マガイモノの国(1)(脚本)
〇白
THE ONE TAKE
九十九「24時間戦えますかーッ♪」
九十九「アンタにゃ出来ても 俺は無理ーッ♪」
九十九「そんなに 尊敬されたいか―ッ♪」
九十九「そんなに カリスマになりたいかーッ♪」
九十九「『世の中には2種類の人間がいる・・・』」
九十九「とか言っちゃいますかーッ?」
九十九「芯だけ食っても固いだけ♪ 芯だけ食っても不味いだけ♪」
九十九「命短し 脂身食べて歌って踊って、ハイ♪」
九十九「サヨウナラ~♪」
和泉「・・・何やってんすかアンタ」
九十九「勿論オープニングテーマに 決まってるじゃないか」
九十九「・・・って、ONETAKEに 入って来るなんてありえないぞ君!」
九十九「ONETAKEだぞ! ONETAKE!」
九十九「まあ、僕は 修正も演出のひとつだと思う派だがね」
和泉「そういうこと言わない!」
和泉「大体、パロディにも限度があります」
和泉「誰も読んでないからって あまり好き勝手やんないで下さい」
和泉「一応、 コンテストに応募とかもしてるんで 落選するまではイイ子にしてないと」
九十九「一話だけ読んで ハイ、サヨウナラ~♪」
和泉「そんなに 読者に睨まれたいか~♪」
九十九「今の~ウソ~♪」
「第2話参りましょう! 第2話スタート!」
「だ、誰だっ!?」
令「むっふっふっふっふ」
〇高速道路
『こっこっ今夜も大捜査~♪』
〇車内
令「令ちゃんは ますます元気です~♪」
令「今日の事件はなんじゃろな♪ 力いっぱい調べるぞい♪」
令「ててんててん♪てんてん♪ ててんててん♪てんてん♪」
令「ねえ~ん~前田~ん もっと飛ばして~ん」
前田「無茶言わないで下さい 我々刑事ですよ」
令「刑事だって 法を犯したくなる時あるじゃん」
令「人間だもの!」
前田「人間なら法は守って下さい」
令「じゃあ、後田~ん 面白い話して~ん」
令「面白い顔でも可」
後田「この頭だけでは まだ飽きたりませんか?」
令「仕方ないじゃん。 こっちにも都合ってものがあるの」
令「全く・・・ 世の中には似た人が、 三人いるって言うけど」
令「よりにもよって何で、 そのうちの二人が 部下に割り振られちゃうかな~」
後田「だったらせめて 服装で区別して下さい」
後田「こんなやり方、 間違っている・・・」
令「ごめんなさい」
後田「警部・・・」
令「私だって辛いんだよ」
令「なまじ優秀なもんだから、 あれよあれよという間に 出世しちゃって・・・」
令「女だからって理由だけで、 署内の脳筋オヤジ共に目の敵にされ」
令「その上蒸せ返るような美貌を 舐め回すように 視姦され続ける日々・・・」
令「そんなバイオレンス&エロス な日々の中で、私は学んだの」
令「せめて、 下っ端には厳しくしようって。 なぜなら・・・」
令「部下に厳しくなれない者は 犯罪者に厳しくなんて なれないからっ!!!」
「・・・?」
令「犯人を殴る前に、 まずは部下から殴る。 それが私の・・・」
仕事の流儀
令「という訳だ」
令「わかったらハゲじゃない方、 あと10キロ飛ばしたまえ」
令「出来ないなら髪型逆にさせるぞい」
令「どうせ入れ替わっても、 大差ないんだからさ」
「・・・」
令「うん? 何だねその顔は? ダメだコリャ~ってか?」
令「ファ~ファ~ファッファッファ~♪ デンデン♪」
後田(転職したい)
前田(退職したい)
〇廃ビルのフロア
令「おいおいおいおいおーい! こりゃまた随分と ありがちな現場じゃないか」
令「よく 『なんちゃらライダーなんちゃら』 が戦ってる場所じゃないか」
警察官「お疲れ様です」
令「うむ。ご苦労」
令「これは『禍異物』がらみ の事件かも知れない。 ガイシャについて色々と聞きたい」
警察官「畏まりました。 被害者は・・・」
令「君ではない! 君は掃除でもしていたまえ! 或いは育毛 及び整形後に話しかけたまえ!」
令「では、遺体発見の状況を 近くの喫茶店で報告してくれ」
令「その前にまず君の年齢、趣味、 好きな異性のタイプ、 そして両親の介護度を聞こうか」
後田「警部。 なりふり構わず婚活するのは 控えて頂けませんか?」
令「うるさいわね! 最早、一回一回の出会いを 大切にしないといけない年頃なの!」
令「邪魔するなら 下の毛も剃らせるわよ」
令「3、4日したら 滅茶苦茶チクチクして 凄いストレス感じるけど、いい?」
警察官「すいません。自分、 大学時代から付き合ってる人が・・・」
令「・・・」
令「ちょっとなに無駄口叩いてるの! とっとと現場に案内しなさいよ! このノンキャリア!」
令「少しくらいハンサムだからって、 調子に乗んじゃないわよ!」
「申し訳ない」
〇黒
令「・・・」
前田「この遺体・・・」
後田「資料の男に間違いありません」
令「うん?」
令「これって、 ダイイングメッセージって奴?」
令「うわ~本当にいるんだ。 こんな事する人」
令「なになに~? 何て書いてある~?」
令「・・・ふむ」
前田「・・・どういう意味でしょう?」
令「・・・」
令「・・・あ」
後田「どうしました?」
前田「警部・・・もしかして?」
後田「『私、分かっちゃったんですけど~』 ・・・的な?」
令「むっふっふっふっふ」
令「待ってろ。犯人め」
さて、話は前日にさかのぼる。
かの倉庫禍異物発生事件の、
およそ一週間後である。
〇巨大なビル
総合製造企業ヤオヨロズ本社
『イザナギターミナル』
〇学食
佐藤「でも良かったじゃないか。 禍異物って言っても、 弱っちい雑魚だったんだろ」
〇古い倉庫の中
「ギョギョギョギョーッ!」
和泉「ええい! 最早対魔士殿は当てにならん!」
和泉「相手は丁級だ! 力でねじ伏せるぞ!」
和泉「フォーメーション剛(ゴウ)!」
「承知!」
「うおおおおお―ッ!」
フォーメーション剛!
が、どういうものかは
よく分かりませんが・・・
物語の進行上大して影響はないので
このくらいの描写で十分かと。
「言い方!」
「浄化完了!」
〇学食
佐藤「ようは我が同郷の星、 和泉君の力を持ってすれば 楽勝だったって話か?」
佐藤「・・・ハッ!」
佐藤「自慢か!」
和泉「お前が聞いてきたんだろ」
佐藤「興味あるんだよ。 実戦ってヤツが」
和泉「あまり根ほり葉ほり聞いてくるなよ。 他言無用の情報だってあるんだから」
佐藤「それは そっちの匙加減じゃないか」
和泉「まあ、お前に隠しても あまり意味ないけどな」
佐藤「たかが清掃夫にってか?」
和泉「皮肉を言うな、お前らしくないぞ。 それを言うならこっちだって たかが『清掃夫』だ」
佐藤「ああ、皮肉だよ」
佐藤「集団就職組の中で 誰よりも田舎に帰りたかった お前さんが警備違士で」
佐藤「誰よりも、 正義の為に戦いたかった俺が しがないビルの掃除ときた」
和泉「こっちもしがない使い走りだ」
和泉「本社に予算上げる度に 小言を言われるのが本職だからな」
和泉「いかに国民的大会社でも、 上京組に与えられる仕事なんか まあこんなものさ」
和泉「お前を後任に推薦して、 とっとと田舎の支社に戻るのが 今の俺の小さな望み・・・」
和泉「っていうかむしろ戻りたい! 都会の女はもう懲り懲りだ!」
佐藤「それはそれでお気の毒さま」
ヤオヨロズ社員「おい佐藤、なに油売ってんだ! 休憩時間はとっくに過ぎてるぞ!」
佐藤「す、すみません・・・」
ヤオヨロズ社員「チッ・・・田舎者はすぐサボるな。 東京はタイムイズマネーなんだよ!」
ヤオヨロズ社員「あと煙草の吸殻溜まりまくってるぞ! トロトロ仕事してんじゃねえタコ!」
佐藤「・・・」
和泉「気にするな。 世の為人の為に働くんだろ」
佐藤「ああ、 大儀のために俺達は上京したんだ。 共にニッポン国をよくしていこう!」
和泉「そこは一緒にしないで欲しいが」
『コウトウ管区蓬莱島に丁級禍異物出現』
『コウトウ管区蓬莱島に丁級禍異物出現』
『青龍部隊隊員は隊本部に集合せよ』
『青龍部隊隊員は隊本部に集合せよ』
和泉「来たな。丁級とはおあつらえ向きだ」
佐藤「頑張れよ『例の作戦』」
佐藤「その『インチキ対魔士』とやらの正体 しっかり暴いてやれ」
和泉「分かってる。何が定時で上がるだ」
和泉「今回は絶対に逃がさん!」
佐藤「大東京を舞台に怪異と戦う、 正義の警備違士とエリート対魔士か」
佐藤「・・・カッコよろしい事で」
〇刑務所
ヤオヨロズ警備部東面部隊
(通称青龍部隊)本部
杜屋副隊長「総員、集まったか?」
和泉「対魔士殿がまだであります」
杜屋副隊長「くそ、此度もか」
杜屋副隊長「本部にも顔すら出さず、 現地集合現地解散」
杜屋副隊長「幾ら土御門殿の推薦とて、 このままでは他の者に しめしがつきませんぞ。隊長」
坂上隊長「まあ今日までの我慢だ。 此度の作戦であの男の真贋を見極める」
『ブワッハッハッハ~~~!』
九十九「いやいや~ 皆さんお早いですな~ 感心感心~」
九十九「もし置いて行かれたら、また今回も タク送かって期待しちゃいましたが」
九十九「そうは問屋がってカンジですかな~?」
九十九「よっニクイよ! この、ど根性大将!」
坂上隊長「恐縮です」
坂上隊長「ところでこの煙幕、 今後も必要ですかな?」
和泉「毎度毎度煙たいんですけど」
九十九「隊長殿のご命令とあらば控えましょう」
坂上隊長「助かります」
杜屋副隊長「では総員、時計を合わせよ」
九十九「はい?」
九十九「なんで?」
坂上隊長「一秒のズレが 作戦失敗に繋がりかねませんので」
杜屋副隊長「対魔士どのも」
九十九「はいは~い」
「・・・」
杜屋副隊長「青龍部隊!出動!」
「御意!」
〇高速道路
〇トラックのシート
九十九「和泉成(いずみせい)君だっけ?」
和泉「はい」
九十九「雨男の」
九十九「でも大丈夫だよ。 僕はね、こう見えて晴れ男なんだ」
和泉「どう見ても晴れ男ですが」
九十九「能天気って言いたいのかい? はっはっは・・・」
九十九「よおし!車止めろ! 次の信号でぶん殴ってやる!」
和泉「なんて沸点の低い人間なんだ」
九十九「君ね、糸目が全員スカした達観キャラ だと思ったら大間違いだよ」
菅原「まあまあ対魔士どの落ち着いて。 お飲み物でも如何ですか?」
九十九「うわ! シュカッと軽やかコーラムネ!」
九十九「気が利くね~。 そういう人は出世するよ~」
九十九「どこぞの誰かさんは、 一生運転手止まりかも知れないけど~」
和泉「よおし降りろ! アンタだけ徒歩で来い!」
菅原「ほら和泉先輩もピリっちゃわないの」
菅原「『作戦中』ですよ」
和泉「チッ・・・そうだな」
九十九「ぷは~っ! この微炭酸がたまらないね~!」
九十九「ふわあ~・・・ 蓬莱島まで長いのかい?」
和泉「終業前には着きますよ」
九十九「結構」
九十九「・・・」
菅原「寝ましたね」
和泉「凄い即効性だな。 ちょっと引くわ」
藤原「じゃあ安全運転で行くぞ、和泉」
藤原「起こさないようにゆっくりと」
和泉「ああ。『作戦開始』だ」
つづく。