4話見えないなら聞かせてあげる(脚本)
〇英国風の部屋
その日の夜のこと
ミリカ「お父さん!」
バージル「どうしたミリカ?そんなに慌てて」
ミリカ「ノエルが・・・・・・・・・明日の朝にはいなくなっちゃうみたいなの!」
バージル「ノエル君が?」
ミリカ「そうなの!だから、明日の朝にノエルの所に連れて行って!」
バージル「うん、わかった」
〇西洋の街並み
ノエル「よーし、レオン、長い間ごめんね、ほら、人参だ」
ノエル「うん、ミリカは目が見えないからここで暮らした方がいいと思って」
ノエル「花火見てもミリカのこと視線が付いて離れないなんて言っちゃったけどね」
ノエル「言葉の通り、目に傷あってもミリカは綺麗で可愛いよな」
ノエル「でも・・・・・・ この街とミリカともお別れだ」
ミリカ「ノエルー!」
ノエル「・・・え?」
ミリカ「ノエルー!!待って!!」
ミリカとバージルがノエルの元に現れる
ノエル「ミリカ?どうしてここに?」
ミリカ「ノエルに伝えたいことがあるの」
ノエル「ん?」
ミリカ「私に色んな景色を見せて」
ノエル「・・・何言ってんだ?」
ミリカ「あなたの言葉で私の世界を変えてって言ってんの!」
ミリカ「大体何よ!毎日押しかけてきてお祭りまで誘ってきて明日にはさよならって」
ミリカ「自分勝手すぎるよ!私だってノエルと一緒に居れて楽しかったのに!」
ノエル「待って待って!ミリカが一緒に旅に出るってこと?」
ミリカ「そうだよ」
ノエル「危ないって!怪我するぞ?」
ミリカ「あなたがいるならそれでいい!」
ノエル「・・・ミリカ」
ミリカ「あなたの声が、あなたの言葉が、あなたの詩が、私の暗闇の世界に光を与えてくれたの」
ミリカ「もっと、あなたと色んな景色を見たいって思えたの」
ミリカ「あなたの言葉じゃないとその景色が見えないんだよ!」
ノエル「・・・・・・・・・」
バージル「私からもお願いだ、ノエル君」
ノエル「親父まで!?」
バージル「ミリカの視界を奪ったのは私だ」
バージル「見たい景色を見せようと思っても見せられない」
バージル「けど、君の言葉なら、その景色をミリカに見せられる」
バージル「私には出来ないことを君はやってくれてるんだろう」
バージル「だからお願いだ、ノエル君、ミリカに景色を見させてくれ」
ノエル「・・・・・・・・・そっか」
ノエル「そういう事なら任せてよ、僕の言葉を一番近くで聞けるなんて特別だぞ?」
ミリカ「うん、ずっと聞かせて」
ノエル「じゃあ、付いてきて」
ミリカ「うん、でもちょっと待ってて」
ミリカ「・・・お父さん」
バージル「・・・ミリカ」
ミリカとバージルは抱き合う
ミリカ「お父さん、ありがとう」
バージル「何言ってるんだ、感謝するのは私の方だ」
バージル「ミリカ、君が私の生きる希望だったんだ」
バージル「君が遠くに行っても、幸せになってくれてることを思って私はこの街に残るよ」
ミリカ「うん、ありがとうお父さん」
バージル「こちらこそありがとう。体には気をつけるんだよ」
ミリカ「うん、大好きだよ、お父さん」
ミリカ「ノエル、行こ」
ノエル「じゃあ、親父、また遊びに来るよ」
バージル「ああ、元気でな」
レオンに乗る2人は遠い町へ行く
〇林道
ノエル「ミリカ、詩人の言葉って回りくどいと思わないか?」
ミリカ「そう?幻想的で素敵だと思うけど」
ノエル「まあこんな真っ直ぐなことも言えるんだ」
ノエル「好きだよ、ミリカ」
ミリカ「何よ急に、花火の時じゃ誤魔化したくせに」
ノエル「あの言葉も本当のことだよ」
ミリカ「じゃあノエルが私に似てるって言った山桃の花言葉知ってる?」
ノエル「花言葉?なんだろうな?」
ミリカ「ただ一人を愛する」
ノエル「へぇー素敵な花言葉だ」
ミリカ「でね、山桃の別名もあるの」
ノエル「別名?なんて言うの?」
ミリカ「ミリカ」
ノエル「・・・・・・」
ミリカ「私のお母さんが一人の人を愛するように付けてくれた名前なの」
ノエル「・・・それって」
ミリカ「うん、ノエルが居ればこの名前に誇りを持てる気がする」
ノエル「ば、ばか!持っていいけどばか!」
ミリカ「あっははははは!」
ノエル「暗い世界で待ってても、明るい世界はやってこない」
ノエル「そう感じるくらいには踏み出す一歩が大きくなる」
ノエル「僕が見つけた綺麗な君は明日の希望も疑っていた」
ノエル「そんな彼女からあなたの言葉じゃないとダメって言われたら」
ノエル「その言葉こそが僕の希望に変わるんだ」
ノエル「暗闇の中で育った君が、僕を必要としてくれた」
ノエル「僕が君の光になれるならこれ以上の幸福はないだろう」
ノエル「君がいる世界は、暗闇なんかじゃないと。僕が光を差すんだ」
ノエル「だから、これからも、君にだけに」
ノエル「見えないなら聞かせてあげる」
〜END〜