エピソード2:ラボラトリー(脚本)
〇幼稚園の教室
イチジク(──どうして、僕は銃なんて持ってるんだ・・・・・・)
イチジク(僕は── 僕は、そう、ただの引きこもりのハッカーだ)
イチジク(インターネットの闇はいくらでも知っているし、銃の取り引きだってやろうと思えば出来るだろう)
誰を殺してもお咎めは無い──
それはまさか僕が誰かを殺すと、もしくは誰かを殺せという意味なのか。
イチジク(・・・・・・でも、誰かを殺す理由なんて、殺したい相手なんて、いないはずだ)
イチジク(・・・・・・殺したい相手なんていないけど、僕は・・・・・・ もしかしたら・・・・・・)
──いや、どうせ考えても分からない。
GMが記憶を弄ったという通り、今の時点では何か記憶が足りてないんだ。
僕は身に覚えのない銃の存在を、三人には秘匿する事にした。
アサリ「・・・・・・ねえ。 みんなは何してる人なの?」
コトブキ「何って・・・職業的なこと? アタシはどっかの社員だった気がするわ」
アサリ「気がするって、曖昧ね」
コトブキ「GMが言ってたでしょ、記憶を消したって。記憶が曖昧なのよ。勤め先で何してたかはハッキリと思い出せないの」
アサリ「まあ、そうね・・・ 私も自分のこと思い出せない部分が多いわ」
ハジメ「じ、自分も・・・コトブキさんと同じっす どこかに勤めていたみたいですけど・・・ 何をしてたか思い出せないっす・・・」
アサリ「イチジクは?」
イチジク「ハッカーやってた」
ハジメ「ハッカー・・・なんて現実にいるんすね・・・」
イチジク「え〜? すごいかっこいい憧れるって〜? それほどでも〜」
ハジメ「そこまでは言ってないっす・・・・・・」
それから僕たちは、一度部屋から出てみる事にした。
──けれどまあ、当然というか。
〇薄暗い廊下
通路はすぐに行き止まりになっていて、外に出られそうにも無い。やはり僕たちはここに閉じ込められたのだと痛感するだけだった。
唯一の発見は、最初にいた部屋の近くに、もう一つ扉があったこと。
アサリ「GMが言ってた、隣の部屋ね。 専用の機械で記憶が観れるとかなんとか」
コトブキ「ものすごく怪しいけど・・・・・・どの道入ってみなきゃ何もならないわね」
アサリ「ハジメ、イチジク。 貴方達はどうする?」
イチジク「僕も行くよぉ」
ハジメ「あ、ええ。自分も・・・・・・」
アサリが先陣を切って、扉を開ける。
その後ろから部屋を覗き込む。
ハジメ「──あ。 ・・・え・・・? イチジクさん・・・・・・?」
イチジク「なに?」
ハジメ「──いえ。 なんでも・・・ないっす・・・」
ハジメの様子を不審に思ったものの、先に行ってしまったアサリを追うべく、扉の先へ、足を運んだ。
〇研究開発室
アサリ「・・・・・・ なんか物々しい部屋ね」
アサリ「何かの実験室・・・研究室・・・? GMの言う実験って、やっぱり本気のものなのかしらね」
イチジク「あ、でもベッドあるよ。 休む時はここ使えば良いんだね」
コトブキ「・・・・・・ というか、多分・・・・・・それ、寝ながら記憶を読み込む装置ね・・・・・・」
イチジク「そうなの? 詳しいね。コトブキ、もしかしてこういう施設で働いてたんじゃないの?」
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