ステージで歌う

タヌキ山

第5話 ヴァイスキルト(脚本)

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〇稽古場
  アイドルユニットを組むと決めた私は、あれから忙しい日々を送っていた。
  ダンスに──

〇音楽スタジオ
  ボイストレーニング──

〇稽古場
  忙しくもやりがいのある毎日を送っていた。
  そして、学校が休みな今日も私達はレッスンをしていた。
四宮 夏樹「へぇ、じゃあ神埼さんは『sunrise』の二人とは幼馴染みなんだ」
神埼 咲「と言っても、二人とも忙しくて実家に帰ってこないからしばらくあってないけどね」
神埼 咲「だから、そんなすごい二人に追い付くのが私の今の目標かな?」
四宮 夏樹「『sunrise』にね・・・」
四宮 夏樹(俺はむしろあいつらを──)
四宮 夏樹「ぶっ潰したいけどな──」
神埼 咲「? なにか言った?」
四宮 夏樹「いや? そろそろ練習、再開しようか?」
神埼 咲「う、うん」
  一瞬、彼の雰囲気が変わった気がしたけど気のせいだったのだろうか?
  コンコン
  そんなことを考えているとレッスン場の扉がノックされた。
飯坂 新「二人とも頑張ってるか?」
神埼 咲「新さん、おはようございます」
飯坂 新「おはよう。 もうデビューまで二週間切ってるからな。 気合いいれろよ?」
  あれから私達のマネージャーには飯坂新が抜擢された。
  四宮君の元マネージャーという要因も大きいのだろう。私的にも全く知らない人よりも一度でも顔を会わせている人の方が安心だ。
飯坂 新「ところで、ユニット名は決まったか?」
四宮 夏樹「それなんですが・・・」
四宮 夏樹「『タルタルソース』なんでどうでしょうか!!」
神埼 咲「ダメ!! そんな名前いやだよ!!」
四宮 夏樹「えー、神埼さんがおしゃれな名前がいいって言ったからだろ?」
神埼 咲「だからってもう少しましな名前はないの・・・?」
飯坂 新「昔からこいつ、ネーミングセンスだけは無いからな・・・。 咲ちゃん、君が決めた方がいいと思うよ?」
神埼 咲「は、はぁ・・・」
  私はしばらく目をつぶり考えた。
神埼 咲「ヴァイスキルト・・・」
四宮 夏樹「ヴァイス・・・」
飯坂 新「キルト・・・」
神埼 咲「あ、えっと・・・ ヴァイスはドイツ語で白って意味なの。 四宮君の歌って繊細で色に例えたら白みたいだなー・・・って」
四宮 夏樹「そんで、神埼さんの歌声はキルトみたいに柔らかいと・・・」
神埼 咲「え!? いやいや、そんなこといってないけど!?」
四宮 夏樹「決まりだな」
神埼 咲「ちょ、ちょっと!? それじゃあ私、自意識過剰みたいじゃない!?」
飯坂 新「いいんじゃないか? ヴァイスキルト」
神埼 咲「やっぱり考え直します」
四宮 夏樹「いーや、これで決まりだね。 『ヴァイスキルト』。 もうこれ以外考えられないよ」
飯坂 新「よし、じゃあ名前も決まったところで行こうか?」
四宮 夏樹「あれ、もうそんな時間ですか?」
飯坂 新「いろいろと準備もあるしな」
神埼 咲「あの、今からどこかにいくんですか?」
飯坂 新「もしかして、また夏樹からなにも聞いてない?」
神埼 咲(何だろう、前にもこんなことが・・・)
四宮 夏樹「今日は今からテレビ放送の収録に行くよ」
神埼 咲「・・・・・・今から?」
四宮 夏樹「今から」
神埼 咲「・・・・・・・・・・・・」
神埼 咲「嘘でしょぉぉぉぉ!?」

〇車内
四宮 夏樹「ごめんって。 前もっていったら緊張するだろ?」
神埼 咲「たしかにそうだけど・・・」
  あれから私は、服を着替え、髪の色まで変えさせられた。
飯坂 新「夏樹も悪気があったわけじゃないと思うし、許してやってくれ。 直接咲ちゃんに伝えなかった俺も悪かった、ごめんな?」
神埼 咲「別に新さんは悪くありませんよ。 私もビックリはしましたけど、もう怒ってませんよ」
飯坂 新「ならよかった。 それに、本当に急に決まった仕事なんだ」
飯坂 新「元々、デビュー前にいくつかのテレビ番組で歌を披露してもらう予定だったんだ」
飯坂 新「だが、今回『オレプロ』所属のグループが急遽出れなくなってな。 変わりに君たちに仕事が回ってきたわけさ」
神埼 咲「そうだったんですね」
  事情はわかったが、やはり緊張するものはする。
神埼 咲(私、大丈夫かしら・・・)
  不安になり、下を向いていると隣から声が聞こえた。
四宮 夏樹「その格好、似合ってる」
神埼 咲「え?」
四宮 夏樹「服だけじゃない。 髪もメイクも全部」
四宮 夏樹「今の神埼さんは、サイコーにかわいいよ」
神埼 咲「・・・・・・」
四宮 夏樹「あとは、笑顔があれば言うことなしだ」
神埼 咲「こ、こう?」
四宮 夏樹「もっと」
神埼 咲「どう?」
四宮 夏樹「バッチリだ。 かわいい」
神埼 咲「ありがとう。 少し落ち着いた」
四宮 夏樹「ならよかった。 何かあれば俺に頼ってくれていいから」
  その言葉に少しだけ安心することができた気がした。

〇車内
  同時刻──
  とある車内。
逆井 拓「あれ、今日出るグループ変わったんだ」
逆井 雪「『オレプロ』のデビュー前ユニットが出るらしいぞ?」
逆井 拓「『ヴァイスキルト』? 全く聞いたことないな」
逆井 雪「俺もだ。 マネージャーなにか知ってる?」
四宮 冬樹「詳しくは私も知らないわ。 でも、期待していいんじゃないかしら?」
逆井 拓「まあ、『オレプロ』が実力の無い奴らデビューさせると思わないしな」
逆井 拓「まあでも、このユニット名は気に入ったかな?」
逆井 雪「俺もだ」
逆井 拓「どんな奴らなんだろうな」

次のエピソード:第6話 初めまして

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