きたのみ!

ましまる

第十三話・名詮自性(脚本)

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〇オフィスのフロア
同僚さん「昨日のデートで行った居酒屋で 「梅水晶」ってヤツを初めて食べたんだ」
同僚さん「カレが頼んでくれたんだけど 透明のコリコリが梅色に染まって すっごいキレイだったんだよね」
ミチル「デートで居酒屋、しかも梅水晶・・・ またずいぶんと渋い内容ですね」
同僚さん「それは言わないでおいて・・・」
同僚さん「で、コリコリの正体をカレに聞いたら 鮫の軟骨だっていうのよ」
同僚さん「それ聞いて腹が立って、 カレと大喧嘩しちゃったのよ・・・」
ミチル「鮫の軟骨、ダメなんですか・・・?」
同僚さん「だって鮫って怖いじゃない! しかも身じゃなくて軟骨って何なの!?」
同僚さん「私、そーいうのって苦手なんだって!」
同僚さん「しかも、「梅水晶」という 対極的な美しい名前で誤魔化すなんて!」
ミチル「そういえば、ホルモンが苦手なのも 同じような理由ですか?」
同僚さん「うん・・・ ホルモンの正体って、大腸とか胃袋でしょ 想像すると食べられなくなるから・・・」
ミチル「と言いながら、白子は大好物ですよね? 先日の飲み会でも独り占めしてましたし」
同僚さん「うん、めっちゃ好きっ! あの舌ざわり、あの香り、あの喉越し、 最高だって!」
ミチル「ちなみに、白子の正体ってご存じですか?」
同僚さん「えっ、気にしたことない・・・」
ミチル「白子って・・・」
ミチル「・・・・・・・・・」
同僚さん「えーっ!!」
同僚さん「じゃあ、私って今まで・・・」
同僚さん「・・・・・・がパンパンに詰まった袋の 舌ざわりとか香りとか喉越しとかを 楽しんでいたってコト!?」
同僚さん「カレのだって、まだしたコトないのに」
ミチル「とりあえず、フロア内に丸聞こえなので 声のボリュームを抑えましょうか・・・」
同僚さん「あっ・・・」
  食べ物のメニューには、
  雅な名称、感性に訴える名称のものも
  少なくない
  一例として、和食の
  時雨煮・衣被・小田巻蒸といった名称は
  どれも知性や感性が求められるものである
  そこまでウィットに富んだ名称でなくとも
  食べる側の食欲を刺激するメニュー名は
  数多く存在する

〇飲み屋街
  そんな「テンションが上がるメニュー名」
  を求めてお店へと向かうミチル
  今夜は、特に北海道民のテンションが
  上がる料理名がお目当ての模様

〇大衆居酒屋(物無し)
ミチル「まずは・・・」
ミチル「ぷはぁー、やっぱ生ビールは安定のウマさ」
ミチル「喉が潤ったところで・・・」
お店のスタッフさん「お待たせしました~」
お店のスタッフさん「タコザンギでございます~」
ミチル「この香ばしく揚がったタコ! そして何よりも・・・」
ミチル「「唐揚げ」を「ザンギ」と呼ぶだけで 数倍も高まる高揚感っ!」
ミチル「揚げ立て、いただきまーす!」
ミチル「カリッカリの衣の中から、 しっかり歯ごたえのタコ、美味しー!」
ミチル「そこに・・・」
ミチル「もー、たまらん!」
ミチル「これで食欲に火が付いたので、 もう1品いっちゃいますかー」
ミチル「スミマセーン、日本酒の冷を!」
お店のスタッフさん「はーい」
ミチル「んー、美味しい!」
ミチル「口の中がしっかりと日本酒モードに 切り替わったところで・・・」
お店のスタッフさん「お待たせしました~」
お店のスタッフさん「山わさびの板わさでございます~ 辛いのでお気をつけて~」
ミチル「うわー、たっぷりの山わさび! 辛いけど絶対に美味しいヤツ!」
  山わさびは、西洋料理で言うところの「ホースラディッシュ」「レフォール」のことである
  西洋料理では肉や魚の薬味として用いられるが、北海道では、さらに豆腐や白米などにも乗せて食べられており、
  近年は山わさび味のカップラーメン・カップ焼きそばも売られているほどの、北海道民に愛されている食材である
ミチル「勝手知ったるこの刺激、 蒲鉾の上に適量を乗せて、お醤油をちょん いただきまーす」
ミチル「んー、この鮮烈な辛味! 鼻の粘膜にダイレクトに刺し込んでくるっ」
ミチル「で、そんな刺激に口が慣れてくると、 山わさびの甘味や蒲鉾の旨味がどんどんと 湧き上がってきて」
ミチル「そんな幸せな口内に・・・」
ミチル「これぞ旨味の相乗効果! 抜群の取り合わせだってコレ!」
ミチル「でもさ、こんな美味しい逸品だけど、 メニュー名が「山わさびの板わさ」でなく」
ミチル「「ホースラディッシュの板わさ」だったら ほとんどの道民は頼んでないよね・・・」
ミチル「「山わさび」という名前自体にも 強い魅力があるって言えるのかな?」
ミチル「名前も含めての「食の経験」 そして「食文化」なんだろうね」
ミチル「そんな「食文化」のおかげで お酒が進んで仕方ない!」
ミチル「「食文化」バンザイッ!」
ミチル「ふぅ~」
ミチル「さて、しっかりと堪能したけど、」
ミチル「この時間だったら、もう1軒行けるかな」
ミチル「あのお店、ちょうど気になっていたし」
ミチル「スミマセーン、お会計お願いしまーす!」
お店のスタッフさん「は~い、ありがとうございま~す」
  珍しくハシゴをしようとするミチル
  彼女の気になっていたお店とは?
  そんなミチルが食べるだけのお話
  
  次回、最終回!(唐突すぎ)

次のエピソード:最終話・深夜のデセール

コメント

  • これはもうお酒が絶対必要なやつ!!🤤✨山わさびの板わさめっちゃ美味しそう…💖道民では無いですがホースラディッシュの板わさと言われるより遥かに美味しそうに感じる不思議…✨
    梅水晶の名前は確かに格別に綺麗✨
    白子を魚卵かなんかと思ってる人多いですよね😂
    大好物ですが最初に「食おうぜ!」って考えた人、なかなか頭おかしいかとww
    次回最終回〜😭あとがきで上がっていた料理も全部美味しそうです💖

  • エッ!最終回…。
    サザエさんのように、いつも読めると思っていたから道民は悲しいです😭
    タコザンギは揚げる時に油がハネるのが難点ですけど、美味しいですよね。小さく切らないと、いつまでも噛み切れなくて飲み込めないので、カットの大きさに悩みます。
    今回はミチルの小悪魔ぶりにオヤッとなりました。天然ちゃんにイラっとしたかな?
    ウチの旦那も白子好きだと公言していますが、アカンやつやった〜!?😨

  • うぉー!!美味しい!!美味しいです✨😍
    タコのザンギー!!!!!!めっちゃ食べたいです!!✨そして、いきなり最新話から読んでしまったのですが、まさかの次回最終話ですかっ!!( ゚д゚)!!
    これまでのお話もマイペースに読ませていただきますね💓

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