魔道士は虹色の夢を見る

星月 光

第21章 近づいて、遠ざかる(脚本)

魔道士は虹色の夢を見る

星月 光

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〇城壁
「殿下、俺たちを集めて どうするつもりだ?」
「話があるみたいだけど」
デアネイ・フォン・スペサルト「みんな、よく聞きなさい」
デアネイ・フォン・スペサルト「父上がプレーンへ進軍しました」
デアネイ・フォン・スペサルト「内乱に乗じてプレーンを侵略するために」
デアネイ・フォン・スペサルト「姉上は滅びゆく世界を救うために ご学友たちと危険な旅をしています」
デアネイ・フォン・スペサルト「それなのに父上は、私欲のために 戦争を起こそうとしている」
デアネイ・フォン・スペサルト「それだけじゃない!」
デアネイ・フォン・スペサルト「城にいた者は知っていると思いますが 父上は姉上の記憶を消しました」
「姫の記憶を?」
「なんでそんなこと・・・」
デアネイ・フォン・スペサルト「自分の野望に利用するためだけに!」
デアネイ・フォン・スペサルト「お友達との記憶も、好きな人のことも」
デアネイ・フォン・スペサルト「ボクとの思い出も・・・忘れちゃった」
デアネイ・フォン・スペサルト「あんな者をもう、王とは仰げません」
デアネイ・フォン・スペサルト「父上を追撃し、プレーン侵攻を止めます」
デアネイ・フォン・スペサルト「・・・もしかしたら この手で父上を殺すかもしれない」
デアネイ・フォン・スペサルト「それでも、みんな・・・ わたしを王と認めてくれますか?」
「王女殿下万歳!」
「デアネイ殿下を王に!」
デアネイ・フォン・スペサルト「ありがとう、みんな」
デアネイ・フォン・スペサルト(グレゴリー・・・)
デアネイ・フォン・スペサルト(あなたの覚悟、無駄にはしない!)

〇綺麗な港町
シグバート・フォン・ブラッドショット「めぼしい情報はなかったな」
ヴィオラ・コーディエ「そっちはどうだった?」
ノエル・エンジェライト「黒髪の男と白い鎧の剣士が 東へ飛んだそうです」
ヴィオラ・コーディエ「それって・・・!」
ミモザ・クラリティ「ヴィオラ様のお父様と学園長 ・・・ですよね」
シグバート・フォン・ブラッドショット「東というと、ディアマンテの王都ディアか」
ヴィオラ・コーディエ「よーし、しゅっぱ・・・」
  ・・・て・・・
ヴィオラ・コーディエ「・・・ん?」
ミモザ・クラリティ「ヴィオラ様? どうかなさいました?」
ヴィオラ・コーディエ「誰かに呼ばれた気がしたんだけど」
ヴィオラ・コーディエ「・・・気のせいかな」
シグバート・フォン・ブラッドショット「エレンの南東にポータルがある 急げば今日中にディアに着くだろう」
ヴィオラ・コーディエ「じゃ、しゅっぱーつ!」
ノエル・エンジェライト「・・・・・・」
ミモザ・クラリティ「ノエル様・・・?」
ノエル・エンジェライト「・・・行きましょう」

〇原っぱ
賞金稼ぎパステル「買ってきたぜ」
賞金稼ぎトーナル「でかした、パステル」
賞金稼ぎパステル「ほんとにこれであいつらを倒せるのか?」
賞金稼ぎトーナル「正攻法では勝てないからな 毒薬で弱らせるしかない」
賞金稼ぎトーナル「特にあの、水色の髪の魔道士」
賞金稼ぎパステル「悪魔みてえに強かったもんな」
賞金稼ぎパステル「でも、今日のメシ代がなくなったぞ?」
賞金稼ぎトーナル「あいつらを捕らえれば 毒薬代を差し引いても釣りがくるさ」
賞金稼ぎパステル「よっしゃ、やるぞ・・・」
賞金稼ぎトーナル「ぐあっ」
賞金稼ぎパステル「トーナル!?」
キープレート学園長「毒薬ですか 使えそうですね」
キープレート学園長「闇市へ行く手間が省けました」
キープレート学園長「ノエルをこちらへ引き込むために 最後の仕上げといきましょう」
アイオ・コーディエ「・・・御意」

〇中世の街並み
ミモザ・クラリティ「学園長はどこにいらっしゃるのでしょうか」
ヴィオラ・コーディエ「まずは情報収集だろ?」
ヴィオラ・コーディエ「行こうぜ、シグバート」
ノエル・エンジェライト「待ってください」
ノエル・エンジェライト「・・・シグバートさん ぼくと行きましょう」
ヴィオラ・コーディエ「えっ!?」
ミモザ・クラリティ「ノエル様・・・」
ノエル・エンジェライト「・・・話したいことがあるので」
シグバート・フォン・ブラッドショット「・・・わかった」
シグバート・フォン・ブラッドショット「ヴィオラ、そちらは頼んだぞ」
ヴィオラ・コーディエ「うん・・・」
ヴィオラ・コーディエ「ノエル・・・ まだシグバートのこと怒ってんのかな」
ミモザ・クラリティ「きっとだいじょうぶですよ」
ミモザ・クラリティ「あの方は、優しい方ですから」
ヴィオラ・コーディエ「や・・・優しい?」
ヴィオラ・コーディエ「ま、考えててもしょうがないか」
ヴィオラ・コーディエ「よし、行こう!」
ミモザ・クラリティ「はい!」

〇市場
ノエル・エンジェライト「・・・シグバートさん」
シグバート・フォン・ブラッドショット「・・・なんだ」
ノエル・エンジェライト「・・・すみませんでした」
ノエル・エンジェライト「ミモザさんへの発言を 看過するつもりはありませんが」
ノエル・エンジェライト「貴方がぼくに言ったこと・・・ すべて、そのとおりです」
シグバート・フォン・ブラッドショット「・・・・・・」
ノエル・エンジェライト「貴方の言うように・・・ あのとき自分の気持ちを認めていれば」
ノエル・エンジェライト「ミモザさんを置いてはいかなかった」
ノエル・エンジェライト「彼女が記憶を消されたのは・・・」
ノエル・エンジェライト「ぼくの・・・ぼくが・・・」
シグバート・フォン・ブラッドショット「ノエル」
シグバート・フォン・ブラッドショット「オレのほうこそ、すまなかった」
シグバート・フォン・ブラッドショット「愛する者の記憶を奪われ 父親と戦わなければならない」
シグバート・フォン・ブラッドショット「オレは正しさに固執するあまり おまえの気持ちを考えていなかった」
シグバート・フォン・ブラッドショット「なにも失っていないオレが 偉そうに言える道理はなかったのに」
ノエル・エンジェライト「・・・いいえ」
ノエル・エンジェライト「貴方はいつも正しいことを言っていました」
シグバート・フォン・ブラッドショット「学園長とナギットが結託しているなど オレだってあのとき気づけなかった」
シグバート・フォン・ブラッドショット「それに・・・」
シグバート・フォン・ブラッドショット「おまえがどうしていようと 学園長は別の策を用意していたはずだ」
シグバート・フォン・ブラッドショット「だから・・・ 過ぎたことを悔やむのはもうやめよう」
ノエル・エンジェライト「・・・はい」
シグバート・フォン・ブラッドショット「ん?」
ディアの少女「赤い髪のおにいちゃん! この怪我、治して!」

〇中世の街並み
研究員「学園長なら昨日いらっしゃったよ」
ヴィオラ・コーディエ「もうディアにはいないんですか?」
研究員「たぶんね」
研究員「キミたち、特別試験の受験生だろう」
研究員「プルウィルストーンは手に入れたのか?」
ヴィオラ・コーディエ「まだ・・・です」
研究員「ま、そう簡単にはいかないよな」
研究員「そうだ、ミモザさん キミに手紙を預かっていたんだ」
ミモザ・クラリティ「わたしにですか?」
研究員「バーバラ先生からだ」
研究員「じゃ、わたしはこれで」
ヴィオラ・コーディエ「とりあえず読んでみる?」
ヴィオラ・コーディエ「なんかいい情報があるかもよ」
ミモザ・クラリティ「そうですね・・・」
  ミモザ
  久しいですね
ミモザ・クラリティ「これは・・・」
ヴィオラ・コーディエ「レオナの字?」
  おまえはブラッドショットの王妃に
  ふさわしくない
ヴィオラ・コーディエ「手紙でも嫌味かよ!」
ヴィオラ・コーディエ「破り捨てちゃおうぜ」
ミモザ・クラリティ「待ってください・・・」

〇英国風の図書館
レオナ・フォン・プレーン「謂れなき中傷を受けていたおまえは いつも悲しげに耐えていましたね」
レオナ・フォン・プレーン「王妃となるにはそれではダメなのです」
レオナ・フォン・プレーン「王とは、国と民を守る存在」
レオナ・フォン・プレーン「王を隣で支える王妃も矢面に立ち 戦わなければならない」
レオナ・フォン・プレーン「守られるばかりのおまえは 王に並び立つのにふさわしくない」
レオナ・フォン・プレーン「王妃になどならず 自分を守ってくれる者の傍で生きなさい」

〇中世の街並み
ヴィオラ・コーディエ「あいつ・・・まさか」
ミモザ・クラリティ「守ってくれる者・・・」
ミモザ・クラリティ「それって・・・」
ヴィオラ・コーディエ(レオナ、気づいてたんだ)
ヴィオラ・コーディエ(全然気づかなかったあたしが すげーバカみたいじゃん)
ディアの老人「旅の娘さんたち」
ディアの老人「悪いことは言わない 早くこの国を出るんだ」
ヴィオラ・コーディエ「なんで?」
ディアの老人「悪魔が来る・・・」
ヴィオラ・コーディエ「・・・悪魔?」

〇市場
シグバート・フォン・ブラッドショット「じっとしていろ」
ディアの少女「ありがと、おにいちゃん」
ディアの少女「お礼にこれ、あげる」
ディアの少女「はい!」
シグバート・フォン・ブラッドショット「・・・ありがとう」
ディアの少女「バイバーイ」
ノエル・エンジェライト「・・・・・・」
シグバート・フォン・ブラッドショット「笑いたければ笑え!」
ノエル・エンジェライト「いえ・・・」
シグバート・フォン・ブラッドショット「しかし、妙だな」
シグバート・フォン・ブラッドショット「なぜオレが光精術使いだとわかったんだ?」
ノエル・エンジェライト「・・・・・・」

〇中世の街並み
ディアの老人「ディアマンテ王家はかつて ひとりの少年を処刑しようとした」
ヴィオラ・コーディエ「処刑・・・!?」
ディアの老人「プレーンの報復が恐ろしかったのだ」
ディアの老人「そして、人間とは思えぬほど 強大な魔力を持つその少年が」
ディアの老人「少年は怒り狂い、多くの人間を殺し あらゆるものを凍らせた」
ディアの老人「悪魔となった少年は 王都の民を皆殺しにするために・・・」
ミモザ・クラリティ「それは違います!」
ミモザ・クラリティ「彼はそんなこと望んでいません!」
ミモザ・クラリティ「あんなに傷ついて・・・ とても悲しそうで・・・」
ミモザ・クラリティ「ノエルさんはわたしを信じて ご自分の過去を告白してくれました」
ミモザ・クラリティ「光精術では、心の傷は癒やせないのに」
ミモザ・クラリティ「だからわたし・・・ 少しでも力になりたくて・・・」
ヴィオラ・コーディエ「ミモザ・・・」
ディアの老人「・・・・・・」

〇建物の裏手
ノエル・エンジェライト「有力な情報はありませんね」
シグバート・フォン・ブラッドショット「・・・ぐっ・・・」
ノエル・エンジェライト「どうしましたか」
シグバート・フォン・ブラッドショット「身体が・・・痺れ・・・」
キープレート学園長「毒が効いてきたようですね」
シグバート・フォン・ブラッドショット「学園長・・・!」
キープレート学園長「ノエルくん わたしとともに来なさい」
ノエル・エンジェライト「・・・断ると言ったらどうしますか」
キープレート学園長「きみに選択権があるとでも?」
キープレート学園長「このままではシグバートくんは死にます」
キープレート学園長「お友だちを助けたいでしょう?」
シグバート・フォン・ブラッドショット「ノエル、行くな! これは罠だ・・・」
ノエル・エンジェライト「・・・・・・」

〇中世の街並み
ディアの老人「・・・きみはあの少年を愛しているのだな」
ディアの老人「ならば、彼を支えてほしい」
ディアの老人「そもそも、恐怖と疑心にかられて 彼を処刑しようとしたわしらが悪いのだ」
ディアの老人「彼とともにディアマンテを出なさい」
ディアの老人「・・・達者でな」
ミモザ・クラリティ「あ・・・」
ヴィオラ・コーディエ「ミモザ・・・記憶・・・」
ミモザ・クラリティ「え・・・あっ」
ヴィオラ・コーディエ「思い出したのか!?」
ミモザ・クラリティ「はい・・・ 全部、思い出しました」
ヴィオラ・コーディエ「よかった!」
ヴィオラ・コーディエ「あいつらにも教えてやらなきゃな」
ヴィオラ・コーディエ「あたし、シグバートに知らせるから ミモザはノエルのとこに・・・」
ミモザ・クラリティ「待ってください!」
ミモザ・クラリティ「その・・・心の準備が・・・」
ヴィオラ・コーディエ「なんで? すげー喜ぶと思うけど」
ヴィオラ・コーディエ「・・・あ、そっか」
ヴィオラ・コーディエ「告白されちゃうかもしれないもんな!」
ヴィオラ・コーディエ「それとも、ミモザのほうからするつもり?」
ミモザ・クラリティ「ヴィオラさんったら・・・ からかわないでください!」
ヴィオラ・コーディエ「じゃ、一緒に行こうぜ それならいいだろ?」
ミモザ・クラリティ「は、はい・・・」

〇建物の裏手
ノエル・エンジェライト「・・・学園長 なぜこんなことを・・・」
キープレート学園長「時間を稼いで助けを待つつもりですか?」
キープレート学園長「そのときは・・・そうですね」
キープレート学園長「きみがあの悪魔であることを 知らしめましょうか」
シグバート・フォン・ブラッドショット「な・・・」
キープレート学園長「きみの力なら、ディアの人間を 皆殺しにすることなど造作もない」
キープレート学園長「でも、これ以上その手を 血で汚したくはないでしょう」
キープレート学園長「ミモザくんのためにも、ね」
シグバート・フォン・ブラッドショット「・・・っ」
ノエル・エンジェライト「シグバートさん・・・」
「ぐ・・・うぅっ・・・」
キープレート学園長「ノエルくん 決めるのはきみですよ」
ノエル・エンジェライト「・・・・・・」

〇市場
ヴィオラ・コーディエ「あいつら、どこ行ったんだ?」
ミモザ・クラリティ「先に宿へ行ってしまったのでしょうか?」
研究員「キミたち、まだいたのか?」
ヴィオラ・コーディエ「えっ・・・」
研究員「シグバートくんとノエルくんは 学園長と一緒に行ってしまったよ」

次のエピソード:第22章 神の声

コメント

  • ああ、何で別行動してるの…😭 ノエルたちとヴィオラたちはここで別れてしまうのでしょうか? 話タイトルの通り、各々が近づいたのにまた遠ざかって…でも、彼らの絆というか、心はぐんと近づいていると思うので、学園長に負けず打ち勝ってほしいです! 続きも楽しみにしています😊

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