第13話 『駆け抜ける日々』(脚本)
〇花火職人の作業場
角谷ナナ「七さん、和樹! お茶飲んでね」
角谷ナナ「皆さんも、ちょっと休憩してください」
久間田和樹「あ~、生き返る」
七蔵「うめぇ!」
角谷ナナ「よーし、じゃあ、私も・・・」
ナナは作業中の花火の尺玉を手に取る。
久間田和樹「ッ!」
七蔵「おいナナ、無理するな!」
角谷ナナ「失礼な! 私だってクラフト紙貼るくらいならできるよ!」
久間田和樹「くらいってなんだよ、舐めてんじゃねえぞ。 いいから、渡せって」
角谷ナナ「で、できるから・・・多分!」
角谷ナナ「私も少しはみんなの力に・・・なりたい!」
久間田和樹「・・・・・・」
〇花火職人の作業場
久間田和樹「力になりたいだぁ~?」
久間田和樹「この切羽詰まった時に、足引っ張ってんじゃねえ!」
角谷ナナ「ごめんごめん、ごめんなさい!」
久間田和樹「・・・・・・」
角谷ナナ「練習ではもうちょっと上手くできたんだけど」
久間田和樹「・・・練習?」
ナナが作業場の隅を指さすと、そこには花火の残骸が小さな箱に詰められている。
角谷ナナ「・・・いつまでも役立たずのままじゃいられないから」
久間田和樹「・・・はあ。 手伝うなんて百年早いんだよ」
角谷ナナ「う・・・」
七蔵「お、おい・・・和樹」
久間田和樹「花火大会が終わったら、覚悟しとけ」
角谷ナナ「・・・え?」
久間田和樹「みっちり教えてやる」
久間田和樹「こんなぬるい練習、練習のうちに入んねえんだよ」
角谷ナナ「ひっ」
七蔵「おお、よかったなあ! 教えてくれるってよ、ナナ!」
角谷ナナ「う、うん・・・」
〇作業場の全景(店名あり)
〇一人部屋
ナナはベッドから起き上がると、カーテンを開いて外を眺める。
作業場には明かりが点灯している。
角谷ナナ「まだ誰か作業してる・・・七さんかな」
〇花火職人の作業場
角谷ナナ「・・・あ、和樹もいる」
久間田和樹「なんだよ、「も」って」
角谷ナナ「2人で尺玉作ってるの?」
角谷ナナ「・・・和樹が作れば早いのに」
七蔵「・・・なにぃ? 俺だってな、これっくらい作れんだ」
久間田和樹「おい、七蔵。集中しろよ」
久間田和樹「七蔵には作りたい花火があるんだよ」
久間田和樹「俺も、それが打ち上がるのを見たいから協力してるんだ」
角谷ナナ「なにそれ? どんな花火?」
久間田和樹「・・・それは七蔵に聞け」
七蔵「いーや、教えねえよ。 楽しみがなくなっちまうじゃねえか」
角谷ナナ「けち!」
七蔵「なんとでも言え。 上がってからのお楽しみだ!」
〇花火職人の作業場
「いただきま~す!」
〇職人の作業場(店名あり)
職人「おーい、こっち手伝ってくれよ!」
七蔵「あいよ。今行く!」
〇花火職人の作業場
七蔵「・・・・・・」
七蔵「あと、5日か」
角谷ナナ「そうだね、あと5日で花火大会」
七蔵「!」
角谷ナナ「あともう少し・・・頑張ろうね、七さん」
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