第11話 『花火職人』(脚本)
〇コンビニのレジ
店員「ありがとうございました。 またお越しくださいませ~」
〇小さいコンビニ
角谷ナナ「か~ずきくん!」
久間田和樹「・・・あ? お前、ナナ?」
角谷ナナ「まずは何も言わずについて来て? お願い!」
久間田和樹「は? ナナ、お前、突然何言って・・・」
角谷ナナ「七さん! 今だよ!」
七蔵「おう! まかせろ!」
久間田和樹「はぁ!?」
物陰から躍り出た七蔵が、和樹の腕をつかむと無理やりワゴン車に押し込む。
久間田和樹「お前、誰・・・ちょんまげ!?」
七蔵「悪いようにはしねぇから!」
久間田和樹「してる、今してる! 痛っ、なんなんだよ、お前ら!」
角谷ナナ「行くよ、七さん! 出発!」
七蔵「ああ、いいぜ! 出発!」
久間田和樹「全然よくない! おい! 待て、マジでなんなんだ!?」
〇車内
久間田和樹「少しは説明しろよ。 一体なんだっていうんだ?」
角谷ナナ「・・・・・・」
久間田和樹「・・・で、勝手に俺の弁当食ってるお前は何なわけ?」
七蔵「ん? ああ、俺は七蔵ってんで・・・」
角谷ナナ「今、お店を手伝ってもらってるの」
久間田和樹「は? 手伝ってもらってるって、何を」
七蔵「花火作りに決まってんだろ」
久間田和樹「・・・お前が? なんでだよ、必要ないだろ」
久間田和樹「大会の花火は、俺たちが全部作って──」
七蔵「お前があのまん丸の花火作ったのかよ! こりゃすげえや!」
角谷ナナ「七さん、その話はあとで!」
角谷ナナ「・・・話の続きは、ついてからするよ」
〇花火倉庫
倉庫の中では、水浸しになった花火が山のように積まれている。
久間田和樹「・・・・・・」
角谷ナナ「和樹、あのね」
久間田和樹「待て。待ってくれ、混乱して・・・」
久間田和樹「なんでだよ・・・なんで、このタイミングで」
久間田和樹「・・・全部、だめなのか」
角谷ナナ「・・・うん」
〇作業場の全景(店名あり)
〇職人の作業場(店名あり)
七蔵「しけた顔してんじゃねえよ! 俺が作った花火があらぁ!」
職人「あんな歪(ゆが)んだモン、うちの名前で外に出せやしねえよ」
職人「はじめっから作り直しだ」
七蔵「んな・・・っ」
職人「しかし、残り1か月で4000個か・・・無理じゃねえかな」
職人「おい、和樹」
職人「俺たちをここに呼んだってことは、何か考えがあるのか?」
職人「お前が決めてくれ。俺たちはお前に従うよ」
久間田和樹「・・・はい」
久間田和樹「一応、全員の意見を聞こうと思ったんです」
久間田和樹「これは、この店の存亡に関わることなんで」
久間田和樹「この前みたいに、ナナが帰って来たからってボイコットするのと、わけが違う」
角谷ナナ「・・・・・・」
久間田和樹「・・・・・・」
久間田和樹「・・・はあ。 やっぱり無理だよな。ああ、クソ・・・ッ」
角谷ナナ「・・・!」
七蔵「やってみなくちゃ、わかんねえだろうが!」
久間田和樹「素人は黙ってろ!」
七蔵「・・・ッ」
久間田和樹「入院してる親方には、もう知らせてるのか」
角谷ナナ「・・・ううん」
久間田和樹「わかった。じゃあ、俺から連絡して──」
角谷ナナ「・・・私は、花火を作りたい」
久間田和樹「は・・・?」
角谷ナナ「だから、和樹に会いに行ったの! 一緒に──」
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