テレビを見て語らう家族

ましまる

温もりの晩餐(脚本)

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〇おしゃれなリビングダイニング
お母さん「すぐ戻るから、先に食べててー」
「はーい、いただきまーす」
お父さん「あっ、美香、テレビ点けてくれるかな」
美香「はーい」
ニュースキャスター「・・・23日に投開票された市長選では、現職候補が3選を果たし・・・」
ニュースキャスター「・・・対立候補に約8万票という圧倒的な差をつけての当選に・・・」
美香「これ、この前の選挙のニュースだよね?」
美香「こんな大差がつくんだ」
お父さん「そうだね、大半の選挙って 知名度や組織票でほぼ決まってくるから」
美香「じゃあ、私に選挙権があったとしても 結果が変わらないのなら 別に投票に行かなくてもいいよね」
お父さん「いや、行かなきゃダメだよ 選挙は、意思の表示という意味もあるから」
美香「えっ、どういうコト?」
お父さん「例えば、今回の市長選挙では 現職市長はまず当選確実とされていた」
お父さん「でも、その市政に納得のいかない人も 当然存在している」
お父さん「そういう人は、対立候補に投票することで 「アナタの市政は支持しません」という メッセージになるんだよ」
美香「あっ、なるほどっ」
お父さん「市長としても当選できるかが最重要だけど 何割の市民に支持されたかも大事なんだ」
お父さん「「95%の市民が支持」と 「51%の市民が支持」では 意味合いが変わってくるから」
美香「確かに、どれだけ市民に納得されているか 選挙の結果から見えてくるね」
お父さん「うん、その通り」
お父さん「選挙は「意思表示」の場だから 数年後、美香なりの投票をしてほしいな」
美香「うん、わかったー!」
美香「でも、パパって ママへの「意思表示」は全然しないよね」
美香「美味しくない料理を出されても 何も言わずに普通に食べてるし」
美香「今日のご飯だって・・・」
お父さん「いや、いつも態度で示しているよ」
美香「えー、どこがー!?」
お父さん「料理の味ごとに反応を変えているから」
美香「えっ?」
お父さん「普通の味なら 「すっごく美味しいね!」」
お父さん「辛うじて食べられるものには 「・・・うん、美味しい」」
お父さん「ちょっと飲み込めないレベルなら 「・・・・・・うん」」
美香「それでママに通じるの?」
お父さん「うん、ママって素直だから 美味しいって言われた料理ばかり 繰り返し出してくれるんだよ」
お父さん「その結果、今では食卓に普通の料理が 並ぶようになったから」
美香「でも、今だって月イチで ゲロマズ料理が・・・」
お父さん「でも、結婚したばかりの頃は 2日に1回のペースだよ」
美香「・・・えっ」
お父さん「かなり減ったのは、ママが反応を見て 好評でない料理を出さなくした結果だから」
お父さん「そんなママの優しさ、ちゃんと感じないと」
美香「うん・・・」
お母さん「ただいまー」
お母さん「どう、今日の料理は美味しい?」
お母さん「頑張って新作にチャレンジしてみたんだよ」
お父さん「・・・・・・うん」
お母さん「これ、結構な自信作だから ウチの定番メニューにしよっか!?」
美香「パパ―、全然通じてないってー!!」

次のエピソード:おどろきの朝

コメント

  • わー!!!!✨😊
    ほんとこの話読むと癒されますね✨😍
    お父さん優しいっ!!✨😍

    けどほんとやっばい時は言わないとー!!!!定番料理にされてしまうー!!!!!言おう!?言おう!?となりました✨

  • パパ、優しすぎるって〜!と思わずツッコミ入れてしまいました。TVのグルメリポートは『斬新な味ですね』と茶を濁すらしいですけど…。
    優しいパパに対してのママが、やっぱり強めなのが良きです!
    料理を作らない人に、とやかく言う権利などないのです。(すっかりママ目線)

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