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木佐マコ

第15話 『白田川花火大会』(脚本)

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〇花火職人の作業場
久間田和樹「それじゃ、昨日渡した資料と一緒に確認しておいてください。よろしく──」
職人「おい、和樹よ。いつものやつやろうや」
七蔵「いつものやつ?」
久間田和樹「あー、いや、あれは親方がやんなきゃ締まんないですよ」
職人「今、その親方がいねえんだから、しょうがねえだろ」
七蔵「なんだよそれ、やれよ、和樹!」
久間田和樹「あー、じゃあ・・・」
  和樹の指示で、ナナや七蔵と職人たちが円陣になって肩を組む。
久間田和樹「てめぇら! ぬかりなく・・・」
  そんなぬるい声で、気合いが入るか!
角谷ナナ「あれは・・・」
久間田和樹「親方!」
角谷ナナ「おじいちゃん! どうして、病院は!?」
角谷源二「こんな日に寝てられるか」
角谷ナナ「ちょっと、もしかして、抜け出してきたの?」
  源二は動揺するナナと和樹の間に割り込むと、円陣の一員になる。
  それから円陣のメンバーを鋭い視線でぐるっと見回し、七蔵に目を止めた。
角谷源二「・・・お前、誰だ」
七蔵「俺は七蔵だ!」
角谷源二「そうか」
角谷ナナ「えっ、それだけ!?」
角谷源二「てめぇら、少したるンでんじゃねえか?」
角谷源二「行くぞてめぇら!」
  おう!
角谷源二「今日も最高の花火で、見たモンの心に華咲かせてやろうじゃねえか!」
  おう!!

〇職人の作業場(店名あり)
  ワゴン車に乗ろうとするナナに、七蔵が一枚の用紙を手渡す。
角谷ナナ「えっ、なにこの請求書・・・」
角谷源二「タクシー代だ」
角谷ナナ「はっ!? 病院から・・・2万!?」
角谷ナナ「おじいちゃん、いい加減にその金銭感覚どうにかしてよ!」

〇花火打ち上げ場
七蔵「何? 俺は打ち上げに参加しなくていいだぁ?」
久間田和樹「だって七蔵、コンピューターなんてできないだろ?」
七蔵「じゃあ、俺の尺玉は誰が上げんだよ!」
角谷ナナ「だから全部、コンピューターで上げるんだってば」
七蔵「コンだかワンだか知らねえが、花火ってのは、手で上げてこそだろうが!」
七蔵「七印(しちじるし)の花火筒、せっかくここまで持ってきたのによ!」
角谷ナナ「もう、七さん! わがまま言わないで!」
七蔵「でもよ・・・」
角谷ナナ「やることない私たちは観客席で見よう? 打ち上げ場にいることないよ」
七蔵「・・・・・・」
七蔵「・・・わかった」
角谷ナナ「・・・!」
久間田和樹「これで一件落着だな」
久間田和樹「あ、そうだナナ、ちょっといいか。 確認したいことがあるんだ」
角谷ナナ「うん」
角谷ナナ「七さん、一緒に会場行こうね。 そこで待ってて」
七蔵「・・・犬じゃねえんだからよ」
角谷源二「なあ、あんた」
七蔵「ん? 俺か?」
角谷源二「・・・あんたに、ナナが世話になったってな」
角谷源二「和樹に聞いたぜ。 信吾の花火を作ったんだってな」
七蔵「ああ、打ち上げも俺がしたかったんだけどよ」
角谷源二「あれを打ち上げる時にな、信吾は・・・ナナの父親は死んだんだ」
七蔵「!」
七蔵「花火で死んだってことは聞いてたが・・・」
角谷源二「・・・そうか、知ってたか」
七蔵「ってことは、あの花火、ナナは一度も見たことないってことか?」

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