよう」
シーファ「他に興味ができれば そっちに寄生するからなんとかなるさ」
ウータミィ「そうなんだ でもシーファさんが来てくれて 丁度良かったわ」
シーファ「え?」
ウータミィ「丁度そのオーディション受けるとこ」
シーファ「そ、そう 丁度よかった⋯⋯」
シーファ(マジでオーディションあったなんて ⋯⋯まぁ目的地に近いし たどり着けばなんとかなるだろ)
ウータミィ「入院中は筋トレしか出来なかったから 歌のトレーニング頑張るわ」
シーファ「まず先に免許だな」
ウータミィ「そうね 車が寝てるうちに行かないと 教習所まで3日かかるし」
シーファ「え!?」
ウータミィ「車ベイビーちゃん 良い子でねんねしててねぇ」
シーファ「車も持って行くんかい!」
シーファ「ん?」

〇モヤモヤ

〇黒
  ──擬態率⋯⋯65% ⋯⋯

〇湖のある公園
シーファ「今、何か見えたような? 気のせいか」

〇宇宙空間
  つ
  つづ
  つづく

次のエピソード:ニ曲目 兎達のエチュード

コメント

  • かわいくて賑やかで、愉快なカオスワールドが最高でした🤣🤣🤣
    一見ハチャメチャなんだけど、ぐらっぱさんカラーで世界観もして成立してるの、すごすぎる🤣🤣🤣
    ウータミィもニンジンちゃんたちもかわいし、シーファも不憫?かっこいいし、続きが気になりますね✨

  • 卵のイラスト使用ありがとうございます!
    ひょいっと車に乗せてる表現がいいなって思いました。
    ストーリーもしっかり作られてて良かったです!
    卵の中身も、車の免許がとれるかも、オーディションがどうなるのかも、とっても気になります!
    明るい主人公もなにやらワケアリみたいで、謎が明かされるのが楽しみです♪
    これからもがんばってください。応援してます。

  • これは!!✨😂😂めっちゃ新しいですっ!!!!!!新しいという言葉じゃ足りないですよ!!!!!!

    なんでしょう・・・目が覚めた後に全部思い出したくなる夢でも見ていたかのような感覚です!!!✨🥺🥺

    車が寄生されて赤ちゃんになるのめっちゃ笑いました!!そして子守唄で寝るの可愛い・・・ハッ!!

    これが本当の・・・・・
    ベビーカー!!!!!!( ゚д゚)✨✨✨✨←

    面白かったです!!!

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