偽りのトリアーダ

草加奈呼

ex.3 テオドールとゴンドル族の闇 3(脚本)

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〇豪華な部屋
テオドール「ただいまー!」
ダニエル「テオドール! 帰ってくるなら、連絡なりしないか!」
テオドール「ごめんごめん、驚かせたくて」
テオドール「兄さんと姉さんは?」
ダニエル「自室にいるが・・・」
リア「テオが帰ってきたの!?」
ダニエル「リア、落ち着きなさい」
リア「ごめんなさい、お父様」
テオドール「姉さん、ただいま」
  ぎゅーっ
リア「もう、テオったら!」
テオドール(久々に姉さんを補給できた)
ダニエル「テオドール、 父さんには再会のハグはないのか?」
テオドール「えー?」
ダニエル「“えー”ってなんだ、“えー”って!!」
アルフレッド「テオ、帰っていたのか」
テオドール「兄さん、ただいま」
  ぎゅーっ
アルフレッド「テオ・・・相変わらずだな」
ダニエル「父さん、悲しい」
リア「お兄様、仕事中でしょ? お茶でもお持ちしましょうか?」
アルフレッド「ああ、今一息入れようと来たんだ。 持っていくよ」
リア「じゃあ、私が淹れますね」
テオドール(うーん、この調子だと、あの2人、 まだくっついてないな・・・)
テオドール(早くくっつかないかな〜)
アルフレッド「テオ、いつまでいるんだ?」
テオドール「夕飯食べたら帰るよ」
アルフレッド「そうか・・・ 俺は仕事で相手できないが」
テオドール「いいよ、兄さん忙しいもんね」
テオドール(・・・する気もないくせに)
リア「お兄様、お茶が入りましたよ」
アルフレッド「ああ、ありがとう」
テオドール「姉さん。 姉さんも部屋に行っててくれる?」
リア「えっ? せっかく帰って来たのに」
テオドール「父さんと、大事な話があるんだ」
リア「わかったわ」
テオドール「父さん、これを見て」
ダニエル「これは・・・?」
テオドール「大学の課題で、ゴンドル族のことを レポートにまとめてみた」
ダニエル「おまえ・・・」
ダニエル「・・・・・・」
ダニエル「これは・・・」
テオドール「これ、父さんがやってる活動に 使えないかな?」
テオドール「姉さんのためにもなるよね?」
ダニエル「うむ・・・」
ダニエル(よくまとまってる・・・)
ダニエル「しかし、テオドール この情報、どこで手に入れた?」
テオドール「風俗店で働くゴンドル族から 聞いたものだよ」
ダニエル「風俗店!? おまえ、行ったのか!?」
テオドール「ちょっと、噂で聞いて確かめにね」
テオドール「父さんは、ゴンドル族の女性がこういう トコで働いてるって、知ってたんでしょ?」
ダニエル「もちろんだ。 だから差別緩和を目指している」
テオドール「姉さんには言わないの? こういう世界があるってこと・・・」
ダニエル「もちろん、ゴンドル族だとバレれば 風俗に売られてしまうから、」
ダニエル「気をつけるようには注意してある」
ダニエル「しかし、他の生き残りが裏社会で 働いていると知れば・・・」
ダニエル「あいつは、間違いなく罪悪感に 苛まれるだろうし、」
ダニエル「ヘタをすれば、 単身で政府に乗り込みかねん」
テオドール「職業のことは? たしか、ゴンドル族でも なれる職業があるんでしょ?」
ダニエル「もちろん、リアが自分の意思で “それになりたい”と言えば問題はない」
ダニエル「でも、私が目指しているのは、 職業選択の自由だ」
ダニエル「リアには、ゴンドル族の 先駆けとなってほしいんだ・・・」
ダニエル「そうでなければ、意味がない・・・」
ダニエル「このレポートは、よくできてる」
ダニエル「これで、総帥閣下に 進言してみることにしよう」
テオドール「あっ、そうだ 父さん、これも・・・」
ダニエル「クレジットカード明細書・・・?」
テオドール「出世払いってことで、じゃあね!!」
ダニエル「・・・・・・・・・・・・」
ダニエル「はあっ!?!?!?!?」

〇高級一戸建て
「テオドーーーーーーーーール!!!!!!! なんだこの金額はーーーーーーーッッ!!!!」

〇城の会議室
  公国会議場
総帥「ダニエルくん、君のこの資料、 とても興味深く拝見させてもらった」
ダニエル「はっ、ありがとうございます」
総帥「君は、ずっとゴンドル族の 差別緩和を望んでいるが・・・」
総帥「何か、特別な理由でも?」
ダニエル「いえ、そういうわけでは ありませんが・・・」
ダニエル「ただ、ゴンドル族だけに過酷な環境を 強いることに、心が痛むだけです」
総帥「君は、とても優秀だ」
総帥「もし差別緩和が実現できれば、多くの ゴンドル族から支持されるだろう」
ダニエル「恐れ入ります」
総帥「この話、進めてもいい」
ダニエル「本当ですか!?」
ダニエル(やった・・・! テオドールに感謝だな!)
総帥「ただし、条件がある」
ダニエル「なんでしょう?」
総帥「君の家を捜査させてもらう」
ダニエル「えっ!?」
総帥「君がこれだけ ゴンドル族に力を入れる理由・・・」
総帥「ゴンドル族を匿っているのではないかと いう噂が立っていてね」
ダニエル「そんなことはありません!」
総帥「カルステン君のところの、ポポロム君の 例もある・・・」
総帥「ポポロム君は、医者になったということで 拘束を免れているが・・・」
総帥「私も優秀な部下のことを信じたい」
総帥「信じたいからこそ、だよ」
総帥「私を安心させてくれたまえ」
ダニエル「・・・わかりました」
ダニエル(まずい、早くアルフレッドたちに 連絡しないと・・・!)
総帥「家宅捜査の間、 君の身柄は拘束させてもらう」
ダニエル「ま、待ってください!」
ダニエル「さすがに、家に帰らないのでは 息子たちが心配します」
ダニエル「せめて、連絡はさせてください!」
総帥「・・・・・・」
総帥「いいだろう、連絡してきなさい」
ダニエル(アルフレッド・・・テオドール・・・)
ダニエル(私は、もうダメかもしれん・・・)

〇オフィスのフロア
アルフレッド(父さんから・・・?)
アルフレッド「もしもし」
ダニエル「アルフレッド、すまない 私はしばらく、家に帰れない」
アルフレッド「え・・・?」
ダニエル「“鍵”をよろしく頼む」
アルフレッド「父さん、まさか・・・!」
アルフレッド「部長!」
上司「どうした、アルフレッド君?」
アルフレッド「家族が事故に遭いまして! 早退したいのですが!」
上司「そりゃ、大変だ! すぐに行ってあげなさい!」
アルフレッド「すみません!」

〇車内
アルフレッド「・・・テオか!」
テオドール「兄さん、父さんから電話来た!?」
アルフレッド「ああ、さっき“鍵”を託された!!」

〇簡素な一人部屋
テオドール「兄さん、姉さんを拾ったら、 栗色の長い髪のカツラを用意できる?」
アルフレッド「は!? 変装でもさせるのか!?」
テオドール「そう、姉さんを変装させたら──」
テオドール「俺が、今から言う場所に2人で行って」

〇車内
アルフレッド「何か策があるんだな!?」
アルフレッド「──わかった!」

〇大学の広場
リア(今日の夕飯、なににしようかな・・・?)
「リア!!」
アルフレッド「父さんから“鍵”を託された! 乗れ!!」

〇車内

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次のエピソード:ex.4 テオドールとゴンドル族の闇 4【完結】

コメント

  • テオの姉さんプレイが伏線だったんですね!!なこさんお見事✨🙏✨
    しかし、悪だくみしているテオの、なんと生き生きとしていることよ…。
    トリアーダ本編があってのテオの番外編ではありますが、普通にこれが本編でも面白かったかも!?

  • パウラさん。。。
    本編を下敷きに、各キャラが感情や信念をむき出しにしていて、見応えがスゴイです!
    本編と番外編が相互補完する魅力的なストーリー、たまりません!

  • テオによる知能犯罪!予想できない展開でパウラをそのまま捨て石はないですよね💦それにしても引き込まれていくストーリーに毎回驚かされる!気づいた時には、トリアーダの世界ににどっぷり浸かっています🫡

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