99クレージー

山本律磨

マガイモノの国(1)(脚本)

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〇白
  THE ONE TAKE
九十九「24時間戦えますかーッ♪」
九十九「アンタにゃ出来ても俺は無理ーッ♪」
九十九「そんなに尊敬されたいか―ッ♪」
九十九「そんなにカリスマになりたいかーッ♪」
九十九「『世の中には2種類の人間がいる・・・』」
九十九「とか言っちゃいますかーッ?」
九十九「芯だけ食っても固いだけ♪芯だけ食っても不味いだけ♪」
九十九「命短し脂身食べて歌って踊って、ハイ♪」
九十九「サヨウナラ~♪」
和泉「・・・何やってんすかアンタ」
九十九「勿論オープニングテーマに決まってるじゃないか」
九十九「って、ONETAKEに入って来るなんてありえないぞ君!」
九十九「ONETAKEだぞONETAKE!」
九十九「まあ、僕は修正も演出のひとつだと思う派だがね」
和泉「そういうこと言わない!」
和泉「大体、パロディにも限度があります。誰も読んでないからってあまり好き勝手やんないで下さいよ」
和泉「一応コンテストに応募とかもしてるんで、落選するまではイイ子にしてないと」
九十九「一話だけ読んでハイ、サヨウナラ~♪」
和泉「そんなに読者に睨まれたいか~♪」
九十九「今の~ウソ~♪」
「第2話参りましょう!第2話スタート!」
「だ、誰だっ!?」
令「むっふっふっふっふ」

〇高速道路
  『こっこっ今夜も大捜査~♪』

〇車内
令「令ちゃんはますます元気です~♪」
令「今日の事件はなんじゃろな♪力いっぱい調べるぞい♪」
令「ててんててん♪てんてん♪ててんててん♪てんてん♪」
令「ねえ~ん。前田~もっと飛ばして~ん」
前田「無茶言わないで下さいよ。我々刑事ですよ」
令「刑事だって法を犯したくなる時あるじゃん」
令「人間だもの!」
前田「人間なら法は守って下さい」
令「じゃあ後田~面白い話して~ん」
令「面白い顔でも可」
後田「この頭だけではまだ飽きたりませんか?」
令「仕方ないじゃん。こっちにも都合ってものがあるのよ」
令「全く・・・世の中には似た人が三人いるって言うけど」
令「よりにもよって何でそのうちの二人が自分の部下に割り振られちゃうかな~」
後田「だったらせめて服装で区別して下さい」
後田「こんなやり方、間違っている・・・」
令「ごめんなさい」
後田「警部・・・」
令「私だって辛いんだよ」
令「なまじ優秀なもんだから、あれよあれよという間に出世しちゃって」
令「女だからって理由だけで署内の脳筋オヤジ共に目の敵にされ、その上蒸せ返るような美貌を舐め回すように視姦され続ける日々」
令「そんなバイオレンス&エロスな日々の中で私は学んだの」
令「せめて下っ端には厳しくしようって。なぜなら・・・」
令「部下に厳しくなれない者は犯罪者に厳しくなんてなれないから!」
「・・・?」
令「犯人を殴る前にまず部下から殴る。それが私の」
  仕事の流儀
令「という訳だ。分かったらハゲじゃない方、あと10キロ飛ばしたまえ。出来ないなら髪型逆にさせるぞ」
令「どうせ入れ替わっても大差ないんだからさ」
「・・・」
令「うん?何だねその顔は?ダメだコリャ~ってか?」
令「ファ~ファ~ファッファッファ~ン♪デンデン♪」
後田(転職したい)
前田(退職したい)

〇廃ビルのフロア
令「おいおいおいおいおーい!こりゃまた随分ありがちな現場じゃないか」
令「よく、なんちゃらライダーが戦ってる場所じゃないか」
警察官「お疲れ様です」
令「うむ。ご苦労」
令「これは禍異物がらみの事件かも知れない。ガイシャについて色々と聞きたい」
警察官「畏まりました。被害者は・・・」
令「君ではない!君は掃除でもしていたまえ!或いは育毛及び整形後に話しかけたまえ!」
令「では遺体発見の状況を近くの喫茶店で報告してくれ。その前にまず君の年齢、趣味、好きな異性のタイプ、両親の介護度を聞こうか」
後田「警部。なりふり構わず婚活するのは控えて頂けませんか?」
令「うるさいわね!最早、一回一回の出会いを大切にしないといけない年頃なの私!」
令「邪魔するなら下の毛も剃らせるわよ」
令「3、4日したら滅茶苦茶チクチクして凄いストレス感じるけど、いい?」
警察官「すいません。自分、大学時代から付き合ってる人がいて・・・」
令「・・・」
令「ちょっとなに無駄口叩いてるの!とっとと現場に案内しなさいこのノンキャリア!」
令「少しくらいハンサムだからって調子に乗んじゃないわよ!」
「申し訳ない」

〇黒
令「・・・」
前田「この遺体・・・」
後田「資料の男に間違いありません」
令「うん?」
令「これって、ダイイングメッセージって奴?」
令「うわ~本当にいるんだ。こんな事する人」
令「なになに~?何て書いてある~?」
令「・・・ふむ」
前田「・・・どういう意味でしょう?」
令「・・・」
令「・・・あ」
後田「どうしました?」
前田「警部・・・もしかして?」
後田「分かっちゃったんですけど~的な?」
令「むっふっふっふっふ」
令「待ってろ。犯人め」
  さて、話は前日にさかのぼる。あの禍異物発生事件のおよそ一週間後である。

〇巨大なビル
  総合製造企業ヤオヨロズ本社
  『イザナギターミナル』

〇学食
佐藤「でも良かったじゃないか。禍異物って言っても弱っちい雑魚だったんだろ」

〇古い倉庫の中
「ギョギョギョギョーッ!」
和泉「ええい!最早対魔士殿は当てにならん!」
和泉「相手は丁級だ!力でねじ伏せるぞ!」
和泉「フォーメーション剛(ゴウ)!」
「承知!」
「うおおおおお―ッ!」
  フォーメーション剛!がどういうものかはよく分かりませんが、物語の進行上大して影響はないので、このくらいの描写で十分かと。
「言い方!」
「浄化完了!」

〇学食
佐藤「同郷の星、和泉君の力を持ってすれば楽勝だったって話だな」
佐藤「・・・ハッ!」
佐藤「自慢か!」
和泉「お前が聞いてきたんだろ」
佐藤「興味あるんだよ。実戦ってヤツが」
和泉「あまり根ほり葉ほり聞いてくるなよ。他言無用の情報だってあるんだからさ」
佐藤「それはそっちの匙加減じゃないか」
和泉「まあお前に隠してもあまり意味ないけどな」
佐藤「たかが清掃夫にってか?」
和泉「皮肉を言うな、お前らしくないぞ。それにこっちだってたかが清掃夫だ」
佐藤「ああ、皮肉だよ。集団就職組の中で誰よりも田舎に帰りたかったお前が警備違士で」
佐藤「誰よりも正義の為に戦いたかった俺がしがないビルの掃除ときた」
和泉「こっちもしがない使い走りだ。本社に予算提出に来ては経理部に嫌味言われる係だからな」
和泉「いかに国民的大会社でも、上京組に与えられる仕事なんかこんなものさ」
和泉「まあお前を後任に推薦してとっとと田舎の支社に戻るのが今の俺の小さな望み・・・」
和泉「っていうかむしろ戻りたい!都会の女は、もう懲り懲りだ!」
佐藤「それはそれでお気の毒さま」
ヤオヨロズ社員「おい佐藤、なに油売ってんだ!休憩時間はとっくに過ぎてるぞ!」
佐藤「す、すみません・・・」
ヤオヨロズ社員「チッ・・・田舎者はすぐサボるな。東京はタイムイズマネーなんだよ!」
ヤオヨロズ社員「あと煙草の吸殻溜まりまくってるぞ!トロトロ仕事してんじゃねえタコ!」
佐藤「・・・」
和泉「気にするな。世の為人の為に働くんだろ」
佐藤「ああ、大儀のために俺達は上京したんだ。共にニッポン国をよくしていこう!」
和泉「そこは一緒にしないで欲しいが」
  『蓬莱島に丁級禍異物出現』
  『蓬莱島に丁級禍異物出現』
  『青龍部隊隊員は隊本部に集合せよ』
  『青龍部隊隊員は隊本部に集合せよ』
和泉「来たな。丁級とはおあつらえ向きだ」
佐藤「頑張れよ『例の作戦』」
佐藤「そのインチキ対魔士とやらの正体しっかり暴いてやれ」
和泉「分かってる。何が定時で上がるだ」
和泉「今回は絶対に逃がさん!」
佐藤「大東京を舞台に怪異と戦う正義の警備違士とエリート対魔士か・・・」
佐藤「・・・カッコよろしい事で」

〇刑務所
  ヤオヨロズ警備部東面部隊
  (通称青龍部隊)本部
杜屋副隊長「総員、集まったか?」
和泉「対魔士殿がまだであります」
杜屋副隊長「くそ、此度もか」
杜屋副隊長「本部にも顔すら出さず現地集合現地解散。幾ら土御門殿の推薦とてこのままでは他の者にしめしがつきません」
坂上隊長「まあ今日までの我慢だ。此度の作戦であの男の真贋を見極める」
  『ブワッハッハッハ~~~~~~!』
九十九「いやいや~皆さんお早いですな~感心感心」
九十九「もし置いて行かれたらまた今回もタク送かって期待しちゃいましたがそうは問屋がって感じですかな~」
九十九「よっニクイよ!このど根性大将!」
坂上隊長「恐縮です」
坂上隊長「ところでこの煙幕、今後も必要ですかな?」
和泉「毎度毎度煙たいんですけど」
九十九「隊長殿のご命令とあらば控えましょう」
坂上隊長「助かります」
杜屋副隊長「では総員、時計を合わせよ」
九十九「はい?」
九十九「なんで?」
坂上隊長「一秒のズレが作戦失敗に繋がりかねません」
杜屋副隊長「対魔士どのも」
九十九「はいは~い」
「・・・」
杜屋副隊長「青龍部隊!出動!」
「御意!」

〇高速道路

〇トラックのシート
九十九「和泉成(いずみせい)君だっけ?」
和泉「はい」
九十九「雨男の」
九十九「でも大丈夫だよ。僕はね、こう見えて晴れ男なんだ」
和泉「どう見ても晴れ男ですが」
九十九「能天気って言いたいのかい?はっはっは」
九十九「よおし!車止めろ!次の信号でぶん殴ってやる!」
和泉「なんて沸点の低い人間なんだ」
九十九「君ね、糸目が全員スカした達観キャラだと思ったら大間違いだよ」
菅原「まあまあ対魔士どの落ち着いて。お飲み物でも如何ですか?」
九十九「気が利くね~。そういう人は出世するよ~」
九十九「どこぞの誰かさんは一生運転手止まりかも知れないけどね~」
和泉「よおし降りろ!アンタだけ徒歩で来い!」
菅原「ほら和泉先輩もピリっちゃわないの」
菅原「『作戦中』ですよ」
和泉「チッ・・・そうだな」
九十九「ふわあ~蓬莱島まで長いのかい?」
和泉「終業前には着きますよ」
九十九「結構」
九十九「・・・」
菅原「寝ましたね」
和泉「凄い即効性だな。ちょっと引くわ」
藤原「じゃあ安全運転で行くぞ、和泉」
藤原「起こさないようにゆっくりと」
和泉「ああ!作戦開始だ!」
九十九「・・・」
  つづく。

次のエピソード:マガイモノの国(2)

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