〇花火職人の作業場
久間田和樹「待て待て！ そこの詰め方が甘いんだよ」
七蔵「どこだ？」
久間田和樹「もっと丁寧に・・・ちょっと俺の見とけ」


〇花火職人の作業場
角谷ナナ「七さん、何してるの？ 私も手伝おうか」
七蔵「おう、お前も来るか。 これから、花火の試し打ちをするんだよ」
角谷ナナ「あ～・・・」
久間田和樹「おい、七蔵行くぞ！」
角谷ナナ「や、やっぱ私はいいや！ 二人で行ってきて」
七蔵「なんでえ、急に・・・」
角谷ナナ「遠くから見ることしかできないしさ、役に立たないと思うし、ね！」
七蔵「お前、まだ・・・」
角谷ナナ「行ってらっしゃ～い！」

〇作業場の全景（店名あり）

〇花火職人の作業場
久間田和樹「おい七蔵、打ち上げの片付け終わったら、寝ろって言っただろ」
七蔵「あ、ああ・・・」
久間田和樹「ちょっとは寝ないと、逆に作業効率落ちるんだよ」
七蔵「ああ・・・」
久間田和樹「この尺玉の玉皮・・・お前、尺玉作ろうとしてたのか？」
七蔵「・・・・・・」
七蔵「相談があんだ。ナナのことで」
久間田和樹「・・・ナナ？」
七蔵「ああ・・・誰にも言うなよ。 特にナナにはな」
　　七蔵が和樹に折りたたまれた紙を差し出す。
久間田和樹「もしかしてお前、ナナのこと・・・。 いいのか、俺が読んで？」
七蔵「ああ、お前に見てほしいんだ」

〇Ｌ字キッチン
角谷ナナ「・・・へっくしょ！」

〇花火職人の作業場
久間田和樹「って、まじめかよ！」
七蔵「？」
久間田和樹「思わせぶりなんだよ、お前は！」
久間田和樹「で、このメモとナナ、どう関係があるんだよ」
七蔵「信吾って、ナナの親父さんの名だってな」
久間田和樹「信吾？ ああ、そうだけど・・・」
　　和樹はあらためて花火の構想メモを眺める。
久間田和樹「これ、綺羅七変化（きらななへんげ）！」
七蔵「ななへんげ？ しちへんげじゃねえのか」
久間田和樹「さすが信吾さんだ。 このアイデア・・・なるほど」
七蔵「これの作り方を、俺に教えてくれねえか」
久間田和樹「作り方？ お前に？ お前には無理だよ」
七蔵「そんなの、やってみなくちゃ、わかんねえ！」
久間田和樹「そうだな。やってみなくちゃわかんねえ」
久間田和樹「だけど、今、やってみる時間はないんだ」
久間田和樹「どういう状況か、お前だってわかってるよな？」
久間田和樹「納品日まであと15日しかないんだぞ」
七蔵「わかってる、だが、やらなきゃなんねえんだ」
久間田和樹「・・・やらなきゃなんない？」
七蔵「ああ、今お前からこの花火の名前を聞いて、間違ってねえと思った」
七蔵「俺はナナのために、この花火を作りたい」
久間田和樹「・・・どういう意味だ？」
七蔵「きら「なな」へんげってんだろ？ この花火」