見えないなら聞かせてあげる

ゆる男

3話花火の景色を聞かせる(脚本)

見えないなら聞かせてあげる

ゆる男

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〇西洋の街並み
  ノエルはミリカの家に行く
ノエル「おーい!ミリカー!」
ミリカ「あ、来た」
ノエル「今日はお祭りだなー!親父から許可は得たの?」
ミリカ「うん、その事なんだけどね」
バージル「こんにちは。ノエル君」
ノエル「あ、あれ?親父?」
バージル「君に伝えておく事がある」
ノエル「・・・なんでしょう?」
バージル「私の娘に近づくなと言ったはずだ」
ノエル「・・・?」
バージル「しかし、娘も前に進みたいと言っている」
バージル「だから、目の見えない娘が迷子にならないように手を引いてくれ」
ノエル「ああ!もちろんだ!」
  ノエルはミリカの手を取る
バージル「頼んだよ」
ノエル「うん、じゃあお借りします!」
ミリカ「いってきます!お父さん!」
バージル「うん。いってらっしゃい」
バージル「・・・・・・・・・ふぅー」
バージル「アイリス。君は見ているのかな?」
バージル「視界を失ったミリカが、自分の足で光を探しに行った」
バージル「君を愛して、ミリカが生まれてきてよかったと、改めて思う」
バージル「もう自分を責めるのはやめようと何度も思ったけど」
バージル「君と視界を失ったミリカを思うと、胸が苦しい」
バージル「でも、ミリカを愛してくれた君の名前の花言葉がミリカの心にも宿ってくれたみたいだ」
バージル「アイリス、僕は心から君を愛してる」
バージル「君とミリカの家族で居られて本当に幸せだ」
バージル「だからこそ、ミリカが遠くに行くのが悔やまれるなー」
バージル「でも君ならこう言うよね」
バージル「ミリカの幸せを願いなさいって」

〇神社の出店
  お祭りでは
ノエル「ミリカー、この匂いなんだと思うー?」
ミリカ「んー。星くず焼きかな?」
ノエル「違うよー全然違う!星くず蒸しね」
ミリカ「いや、ニアピンでしょ!」
ノエル「まあそう怒るなって。ほら、食べな」
ミリカ「あーん。あつっ!熱いけど、おいしい」
ノエル「ミリカはお祭り来たことないの?」
ミリカ「ないよ、何も見えないからつまらないんだもん」
ノエル「そんなもんかーいつから目が見えないの?」
ミリカ「10歳の頃から、その頃から外出るのも山桃を摂りに行くくらいだよ」
ノエル「へぇーよく見えないのにその場所に行けるな」
ミリカ「昔からよく行ってたからねー」
ミリカ「うわっ!」
ノエル「危ない!」
  ノエルはミリカを支える
ノエル「だ、大丈夫?」
ミリカ「うん、ありがと」
ノエル「見えてないと思うけど距離めっちゃ近いよ僕達」
ミリカ「え、ええ!」
ノエル「て、照れるなって!僕も慣れてないんだぞ!」
ミリカ「照れてないよ!」
ノエル「あ、もうそろそろ時間かな?」
ノエル「足元気をつけて、僕の手握ってな?」
ミリカ「う、うん」
  ノエルとミリカは祭りから少し外れた草原に行く
ノエル「さあ!もうすぐ始まるぞー!」
ミリカ「何が始まるの?」
ノエル「まあ見とけって、あれ?違うか、聞いとけって」
  ひゅ〜〜・・・・・・ぱん!!

〇花火
ミリカ「な、なに?銃声?」
ノエル「違う違う!花火だよ」
ミリカ「花火?そっか、懐かしい」
ミリカ「子供の頃よくお母さんとお父さんと見に行ったなー」
ノエル「今お母さんは居ないの?」
ミリカ「うん、事故にあっちゃって、その時に私の目も失明したの」
ノエル「ごめん、悪いこと聞いちゃったかな?」
ミリカ「ううん、ちょっと前まではこの視界も暗闇だったけど」
ミリカ「ノエルの言葉で救われた気がするの」
ノエル「そ、そうなの?嬉しいな」
ミリカ「ノエル、詩を聞かせて」
ノエル「いいよ。んー、今出来るのはねー」
ノエル「一夜に咲いた大きな花は何より綺麗で尊くて」
ノエル「言葉にならない景色が広がる」
ノエル「隣を見ればあら不思議、何より綺麗な景色より」
ノエル「一輪咲いたあなたという可憐な花に視線が付いて離れない」
ノエル「一番綺麗な花は空を覆う色とりどりの花ではなく」
ノエル「僕の隣で小さく笑う、あなたという花でした」
ミリカ「・・・ノエル、その意味って?」
ノエル「わからない、今の僕の心情が思いついた」
ノエル「ヨールインランドでミリカに会えてよかったって話だよ」
ノエル「でも、このお祭りが終わったら明日の朝にはまた僕は旅に出る」
ミリカ「・・・え?」
ノエル「詩人だからね、この花火を見れたからまた後で詩を残してまた違う街に行くんだ」
ミリカ「ノエル、どこか行っちゃうの?」
ノエル「うん、僕の夢は言ったでしょ?」
ノエル「僕の言葉を世界に広めるって」
ノエル「だから、ミリカとはここでさよならだ」
ミリカ「・・・・・・・・・そんなの」

次のエピソード:4話見えないなら聞かせてあげる

コメント

  • タップノベルデビューおめでとうございます!とても素敵なお話で心温まりました!

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