キッズルームメモリー

とらそぼろ(古織/千桑)

エピソード3:マジックミラー(脚本)

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〇研究開発室
アサリ「・・・記憶が曖昧なせいでね、あの子の顔まではっきり思い出せないんだけど。 でも、イチジクにあの子の面影がある気がするの」
イチジク「いや、ぼ、僕・・・・・・兄弟なんていないはずだけど・・・・・・」
イチジク「・・・・・・ あれ・・・・・・?」
イチジク「でも、そうか・・・・・・ 僕、多分施設育ちだから・・・・・・」
イチジク「そこで一緒に暮らしてた・・・・・・? のかな・・・・・・?」
アサリ「・・・・・・そう。 そうかもね。私も施設育ちなの」
アサリ「ごめんなさい。惑わすような事聞いて」
イチジク「や、それは別に良いけど・・・・・・」
イチジク「僕とアサリに共通点があったとしたら・・・・・・ この実験に僕たちが集められた理由も、そこに関係してるのかな?」
アサリ「──無い方がいいわ。 ・・・きっと」
イチジク「アサリ・・・・・・きみは」
  他にも何か知っているの?
  そう言いかけた時、
アサリ「コトブキ、ハジメ・・・?」
イチジク「え?」
  アサリが、この部屋にいないはずの二人の名前を呼ぶものだから、その視線の先を追ってみる。
  この部屋の壁の一部はガラス張りのようになっていて、その奥から隣の部屋の様子が見えていた。
  僕とアサリが近づいても、二人はこちらに気づかない。
  アサリが壁をノックすると、ようやく二人は振り返る。
ハジメ「──」
コトブキ「──」
イチジク「何か言ってるみたいだけどわかんないよ・・・ 視線も合ってないし、僕らのこと見えてないのかな?」
アサリ「マジックミラーなのかも。 鏡はあったはずだけど、向こうの部屋からこっちの部屋見えてなかったでしょ」
イチジク「たしかに・・・」
アサリ「・・・・・・ こっちの部屋はまるで向こうの部屋を監視する為のものみたい・・・」
イチジク「──じゃあ、もしかしたら」
  僕はデスクの上の機械を手当たり次第に探り始める。
アサリ「ちょっと、弄って大丈夫?」
イチジク「大丈夫。見たことない何かの実験機器みたいなのはともかく、こんなどこにでもあるタイプの機材なら──っと」
イチジク「当たりかも。 そっちの二人、聞こえる?」
ハジメ「あ──」
コトブキ「やっぱりアンタ達ね」
イチジク「こっちの部屋は見えてる?」
コトブキ「見えないわ。マジックミラーよ」
イチジク「ん〜、やっぱりかあ」
アサリ「・・・まあともかく、これで情報共有できるならこのまま二手に分かれて部屋を調べてても良さそうね」

〇幼稚園の教室
コトブキ「全く・・・・・・ なんなのよこの部屋・・・・・・」
ハジメ「おもちゃや遊具しか無いっすね・・・・・・ 正真正銘、子供用の部屋って感じっす」
コトブキ「そんなの見れば分かるわよ なんでそんな部屋にアタシが拉致されてこなきゃいけないのって事よ」
ハジメ「う・・・・・・ すいません・・・・・・」
コトブキ「あっちの部屋も不快だけど、こっちの部屋も不快なのよ アタシ、子供好きじゃないし」
コトブキ「・・・・・・」
コトブキ「──う・・・・・・頭いた・・・・・・ アタシもう何もしないから、アンタ勝手に調べてなさいよね」
ハジメ「ええ・・・どうか安静に・・・ というか最初から自分しか動いてないっすけど・・・」

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