第14話 『7×7』(脚本)
〇実家の居間
角谷ナナ「あれ? 七さんだけ? みんなは・・・」
七蔵「ああ、他のやつらは、今日は早く寝るってさっさと帰ったぜ」
角谷ナナ「そっか。そうだよね、明日が本番だし・・・」
角谷ナナ「じゃあ・・・2人でしちゃおっか」
七蔵「何をだ?」
角谷ナナ「じゃん!」
七蔵「おお! おもちゃ花火じゃねえか!」
〇大きな一軒家
七蔵「すげえな・・・つまり俺たちが大昔に作ってた花火が、今も残ってるってことだろ」
角谷ナナ「ん?」
七蔵「お前がいつか言ってた話だ。 たいむなんとかって」
角谷ナナ「ああ! タイムスリップ」
角谷ナナ「そういえばそうだったね」
角谷ナナ「もう、その格好も見慣れて、全然普通になっちゃってたから」
七蔵「こっちから見りゃあ、そっちの格好がおかしく見えるけどな」
角谷ナナ「あー、そっちから見たらそうか」
七蔵「まあ、俺も見慣れちまったけどよ」
ナナと七蔵はお互いに顔を見合わせて笑う。
角谷ナナ「・・・私、七さんになんてお礼言ったらいいか」
七蔵「まだ、礼を言うのは早えんじゃねえか?」
角谷ナナ「・・・早い?」
七蔵「えんそくは帰るまで、だろ?」
〇車内
角谷ナナ「まだまだ! 最後まで気は抜いちゃダメ」
角谷ナナ「家に帰るまでが、遠足です!」
〇大きな一軒家
角谷ナナ「あはは。よく覚えてたね、そんな話」
七蔵「まあな」
角谷ナナ「うん、わかった。 じゃあ、まだお礼を言うのはとっとくよ」
七蔵「そうしとけ」
角谷ナナ「・・・あ」
そのとき、ナナのもってた線香花火の火球が落ちて消えてしまう。
角谷ナナ「・・・・・・」
七蔵「・・・・・・」
角谷ナナ「七さんさ、花火大会が終わっても・・・ここに残ってくれる?」
七蔵「そりゃあ・・・」
七蔵「・・・無理だろうな」
角谷ナナ「・・・え?」
角谷ナナ「どうしてって、聞いてもいい?」
七蔵「・・・・・・」
七蔵「俺はもう、死んでっからよ」
角谷ナナ「・・・え?」
七蔵「ここに来た時から「わかって」たんだ」
七蔵「死んでんのに、どうしてここに飛んできたのかはとんとわかんねぇけど・・・」
角谷ナナ「・・・うそ」
七蔵「来た頃は、ここはあの世だとばっかり思ってたけどよ」
〇花火職人の作業場
七蔵「ここは花火屋なんだろ?」
七蔵「地獄でも花火屋に落としてくれるたぁ、神様も粋なことしてくれるぜ」
角谷ナナ「うん、地獄じゃないけどね」
七蔵「地獄じゃねえのか? ってことは、その前の閻魔の裁き・・・」
〇大きな一軒家
七蔵「おめえは違ぇって言うし・・・」
七蔵「多分だけどよ・・・これは四十九日」
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