添田と袂のオカルト雑誌編集者シリーズ

aza/あざ(筒示明日香)

少女Mの事件~少女Mに対する考察~ 少女Mの事件、余波。(脚本)

添田と袂のオカルト雑誌編集者シリーズ

aza/あざ(筒示明日香)

今すぐ読む

添田と袂のオカルト雑誌編集者シリーズ
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇雑誌編集部
  少女Mの事件、余波。

〇雑誌編集部
添田「・・・・・・訳わかんね」
袂「どうしましたー? 先輩」
袂「変な顔して」
添田「・・・・・・おう」
添田「袂《たもと》、お前終わったんか」
袂「とっくにゲラチェックして編集長にも伺いしましたし・・・・・・」
袂「帰るだけですよ」
添田「相変わらず仕事が早いこって」
袂「先輩が無計画なだけでしょう」
袂「分刻みのスケジュールをよく放置出来ますよ」
添田「うっせー」
袂「・・・・・・で?」
袂「今度は何見てんですか」
添田「『少女Mの事件』だ」

〇寂れた村
  まるで小説のようなタイトルのこの事件は、
  実際には
  「××廃村三十人惨殺事件」
  と呼ばれる。
  一人の令嬢が廃村に招いた三十人を殺害し逮捕起訴。
  精神鑑定や十七歳と言う年齢による温情から
  医療刑務所に送致された。
  廃れた集落で起きた大量殺人に、世間は躍った。

〇雑誌編集部
添田「・・・・・・“大量猟奇殺人を犯した」
添田「麗しき令嬢”ってよ・・・・・・」
袂「有名なゲームも在りましたよね、そんな感じの」
袂「まぁ、人間は罪深い美男美女に心酔する嫌いが在りますからね」
袂「仕方のないことでは」
添田「お前ねー・・・・・・」
添田「しかしわかんねぇよな」
袂「何がです?」
添田「裕福なお嬢がこんな大掛かりな殺人やらかす」
添田「動機っつーのがよ」
袂「『解けてはならない謎々』」
添田「は?」
袂「知りません?」
袂「絶対解けてはいけない、解けたらヤバい」
袂「謎掛けが在るんです」
袂「異常心理者しか解けないらしいですよ」
添田「へぇー・・・・・・」
袂「ま、それも結構小説だの何だのに出て」
袂「ポピュラーになりましたけどね」
添田「お前本当によく知ってるね、マジで」
袂「一応心理学科専攻でした」
添田「へぇー・・・・・・」
袂「うわ、やる気ない」
添田「じゃあよ、」
袂「はい?」
添田「『少女M』は何でこんなことしたかわかるか?」

〇寂れた村
  少女M。
  その動機は未だ伏せられたまま。

〇雑誌編集部
添田「・・・・・・やっぱ良ーや」
袂「は?」
添田「わかんねぇほうがしあわせなら」
添田「それで良い」
袂「・・・・・・」
袂「昏木《くらき》さんにも」
袂「言ってあげれば良いのに」
添田「無理だろ」
添田「・・・・・・もう言い飽きたよ・・・・・・」
袂「・・・・・・」
添田「しっかし金在るよなー」
添田「三十人全員交通費支給だとよ」
添田「すげぇな」
袂「被害者全員の前科前歴も調べていたら」
袂「相当手間隙と額が掛かってますね」
添田「殺人、強盗、強姦・・・・・・」
添田「そんな前科ばっかだな、被害者は」
袂「でも」
袂「“正義の味方になりたかった訳じゃない”」
袂「・・・・・・でしょう?」
添田「はっ」
添田「・・・・・・今年の流行語大賞かよ」
袂「犯罪ですからねぇ・・・・・・」
袂「どうでしょう」
添田「だな」
添田「仕事すっかなぁ」
袂「今日も徹夜になりそうですね」
添田「手伝えよ」
袂「嫌です帰りますよ─────」

〇宿舎
  “本日正午過ぎ、凄惨な事件が発生しました。
  ××県××市に在ります医療刑務所にて、
  すべての職員並びに収容されていた服役者が
  殺害されているのが発見されました。
  死因はまだ特定されていません。
  この施設はあの『少女M』が収容されていた場所で
  警察は彼女と面会に来ていた××社の記者に事情を聞くと共に─────
  消えた少女Mの行方を追っています”

〇雑誌編集部
袂「・・・・・・」
添田「・・・・・・マジかよ」

〇寂れた村
  ・・・・・・麗しき大量殺人鬼の令嬢
  『少女M』。
  彼女は今、どこへ。
  【 了 】

次のエピソード:幕間────『女系家族』 私の家。

成分キーワード

ページTOPへ