きたのみ!

ましまる

第十二話・醍醐味(脚本)

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〇オフィスのフロア
同僚さん「少し前に話題になった「コオロギパン」 あれってスーパーとかでも売ってるの?」
ミチル「あー、あのパンですね・・・ オンライン限定での販売みたいですよ」
同僚さん「じゃあ、近所のスーパーでパン買っても コオロギが入ってたりしないの?」
ミチル「それはなさそうですね 製造会社のホームページでも かなり強く否定していますから」
同僚さん「・・・よかったー」
同僚さん「昆虫を見ると、この前の長野旅行での トラウマが蘇りそうだから・・・」
ミチル「あー、ざざ虫とか蜂の子ばっかりを 食べさせられたっていうアレですね」
ミチル「ちなみに、虫の何がイヤなんですか?」
同僚さん「そりゃ当然、見た目!」
同僚さん「コオロギパンだって、切ったとき 断面にコオロギがウジャウジャなんでしょ」
ミチル「ええと・・・」
ミチル「コオロギパンって、パンの製造時に コオロギの粉末が加えられたものですよ」
ミチル「姿形はパン内に一切存在してませんから」
同僚さん「あっ、そうなんだ・・・」
ミチル「パンの断面に無数のコオロギって、 いくら何でも私でもイヤですからね」
同僚さん「・・・だよね」
  来たるべき食糧不安に対しての
  1つの解決策と言われている「昆虫食」
  タンパク質が豊富なのがその理由だとか
  その主張はごもっともなものだが、
  アレルギー等の安全性の確認やその説明は
  拙速に進められているという印象が・・・
  そして、現在進められているコオロギ食、
  その材料が輸入中心なことも何だか・・・

〇飲み屋街
  そんなこんなで(説明が雑)
  良質なタンパク質を摂りたくなったミチル
  北海道のタンパク質といえば、
  やっぱりコレ、だそうです

〇シックなバー
ミチル「こんばんはー、ご無沙汰してまーす」
バーのマスター「おっ、久しぶりだな」
バーのマスター「今日は何がお目当てなんだい?」
ミチル「もちろん、いつものアレで! お酒もそれに合わせて!」
バーのマスター「はいはい、ちょっと待ってな」
  そして、お目当てのものが・・・
バーのマスター「はいお待たせ~」
バーのマスター「特選・北海道産チーズ盛り合わせね」
ミチル「うわー、最高!」
ミチル「このチーズには、 どんなお酒を合わせてくれるのですか?」
バーのマスター「そうだな、今日のチーズだったら・・・」
バーのマスター「白ワイン、果実味が強く酸が穏やかなもの」
バーのマスター「この辺りが相性が良いな」
ミチル「この前のチーズ盛り合わせには、 赤ワインを合わせてくれましたよね?」
バーのマスター「あの時のラインナップには ブルーチーズやチーズ味噌漬もあったから 赤のほうが合わせやすかったんだよ」
バーのマスター「今日はセミハードとカマンベールだから、 白のほうが良いと思ってな」
バーのマスター「軽い赤でも合わせられるけど、 赤に変えるかい?」
ミチル「いえ、一番のオススメを頂きます!」
ミチル「いざ・・・」
ミチル「うわー、美味しいー!」
ミチル「チーズもワインも、口の中に入れた瞬間に 旨味と香りが渦巻いて広がる感じ!」
ミチル「一口での満足感がハンパないっ!」
バーのマスター「今回のゴーダもミモレットも どっちも熟成は浅いけど ミネラリーな旨味があって美味しいだろ」
ミチル「はい、白ワインとの相性も抜群です!」
バーのマスター「近年、高品質な道産チーズが多くなって 店で出すのも楽しくなってさ」
ミチル「近年、のことなんですか? 北海道って酪農が盛んだから、 チーズ作りも歴史があると思ってました」
バーのマスター「んー、昔から良質なナチュラルチーズを 作る牧場もあったんだけど、」
バーのマスター「あんまり市場に出回らなかったんだよ」
バーのマスター「そもそも、昔はチーズに関する知識のある 日本人自体が少なかったからな」
バーのマスター「30年くらい前でも、ほとんどの日本人は 「チーズの種類」について聞かれても、」
バーのマスター「・スライスチーズ ・さけるチーズ  ・6Pチーズ ・ピザ用チーズ ・チー鱈」
バーのマスター「としか答えられない感じだったんだよ」
ミチル「カマンベールとか、チェダーとかは 昔からあるイメージなんですけどね」
バーのマスター「その頃なら、カマンベールあたりでも 「聞いたことあるかも」というレベルだな」
ミチル「昔って、そんな感じだったのですね」
バーのマスター「で、今はやっと「食べる側」の理解も進み 「作る側」も充実してきたところでな」
バーのマスター「「食べる側」がその価値をわからないと 「作る側」も商売になんねーから」
ミチル「確かに、そうですね」
バーのマスター「チーズって、栄養価も高いから もっと頻繁に食べてもらいたいんだけどな」
バーのマスター「チーズには、必要な栄養素のうち ビタミンC以外全部入ってるんだよ」
バーのマスター「もちろん、牛乳を固めたモンだから タンパク質なんて豊富も豊富だし」
ミチル「タンパク質って言えば、最近は 昆虫食を推し進める空気がありますよね」
バーのマスター「はいはい、コオロギパンとかを 官民総出で流行らそうとするアレね・・・」
バーのマスター「アレはアレで、食糧不足対策として 取り組むのは悪いコトじゃないけど、」
バーのマスター「それよりもさ、現在の日本で 良質なタンパク質を廃棄しまくる現状に 目を向けることが先だと思う」
ミチル「あー、牛乳の廃棄について、 ニュースになってましたよね・・・」
バーのマスター「そうそう、もったいないよなアレ・・・ 乳製品の加工と消費を拡大する施策を 大々的に打ち立ててほしいよな」
ミチル「廃棄された牛乳って、チーズやバターなど 乳製品にできなかったんですか?」
バーのマスター「回せる分は回したみたいだけどさ、 設備のキャパを超える生乳量だから 捨てざるを得なかったってさ」
ミチル「もったいない・・・」
バーのマスター「他にも、豆腐を作るときに出来るオカラ アレも殆ど廃棄処分されてるんだって」
バーのマスター「アレなんて、大豆タンパクと食物繊維の 塊なんだぜ・・・」
ミチル「オカラも捨てられてるんですか・・・」
バーのマスター「日持ちしないのがネックみたいだな それをクリアできれば、国内の栄養状態は 一気に改善するんじゃねーか?」
バーのマスター「あとは、港で水揚げされた「未利用魚」か」
ミチル「一時期、テレビのニュースで見ましたね」
バーのマスター「そうそう、マスコミ連中が SDGsとかいうので騒ぎ散らしたときに ネタの1つとして取り上げられたよな」
バーのマスター「でも、マスコミ連中は、お上の仰せのまま ただSDGsと言えばいいって考えだから 継続して報道されてないんじゃねーか?」
バーのマスター「だから、未利用魚に関わる人が一部いても そこまで改善されてる感じはしないな」
ミチル「ですよね、せっかく水揚げしたのだから 捨てずに食べられてほしいです」
ミチル「カスベみたいに、捨てずに食べられる魚 まだまだありそうなのに・・・」
バーのマスター「だよな、昆虫なんかに頼らなくても、 栄養価の高いモンが溢れてるんだからさ」
バーのマスター「ま、俺に出来ることなんぞ、 道産チーズはウマいって広めることだけだ」
バーのマスター「それにより、消費も生産も拡大できれば、 俺らも酪農家も喜ぶってモンだ」
ミチル「ですね、美味しくてみんなが買い出せば、 作り手も生産拡大しますからね」
バーのマスター「そういうこった」
バーのマスター「ま、今日のところは 美味しいチーズでたくさん飲んでくれ」
ミチル「はい、飲みましょう!」
「乾杯!」
  今回は何だか勉強モードのミチル
  人並外れた食いしん坊の彼女にとって
  思うところは多いだろう。
  そして、彼女がすべきと思ったことは、
  「たくさん美味しく食べて生産者を応援」
  それが道内の食糧生産者へ
  どんな影響を及ぼすのかは、まだ先の話

次のエピソード:第十三話・名詮自性

コメント

  • 勉強になります〜!✨本当にうんちくが面白すぎて
    なるほど〜✨と頷いちゃいます🥰💖
    マスターもかっこいい〜!行きたいな、こんなお店…🤤💕

  • 昆虫食からチーズ、果ては未利用魚まで。
    今回は食つながりで深く考えさせられる内容ですね。まだまだ日本は平和だなあ。
    昆虫食、某商業施設で自販機見つけてからは気になっていましたが、まだ勇気が出ない…。(札幌には7台あるらしいです。)
    それにしても、チーズのプレゼン最高です!ワインのスチルも唆られました!!

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