第22章 神の声(脚本)
〇幻想
天使アクロマート「イリデッセンス」
天使アクロマート「なぜ人間どもを管理下に置かないのです!」
天使アクロマート「奴らが争いを続ければ大地は汚染されます」
天使アクロマート「このままでは・・・」
女神イリデッセンス「人間の可能性を信じているからよ」
女神イリデッセンス「世界の行く末が心配な気持ちはわかります」
女神イリデッセンス「ですが、しばし見守りましょう」
天使アクロマート「・・・ええ・・・」
〇市場
ヴィオラ・コーディエ「行ったって、どこに!?」
研究員「東へ向かうとおっしゃっていた」
ミモザ・クラリティ「まさか、グランメルに?」
研究員「それはわからないが 早く追いかけたほうがいい」
研究員「では失礼」
ミモザ・クラリティ「グランメルのクリファ塔には 堕天使が封印されていますよね」
ヴィオラ・コーディエ「そういや、授業で教わったっけ」
ミモザ・クラリティ「もしかしたら学園長は そこへ向かったのでは・・・」
ミモザ・クラリティ「わたしの記憶を封じるとき 気になることを言っていたのです」
〇華やかな裏庭
キープレート学園長「あいにく、下等生物の繁殖プロセスには 疎いものでね」
キープレート学園長「1000年の時を経て わが悲願が達成されようとしている」
〇市場
ヴィオラ・コーディエ「1000年・・・!?」
ヴィオラ・コーディエ「学園長ってやっぱ人間じゃないのかな」
ミモザ・クラリティ「とにかく、追いかけましょう!」
ヴィオラ・コーディエ「おう!」
ヴィオラ・コーディエ「なんだ・・・?」
〇原っぱ
ノエル・エンジェライト「・・・学園長 どこへ向かっているのですか」
キープレート学園長「・・・・・・」
ノエル・エンジェライト「なぜミモザさんにあんなことを・・・」
キープレート学園長「じきにわかりますよ」
ノエル・エンジェライト「それに彼は、死んだはずでは・・・」
シグバート・フォン・ブラッドショット「ノ・・・エル・・・ 逃げ・・・」
キープレート学園長「まだおしゃべりする余裕がありましたか」
キープレート学園長「少し痛い目に遭ってもらいましょう」
シグバート・フォン・ブラッドショット「がはっ・・・!」
「ぐっ・・・!」
キープレート学園長「どこまで耐えられるか、試してみますか?」
ノエル・エンジェライト「やめてください!」
キープレート学園長「では行きましょうか」
キープレート学園長「余計なおしゃべりをしていると お友だちが死んでしまいますよ?」
ノエル・エンジェライト「・・・わかりました・・・」
〇中世の街並み
ディアの少女「くるしい・・・ おねえちゃん・・・」
少女の姉「誰か、この子を助けて!」
「毒キノコでも食べたのか?」
「いや、こんな症状は見たことない」
「光精術使いはいないのか?」
「解毒魔法は上位の光精術だ スペサルトの王族じゃないと」
ミモザ・クラリティ「あの・・・」
ヴィオラ・コーディエ「ミモザ!」
ヴィオラ・コーディエ「ここで光精術を使ったら スペサルトの王女だってバレちゃうよ」
ミモザ・クラリティ「でも・・・」
ヴィオラ・コーディエ(あたしが注目を集めてるあいだに ミモザが光精術を使うとか?)
ヴィオラ・コーディエ(ダメだ、なにも思いつかない)
ヴィオラ・コーディエ(シグバートがいれば・・・)
「悪魔の呪いなんじゃないか?」
「俺たちまで呪われてしまう!」
「火焙りにして呪いを祓おう!」
少女の姉「そんな・・・!」
ヴィオラ・コーディエ「ちょっと待てよ!」
「なんだ、おまえ?」
ヴィオラ・コーディエ(ヤバっ)
ヴィオラ・コーディエ「えーっと・・・」
「道を空けてください!」
ミモザ・クラリティ「わたしの光精術で解毒できます!」
ヴィオラ・コーディエ「ミモザ・・・ごめん」
ミモザ・クラリティ「助けられるかもしれない人を見捨てたら おふたりに顔向けできませんもの」
ヴィオラ・コーディエ「・・・よし! さっさと解毒してやろうぜ!」
ミモザ・クラリティ「はい!」
〇霧の立ち込める森
キープレート学園長「ノエルくん」
キープレート学園長「一定間隔で枝に結びなさい」
キープレート学園長「ヴィオラくんとミモザくんが 追って来られなくなりますから」
ノエル・エンジェライト「・・・わかりました」
〇空
〇中世の街並み
ミモザ・クラリティ「・・・これで解毒できたはずです」
少女の姉「ありがとうございます・・・ なんとお礼を言えばいいか」
ミモザ・クラリティ「いえ、そんな・・・」
ヴィオラ・コーディエ「じゃ、行こうぜ」
ミモザ・クラリティ「おふたりはご無事でしょうか・・・」
少女の姉「お待ちください!」
少女の姉「なにかお礼を・・・」
ヴィオラ・コーディエ「気持ちはうれしいけど、急いでるんだ」
ヴィオラ・コーディエ(この町にはあんまりいたくないし)
ミモザ・クラリティ「あっ・・・」
ヴィオラ・コーディエ「ミモザ!?」
ミモザ・クラリティ「だいじょうぶです 魔力を使いすぎただけですから」
「あれがスペサルトの王女?」
「デアネイ王女はプレーンへ出撃したらしい」
「じゃ、誘拐されたミモザ姫?」
「あのガキが誘拐犯ってことか」
「まとめて引き渡せば大金が手に入るぞ!」
ヴィオラ・コーディエ「ミモザ、走るよ!」
ミモザ・クラリティ「は、はい!」
ディアの老人「皆の衆、止めよ!」
ディアの老人「悪魔はもう我らに危害を加えることはない」
ディアの老人「彼女の愛で浄化されたからな」
ミモザ・クラリティ「えっ!?」
ディアの老人「姫君に危害を加えれば それこそ悪魔に呪われるぞ」
ヴィオラ・コーディエ「ノエルはそんなこと・・・」
ヴィオラ・コーディエ「・・・やるかも」
ミモザ・クラリティ「そんなことありません!」
ヴィオラ・コーディエ「だったらいいけどな」
「もう悪魔に怯えなくていいのか?」
「姫が城から逃げたのは、スペサルト王が プレーンに取り入ろうとしたからだって」
「なら見逃してもいいか」
「プレーンにへつらうのも癪だしな」
ヴィオラ・コーディエ「ありがとな、おっちゃん」
ミモザ・クラリティ「でも・・・ あんな嘘をついてよかったのでしょうか」
ディアの老人「嘘も方便と言うだろう」
ヴィオラ・コーディエ「そうそう」
ヴィオラ・コーディエ「それにさ」
ヴィオラ・コーディエ「ミモザがノエルを変えたのは嘘じゃないし」
ミモザ・クラリティ「そうでしょうか」
ヴィオラ・コーディエ「よーし、しゅっぱー・・・」
ディアの老人「今日はこの町で休みなさい」
ディアの老人「夜は魔物や野盗も徘徊している」
ヴィオラ・コーディエ「けど友だちが・・・」
ディアの老人「急いては事をし損じる」
ディアの老人「今夜はしっかり休んで明日に備えなさい」
少女の姉「でしたら、ぜひ我が家へ!」
ヴィオラ・コーディエ「じゃ、お邪魔しよっか」
ミモザ・クラリティ「ヴィオラさん・・・」
ヴィオラ・コーディエ「あいつらならだいじょうぶ」
ヴィオラ・コーディエ「あたし、そう信じるよ」
ミモザ・クラリティ「はい・・・ わたしも、信じます」
ミモザ・クラリティ(・・・ノエルさん)
ミモザ・クラリティ(きっとまた、会えますよね・・・)
〇らせん階段
〇神殿の門
キープレート学園長「ノエルくん、扉を開けなさい」
キープレート学園長「この扉はきみでなければ開きませんから」
ノエル・エンジェライト「・・・はい」
〇西洋風の部屋
ディアの少女「お姉ちゃんたち たくさん食べてね!」
ミモザ・クラリティ「ありがとう いただきます」
少女の姉「お口に合えばいいのですが」
ヴィオラ・コーディエ「すげーおいしいよ!」
ヴィオラ・コーディエ「体調はもうだいじょうぶ?」
ディアの少女「うん!」
ディアの少女「キレーなお姉ちゃんのおかげだね」
少女の姉「この方はスペサルトの王女様 なれなれしくしたらダメよ」
ミモザ・クラリティ「いえ、お気になさらず」
ヴィオラ・コーディエ「にしてもあの毒、なんだったんだ?」
少女の姉「変なものでも食べたのでしょう」
少女の姉「拾い食いするなといつも言っていたのに」
ディアの少女「違うもん!」
ミモザ・クラリティ「いいえ、経口毒ではなく経皮毒でした」
ミモザ・クラリティ「なにか変わったものに触りましたか?」
ディアの少女「えっとね」
ディアの少女「お花の冠 黒い髪のおじさんにもらったの」
〇市場
ディアの少女「白い鎧のおじさんにいきなり殴られて」
ディアの少女「そしたら黒い髪のおじさんが」
キープレート学園長「困りましたね わたしは光精術を使えないのです」
キープレート学園長「――ああ」
キープレート学園長「あそこに水色の髪の少年がいるでしょう」
キープレート学園長「彼と一緒にいる人は光精術使い」
キープレート学園長「その人ならきっと治してくれるはず」
キープレート学園長「お礼にこれを渡すといいですよ」
〇西洋風の部屋
ヴィオラ・コーディエ「学園長と・・・父さん!?」
ミモザ・クラリティ「その花冠に毒が仕込まれていたのですね」
ヴィオラ・コーディエ「じゃあシグバートは・・・!」
少女の姉「どうかされましたか?」
ヴィオラ・コーディエ「・・・ううん なんでもないよ」
ミモザ・クラリティ「ヴィオラさん・・・」
ヴィオラ・コーディエ「焦ったって仕方ない」
ヴィオラ・コーディエ「感情にとらわれては なにも成し遂げられない」
ヴィオラ・コーディエ「シグバートがここにいたら こう言うと思うんだ」
ヴィオラ・コーディエ「たぶんだけど」
ミモザ・クラリティ「はい、きっと・・・」
〇謎の施設の中枢
キープレート学園長「ノエルくん あの剣を引き抜きなさい」
ノエル・エンジェライト「プリズムソード・・・」
ノエル・エンジェライト「・・・その前にシグバートさんの解毒を」
キープレート学園長「あれは致死量ではありません」
キープレート学園長「――ですが」
キープレート学園長「人間は首を落とされれば死ぬでしょう?」
キープレート学園長「下手なことをすれば シグバートくんの首が落ちますよ」
キープレート学園長「アポロオーラを守っていたのは 首のない天使だと言いましたね」
キープレート学園長「プルウィルストーンを守っていた天使は?」
アイオ・コーディエ「首を落としても生きていた」
アイオ・コーディエ「心臓を貫いたとき・・・ 固いものを砕く感触がして死んだ」
キープレート学園長「核<コア>ですね」
キープレート学園長「天使が生命活動を停止するには2つ」
キープレート学園長「女神に魔力を捧げるか、核を破壊されるか」
キープレート学園長「初めから知っていれば 苦労はなかったのですが」
ノエル・エンジェライト「・・・・・・」
キープレート学園長「この特性があったからこそ きみは生き残ったのでしょうか?」
ノエル・エンジェライト「それは・・・どういう・・・」
キープレート学園長「察しが悪いですね」
キープレート学園長「それとも―― 現実を直視したくないのですか?」
キープレート学園長「では教えてあげましょうか」
キープレート学園長「17年前、神器を守るため 神は3体の天使を地上に遣わした」
キープレート学園長「察知したわたしは 9年前、守護天使を殺す旅に出た」
キープレート学園長「スリエルの首を落とし マトリエルの喉を刺し」
キープレート学園長「3人目の天使を殺すため ディアマンテへ辿り着いた」
キープレート学園長「しかしそこにいたのは 血まみれで怯える子どもだった」
キープレート学園長「言っている意味がわかりますね?」
ノエル・エンジェライト「・・・・・・」
〇空
〇黒背景
ヴィオラ・コーディエ(シグバート、ノエル・・・)
ヴィオラ・コーディエ(生きてるよな?)
ヴィオラ・コーディエ(また、みんなで会えるよな?)
ヴィオラ・コーディエ(ダメだ・・・弱気になっちゃ)
・・・て・・・
わたくしの声に応えて・・・
アイオの娘・・・
ヴィオラ・コーディエ「誰だっ!?」
〇幻想
女神イリデッセンス「わたくしはイリデッセンス」
ヴィオラ・コーディエ「女神・・・様?」
女神イリデッセンス「もうアイオにはわたくしの声は届かない」
女神イリデッセンス「だからあなたに呼びかけていたの」
女神イリデッセンス「落ち着いて聞きなさい」
女神イリデッセンス「わたくしは1000年前 天界から天使を追放しました」
女神イリデッセンス「その者の名はアクロマート」
ヴィオラ・コーディエ「堕天使アクロマート・・・」
女神イリデッセンス「キープレートと名乗るあの者は アクロマートの半身です」
ヴィオラ・コーディエ「えっ・・・!?」
〇謎の施設の中枢
キープレート学園長「使い捨ての魔道士どもがいなくとも きみがいればプリズムソードを解放できる」
キープレート学園長「9年間育ててきた甲斐がありましたよ」
ノエル・エンジェライト「とう・・・さん・・・」
キープレート学園長「さあ、プリズムソードを抜きなさい」
ノエル・エンジェライト「・・・・・・ わかりました・・・」
学園長の正体が明らかになりましたね!1000年もの因縁だったとは…😱学園長の数々の言動にやっと納得がいきました。
ヴィオラの言動に、離れていてもつながっている4人の絆を感じられて胸熱でした!しっかり休んだ女子組、間に合って欲しい!